【東京国立博物館】特別展「はにわ」取材レポート。兄弟のような5体の「挂甲の武人」が史上初めて一堂に会する

東京国立博物館
展示風景、国宝《埴輪 挂甲の武人》群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

古墳時代に作られた多種多様な埴輪の中でも最高傑作と呼ばれる国宝《埴輪 挂甲の武人》が、国宝に指定されてから50周年を迎え、これを記念した特別展「はにわ」が、東京国立博物館(以下、東博)で開幕しました。会期は2024年12月8日まで。


展示風景

古墳時代の3世紀から6世紀にかけて盛んに作られた埴輪は、王などの権力者の墓である古墳に並べ置かれた素焼きの造形物です。初期は簡素な筒形でしたが、時代が下ると人物埴輪をはじめ、馬や鳥などの愛らしい動物埴輪、精巧な武具や家を模した象形埴輪など個性豊かに発展。古代人の生活や風習を現在に伝える貴重な資料となっています。

本展では埴輪を中心に、古墳から出土した副葬品などを含めた全国選りすぐりの至宝、約120件が集結。東博では約半世紀ぶりに開催される大規模な埴輪展となります。

第1会場の入口で来場者を出迎えるのは、今や埴輪のアイコンとして認知されている、とぼけた表情が愛らしい《埴輪 踊る人々》です。日本列島で独自に出現、発達した埴輪は、服や顔、しぐさなどの表現を簡略化し、丸みをもつといった特徴がありますが、その独特の「ゆるさ」がつまった代表的作品。儀礼に際して踊る姿を象ったものとされ、東博のマスコットキャラクターである「トーハクくん」のモデルにもなっています。

《埴輪 踊る人々》埼玉県熊谷市 野原古墳出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

1930年に埼玉県熊谷市の野原古墳から出土した際、すぐに修理復元されましたが、近年は劣化が著しく貸し出しもできない状態になっていたそう。そこで、東博と文化財活用センターがクラウドファンディングなどで寄附をつのり、2022年10月から解体修理を実施。2024年3月に修理を終え、本展が修理後初のお披露目の機会となります。

修理を経て変わった点はいくつかありますが、最も大きな変化はその赤みの強さでしょう。クリーニングの際に、土に埋まっている中で付着した土や、長年の展示により堆積した空気中の汚れなどによって、本作が実際よりも黄みが強い色調となっていたことが判明。古い出土品は来歴を示す意味でも、汚れを無理に落とさないケースがしばしばありますが、今回の修復ではあくまで製作当初の姿をイメージできるよう、極力汚れを落とすことにしたといいます。こうして現れた本来の色は、まさに北関東でよく見られるような、火山性の鉱物を含む鉄分の多い赤っぽい焼け色であるとのこと。

そんな《埴輪 踊る人々》ですが、東博の山本亮研究員によると、最近では「踊っているのではなく、じつは馬を曳いている姿では?」という説も有力視されているとか。

《埴輪 踊る人々》の前で作品解説をする山本研究員。手前の埴輪の腰部には紐や鎌が見えます。

片手を挙げるポーズをとった埴輪は、もともと馬と一緒に発掘されるケースが多いこと。また、背の低いほうの埴輪の腰に提げたねじり紐は手綱を、背中に背負った鎌は馬の餌となる牧草を刈るためのものを表している、という可能性が根拠にあるようです。もし馬曳きだったとしたら、長年「踊る人々」で親しんでいたぶん、少し残念な気もしますが……。

「一方で、もともとの埴輪から発展して、意味が変わるということもよくあることではあります。本展では埴輪群像と呼んでいますが、違う種類の埴輪を組み合わせて、たとえば狩人の埴輪と鹿や猪の埴輪で狩りの場面を表現するなど、いろんなストーリーを表すものがあります。ですから、埴輪の組み合わせによっては今まで言われてきたとおり、踊っている場面を表現した可能性もまだまだ残っています」と語った山本研究員。今後の研究が待たれます。

続く「王の登場」と題された展示コーナーは、展示品がすべて国宝のみで構成されている贅沢な空間。

国宝《金象嵌銘大刀》奈良県天理市 東大寺山古墳出土 古墳時代・4世紀〔刀身:中国 後漢時代・2世紀〕 東京国立博物館蔵

古墳では、埴輪とともに豪華な副葬品が見つかることがあります。たとえば、古墳時代前期(3~4世紀)では王が卑弥呼のように司祭者的な役割を果たしていたため、青銅製の鏡や貴重な石材で作った腕飾型の宝器などが多く出土しています。

展示では、4世紀後半に築造された東大寺山古墳から出土した、他に例を見ない装飾の柄頭をもつ国宝《金象嵌銘大刀》を紹介。日本出土の銘文刀剣として最古のものと知られる本作は、まさに卑弥呼が中国王朝から譲り受けたとする研究者もいるようです。

上から国宝《衝角付冑》、国宝《頸甲》、国宝《横矧板鋲留短甲》熊本県和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~ 6世紀 東京国立博物館蔵

朝鮮半島の動乱期を受けて、王が武人的な性質を強めた古墳時代中期(5世紀)では武具類が目立つように。ヤマト王権の中央集権的な性格が強まり、乗馬の風習がより広まった古墳時代後期(6世紀)になると、煌びやかに王やその馬を飾り立て、権威の高さを示す金銅製の装身具などが登場します。

国宝《金製耳飾》熊本県和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~ 6世紀 東京国立博物館蔵
国宝《金銅製鈴付大帯》群馬県高崎市 綿貫観音山古墳出土 古墳時代・6世紀 文化庁蔵(群馬県立歴史博物館保管)

このように、副葬品は王の役割の変化と連動するように移り変わっていたため、それらを概覧することで、埴輪が作られた時代の文化や風習がどのように変遷したのかも窺うことができます。

古墳に埴輪を立てる風習は、ヤマト王権との関係を軸に、古墳文化の中心地であった近畿地方から北限は岩手県、南限は鹿児島県まで日本列島各地へ普及。それらの埴輪は地域ごとの習俗の差、技術者の習熟度、大王との関係性の強弱によって、大王墓の埴輪と比較しても遜色ない精巧なもの、地域色あふれる独自性の強いものなど、発展の中で表現に個性が出ていきました。「埴輪の造形」の展示コーナーでは、そうした多岐にわたる造形の展開に焦点を当てています。

《模造 船形埴輪》原品:三重県松阪市 宝塚1号墳出土 古墳時代・5世紀/平成時代・21世紀 文化庁蔵(九州国立博物館保管)
《馬形埴輪》三重県鈴鹿市 石薬師東古墳群63号墳出土 古墳時代・5世紀 三重県蔵(三重県埋蔵文化財センター保管)

たとえば、三重県鈴鹿市の石薬師東古墳群から出土した《馬形埴輪》は、まっすぐ伸ばしたたてがみか、被りものか、独特の頭部の表現は全国的に見ても類例のない珍しいもの。茨城県出土と伝えられる《埴輪 あごひげの男子》は、巻き毛のような美豆良やとんがり帽子が絵本に出てくる妖精のよう。こうした長いあごひげをもつ埴輪は、6世紀代の極めて地域色が強い作例として知られています。

《埴輪 あごひげの男子》伝茨城県出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

密かに来場者の注目を集めていたのは、円筒埴輪になぜか顔面の表現が施された《顔付円筒埴輪》です。

手前が《顔付円筒埴輪》群馬県前橋市 中二子古墳出土 古墳時代・6世紀 群馬・前橋市教育委員会蔵(大室はにわ館保管)

円筒埴輪のルーツは、弥生時代に吉備地域(現在の岡山県域)で祭器として用いられた、壺をのせる台として作られた特殊器台と呼ばれる土器であり、そこに顔がつく由来はありません。埴輪の誕生から消滅まで主流であり続けた円筒埴輪ですが、顔面のある円筒埴輪の出土例は、群馬県玉村町の下郷天神塚古墳や栃木県足利市の行基平山頂古墳など、北関東を中心にわずか数例が認められる程度であるそう。「ただの筒形じゃつまらない」と考えた埴輪職人の遊び心だったのでしょうか?

第2会場に入ると、いよいよ本展のハイライトである「国宝 挂甲の武人とその仲間」の展示コーナーが現れます。

展示風景

東博が所蔵する《埴輪 挂甲の武人》は、群馬県太田市で出土し、埴輪として初めて国宝に指定されたものです。本作と同じ工房で制作されたと考えられる類似の武人埴輪のうち、完全な形で復元されたものが他に4体存在しますが、本展ではそれらの“兄弟”たち、全5体を史上初めて一堂に展示。うち1体は、現在アメリカのシアトル美術館が所蔵しているため、比較して楽しめる貴重な機会となっています。

国宝《埴輪 挂甲の武人》群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館蔵

東博所蔵品は細部まで立体的、かつ精巧な造りをしており、頭から足先まで全身を防具で覆い、左手に弓を、右手に太刀を持ち、背には靫(ゆぎ/矢入れ具)を背負った姿。ちなみに挂甲とは、上半身に表現されている小さな鉄板を綴じ合わせた防具のことを指します。

「これほど厳重に鎧を身に付けている埴輪は他に例がない」と語ったのは、東博の河野正訓研究員です。

「こうした『挂甲の武人』は6世紀後半に作られたものです。6世紀前半までは当時の文化の中心であった近畿地方が埴輪づくりをリードして、地方がそれを真似る、ということが行われていました。仏教が入ったことで価値観が変化し、次第に近畿では前方後円墳づくり、埴輪づくりが衰退していくのですが、6世紀後半になっても群馬にはまだその影響は及ばず、盛んに埴輪がつくられていたんです。群馬は異常なほど埴輪づくりに熱心で、非常に巧みな技術を習得して、日本を代表するような埴輪をたくさん残しています」

重要文化財《埴輪 挂甲の武人》群馬県太田市成塚町出土 古墳時代・6世紀 群馬・(公財)相川考古館蔵

5体の「挂甲の武人」は表情も含めて非常に似た姿形をしていますが、よく観察すると背負った矢入れ具が靫ではなく、靫より後に登場した胡籙(ころく)であったり、下半身に身に付けているのが防具ではなく袴であったりと差異も見られます。最も古い東博所蔵品、群馬の相川考古館所蔵品から、最も新しい奈良の天理大学附属天理参考館所蔵品へと、細かな表現の省略化が進んでいっている点も見逃せません。

重要文化財《埴輪 挂甲の武人》群馬県太田市世良田町出土 古墳時代・6世紀 奈良・天理大学附属天理参考館蔵

また、本展について河野研究員は「ただの名品展にはしたくない、最新の研究成果をわかりやすく皆様にお伝えしたいという思いが強く、研究成果に照らし合わせて構成も考えました」と話し、その最たる事例として同館所蔵の「挂甲の武人」の彩色復元展示を挙げました。科学分析と詳細な肉眼観察の結果、全面的に白、赤、灰色の3色で塗り分けられていたことが判明。従来のイメージが大きく覆されることになりました。

《埴輪 挂甲の武人(彩色復元)》原品:群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀/ 制作:文化財活用センター 令和5年(2023) 東京国立博物館蔵

展覧会の終盤、「物語をつたえる埴輪」のコーナーでは、人物や動物など複数の埴輪を組み合わせてさまざまな物語を表現した、先述の「埴輪群像」に着目。亡き王の道徳をたたえ、新たな王への忠誠を誓う公式的な拝礼場面を表す「ひざまずく男子」や、四股を踏んで古墳が築かれる土地の邪気を払う相撲の力士など、物語の中でそれぞれの埴輪が分担した役割について紹介しています。

左から重要文化財《埴輪 ひざまずく男子》群馬県太田市 塚廻り4号墳出土 古墳時代・6世紀 文化庁蔵(群馬県立歴史博物館保管)/重要文化財《埴輪 ひざまずく男子》茨城県桜川市青木出土 古墳時代・6世紀 大阪歴史博物館保管
左から《埴輪 力士》福島県泉崎村 原山1号墳出土 古墳時代・5世紀 福島・泉崎村教育委員会蔵/《埴輪 力士》神奈川県厚木市 登山1号墳出土 古墳時代・6世紀 神奈川・厚木市教育委員会蔵(あつぎ郷土博物館保管)/《埴輪 力士》大阪府高槻市 今城塚古墳出土 古墳時代・6世紀 大阪・高槻市立今城塚古代歴史館蔵
重要文化財《家形埴輪》大阪府八尾市 美園古墳出土 古墳時代・4世紀 文化庁蔵(大阪府立近つ飛鳥博物館保管)

また、ここでは愛らしい動物埴輪も大集合。動物埴輪の中で最も多く製作されたのは権力の象徴であった馬ですが、ほかに夜明けを告げる鶏、狩猟場面を構成する鹿、猪、犬なども王権儀礼に関連してつくられていたとのこと。一方で、一部の水鳥や魚などは自然の動物を素直に写したものと推測されており、古代人たちの自然な造形意識の発露を感じられます。

展示風景
《鹿形埴輪》静岡県浜松市 辺田平1号墳出土 古墳時代・5世紀 静岡・浜松市市民ミュージアム浜北蔵
《水鳥形埴輪》埼玉県行田市埼玉出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館保管

それぞれの所蔵先のエース級の名品を集めるため、約5年の準備期間をかけて奇跡的に実現したという大規模な埴輪展。ぜひこの機会に、埴輪の世界の奥深さをあらためて体感してみてはいかがでしょうか。

 

※本展では、一部の作品を除き、展示室内で写真撮影ができます。

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」概要

会期 2024年10月16日(水)〜12月8日(日)
会場 東京国立博物館 平成館
開館時間 9:30〜17:00

※毎週金・土曜日、11月3日(日)は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで

休館日 月曜日

※ただし11月4日(月)は開館
※11月5日(火)は本展のみ開館

観覧料(税込) 一般 2,100円、大学生 1,300円、高校生 900円

※中学生以下、障害者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障害者手帳等をご提示ください。
※本展チケットで、当日に限り、総合文化展もご覧いただけます。(11月5日(火)は本展のみ開館)
そのほか、詳しくは展覧会公式サイト等でご確認ください。

主催 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://haniwa820.exhibit.jp/

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。


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【国立西洋美術館】「モネ 睡蓮のとき」取材レポート。過去最大規模で〈睡蓮〉が集結、晩年の瞑想的な色彩の世界を体感する

国立西洋美術館
「モネ 睡蓮のとき」展示風景、国立西洋美術館 2024-2025年

印象派を代表する画家・クロード・モネの晩年の作品と、その表現の変化に焦点を当てた展覧会「モネ 睡蓮のとき」が、東京・上野の国立西洋美術館で開幕しました。会期は2025年2月11日まで。


同一のモティーフを異なる季節や天候のなかで観察し、刻々と変化する印象や光の動きを複数のカンヴァスで描きとめる「連作」の手法を確立したことでも知られるクロード・モネ(1840-1926)。1890年、50歳になったモネは、フランスの小村ジヴェルニーの土地と家を買い取り、数年をかけて睡蓮の池のある「水の庭」を造成します。この睡蓮の池に周囲の樹木や空、光が一体となって映し出される水面が、晩年のモネにとっての最たる創造の源になりました。

本展は、最初期の貴重な〈睡蓮〉の作例から、モネの心を最期まで占めていた「大装飾画」の制作過程で生み出された大画面の〈睡蓮〉など、〈睡蓮〉連作を中心にモネの集大成となる晩年の芸術表現を紹介するもの。

会場には、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開7点を含む48点の絵画が来日。国立西洋美術館の松方コレクションをはじめ、日本国内に所蔵される名画も加えた計66点を展示しています。

会場入口

会場の入口にある大きく引き伸ばされた写真は、帽子を被ったモネの頭部が睡蓮の池に写っている様子を残したもの。本展の報道内覧会に立ち会ったマルモッタン・モネ美術館コレクション部長・文化財主任学芸員であるシルヴィ・カルリエさんは、「モネの視点を通して、モネとともにゆるやかに水の風景や水辺に生息する植物たちの中を進んでいく、この展覧会の全体の意図を視覚的に見せるものです」 と語っています。

クロード・モネ《舟遊び》1887年、国立西洋美術館(松方コレクション)

本展は4つの章とエピローグによって構成されています。第1章「セーヌ河から睡蓮の池へ」では、〈睡蓮〉に着手する以前、1890年代後半のモネの主要な創造源であったロンドンやセーヌ河の風景を描いた作品を紹介。モネがいかにして水というモティーフ、そして水面に映し出される光や反射像が織りなす効果に探求心を傾けていったのかを見せています。

左からクロード・モネ《セーヌ河の朝》1897年、ひろしま美術館/《ジヴェルニー近くのセーヌ河支流、日の出》1897年、マルモッタン・モネ美術館、パリ
クロード・モネ《テムズ河のチャーリング・クロス橋》1903年、吉野石膏コレクション(山形美術館に寄託)

また、モネが初めて〈睡蓮〉を描いたのは1897年とされていますが、第1章にはその最初期の〈睡蓮〉と推定される貴重な作例も展示しています。

左からクロード・モネ《睡蓮》1897–1898年頃、鹿児島市立美術館/《睡蓮、夕暮れの効果》1897年、マルモッタン・モネ美術館、パリ

後年の連作とは対照的に、樹木や空が反射する水面ではなく睡蓮の花自体をクローズアップ。細やかな筆致で写実的な要素を残しながら物体のフォルムが描かれており、抽象化が進むその後の表現との比較も楽しめます。

クロード・モネ《 睡蓮》1903年、マルモッタン・モネ美術館、パリ

19世紀末のフランスでは装飾芸術がかつてない隆盛を見せ、モネもまた1870年代の印象派時代に本格的な装飾画を手掛けました。やがて、1890年代を通じて連作の展示効果を追求する中で、睡蓮という一つの主題のみからなる装飾画で展示空間を埋め尽くす「大装飾画(Grande Décoration)」を構想。白内障を患いながらも1914年から精力的に取り組みはじめ、最終的にパリにあるオランジュリー美術館の展示室をぐるりと覆う8点の巨大な装飾パネルの形で結実することになります。

最終的に水と睡蓮、柳の木といったモティーフに収束したものの、当初は大の園芸愛好家であったモネらしく、池の周囲に植えられた多種多様な花々も取り入れられる計画でした。第2章「水と花々の装飾」では、構想の中で重要な一角をなしていた、池にかかる太鼓橋に這う藤や岸辺に咲くアガパンサスなどを扱った作品を展示しています。

左右ともにクロード・モネ 《藤》1919–1920年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

クロード・モネ《アガパンサス》1914–1917年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

アイリスもモネがとりわけ好んでいた花であり、1914年以降に手掛けられた花々の習作のうち、アイリスを描いた作品は睡蓮に次いで最も多く、点数は20を数えます。《黄色いアイリス》は一見、虫や魚の目線でアイリスを見上げているような構図に感じられますが、実際は真横からとらえたアイリスと、空が映し出された池の水面を見下ろす二つの異なる視点が組み合わされたもの。モネはこうした、鑑賞者の認識を揺さぶる絵画空間をめぐる探求に余念がありませんでした。

《黄色いアイリス》1924–1925年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

第3章「大装飾画への道」は、大装飾画の制作過程で生み出された〈睡蓮〉の数々のうち、とくに完成形と関連が深い大型作品ばかりを9点展示。オランジュリー美術館の展示室にイメージを寄せた楕円形の展示空間で〈睡蓮〉に囲まれ、どこまでも広がる瞑想的な色彩の世界と一体化できる本展のハイライトです。なお、このエリアでは特別に写真撮影も可能です。

「モネ 睡蓮のとき」展示風景、国立西洋美術館 2024-2025年
左からクロード・モネ《睡蓮》1916–1919年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ/《睡蓮》1916年、国立西洋美術館(松方コレクション)

9点のうち2点は、1914年以降の制作において重要なモティーフとなった雲の反映が存在感を示しています。一方は、ほのかにオレンジに染まる白い雲が中心となり、青空と明瞭なコントラストをなす様子が特徴的。奔放な筆致で描かれた睡蓮の葉や枝垂れ柳が画面の上下左右に伸び、生き生きとした印象を受けます。

クロード・モネ《睡蓮》1916–1919年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ
クロード・モネ《睡蓮》1914–1917年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

こうしてモネが雲の反映を重視するようになったのは、ポプラや柳の木々といった大地に結びつく要素と合わせ、池の水面の上で天と地が一体となる感覚を強めようとしたため、という見方もあるようです。

なお、巨大な装飾パネルの制作は、モネが新たに建設した広大なアトリエにおいて戸外で描いた習作をもとに取り組まれました。自然の印象の記憶を内面化し、カンヴァスの上に再構成するプロセスを経て、モネの芸術は網膜に映る現実から離れ、より内的なイメージへと変容していきます。

第4章「交響する色彩」では、死の間際まで続いた大装飾画の制作と並行して手掛けられた小型の連作群を紹介。睡蓮の池にかかる日本風の太鼓橋や、「水の庭」に隣接する「花の庭」のバラのアーチがある小道などがモティーフとなっています。

左からクロード・モネ《日本の橋》1918–1919年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ/《日本の橋》1918–1924年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

進行する白内障により視力が低下したためか、作品からは次第に遠近感が失われ、平面的な広がりを見せるようになります。色覚も変調をきたし、あるときには黄と緑が彼の世界を支配し、あるときにはそれ以外の色がすべて青みを帯び、とくに赤が濁って見えていたそう。1923年から3度にわたる手術を経て視力はある程度回復しましたが、そのさなかに描かれた〈日本の橋〉連作は、モティーフの判別がつかないほど色調がもつれ、輪郭は溶け、筆触も濃密に絡まり合っています。

クロード・モネ《日本の橋》1918–1924年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

第1章で見た繊細な表現を振り返ると、歴然とした差に驚くはず。筆を叩きつけるように執拗に色を塗り重ねている様子は、モティーフの実在を刻み込むようでもあり、視力の低下、色彩の欠乏という画家として致命的になりかねない障害に対する恐怖心の表れのようにも感じられます。

クロード・モネ《ばらの小道、ジヴェルニー》1920–1922年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

しかし、実のところモネは、こうした一見すると迷走期の産物と見なせそうな最晩年の連作を、最期まで手元に残していました。気に入らないものは容赦なく破棄する完璧主義者であったことを考えると、むしろモネの経験から培われた色彩感覚に基づく、豊かな実験精神の成果と判断することもできるでしょう。

左はクロード・モネ《ばらの庭から見た画家の家》1922–1924年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

エピローグ「さかさまの世界」では本展の締めくくりとして、大装飾画の習作として制作された、枝垂れ柳を描いた作品2点を展示。最愛の家族の死や第一次世界大戦といった多くの困難に直面したモネの晩年にあって、これらの枝垂れ柳は、涙を流すかのような姿から悲しみや服喪を象徴するモティーフとしても解釈されます。

左からクロード・モネ《枝垂れ柳と睡蓮の池》1916–1919年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ/《睡蓮》1916–1919年頃、マルモッタン・モネ美術館、パリ

モネは大装飾画の構想において、始まりも終わりもない無限の水の広がりに鑑賞者が包まれ、安らかに瞑想することができる空間を目指していました。この《睡蓮》もまた、画面の左半分を占める枝垂れ柳の実像と虚像の境界が極めて曖昧になっていることで、静けさに満ちた永遠の世界というものを感じさせます。

新しい空間のとらえ方によって、西洋絵画の伝統的な遠近法にもとづく世界観を覆した晩年のモネ。衰えることのない制作衝動によって印象派を超えた、その画業の豊かな展開を体感できる展覧会「モネ 睡蓮のとき」をぜひお見逃しなく。

「モネ 睡蓮のとき」開催概要

会期 2024年10月5日[土]-2025年2月11日[火・祝]
会場 国立西洋美術館(東京・上野公園)
開館時間 9:30 〜 17:30(金・土曜日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日、11月5日[火]、 12月28日[土]-2025年1月1日[水・祝]、1月14日[火]
(ただし、11月4日[月・休]、2025年1月13日[月・祝]、 2月10日[月]、2月11日[火・祝]は開館)
観覧料(税込) 一般 2,300円、大学生 1,400円、高校生 1,000円

*中学生以下、心身に障害のある方及び付添者 1 名は無料。
*大学生、高校生及び無料観覧対象の方は、入館の際に学生証または年齢の確認できるもの、障害者手帳をご提示ください。
*観覧当日に限り本展の観覧券で常設展もご覧いただけます。

そのほか、詳細は展覧会公式サイトでご確認ください。

主催 国立西洋美術館、マルモッタン・モネ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://www.ntv.co.jp/monet2024/

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。


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【東京都美術館】上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」2024年11月16日(土)より開催!

東京都美術館
上野アーティストプロジェクト2024 ノスタルジア─記憶のなかの景色

8人の作家を通して、普遍的な原風景ーノスタルジアという複雑な感情が持っている意味と可能性を探ります。「懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより」も同時開催


上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」
Ueno Artist Project 2024 Nostalgia ―Scenery in Memory
(同時開催)懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより」
会期:2024年11月16日(土)-2025年1月8日(水)


東京都美術館では、11月から来年1月にかけて、上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」を開催します。

シリーズ第8回目となる本展では、懐かしい風景、そしてノスタルジア(nostalgia 英語で郷愁の意味)について考えたいと思います。「ノスタルジア」とは、もともとギリシャ語の「ノストス(家に帰ること)」と「アルゴス(痛み)」の合成語で、故郷へと帰りたいが、けっして戻れない心の痛みのことを意味します。元々は望郷の思い、いわゆるホームシックと同じような意味でしたが、現代では二度と戻ることができない過去の記憶を、現在の風景や情景に重ね合わせて味わう、切なくも複雑な感情のことをいいます。

このノスタルジアを強く感じさせる風景、人のいる情景、幻想絵画などを描いてきた個性的な8名の作家たちを紹介します。日常の街の風景を愛しむように描いている阿部達也と南澤愛美。子どもたちのいる光にあふれた情景を描き出す芝康弘と宮いつき。幻想も含めて、それぞれ独特の「記憶のなかの景色」を表現している入江一子、玉虫良次、近藤オリガ、そして久野和洋。彼らは、それぞれの異なった道を歩みながら、どこか時空を超えたような、普遍的な原風景(人の心の奥底にある原初の風景)を探し求めているように思えます。本展では、彼らの作品を通して、あらためて、ノスタルジアという複雑な感情が持っている意味と可能性を探っていきます。

※「上野アーティストプロジェクト」は、「公募展のふるさと」とも称される東京都美術館の歴史の継承と未来への発展を図るため、公募展に関わる作家を積極的に紹介する展覧会シリーズです。2017年より毎年異なるテーマを設けて開催しています。

 

【展覧会のみどころ】

(1)ノスタルジアの多様さを知る
本展は、大正生まれから平成生まれまで、様々な世代の、また幼いころに過ごした地域や環境がそれぞれ異なる、8人の「記憶のなかの景色」です。日常風景、子どものいる情景、そして異国の人々、幻想の都市など、個性的な表現による、多様なノスタルジアの世界をご覧ください。

(2)リラックス・スペースでくつろいでノスタルジアを味わう
高さが約12メートルある吹き抜け天井のギャラリーAの中央に、8畳大の休憩スペースを設け、その周囲を4人の作家の大きな絵画が取り囲みます。なかでも、玉虫良次が5年をかけて描き続けた連作《Epoch》10点による約16mの大パノラマは、本展会場にて初めて全体を連結した姿を鑑賞いただける機会となります。ノスタルジアとは、私たちに人生への振り返りを促すものであり、画家の作品のみならず、自分自身の内面を見直すきっかけにもなります。ぜひここでゆっくり鑑賞して、ノスタルジアを感じてください。

(3)「ノスタルジア展」で同時代作家の表現を、「懐かしさの系譜展」で近現代の歴史をたどる
ギャラリーBにて同時開催の「懐かしさの系譜―大正から現代まで 東京都コレクションより」では、大正期から現代に至る日本の風景をたどり、各時代の人々が見いだしてきた「懐かしさ」とはどのようなものであったのか、あらためて考えます。油彩画だけでなく、木版画、素描、写真、書籍、ポスター、写真集など、様々なメディア(媒体)による出品作で構成します。両展あわせて鑑賞することで、ノスタルジアの諸相をご体験いただけます。

 

【展示構成と出品作家紹介】(展示順)

第1章 街と風景 ―画家たちは、陽光によって変化する街の日常風景を、光、空気、水、色彩の微細な変化も含めて、丁寧に描き出しています。もしかしたら、未来にはなくなるかもしれないこの日常を慈しむ。それは、未来の視点から見た、かけがえのない現在へのノスタルジアともいえるでしょう。

■阿部達也 ABE Tatsuya
1974年東京都生まれ。1999年武蔵野美術大学油絵学科卒業。2004年から二紀展に出品を始め、以後毎年出品。2011年の東日本大震災の前後から、身近な川や海、郊外など、空間が広く深い景色を「できるだけ正確に」描く風景画を継続して制作している。現在、二紀会会員。

■南澤愛美 MINAMIZAWA Aimi
1999年東京都生まれ。2022年女子美術大学洋画専攻版画コース卒業。2022年日本版画協会第89回版画展日本版画協会賞受賞。川、釣り堀、そして銭湯などで動物が釣りを楽しんでいる情景を、光と波紋の表現に特色のあるカラー・リトグラフで制作している。

阿部達也 《多摩川 (東京都昭島市)》 2021年 油彩、カンヴァス 作家蔵
南澤愛美 《薄曇りの頃》 2022年 リトグラフ 作家蔵

 

第2章 子ども ―少年たちの遊ぶ姿、少女たちの静かで穏やかな憩いの様子など、過去の自分を現在の子どもたちに重ねて描く二人の作家の作品を紹介します。

■芝康弘 SHIBA Yasuhiro
1970年徳島県生まれ。1994年愛知県立芸術大学日本画科卒業。学生時代から、院展に出品を続ける。日本橋三越本店などで個展多数。愛知県立芸術大学非常勤講師。子どもたちが陽光にあふれた野外で無心に遊ぶ情景を、岩絵具を削りながら表現した繊細な日本画で一貫して描き続けている。現在、日本美術院特待。

■宮いつき MIYA Itsuki
1956年東京都生まれ。1978年東京藝術大学日本画科卒業。翌年から創画会に出品を続ける。1995年、文化庁海外派遣員としてアイルランド、イギリスに滞在。2007年より多摩美術大学教授(2023年に退任)。子どもや女性が、光あふれる部屋で思いにふける情景などを描く。物語や寓意を感じさせる知的、構成的、装飾的な絵画で高い評価を得ている。現在、創画会会員、多摩美術大学名誉教授。

芝康弘 《いつもの此の道》 2017年 紙本彩色 東京オペラシティ アートギャラリー蔵
宮いつき 《晩夏》 2003年 紙本彩色 個人蔵                                         

 

第3章 道 ―幻想も含めて、ノスタルジアを表現している多様な絵画を展示します。今は失われてしまった過去に強く恋焦がれる気持ちは、やがて現実を超えた幻想的な風景に至る道を見いだしていきます。

■入江一子 IRIE Kazuko
1916年日本統治時代の朝鮮の大邱(テグ)に生まれる。父親の実家は山口県萩市。1938年女子美術専門学校(現女子美術大学)師範学科西洋画部を卒業。同年独立展に出品、以後出品を続ける。1947年女流画家協会に創立会員として参画。1969年、シルクロードに写生旅行。以後、30か国以上を訪れ、同地の風景や人々の暮らしをテーマにした絵画がライフワークになる。2021年没(享年105)。

■玉虫良次 TAMAMUSHI Ryoji
1956年埼玉県生まれ。1979年武蔵野美術大学油絵学科卒業。同年一水会展に出品し、以後出品を続ける。1983年安井賞展(西武美術館)に出品。1997年昭和会賞展優秀賞。2015年武蔵野美術大学非常勤講師。懐かしい昭和の情景を再構成し、現代社会への違和感と重ねつつ独特の油彩画を確立している。現在、一水会運営委員。

■近藤オリガ KONDO Olga
1958年ベラルーシ生まれ。1983年ベラルーシ国立美術大学卒業。2007年に来日し、以降在住。新制作協会に出品を続け、2017年に会員となる。2013年第1回損保ジャパン美術賞展(FACE2013)で優秀賞。乳白色の階調と柔らかい光に包まれた深みのある空間のなかで、慣れ親しんだ家族、故国の自然、花、果物を現前させた絵画を制作している。現在、新制作協会会員。

■久野和洋 KUNO Kazuhiro
1938年愛知県生まれ。1963年武蔵野美術学校西洋画科卒業。1973-76年同美術大学の派遣により滞欧、留学する。1982年立軌会同人。1991-92年文化庁派遣在外研修員としてイタリアに滞在。2002年武蔵野美術大学教授。ヨーロッパ古典絵画を研究し、重厚なマティエールに裏付けられた深い空間のある《地の風景》シリーズで高い評価を得ている。2022年没(享年83)。

入江一子 《イスタンブールの朝焼け》 1975年 油彩、カンヴァス 入江一子シルクロード記念館蔵
玉虫良次 《epoch》(部分) 2019-23年 油彩、カンヴァス 作家蔵
近藤オリガ 《月下のレモン》 2022年 油彩、カンヴァス 個人蔵                                                  
久野和洋 《地の風景・刻刻》 2004-05年 油彩、カンヴァス 名古屋画廊蔵

 

◆開催概要

■展覧会名:上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」
Ueno Artist Project 2024:Nostalgia ―Scenery in Memory
■会期:2024年11月16日(土)-2025年1月8日(水)
■会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
■休室日:2024年11月18日(月)、12月2日(月)、16日(月)、21日(土)-2025年1月3日(金)、1月6日(月)
■開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
■夜間開室:11月22日(金)、11月29日(金)は9:30-20:00(入室は閉室の30分前まで)
■観覧料:一般500円 65歳以上300円 学生以下無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 *いずれも証明できるものをご提示ください
※都内の小学・中学・高校生ならびにこれらに準ずる者とその引率の教員が学校教育活動として観覧するときは無料(事前申請が必要)
※特別展「田中一村展」(~12月1日まで)のチケット提示にて入場無料
■主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
■展覧会ウェブサイト https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_uenoartistproject.html
■問い合わせ先:東京都美術館 03-3823-6921


[同時開催]  懐かしさの系譜―大正から現代まで 東京都コレクションより
Tokyo Metropolitan Collection Exhibition:
Genealogy of Nostalgia ― From the Taisho Era to the Present

東京都が所蔵するコレクションの中から、昔日の情景をとらえた絵画などにくわえ、現代の都市郊外を映した写真を紹介します。大正期から現代にいたる日本の風景をたどることにより、人々がそれらの中に見出してきた「懐かしさ」とは何であるかについて、あらためて考えようとするものです。

川瀬巴水や土門拳が捉えた、近代化の中で消え去った大正・昭和戦前期の情景への「懐かしさ」、戦後一気に流入したアメリカ文化に対する「懐かしさ」、そして、高度経済成長を背景に均質化と変貌を繰り返す都市や郊外の街並みに向けられた「懐かしさ」。それぞれの「懐かしさ」は、時代も様相も全く異なるものであるにも関わらず、誰の心にも芽生え得る共通した情感なのかもしれません。懐かしさの多様性と不変性を考える本展が、激動の近代、現代社会を生きている私たち自身を振り返るきっかけになれば幸いです。

懐かしさの系譜─大正から現代まで 東京都コレクションより

◆主な出品作品

川瀬巴水 《雪に暮るる寺島村》 1920年 木版 東京都江戸東京博物館蔵                            
中原實 《ノスタルジア》 1924-25年 油彩、カンヴァス 東京都現代美術館蔵

【開催概要】
■展覧会名:懐かしさの系譜―大正から現代まで 東京都コレクションより
■会期:2024年11月16日(土)-2025年1月8日(水)
■会場:東京都美術館 ギャラリーB
■休室日:2024年11月18日(月)、12月2日(月)、16日(月)、21日(土)-2025年1月3日(金)、1月6日(月) ※一部展示替えを行います(前期:12月5日(木)まで)。
■開室時間:9:30-17:30(入室は閉室の30分前まで)
■夜間開室:11月22日(金)、11月29日(金)は9:30-20:00 (入室は閉室の30分前まで)
■観覧料:無料
■主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
■連携:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、東京都写真美術館、東京都現代美術館


◆関連事業

■トーク、レクチャー
会場:東京都美術館 講堂 定員:各回200名
※いずれも参加費無料、当日先着順 [手話通訳あり]

1 アーティストトーク「作家が語るノスタルジア1」
11月23日(土、祝) 14:00-15:30
阿部達也、玉虫良次

2 アーティストトーク「作家が語るノスタルジア2」
12月1日(日) 14:00-15:30
芝康弘、宮いつき

3 アーティストトーク「作家が語るノスタルジア3」
12月7日(土) 14:00-15:30
南澤愛美、近藤オリガ

4 担当学芸員によるレクチャー「ノスタルジアと作家たち」
12月14日(土) 14:00-15:30

*内容は変更する場合があります。
*詳細・最新情報はこちら→  https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_uenoartistproject.html

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■ダンス・ウェル   【事前申込制】
「ダンス・ウェル」は、パーキンソン病と共に生きる方を主な対象に、こどもから大人まで誰でも参加できるダンス・プログラムです。展覧会を鑑賞し、そこから抱いた感覚やイメージを、からだ全体を使って表現してみませんか。

会場:東京都美術館ギャラリー、スタジオ
日時:
第1回2024年12月8日(日) 14:00-15:30
講師:酒井直之(ダンサー、映像作家、ダンス・ウェル講師)
第2回:2025年1月4日(土) 14:00-15:30
講師:東野祥子(振付家、演出家、ダンサー、ANTIBODIES Collective代表、ダンス・ウェル講師)
参加費:無料(ただし、「ノスタルジア」展当日券が必要)
定員:各回20名 事前申込制
※11月1日(金)より当館ウェブサイト申込フォームにて受付開始
※先着順で定員に達し次第申込締切
※手話通訳をご希望の方は各開催日1週間前までに、申込フォーム備考欄に必ず「手話通訳希望」と記入の上、お申し込みください。

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講師紹介

酒井直之
ダンサー、映像作家、ダンス・ウェル講師。東京藝術大学大学院修了。国内外で舞台公演多数出演のほか、MV、ミュージカル等への出演、振付提供等を行う。春日部市を拠点に芸術によるまちづくりを目指したイベント開催、映像配信を展開。令和5年度文化庁「新進芸術家海外研修制度」1年研修にてイタリアにてダンス・ウェルとそのまちづくりをリサーチ。

東野祥子 
振付家、演出家、ダンサー、多ジャンルのアーティストが在籍するパフォーマンスアートコレクティブ「ANTIBODIES Collective」主宰、トヨタアワード、横浜ダンスコレクションなど受賞多数。全日本ダンストラック芸術監督。 2016年イタリア、バッサーノ・デル・グラッパ市にてダンス・ウェルの講師を務める。2019年夏ダンス・ウェル・ティーチャーズコース修了。

 

■東京都美術館
展覧会ウェブサイト https://www.tobikan.jp/exhibition/2024_uenoartistproject.html
問い合わせ先: 03-3823-6921

【公益財団法人東京都歴史文化財団】プレスリリースより


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【朝倉彫塑館】特別展「ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」取材レポート。猫好きの彫刻家が切り取った愛くるしい日常

台東区立朝倉彫塑館
展示風景、左から朝倉文夫《猫(金メタリコン)》1914年、《原題不明(背伸びする)》1919年頃

日本近代彫刻界をけん引した彫刻家であり、愛猫家としても知られる朝倉文夫。彼の猫をモチーフとした彫刻作品を一堂に集めた、朝倉文夫没後60年特別展「ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」が、台東区立朝倉彫塑館にて開催中です。会期は2024年12月24日(火)まで。

※紹介している作品はすべて朝倉彫塑館所蔵です。

朝倉彫塑館
展示風景、手前は左から朝倉文夫《餌ばむ猫》1942年、《眠り》1945年

彫刻家 朝倉文夫(1883-1964)は、対象のあるがままの姿を写しとる「自然主義的写実」の表現を徹底して探求する姿勢から、《墓守》や《大隈重信像》といった肖像彫刻の傑作を生みだし、1948年には彫刻家として初めて文化勲章を受章。制作のかたわら、首席で卒業した東京美術学校(現東京藝術大学美術学部)で教鞭をとったほか、アトリエ兼住居であった朝倉彫塑館で「朝倉彫塑塾」を主宰するなど、後進の育成も熱心につとめました。

そんな朝倉は、無類の愛猫家としても知られ、一時は19匹もの猫を邸宅で飼っていたといいます。ときに飼い猫たちをモデルにしながら、猫の彫刻もほぼ生涯にわたって制作。1964年には自身の彫刻家人生60年と東京オリンピックの開催を記念し、猫のさまざまな姿を捉えた「猫百態展」を企画します。

しかし、オリンピックを目前にした4月に、病により享年81歳で死去し、「猫百態展」の開催は叶わずじまいに。その夢は関係者たちに引き継がれ、終の住処であった朝倉彫塑館で1994年と2017年に特別展として実現しました。

今回の特別展「ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」もまた、「猫百態展」と同様に、猫作品に焦点を当てたものですが、過去の展覧会と異なるのはその展示方法です。

「猫の作品をただ並べるだけではなく、ここ(朝倉彫塑館)で朝倉が猫たちとどう過ごしたのか、猫たちの生活はどのようなものだったかを意識しながら展示しました」と話すのは、朝倉彫塑館の主任研究員・戸張泰子さん。

左から朝倉文夫《墓守》1910年、《原題不明(眠る)》制作年不詳/ 大きな窓から陽光が降り注ぐなか座布団で眠る猫を、朝倉に代わって代表作《墓守》が微笑みながら見下ろしている心温まる構図。
朝倉文夫《追羽子》1919年/ はねつきのはねを目で追う猫の前方を確認すると、実際にはねが宙を舞っているなど細かな演出も。

あまり知られていませんが、朝倉は猫だけではなく犬も飼っていました。愛犬をモデルにした作品は確認できませんが、少数ながら犬の作品も制作しており、それらも加えてより賑やかに、かつての暮らしをイメージしやすい展示を心がけたとのこと。

朝倉文夫《スター》1920年

出展作品は、猫のブロンズ像を中心に、猫のスケッチや猫に関する直筆の俳句などを加えた53点。朝倉にとって重要な制作の手段であった写真もあわせて紹介されています。

メインの展示空間であるアトリエに入ってまず来場者を出迎えるのは、出品記録に残るものとしては最も初期の猫作品、《吊された猫》(1909)です。

朝倉文夫《吊された猫》1909年

第3回文展に出品された、当時としては斬新な構図の作品で、猫の首をつまみ上げる力の入った腕と、猫のぶらりと弛緩した体の対比が見どころです。もの言いたげな猫の表情には思わず笑みが浮かびました。よく見れば猫の後足がわずかに緊張している様子で、東京美術学校を卒業して間もない若き朝倉がすでに持ち得た、対象を捉える鋭い観察眼、そして卓越した表現力を感じることができます。

戸張さんによれば、本作のような他愛のない日常を写しとった小品を文展に出品したという事実を、朝倉と親交のあった彫刻家であり、忌憚のない美術評論家でもあった高村光太郎が評価したエピソードがあるそう。

「それまでの文展というと、人体の美を追求したものや、抽象的なテーマを表現した具象人体などが、もっと等身の大きな作品として多く出品されていました。そのような状況にあって、猫をただの猫として扱ったことを高村は評価しました。朝倉はこうした日常の場面を切り取った小品でも作品として成立するのだと、高村の言葉から自信を得たように思います。だからこそ朝倉は、猫の作品を生涯作り続けたのかもしれません」(戸張さん)

左から高村光太郎《手》1918年、朝倉文夫《腕》1909年頃

一方で高村は、本作における腕の表現の硬さを指摘したといいます。同年制作されたと思しき《腕》(1909年頃)は、いずれの展覧会にも出品の記録が残っていない点からも、朝倉が高村の批評を真摯に受け止め、練習として制作したものと考えられているとか。

会場では《腕》のほか、その10年後に高村光太郎によって制作された《手》(1918)も併置。留学資金を集める高村に対して朝倉が「手一本でも足一本でも」とかつての批評にも通じる言葉で、素性を明かさずに自由な制作を依頼したものです。それだけでも高村にはピンとくるものがあったのか、結局は朝倉からの依頼だとバレたそう。二人の彫刻家としての交流の様子がうかがえる展示となっています。

朝倉文夫《よく獲たり》1946年

《吊された猫》から約40年後に制作された後期の作品《よく獲たり》(1946)に視線を移すと、その技巧の洗練ぶりに驚きます。ネズミをくわえた一瞬の、首周りの筋肉のこわばり、どう猛な顔つき、抵抗するネズミの動きに備えている前足のバランス感。この後に飛び降りる様子まで容易に想像できるリアルさは、まるで実際にその瞬間の猫を型で取ったかのようです。

猫の気まぐれな動きや気質、そのすべてを好んでいたという朝倉は、猫独特のしなやかな動きを生み出す骨格にも強い関心を払っていたそう。骨格標本で勉強していたのはもちろん、「(朝倉の)お嬢さんがおっしゃるには、朝倉はいつも猫を膝の上にのせて撫でていましたが、それはかわいがるためだけではなく骨格や筋肉の付き方を探り、確かめるためだったのではないかということです」と戸張さん。厳格な写実主義を追求した朝倉らしさがあふれるエピソードです。

《骨格標本(猫)》/朝倉が参考にしていたさまざまな骨格標本も展示。あまりに猫に詳しいので「猫博士」と呼ばれたことも。

同じ眠る姿でも、前足に頭をうずめているか否か、耳やしっぽの形が異なる様子なども忠実に表現。そのほか、伸びをしたり、子猫に乳を与えたり、子猫どうしで寄り添ったりと、猫たちのポーズのバリエーションはじつに豊かです。

朝倉文夫《親子猫》1935年

一見、ただ座っているだけに見える《産後の猫》(1911)は、南洋での視察を終えて家に帰った朝倉を、二日前に子供を生んだばかりの飼い猫が出迎えたときの様子を作品にしたもの。くたびれたようなうつむき加減です。

朝倉文夫《産後の猫》1911年

朝倉は、出産の疲労を訴えるとともに、仔猫の生まれた悦びを報告するように膝に甘えてくる愛猫の姿に、制作意欲をかき立てられたそう。他の猫作品と比べて細部の表現のデフォルメが多い理由について、戸張さんは「猫の姿というより、猫の感情、疲れや悦びそのものを捉えようとしていたのかも」との見解を示しました。

朝倉文夫《愛猫病めり》1958年

一方で、痩せて皮膚がたるみ、毛艶もなくなった愛猫がお尻を上げて痛みに耐えている姿を捉えた晩年の《愛猫病めり》(1958)は、他の作品に見られるある種のやわらかさがそぎ落とされ、目をそらしたくなるような病や死にも正面から向き合う芸術家としての覚悟と悲哀を感じさせるものでした。

朝倉にとって猫作品は、依頼を受けて制約の中でつくる肖像彫刻などとは異なり、肩の力を抜いて自由に、自身の創作意欲にまかせてつくるものであったようです。題材として扱いやすいとはいいがたい姿をあえて造形化しているのも、愛おしい記憶ごと写真や日記のように残したいという、愛猫家としての率直な想いによるものなのでしょうか。そうした姿勢は、朝倉の猫作品がもつ魅力の源にもなっています。

朝倉文夫《たま(好日)》1930年/ 朝倉になった気分で猫作品に触ることができる展示も。
朝倉文夫《たま(好日)》1930年/《たま(好日)》に関しては石膏原型との比較も楽しめます。

そのほか会場では、朝倉のブロンズ作品にまつわる、ガス型鋳造と呼ばれる制作工程を紹介した17分ほどの動画も上映中。まず粘土で作品をつくり、石膏で型取りして原型をつくり、さらにそれを元にブロンズに……と一言で表すのは簡単ですが、実際の作業はまさに職人技。気が遠くなるほど細かなプロセスを経て展示作品が出来上がっていることがわかるため、鋳造の工程をイメージしにくい方は必見です。

本展開催のきっかけについて、戸張さんは「だんだん朝倉のことを知らない人も増えてきたことから、朝倉と朝倉の作品に親しみをもってもらおうと企画しました」と話します。

朝倉の優れた造形力や観察眼、そして猫に対する深い愛情をたっぷりと感じられる本展は、まさに朝倉の魅力を知る入門編にぴったり。猫好きにはたまらない、生き生きと微笑ましいポーズをとる猫たちの姿をぜひ一度、鑑賞してみてはいかがでしょうか。


なお、会場である朝倉彫塑館も非常に魅力的な建物ですので、いくつか見どころをご紹介します。

朝倉は東京美術学校を卒業した1907年、24歳のときに谷中に自らが設計したアトリエと住居を構えます。一流の職人たちの手を借りながら、敷地の拡張や増改築を繰り返し、現在の朝倉彫塑館の建物が完成したのは1935年のこと。2001年に建物が国の有形文化財に登録され、2008年には敷地全体が「旧朝倉文夫氏庭園」として国の名勝に指定されました。アトリエ棟は鉄筋コンクリート造、住居棟は木造の数寄屋造という個性的な構成ですが、朝倉の優れた美的感覚で異なる素材を違和感なく調和させています。

アトリエ

普段から作品を展示しているアトリエは天井高が8.5mもあり、足を踏み入れるとまずその開放感に驚くはず。フロアの西側には3.78mにも及ぶ《小村寿太郎像》(1938)が置かれているのですが、まったく圧迫感がありません。

芸術家のアトリエというと窓は北側がセオリーですが、朝倉彫塑館のアトリエは北・東・南の三方に窓があり、非常に明るいのが特徴です。あらゆる角度から自然光を当てて、屋外に置かれることの多い彫刻の見え方を研究するのが目的で、制作時にはカーテンで光量を調節していたとのこと。また、北側上部の大きな窓に緩やかなアール(曲線)がついているのは、影を強くせず、全体に光を行きわたらせるため。壁の素材には温かみのある真綿が使用されているなど、彫刻家としてのこだわりが随所に溢れています。

書斎

アトリエに隣接する書斎もまた吹き抜けになっており、まるで映画のセットのようです。天井にまで届く、三面にわたるガラス扉の本棚に収められた書籍のうち、洋書の多くは美術評論家であり、東京美術学校時代の朝倉の恩師でもあった岩村透の蔵書でした。岩村の没後、古書店などに散逸しつつあった貴重なこれらの資料を、朝倉が自宅を抵当に入れて資金を調達し、買い戻したものだといいます。

半円型の出窓とソファが独特の雰囲気を醸し出す応接。
朝陽の間

客人をもてなしていた3階の大広間「朝陽の間」は、その名のとおり東側に備えられた窓から朝日が差し込む、朝倉彫塑館の中で最も格式の高い一室です。贅沢な和の設えで、上品に輝く赤みを帯びた壁は、高価な赤瑪瑙(めのう)を人力で砕いて塗りこめた瑪瑙壁。わずかに混じる黒曜石が無二の色合いを生み出しています。

天井板は、伊豆天城の地中より掘り出したという神代杉に杉皮の裏張りを施したもの。床の間には松の一枚板、欄間には桐の一枚板と、当時でも貴重だった素材が使用されています。あえて統一感をもたせないところに遊び心もあり、朝倉の美学が感じられる空間です。

五典の池

中庭「五典の池」は水と巨石、樹木で構成されています。四方を建物で囲んだ回廊式であり、どの部屋からでも美しい風景が楽しめる、彫刻家の視点が生かされた造りです。朝倉はここを自己反省の場とし、生き方に迷いが生じたとき、ものの本質を見極めにくくなったときに、清らかな水を眺めて心身を浄化し、さらなる制作にまい進していたそう。

屋上庭園(※天候により閉鎖)

アトリエ棟の屋上には、オリーブの木がある庭園が広がっています。屋上緑化の早い例であるとのこと。

ここではかつて、朝倉彫塑塾の必須科目として園芸実習が行われていました。園芸も塑造も土で命を育む作業であることから、園芸を通じて塾生たちを土に親しませ、対象を見る目を養わせる目的があったそう。現在は一部に菜園が再現され、四季折々の花が楽しめる憩いの場となっています。

庭園の西側に置かれた男性像《砲丸》(1924)は、広い空の下で谷中の街を眺めています。建物に入る前の門から見上げると作品の正面が確認できますので、訪れた際はぜひ屋上を見上げてみてください。

朝倉文夫没後60年特別展「ワンダフル猫ライフ 朝倉文夫と猫、ときどき犬」概要

会期 2024年9月14日(土)~12月24日(火)
会場 朝倉彫塑館(台東区谷中7-18-10)
開館時間 9:30~16:30(入館は 16:00まで)
休館日 月曜日・木曜日(祝休日は開館)
入館料 一般 500円/小・中・高校生 250円
主催 公益財団法人 台東区芸術文化財団、台東区立朝倉彫塑館
TEL 03-3821-4549
朝倉彫塑館HP https://www.taitogeibun.net/asakura/

※記事の内容は取材時のものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は公式HPでご確認ください。


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奄美の光に呼応する、画家の内なる魂。【東京都美術館】「田中一村展 奄美の光 魂の絵画ーTanaka Isson: Light and Soulー」(~12/1)内覧会レポート

東京都美術館
報道内覧会に登壇した俳優・小泉孝太郎さん

「神童」と称された幼少期を経て、晩年は奄美の自然を主題とした絵画に没頭した田中一村。

「田中一村展  奄美の光 魂の絵画」では、全身全霊をかけて「描くこと」に取り組んだ一村の生涯をその作品をともに回顧する。

本記事では開催前日に行われた報道内覧会の様子をレポートする。

田中一村、不屈の情熱の軌跡

展覧会場入口

明治41年(1908)に栃木町(現・栃木市)で生まれた田中一村は、幼年期から卓越した画才を示し、神童と称されました。
彫刻師の父から米邨(べいそん)の画号を与えられ、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科に入学するも、2ヶ月で退学。
昭和22年(1947)に柳一村と画号を改め、《白い花》が青龍展に入選するも、その後はわずかな支援者を頼る制作が続きました。晩年は単身奄美大島へ移住し、奄美の自然を主題とした絵に専念する日々を送りましたが、69才で亡くなります。

没後の昭和54年(1979)、有志により奄美で遺作展が開催され、異例となる3千人もの動員を記録。メディアがその模様を紹介したことにより、熱狂とともにその生涯や作品が全国に知られることとなりました。

「田中一村展 奄美の光 魂の絵画ーTanaka Isson: Light and Soulー」では奄美で描いた代表作《不喰芋(くわずいも)と蘇鐵》《アダンの海辺》はじめ、未完の大作も展示。絵画作品を中心に、スケッチ・工芸品・資料を含めた250件を超える作品で、一村の画業の全貌に迫ります。

最大規模の大回顧展

展示会場風景
絵画作品を中心に、一村の画業の軌跡を辿る
もともとは新進の南画家として活躍していた一村。一村は昭和10年代から戦後に至るまで、山水画の古典を学び続けた
千葉寺に移住した一村が描いた《千葉寺の秋》(昭和23年(1948)頃 田中一村記念美術館蔵)。一村は身近な千葉の田園風景を愛し、色紙絵を描き続けた
世田谷のK氏宅の仏間を飾っていた《草花図天井画》(昭和25年(1950)頃 田中一村記念美術館蔵)
《奄美の海に蘇鐵とアダン》(昭和36年(1961)1月 田中一村記念美術館蔵)

本展は第1章「若き南画家「田中米邨」 東京時代」、第2章「千葉時代「一村」誕生」、第3章「己の道 奄美へ」の全3章構成。田中一村の作品群を時系列に展示することで、ほぼ切れ目なく変遷してゆく画業を、つぶさに辿ることができるようになっています。

6,7歳という少年時代から多くの作品を描いた一村の作品は、各地に相当数が残されており、本展覧会で展示される作品の多くも近年新出したもので、初公開の作品も少なくありません。出品点数は250点以上。まさに最大規模の回顧展といえるでしょう。

一村が手がけた障壁画や木彫りなど、幅広いジャンルの作品を展示。こちらは一村が絵付けした描絵帯と日傘
一村の集大成ともいえる奄美移住後の作品群を展示した第3章

田中一村の画業は、決して平坦なものではありませんでした。幼少期から「神童」と称えられ、新進の南画家として活躍しつつも、生涯に一度も個展を開くこともなく、無名のまま一人奄美の地で生涯を終えました。
第3章では、そんな一村が不退転の決意で奄美の地にわたり、生活費を工面しながら全身全霊を賭けて描いた作品の数々が展示されており、一村が「終焉の地」でたどり着いた画業の境地を、作品とともに体感することができます。

展示作品紹介

こちらでは、展示作品の一部をピックアップしてご紹介します。

《椿図屏風》昭和6年(1931)絹本金地着色  2曲一双  千葉市美術館蔵

「空白期」の一村のイメージを一変させた大作

一村は「23歳の頃、自分が本道と信じた新画風が支援者の賛同を得られず義絶した」と後年手紙に綴っており、従来この時期は寡作で「空白の時期」であるとみられていました。しかし近年、この時期に描いた力作が発見され、その見方は変わりつつあります。
本作品は、そんな一村昭和初期の活動のイメージを一変させた豪華な金屏風。
当時一村は24歳。新たな境地を求めて模索する情熱とエネルギーが感じられるようです。

《白い花》昭和22年(1947)9月 紙本金砂子着色  2曲1隻  田中一村記念美術館蔵

田中一村、唯一の入選作。

昭和22年(1947)、川端竜龍子主宰の第19回青龍展に初入選した出品作で、結果的に公募展に入選した唯一の作となったものです。
出品目録に「白い花 柳一村」とあり、画号を「米邨」から改め、「柳一村」として臨んだことがわかる、心機一転の戦後の意欲作。
どこか抜け感のある洗練された画風が印象的です。

《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻 田中一村記念美術館蔵

栄華に背を向けても、貫いた信念。

初入選を果たした翌年の昭和23年(1948)、第20回青龍展に2つの作品を出品した一村。一村はこの《秋晴》を自信作と認めていましたが、参考出品の《波》だけが入選を果たすという結果に落胆し、入選を辞退してしまいます。

金屏風に黒いシルエットで樹々が大胆に表現された本作。逆光のような効果で聳える樹木、細部に至るまで表現された枝や樹皮の質感は、まさに入魂の出来栄えです。
栄華に背を向けてまで一村が守りたいものは何だったのか。ぜひ、本作に直接向き合って、それを感じてみてください。

《アダンの海辺》昭和44年(1969) 個人蔵

奄美の光が一村にもたらしたもの

昭和49年(1974)1月(66 歳)の書簡に、「閻魔大王えの土産品」だと記した一村入魂の作品が《アダンの海辺》《不喰芋と蘇鐵》。まさに本展の白眉といえる作品です。

もう何の悔いもない制作を成し得たという自負の表れである本作は、来島当初から構想を重ねてきたアダンという植物を題材にしています。緑から青まで多種の顔料を用いて描き分けられたアダンの濃彩。中景には繊細な線でさざ波が描かれ、雲の彼方の金色の輝きは画面全体に崇高さを与えています。
展示会場には、一村が描いた観音や羅漢の絵画の数々も展示されていますが、本作にはそんな彼が人生の最後にたどりついた宗教的な感情が表現されている、といっても過言ではないでしょう。

一村畢生の大作、ぜひ会場でご覧ください。

展覧会アンバサダー・小泉孝太郎さんも登壇!

報道内覧会と開会式では、本展のアンバサダーと音声ガイドナビゲーターを務める俳優の小泉孝太郎さんが、《不喰芋と蘇鐵》をモチーフにした世界に一着しかない大島紬の着物を着用して登場しました。

「とても不思議な田中一村さんとのご縁とかめぐり合わせを感じながら、気持ちを込めて音声ガイドを務めました」と述べる小泉孝太郎さんは、逓信大臣などを歴任した曾祖父の小泉又次郎氏(孝太郎の父・小泉純一郎元総理の祖父)が、田中一村の後援会長を務めていたという縁もあり、幼い頃から田中一村という画家のことを聞いていたそうです。

そこから約一世紀近い時を経て、小泉家に生まれた自分が田中一村展に関わることについて、「本当に驚きましたし、光栄なお仕事をいただいたと思って、気持ちを込めて声を吹き込みました」と、本展を通じて生まれた不思議な邂逅について思いをはせていました。

「子どもの頃から田中一村さんの晩年の絵は目にしていましたが、この展覧会では初期の頃の作品から見させていただきました。個人的には自分の実家にソテツの木が植えられていたので、奄美の大自然の海やパパイヤ、ソテツが描かれている絵に見入ってしまいました」

と本展を鑑賞した感想を振り返り、最後に

「絵画だけではなく、田中一村さんが残された貴重な写真や直筆のお葉書、珍しい領収書なども残っているので、田中一村さんがどういう活躍をされ、どういう人だったのかが思う存分感じられる素敵な絵画展だと思います。初期の頃は千葉県でこういうふうに暮らしていたんだなとか、ものすごく苦しい努力をされた方なんだなとか・・・多くの方に田中一村さんの魅力を感じていただきたいです」

と、笑顔で聴衆に呼びかけていました。

「最後は東京で個展を開いて、絵の決着をつけたい」と語っていた田中一村。本展「田中一村展 奄美の光 魂の絵画ーTanaka Isson: Light and Soulー」は、まさに期せずして叶った一村最後の願いといえるのかもしれません。

開催期間は2024年12月1日(日)まで。
世間の栄達から身を置き、全身全霊をかけて「描くこと」に取り組んだ一村の作品の数々をぜひ会場でご覧ください。

開催概要

会期 2024年9月19日(木)~12月1日(日)
会場 東京都美術館 企画展示室
開館時間 9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00
*入室は閉室の30分前まで
※土日・祝日および11月26日(火)~12月1日(日)のみ日時指定予約制※当日の空があれば入場可。
※11月22日(金)までの平日にご来場の場合は、日時指定予約は不要です。
休館日 月曜日、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
*ただし、9月23日(月・休)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開室
観覧料 一般  2,000円
大学生・専門学校生 1,300円
65歳以上  1,500円※高校生以下無料。
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。
※身体障害者手帳等のお手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)・高校生以下の方は、日時指定予約は不要です。直接会場入口にお越しください。
※高校生、大学生・専門学校生、65歳以上の方、各種お手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものをご提示ください。
※毎月第3 土曜日・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、 2名まで)は一般通常料金の半額(住所のわかるものをご提示ください)。日時指定予約不要、販売は東京都美術館チケットカウンターのみ。
※詳細は展覧会公式サイトチケット情報のページでご確認ください
展覧会公式サイト https://isson2024.exhn.jp/

※記事の内容は取材時のものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は展覧会公式サイト等でご確認ください。また、本記事で取り上げた作品がすでに展示終了している可能性もあります。


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【国立西洋美術館】冬の美術館を楽しもう!「美術館でクリスマス」開催

国立西洋美術館

国立西洋美術館は、さまざまな企画を通して楽しんでいただける「美術館でクリスマス」を、2024年11月26日(火)から2024年12月25日(水)まで約1カ月にわたり開催いたします。

■開催趣旨
西洋ではクリスマスはイエス・キリストの降誕を祝う日ですが、日本では四季を彩る行事の一つとして多くの人に様々なかたちで親しまれています。その楽しみの一つに、〈美術館で過ごすクリスマス〉を加えてみてはいかがでしょうか。美術館でゆっくり絵を見て過ごしたり、家族や友達とプログラムに参加したり…。「どなたでも気軽に当館にお越しいただきたい」という想いから2007年にスタートした本企画は、キリスト教を題材とする作品群が豊富な当館の冬の風物詩です。
例年、主に12月の週末に実施してきた本企画を今年は約1カ月に期間を広げて開催します。お子様連れや美術館が初めての方から常連の方々まで、それぞれのスタイルで楽しめる企画をご用意いたしますので、ぜひこの機会にお越しください。

*事前申込が必要なプログラムもあります。詳細は当館ウェブサイトをご覧ください。

■概要
①みんなのクリスマス・キャロル・コンサート 【事前申込】
クリスマスにちなんだ歌を集めたアカペラ・コンサートです。客席の照明は明るめのままにし、会場の出入りは自由にします。小さなお子様も、大人の方も、どなたでも安心してご参加いただけます。

昨年度開催の様子

演奏:岡田 愛(ソプラノ)、大澤桃佳(ソプラノ)、田口昌範(テノール)、関口直仁(バリトン)
日時:
2024年12月14日(土)15:00~15:40
2024年12月15日(日)11:00~11:40
定員:各回100名
対象:どなたでも
参加費:無料
会場:講堂(地下2階)
参加方法:要事前申込
※小さなお子様も歓迎します。お子様向けに座布団の貸し出しがあります。
※客席の照明を完全に暗くしません。
※申込者は入退出自由です。
※お席に戻りづらい場合や、一時的に席を移動したい場合などにご利用いただける「フリーエリア」があります。
※車いす席・車いす移乗席があります。
※補助犬同伴で入場できます。
※館内には授乳室・おむつ交換台・ベビーカー・車いすの貸し出しがあります。

 

②ギャラリートーク 【当日受付】
常設展に展示している作品から、キリスト教やクリスマスにちなんだ作品を数点取り上げ、当館ボランティア・スタッフが作品の見どころを解説します。

昨年度開催の様子

日時:
2024年12月14日(土)11:00~11:30 ※手話通訳付き:手話をお使いの方もそうでない方もどなたでもご参加いただけます。
2024年12月14日(土)13:00~13:30
2024年12月15日(日)11:00~11:30
2024年12月15日(日)13:00~13:30
定員:各回15名(先着順)
対象:どなたでも
参加費:無料(但し、常設展観覧券が必要です)
会場:常設展示室
受付場所:19世紀ホール(本館1階)
参加方法:当日受付(事前申込不要)

 

③ボランティアート ※手話通訳付き【当日受付】
当館ボランティア・スタッフが企画・運営する予約不要の立ち寄り制プログラムです。所蔵作品にちなんだ簡単な創作を楽しむなど、子どもから大人まで、気軽にご参加いただける企画を予定しています。テーマや詳細は、後日、当館ホームページに掲載します。
手話通訳者がいますので、手話をお使いの方も安心してご参加いただけます。

昨年度開催の様子

日時:
2024年12月14日(土)10:00~15:00
2024年12月15日(日)10:00~15:00
※各日、材料がなくなり次第、終了します。
参加費: 無料(但し、常設展観覧券が必要です)
対象:どなたでも
会場:ワークショップ室(新館2階 版画・素描室付近)
受付場所:同上
参加方法:当日受付(事前申込不要)

 

④冬季限定!音声ガイド「キュレーターズ・ボイス」

当館研究員による冬季限定の音声作品解説です。常設展で鑑賞いただける作品から、担当した展示や日頃の研究活動をベースに約10作品についてご案内します。研究員ならではの一歩踏み込んだ解説を無料でお楽しみいただけます。
インフォメーションにて2次元バーコードを読み取って音声ガイドのウェブアプリにアクセスいただきます。展示室でご利用の際は、スマートフォンとイヤホンをお持ち下さい。スクリプト付ですので文字情報もご提供しております。

 

⑤Kawasaki Free Sunday クイズラリー
毎月恒例の常設展無料観覧日Kawasaki Free Sundayでは、2024年12月8日(日)限定でクイズラリーを行います。全てのクイズに正解した方には、オリジナルグッズをプレゼントします。
※オリジナルグッズは数に限りがございますので、予めご了承下さい。

 

■クリスマス時期ならではの、常設展ミュージアムショップやレストランにもご注目!

● SHOP
当館オリジナルパッケージの雷おこしは、クリスマス時期にはリボンをかけたものをご用意しております(数量限定)。また、橋本コレクションの指輪を複製しました。指輪に刻まれた言葉は「私の真心は」(フープ外側)「すべてあなたのもの」(フープ内側)とロマンチックです。橋本コレクション「指輪」カタログと一緒にプレゼントにいかがでしょうか。

パウンドショコラ \2,400(税込)
雷おこし \864(税込)
レプリカリング(ポージーリング)9、13、15号  \15,800(税込)
橋本コレクション指輪カタログ \3,200(税込)

●CAFÉ すいれん
ローストビーフコースをはじめ、オリジナルクリスマスケーキもご用意しております。

ローストビーフコース \3,300(税込)

 

■美術館でクリスマス期間中開催の展覧会

・企画展「モネ 睡蓮のとき」
会期:2024年10月5日[土]-2025年2月11日[火・祝] 会場:企画展示室
・小企画展「オーガスタス・ジョンとその時代—松方コレクションから見た近代イギリス美術」
会期:2024年10月5日[土]-2025年2月11日[火・祝] 会場:版画素描展示室(常設展示室内)

 

国立西洋美術館について

館 名|国立西洋美術館
所在地|〒110-0007 東京都台東区上野公園 7-7
開館時間|9:30~17:30(モネ展会期中の金・土曜日は 21:00 まで)※入館は閉館の30分前まで
休 館 日|月曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(2024年12月28日~2025年1月1日)※開館時間・休館日の最新情報は国立西洋美術館公式サイトトップページ「お知らせ」をご確認ください。
常設展観覧料(税込)|一般500円、大学生250円 ※障害者手帳をお持ちの方と付き添い1名は無料 ※企画展は別料金
お 問 合 せ| 050-5541-8600(ハローダイヤル)
国立西洋美術館公式サイト| https://www.nmwa.go.jp/

 

【文化庁】プレスリリースより


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台東区パンダ橋利活用実証実験 第5弾『パンダバシピクニック2024 Autumn』

モリとマチとエキがつながるのんびり空間

株式会社JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニーは、JR上野駅入谷改札から上野のまちや上野公園を結ぶ東西自由通路「パンダ橋」において、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)と台東区が連携して開催する、地域の魅力を発信するイベント「パンダバシピクニック2024 Autumn」に参画します。

今回のテーマは「モリとマチとエキがつながるのんびり空間」。アルコールを含むドリンクやフードの提供、鉄道をテーマにしたワークショップなど大人もお子さまも一緒に楽しめるのんびり過ごせる空間を演出します。

 

パンダバシピクニック2024 Autumn イベント概要

■実施日時:
10月26日(土)・27日(日)
26日(土):12時~19時/27日(日):12時~18時
※雨天時は一部イベントのみ開催
※イベント中止の連絡は関係HPやSNSにて発表

■実施場所: JR上野駅入谷改札外 パンダ橋
■主  催: 東日本旅客鉄道株式会社(東京感動線)
■共  催: 台東区、株式会社JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー
■協  力:株式会社JR東日本スポーツ(ジェクサー フィットネス&スパ上野)、株式会社ジェイアール東日本都市開発、岩倉高等学校
■出店ショップ(運営:JR東日本クロスステーション デベロップメントカンパニー)

・noie…ナチュラルワイン、カレーパンの販売
・ひぐらし書房…近隣の本屋が集合。古書・本の販売
・CERA STORE…古着、古物、古書の販売
・TONTOKOBOY…クラフトビールの販売等
・VectorBrewing…クラフトビールの販売等
・スナックリンネ…ドリンク・フードの販売、ブローチ作りワークショップ
・グルグルジェラート…ジェラートの販売
・アサクサ車輛製作所…革切符ワークショップ、鉄道グッズ販売

 

のんびり空間を演出するショップが集合

上野恩賜公園と駅をつなぐパンダ橋で「モリとマチとエキがつながるのんびり空間」をテーマにしたショップや体験コーナーを展開します。

【出店ショップ一覧】

【noie】ナチュラルワイン、カレーパンの販売
【ひぐらし書房】近隣の本屋が集合。古書・本の販売
【CERA STORE】古着・古物・古書の販売
【TONTOKOBOY】クラフトビールの販売等
【VectorBrewing】クラフトビールの販売等
【スナックリンネ】ドリンク・フードの販売、ブローチ作りワークショップ
【グルグルジェラート】ジェラートの販売
【アサクサ車輛製作所】革切符ワークショップ、鉄道グッズ販売(10/27のみ)

 

多様なワークショップも開催

「モリとマチとエキがつながるのんびり空間」をテーマに様々なワークショップを開催!アートを楽しむもよし、鉄道の仕事に触れるのもよし、身体を動かすのもよし。それぞれの楽しみ方でのんびり過ごしてみてください。

 

■トレインシミュレータ&車内きっぷ発券体験(10/26のみ)

日時  : 10月26日(土) 12時~16時30分(30分毎に実施)
所要時間: 45分程度
講師  : JR東日本社員
参加人数:各回1名×2コース
参加費 :【通常コース】3,000円(税込)
【グレードアップコース】4,000円(税込)※E217系で使用していた本物のマスコンでの体験となります。
参加方法 : JRE MALLにて事前予約
【予約ページ】
・通常コース
https://event.jreast.co.jp/activity/detail/a002/a002-097
・グレードアップコース(E217系マスコン使用)
https://event.jreast.co.jp/activity/detail/a002/a002-98

 

■オリジナル時計作りアートワークショップ(10/27のみ)

日時   : 10月27日(日) 12時、14時、16時
所要時間 : 1時間15分程度
講師   : NiJi$uKe(土居虹亮)氏
参加人数 : 各回12名
参加費  : 4,500円(税込)
参加方法 : 体験型イベントサイト(aini)にて事前予約
【予約ページ】
https://helloaini.com/travels/49375?prcd=rdX6

 

■JEXER FITNESS CLUBのインストラクターによるフィットネス

日時 :
・ZUMBA
10月26日(土)13時
・LESMILLS BODY ATTACK
10月26日(土)14時30分
・LESMILLS DANCE
10月27日(日)13時
・LESMILLS BODY COMBAT
10月27日(日)14時30分

所要時間 : 各回1時間程度
※LESMILLS DANCEのみ45分程度
講師   : JEXER FITNESS CLUBのインストラクター
参加人数 : 各回100名まで
参加費  : 2,500円(税込)
参加方法 : 体験型イベントサイト(aini)にて事前予約
【予約ページ】
・ZUMBA
https://helloaini.com/travels/49558?prcd=rdX6
・LESMILLS BODY ATTACK
https://helloaini.com/travels/49560?prcd=rdX6
・LESMILLS DANCE
https://helloaini.com/travels/49547?prcd=rdX6
・LESMILLS BODY COMBAT
https://helloaini.com/travels/49545?prcd=rdX6

【参加特典】
①ドリンク1本プレゼント
②「ジェクサー・フィットネス&スパ上野」のスパを当日利用可能
※ジェクサー・フィットネス&スパ上野https://www.jexer.jp/fitness/ueno/

 

■コルク人形とくるくるパンダブローチ

日時   :
10月26日(土) 12時~19時
10月27日(日) 12時~18時
所要時間 : 30分
講師   : 飯嶋千尋さん
参加人数 : 各回6名
参加費  :ワークショップ 1,000円(税込)
1ドリンクセット 1,500円(税込)
参加方法 :
【予約ページ】
https://snakrinne1026-27.peatix.com/
※当日枠は先着順です。

 

■JR上野駅パンダ橋で世界に一つのかわのきっぷ®︎を作ろう(10/27のみ)

日時   : 10月27日(日) 12時、13時、14時、15時、16時
所要時間 : 20分(1枚につき)
講師   : アサクサ車輌製作所
参加人数 : 各回8枚/1日40枚上限 ※1人で3枚まで
参加費  : 1,650円(税込)、柄のきっぷ+330円(税込)
参加方法 : 予約枠(20枚)+当日枠(20枚)
【予約ページ】 https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02x0cahcz2141.html
※当日枠は先着順です。

 

その他のイベントもご紹介!

■岩倉高校ダンス部「Burst」によるダンスパフォーマンス(10/26のみ)

地元の岩倉高校ダンス部「Burst」1・2年生によるダンスパフォーマンスを実施。迫力あるダンスをお楽しみください!
日時   : 10月26日(土) 16時~17時
企画協力 : 岩倉高校
参加費  : 無料

 

JR上野駅 東西連絡通路「パンダ橋」 利活用実証実験

東日本旅客鉄道株式会社及び台東区では、上野地区まちづくりビジョンに基づき、上野の杜とまちの回遊性向上に向けた、みんなが活用したくなる新たな拠点づくりを進めています。パンダ橋では、令和4年12月より、居心地の良い空間活用を目指して、新たな過ごし方や使い方による実証実験を実施しています。安全性や快適性等の検証を重ねながら、” パンダ橋らしさ”を育んでいきます。

令和6年3月実施パンダ橋利活用実証実験第4弾「パンダバシピクニック」の様子

 

「東京感動線/TOKYO MOVING ROUND」について

〇JR東日本はグループ経営ビジョン「変革2027」において、「鉄道を起点としたサービス提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」に転換し、地域の皆さまの「心豊かな生活」の実現を目指しています。

〇移動を含めた日常生活の利便性を高めるサービスに加え、多様なまちや人の個性を引き出し、駅と駅、駅とまち、人とまち、人と人のつながりを創り出すことで、心豊かな都市生活空間を創造していきます。

〇その一環として「東京感動線」はアートの取組みを手掛け、いつもの駅で、気軽にアートを愉しむ機会を提供しています。様々なキュレーターとともに“アートとつながる日常”をテーマに、エキナカ施等の一角にアートを展示し気軽にアートと触れ合える機会を提供するギャラリーを展開しています。

「東京感動線」 公式ウェブサイト・SNSアカウント
公式ウェブサイト https://www.jreast.co.jp/tokyomovinground/
X    https://twitter.com/tokyo_moving_o/
Instagram  https://www.instagram.com/tokyomovinground/
Facebook   https://www.facebook.com/tokyo.moving.round.jp/
ハッシュタグ #東京感動線 #TokyoMovingRound

 

※画像はイメージです。
※状況により内容が変更になる場合があります。
※価格はすべて税込です。

【JR-Cross】プレスリリースより

 

記事提供:ココシル上野


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上野・不忍池 映像アートインスタレーション×ライブ×食『Peace of Light(ピースオブライト)』10/26(土)10/27(日)開催

参加アーティスト:中山晃子(Akiko Nakayama)、澤渡英一(Eiichi Sawado) 他
J-WAVEのイベント「INSPIRE TOKYO」がプロデュースする、フードコートは10/25(金)から開催

一般社団法人上野観光連盟は都会のオアシス上野公園「不忍池」周辺にて、光のアート「Peace of Light(ピースオブライト)」を開催いたします。

不忍池畔のアートインスタレーション(10/26土曜、10/27日曜)と水上音楽堂野外ステージのライブパフォーマンス(10/26土曜)は、画家の中山晃子氏、音楽は澤渡英一氏が担当します。
10/25(金)から先行して開催する飲食エリアは、今回ラジオ局のJ-WAVE(81.3FM)が主催するイベント「INSPIRE TOKYO」がプロデュース。熱々ホットドッグやハンバーガー、ベトナム料理にパレスチナ料理、韓国料理など多国籍なフード、クラフトビール、淹れたてコーヒーにスイーツまで、バラエティ豊かなこだわりの美味しいフード&ドリンクが集います。 この秋は、上野公園不忍池のほとりでアートインスタレーション&音楽と食を是非満喫してください。

【開催日時・場所】
「Peace of Light(ピースオブライト)」

 

・アートインスタレーション 中山晃子と澤渡英一による、新作映像「融解の水景」
開催場所:上野公園不忍池(蓮見デッキ前)
2024年10月26日(土)10月27日(日)12:00~22:00開催(入場無料)

 

・ライブパフォーマンス
中山晃子の色彩と流動の持つエネルギーを用い、絶えず変容していく「Alive Painting」と
澤渡英一が奏でる音楽が融合!

※イメージ                                     

開催場所:上野公園 水上音楽堂野外ステージ
2023年10月26日(土)のみ開催 17:00開場 17:30開演~20:00終演予定
※前売券(500円税込)はローソンチケットで一般発売中 https://l-tike.com/search/?keyword=70391
※当日券(500円税込)
※入場者には、特典としてサイリウムリストバンドを配布(終演後リストバンドを上野商店街の参加店舗で提示するとで10/26(土)限定で特典が受けられます。)
※入場料収益は日本赤十字社を通じてウクライナ人道危機救援金に寄付されます。
出演予定アーティスト:中山晃子、澤渡英一、style-3!(スタイルスリー)、Aoi MichellE(アオイ ミシェル)

 

■中山 晃子(Akiko Nakayama) プロフィール

液体から固体までさまざまな材料を相互に反応させて絵を描く「Alive Painting」というパフォーマンスを行う。
あらゆる現象や現れる色彩を、生物や関係性のメタファーとして作品の中に生き生きと描く。
様々なメディウムや色彩が渾然となり変化していく作品は、即興的な詩のようでもある。
近年では Ars Electronica festival(オーストリア リンツ)、MUTEK モントリオール、Tokyo 2020 オリンピック閉会式、大河ドラマ「光る君へ」オープニング映像等を手がける。
https://www.akikopainting.com

 

・「INSPIRE TOKYO」プロデュース飲食エリア(入場無料) 
 開催場所:上野公園不忍池(蓮見デッキ前)
2024年10月25日(金)10月26日(土)10月27日(日)12:00~21:00開催

※全て雨天決行、荒天中止

その他、10/26(土)水上音楽堂野外ステージ開催のライブパフォーマンスチケットがもらえるデジタルスタンプラリーも同時開催!
詳しくは公式サイトをcheck!

 

■主催:一般社団法人上野観光連盟 後援:台東区、J-WAVE
※詳しくは、Peace of Light 公式WEBサイトをご覧ください。
URL:https://ueno.or.jp/peaceoflight/

 

【株式会社第一通信社】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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藝大アートプラザ企画展「Beautiful Foolishness~遊びをせんとや生まれけむ」開催! 10月26日(土) より

2024年10月26日(土)- 12月8日(日)上野・藝大アートプラザにて開催(入場無料)

小学館と東京藝術大学の協働事業である、東京藝術大学美術学部構内(台東区・上野)のギャラリー「藝大アートプラザ(https://artplaza.geidai.ac.jp/ )」にて、2024年10月26日(土)より企画展「Beautiful Foolishness~遊びをせんとや生まれけむ」を開催。本展では約10名の藝大関連アーティストによる作品を展示販売します。入場は無料、原則撮影OK。お子様連れも歓迎です。

***********************************
企画展開催告知ページ
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/25475/
***********************************

2024年10月26日(土)開催 企画展「Beautiful Foolishness~遊びをせんとや生まれけむ」

東京藝術大学美術学部の前身である東京美術学校の校長を務めた岡倉天心は著書「The Book of Tea(茶の本)」の第一章をこんな言葉で終えています。

”Let us dream of evanescence, and linger in the beautiful foolishness of things”
(しばしの間はかなさを夢見ようではないか。そして物事の美しい愚かさに身をゆだねようではないか)

”foolishness”という言葉は通常否定的な意味でしか使われません。その言葉を”beautifull”と形容することによって、天心は功利的には役に立たないことやものに、あるいは、社会の文脈や関係性から解き放たれた一見無価値な存在に対して、最大の賛辞を送っているように見えます。

また、日本におけるポップの帝王ともいえる後白河法皇が編んだ「梁塵秘抄」には「遊びをせんとや生まれけむ戯れせんとや生まれけん」というその後の文学作品に大きな影響を与えた一節が収録されています。

今回藝大アートプラザは「美しき愚かさ」「遊びをせんとや生まれけむ」という二つの言葉に注目しました。もしかしてそんな存在のアートがあってもいいのでは?と思うからです。

藝大アーティストが織りなす「美しくて愚かな」そして「遊びをするために生まれた」作品の数々にしばしの間身をゆだねてください。

 

■ 企画展概要
企画展名:企画展「Beautiful Foolishness~遊びをせんとや生まれけむ」
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
会期:2024年10月26日(土)〜12月8日(日)
入場料:無料
営業時間:10:00-18:00
定休日:月曜
※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

■ 出展予定作家一覧
浅野井春奈 / 今井完眞 / 尾形凌 / 加藤健一 / 倉敷安耶 / 真田 将太朗 / 須田日菜子 / 松尾 ほなみ / 林樹里 / 林 奈緒子

 

藝大アートプラザとは

トップアーティストを数多く輩出する、東京藝術大学(以下、藝大)の教職員、学生、卒業生の作品を展示販売するギャラリー「藝大アートプラザ」。藝大上野キャンパス構内において、一般の方々が、年間を通して自由に入場・見学することができる、貴重な場所のひとつです。小学館と藝大の協働事業として、2018年から運営をスタートしました。

現在は、1,2カ月ごとに異なるテーマの展示を開催。企画展には毎回10〜50名のアーティストが参加し、油画、日本画、彫刻、工芸、デザイン等、藝大ならではの多様な技法とアプローチで表現された作品が、一堂に会します。

2024年8-10月開催の企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展〜藝大の星〜」展示風景
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/25284/

店舗内には、器やアクセサリーなど生活に寄り添うアートを中心とした常設作品コーナー「LIFE WITH ART」、企画展と連動した書棚も設置。店舗の営業時間中は、屋外のキッチンカー「NoM cafe」のカフェドリンクで、一息つくこともできます。

藝大アートプラザは、入場無料。写真撮影やSNSでのシェアも原則大歓迎です。アートファンのみならず、どなたさまでも、気軽にアートに触れられる場所を目指しています。

常設コーナー「LIFE WITH ART」展示風景

 

藝大アートプラザ基本情報

■ アクセス
最寄駅:JR上野駅(公園口)、鶯谷駅 下車徒歩約10分
東京メトロ千代田線・根津駅 下車徒歩約10分
東京メトロ日比谷線・上野駅 下車徒歩約15分
京成電鉄 京成上野駅 下車徒歩約15分
都営バス上26系統(亀戸〜上野公園)谷中バス停 下車徒歩約3分
※駐車場はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください


■ 公式SNSアカウント

Instagram:
https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
X:
https://x.com/artplaza_geidai
Podcast(Spotify):
https://open.spotify.com/show/2FlkumYv9ScWy69UlBtqWy
Threads:
https://www.threads.net/@geidai_art_plaza

 

■ 2024年の展示

2024年1-3月
「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/22308/

2024年3-5月
「藝大動物園 Welcome to the art zoo!」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/22560/

2024年6-7月
「The Art of Tea」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/23855/

2024年8-10月
「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展〜藝大の星〜」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/25284/

 

■ お問合せ
よくあるご質問はこちら
https://artplaza.geidai.ac.jp/qa/

 

【株式会社小学館】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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