上野駅PLATFORM13にて「上野発の名列車」をアート作品として放映します

○東日本旅客鉄道株式会社は、『Beyond Stations構想』のモデル駅である上野駅において、2024年8月1日に「PLATFORM13」を全体開業しました。

○上野駅は文化創造HUBをコンセプトに掲げ、様々な文化を発信しており、その取り組みの一環として、PLATFORM13にて、鉄道×アートコンテンツ「上野発の名列車」を8月30日から放映します。上野駅の歴史を彩ってきた名列車とデジタルグラフィック・書道アートと掛け合わせ、「鉄道」と「書道」という日本が世界に誇る文化をPLATFORM13のダイナミックな映像空間を通して体感いただけます。

○また鉄道グラフィックをモチーフに、生成AIによる鉄道画像と融合したQRコードを駅ホーム空間にプロジェクター投影する実証実験を、エプソン販売株式会社・株式会社Flybyと共に実施します。

 

1.鉄道×アートコンテンツ「上野駅発の名列車」の放映について
上野駅の長い歴史の中で、時代ごとの鉄道文化や物語を彩ってきた8つの名列車と、デジタルグラフィックという手法、書道という人の感性・リアルな手が生み出すアートを掛け合わせることで、新機軸の鉄道文化発信コンテンツとして展開いたします。
上野駅の歴史をたどるとともに、名列車の活躍した往年の姿を100mの壁面に投影し、現実に列車が進入・進出するかのようなダイナミックな演出と書道家が書き下ろした列車愛称の迫力ある書道アートが掛け合わさることで、懐かしさも感じさせる壮大なアートを体感いただけます。

(1)放映場所:上野駅 13番線 PLATFORM13
(2)放映期間:2024年8月30日(金)~2024年10月14日(月・祝)
(3)放映時間:8:00~21:30※
(4)登場列車:特急とき 特急あさま 寝台特急はくつる 特急ひたち
     寝台特急あけぼの 寝台特急北斗星 寝台特急カシオペア E5系新幹線はやぶさ

(※)・下記時間帯は放映を停止しております。
9月30日以降の月曜日4:00~11:30/木曜日16:00~19:00/土曜日4:00~11:30/日曜日16:00~19:00
・輸送障害時など、都合により13番線ホームへの立ち入りを規制する場合や事前の告知なく放映を停止する場合がございます。

 

〈放映イメージ〉

 

〈書道アートについて〉
スポーツ・音楽・ゲーム・ファッションなど様々なカルチャーシーンとのコラボレーション実績を持ち、ルーブル美術館での書道パフォーマンスや柔道グランドスラム大阪2019の題字揮毫など、国際的に活躍する書道家の真澪(SHIN-REI)氏を起用することで、「文化創造HUB」としての上野駅が世界に向けて文化価値発信を行う映像コンテンツにふさわしい書道アートを制作しました。

真澪氏

 

2.生成AIによる鉄道画像と融合したQRコード投影の実証実験について
鉄道×アートコンテンツ「上野駅の名列車」の放映とあわせて、エプソン販売株式会社・株式会社Flybyの協力のもと、プロジェクターの投影映像を活用した新技術の実証実験をPLATFORM13で行います。
生成AIによる、鉄道グラフィック画像と融合したQRコードが駅ホーム空間にプロジェクター投影されます。スマートフォンのカメラからこのQRコードを読み込むことで、JRE MALLサイトの8つの名列車のグッズ特集ページへとアクセスすることができます。

QRコード(イメージ)

 

【参考】真澪(SHIN-REI)氏
書道家 真澪
7歳から書道を始める。読売書法展や日本書芸院展などで数々の賞を受賞。書道パフォーマンスに関しては、日本のみならず、フランス・ルーヴル美術館での書道パフォーマンスなどヨーロッパ、アメリカ、アジアでのパフォーマンス、ワークショップ、個展等グローバルに活動している。世界初となった、書道家 真澪 × ウォーターライトグラフィティのコラボレーションを実施するなど書の新たな可能性や分野の開拓も積極的に行っている。

【参考】『Beyond Stations構想』が目指す姿
ヒトの生活における「豊かさ」を起点として、リアルの交流拠点である駅の強みを活かしながら駅空間の配置と機能を変革するとともに、JRE POINT生活圏の拡充を通じ、駅を「交通の拠点」から「暮らしのプラットフォーム」へと転換します。
モデル駅の上野駅では、今後もリアルとオンラインの融合サービスを拡大し、私たちだからこそ提供できる「心豊かな生活」を実現してまいります。

【参考】2024年7月29日プレスリリース 上野駅「PLATFORM13」が全体開業します
URL:https://www.jreast.co.jp/press/2024/20240729_ho03.pdf

 

【東日本旅客鉄道株式会社】プレスリリースより

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企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展〜藝大の星〜」開催

2024年8月17日(土) ~ 10月20日(日) 上野・藝大アートプラザにて開催(入場無料)

小学館と東京藝術大学の協働事業である、東京藝術大学美術学部構内(台東区・上野)のギャラリー「藝大アートプラザ(https://artplaza.geidai.ac.jp/ )」にて、2024年8月17日(土)より企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展〜藝大の星〜」を開催。本展では約30名の藝大関連アーティストによる作品を展示販売します。入場は無料、原則撮影OK。お子様連れも歓迎です。

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企画展開催告知ページ
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/24936/
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2024年8月17日(土)開催 企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展」

藝大アートプラザ大賞は約20年続く、藝大の学生を対象とした年に1回のアートコンペです。本年からは藝大アートプラザ・アートアワードと名称を変え、「小学館賞」「JR東日本賞」を新設するとともに、デジタルアート部門を創設するなど新たな展開を迎えました。

これまでの美術部門受賞者の新作が一堂に会する「アートアワード受賞者招待展」を今年も開催いたします。これからの活躍が楽しみな現役の藝大生のものから、アーティストとして注目を浴びる卒業生の作品まで、幅広い年代・ジャンルがそろいます。それぞれのアーティストの「現在(いま)」を感じられる展覧会をぜひお楽しみください。

■ 企画展概要
企画展名:「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展〜藝大の星〜」
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
会期:2024年8月17日(土)〜10月20日(日)
前期:2024年8月17日(土)〜9月15日(日)
後期:2024年9月21日(土)〜10月20日(日)
※9月16日(月)〜9月20日(金)は展示替えのため休業
入場料:無料
営業時間:10:00-18:00
定休日:月曜

※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください

■ 出展予定作家一覧

前期
石田 菜々子/大野 直志/河崎 海斗/小林 真理子/鹿間 麻衣/鈴木 初音/先﨑 了輔/東條 明子/中村 弘峰/前田 恭兵/間瀨 春日/本村 綾

後期
大島 利佳/小倉 慎太郎/加藤 萌/齋藤 愛未/杉本 ひなた/地村 洋平/野村 絵梨/堀口 晴名/水代 達史/満田 晴穂/安河内 裕也/RO KIKO

 


藝大アートプラザとは

トップアーティストを数多く輩出する、東京藝術大学(以下、藝大)の教職員、学生、卒業生の作品を展示販売するギャラリー「藝大アートプラザ」。藝大上野キャンパス構内において、一般の方々が、年間を通して自由に入場・見学することができる、貴重な場所のひとつです。小学館と藝大の協働事業として、2018年から運営をスタートしました。

現在は、1,2カ月ごとに異なるテーマの展示を開催。企画展には毎回10〜50名のアーティストが参加し、油画、日本画、彫刻、工芸、デザイン等、藝大ならではの多様な技法とアプローチで表現された作品が、一堂に会します。

▼2024年6-7月開催の企画展「The Art of Tea」展示風景
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/24666/

店舗内には、器やアクセサリーなど生活に寄り添うアートを中心とした常設作品コーナー「LIFE WITH ART」、企画展と連動した書棚も設置。店舗の営業時間中は、屋外のキッチンカー「NoM cafe」のカフェドリンクで、一息つくこともできます。

藝大アートプラザは、入場無料。写真撮影やSNSでのシェアも原則大歓迎です。アートファンのみならず、どなたさまでも、気軽にアートに触れられる場所を目指しています。

常設コーナー「LIFE WITH ART」展示風景

 

藝大アートプラザ基本情報

■ アクセス
最寄駅:JR上野駅(公園口)、鶯谷駅 下車徒歩約10分
東京メトロ千代田線・根津駅 下車徒歩約10分
東京メトロ日比谷線・上野駅 下車徒歩約15分
京成電鉄 京成上野駅 下車徒歩約15分
都営バス上26系統(亀戸〜上野公園)谷中バス停 下車徒歩約3分
※駐車場はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください

■ 公式SNSアカウント
Instagram:https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
X:https://twitter.com/artplaza_geidai
Podcast(Spotify):https://open.spotify.com/show/2FlkumYv9ScWy69UlBtqWy
Threads:https://www.threads.net/@geidai_art_plaza

■ 2024年の展示
2024年1-3月「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/22308/
2024年3-5月「藝大動物園 Welcome to the art zoo!」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/22560/
2024年6-7月「The Art of Tea」
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/23855/

■ お問合せ
 よくあるご質問はこちら
https://artplaza.geidai.ac.jp/qa/

 

【株式会社小学館】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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東京都美術館「大地に耳をすます 気配と手ざわり」開幕レポート

東京都美術館
東京都美術館「大地に耳をすます 気配と手ざわり」報道内覧会

東京都美術館より、2024年7月20日(土)に開幕した企画展「大地に耳をすます 気配と手ざわり」のレポートが届きましたのでご紹介します。


東京都美術館の企画展、「大地に耳をすます 気配と手ざわり」が7月20日(土)に開幕した。自然と深く関わり、制作をつづける5人の現代作家が、人間中心の生活のなかでは聞こえにくくなっている大地の息づかいを伝えてくれる展覧会だ。7月19日(金)にはプレス内覧会が行われ、報道陣に公開された。本展を担当した大橋菜都子学芸員と参加作家による展示解説をレポートする。

■大地に耳をすます気配と手ざわり
■2024年7月20日(土)~10月9日(水)

「大地に耳をすます 気配と手ざわり」会場
本展を担当した大橋菜都子学芸員

本展を担当した大橋菜都子学芸員は、企画の背景として、「東日本大震災や新型コロナの感染症拡大など、大都市で暮らす便利さとともにその脆弱性を感じることがここ十数年の間に多くあった」という。「都市のもろさを実感したことにくわえ、自然がやや遠く感じ、季節の移ろいだけでなく、自然のあり様や変化を感じ取る力が少しずつ弱まっていっている感覚に気づいたことが大きなきっかけとなり、そのような個人的な思いから、調査を進め」、大都会から離れて自然の中で感覚を研ぎ澄ませ作品を制作している作家らが参加する展覧会となった。

参加作家は、自然と深く関わり制作をづつける川村喜一、ふるさかはるか、ミロコマチコ、倉科光子、榎本裕一の5人。

本展出品作家 川村喜一
展示会場(ギャラリーC)

入り口のエスカレーターを降りてすぐの展示会場(ギャラリーC)に入ると、天井が高く、開放感のある空間に川村喜一の写真作品が並ぶインスタレーションがある。東京で生まれ育った川村(1990年生まれ)は、2017年、北海道知床半島に移住して作家活動を続けている。

「世界自然遺産としても知られる場所。ヒグマやシャチ、ときには鯨もやってくるという、自然が豊かであると同時にとても厳しい環境で生活しています。いわゆるネイチャーフォトというようなかぎかっこのついた『自然』というよりは、そこに生きている生活者として、肌感覚で風土というものを感じながら表現をしていきたいという思いをもって制作しています」と語る。移り住んで、2年目の秋に狩猟の免許をとり、山に入って狩猟も行う。自然のこと、動物のことをより深く知りたいという思いから始めたものの、最初は自分が森に受け入れられていないような感覚があったり、動物に出会うことも難しかったそう。地形やその土地に暮らす生物の生態をわかっていなければ、その場を歩くことも獲物にたどり着くこともできない。

「都会の暮らしでは感じられない、わからないことに問題意識があって知床で暮らしていますけれど、狩猟をとおして生態系を外側からみるというより、その中に入って、いきものの一員として、精神性、行為としてのプロセスと写真の表現を結び付けられたらいいなと思って制作をしています」(川村)

布地に印刷された写真には、家族の一員であるアイヌ犬のウパシとの暮らし、知床の風景など川村の日常がとらえられている。北海道産の木製のフレームに額装されたそれら写真は、アウトドアキャンプ用のロープで吊り下げられ展示空間を構成している。環境に配慮し、美術館の建築に敬意を払い、作品展示のために新たに壁を立てることはしていなかった。作品同士が空間に心地よく配置されている様子は鑑賞者の目にも新鮮だろう。この木製の額縁は折り畳み可能。すべて作家自身が車に詰め込んで会場まで運び、展示されている。展覧会終了後は、また折り畳み、知床まで戻るそうだ。これも生活と制作、展示の連続性を大事にする川村のいう行為としてのプロセスなのだろう。

本展出品作家 ふるさかはるか
展示会場(ギャラリーC)

木版画家のふるさかはるかは、大阪府生まれ。フィンランド、ノルウェーなど北欧での滞在制作を経て、2017年からは青森で自然とともに生きる人々に取材を重ねながら制作している。本展では3つのテーマで作品を展示している。北欧の遊牧民サーミの手仕事にひかれて作られた版画のシリーズ〈トナカイ山のドゥオッジ〉、青森、南津軽の山間地域に取材を重ねて作られた〈ソマの舟〉、〈ことづての声〉だ。

ふるさかは、木版画の木を自身が自然とかかわる手段ととらえている。そう考えるようになったのは、2003年、初めてサーミの村で滞在制作をしたことが大きく影響しているという。それ以降、彼らとメール等でコミュニケーションをとりながら、厳しい自然とともにある暮らしがどういうものかを徐々に知ることになった。

《トナカイの毛皮》は、マイナス40℃にもなる地域で古くからトナカイの毛皮を身にまとうことで生き延びてきたサーミの人たちに想を得て描いたもの。彼らはトナカイを捕えると、毛皮のほか、骨も腱も、そのすべてを自分たちが生きることに使う。ふるさかにとって木版画は、サーミにとってのトナカイのようだ。木版画をつくることで、彼らとトナカイのような生き方をしたいと思うようになり、無垢の木の姿や木目を生かし、拾ってきた土を絵具にして制作するようになった。そこから始まったのが〈トナカイ山のドゥオッジ〉シリーズだ。

《織り》は、森の中の木に縦糸をくくりつけ、張りを調整しながら、自然の中で手仕事をしてしまう身軽さ、またその中にいることの心地よさも感じている人たち。「自然の中でどうふるまうか、彼らの言葉を記録して作品を制作してきました」と話す。

2017年からは日本に目を向け、厳しい冬とともに生きてきた人たちに取材しようと、青森に足を運ぶようになった。本展では、会場の天井高に合わせた大型の木版画を制作した。漆林で版木となる木材の伐採から立ち合い、青森の漆の樹液と自ら育てた藍で刷った新作である。会場には、木版画だけでなくこの版木も展示されており、青森の木立のような展示空間がつくられている。また、絵具としてふるさかが用いる、漆の樹液、藍、土など自然の素材も展示されている。《線を作る器》では、青森のヒバに、青森で採集された泥が薄く入っている。乾くと、少しずつヒビが入ることで線が作られるインスタレーションで、会期が進むにつれ変化する様子も観察できるだろう。

また、ふるさかの自然と呼応しながら制作する様子を記録した映像を上映している。夏の藍の刈り取り、冬の木材の伐採、土の採集、彫りと刷りの場面まで、木版画ができるまでに、ふるさかがいかに自然と関わっているのかということとともに、その素材を育てることから始める制作に途方もない手間と時間がかかっていることを知ることができる。この映像の撮影は、本展の参加作家である川村喜一が行っている。

本展出品作家 ミロコマチコ
展示会場(ギャラリーA)

ひとつ下の階(ギャラリーA)の吹き抜け展示室にはミロコマチコの勢いのある作品世界が広がる。大阪府生まれのミロコマチコは、11年にわたる東京での活動を経て、2019年奄美大島に移住した。展示空間の中央には《島》がつくられ、その周りには奄美大島で制作された作品が多く展示されている。

奄美大島の人たちは自然に合わせて暮らしているため、自然を感じ取る力が強いと話すミロコマチコ。

「自然を感じ取る力が、私には全然ないのだと気づきました。それを身に着けていく上で、とても大切なのではないかと思って、日々、どういった動きがあるのか、変化があるのかをながめているのですけれど、島の自然はとってもざわめきが激しくて。その動きはいきもののようで、それを目に見えないいきものとしてとらえて、制作しています」(ミロコ)。

《島》をかたちづくる壁の内側の絵は、この場で4日間かけて描かれた。外側は2023年に刊行された絵本『みえないりゅう』の原画が取り囲む。

「ぜひ、この『みえないりゅう』の物語を感じてから、中にはいってほしいです。すべてのことは影響しあっていて、風が吹けば波がたって、小さな波が、しぶきとなって打ち寄せるように、そのつながりみたいなものを意識しながら、初めからこうしようというのがあったわけではなく、即興的に制作していきました。わたしが島で見ている世界をここに表現したので、たくさんの自然がざわめいている気配を感じてくれたらうれしいなと思っています」(ミロコ)

《島》の床は泥染めがなされている。奄美大島に移住して約5年、大地のエネルギーをもらえるような島の自然の素材は、ミロコが表現したいことに合うことがわかってきたそうだ。
奄美大島の森で《光のざわめき》を描いたライブペインティングの映像《うみまとう》も会場の一角に設けられた小屋の中で見ることができる。

「屋外で描いていたら、風の動きや光の移り変わり、たくさんのエネルギーなどを受け取って瞬発的に出していきます。そして、それらで形作られていくものがいきもののように、見えてくる。それがいきものとして形作られていくっていうことなんですけれど、周りの環境から受け取るものを自分のからだに刻むように描く、それがわたしにとってだいじなんだなあと感じています」(ミロコ)。

奄美大島の人たちにとって、山や森は神様がいる神聖な場所。むやみに入るのではなく、「入り口におじゃまさせていただきました。森は根っこや石がゴロゴロしていて、身動きが取りづらく、描きたいものが溢れてくるけど、描けない葛藤のような絵が現れたんじゃないかなと。制作時に着ていた服は解体して、カンヴァスにしたり、ほかの作品に使ったりしてつながっています」(ミロコ)

映像の小屋の外側の壁面も奄美に多く自生するヒカゲヘゴという植物の染料が塗られている。

本展出品作家 倉科光子
展示会場 (ギャラリーB)

ギャラリーBで作品を展示している倉科光子は、青森県生まれで現在は東京都在住。2001年から植物画を始めた。

東日本大震災(2011年)の津波により変化があった植物の生育環境を観察し、2013年から定期的に現地に足を運び、植生を水彩画で描き続けている。本展では、被災地に行けなかった時期に描いた関東圏の植物画2点と、岩手県、福島県、宮城県で取材して描いた15点が展示されている。

作品のタイトルとなっている数字は、いずれも描いた植物があった緯度と経度。「その場所が実際にあるということを示唆すると同時に、その時だけ見えた光景を描き出したい」(倉科)という思いによるもので、とても重要なことなのだという。「tsunami plants(ツナミプランツ)」と名付けたそれら植物のひとつひとつを丁寧に観察し詳細に描くことで、「その植物の種子は津波によって運ばれたのか、土の攪拌により芽吹いたのか、あるいは復興工事のなかで重機によって運ばれたのか、その場所に起きたこと、植物がそこに根付いた理由を探る」と倉科。

制作中の作品も展示されている。本展での展示にあたり、倉科が制作に力をいれた白藤だ。一般的に知られている藤は、ツルが上に向かって伸び、藤棚に絡みつき、花は垂れ下がる。ところがこれはツルが地面を這い、葉をつけ白い花を咲かせている。2016年にこの地を這う白藤の写真を見る機会を得た倉科は、どうしてもこれを描きたいと思い、現地を取材し、昨年から描き始めた。地面で白い花を咲かせることはまれだという。咲かせたいというよほどのエネルギーがあるのだろうと倉科。作品の途中経過を見ることができるのも貴重な機会である。

榎本裕一 展示会場 (ギャラリーB)
榎本裕一 展示会場 (ギャラリーB)

榎本裕一(1974年生まれ)は東京で生まれ育ち、2018年から北海道根室、今年から新潟県糸魚川にもアトリエを構え、3拠点で制作を行っている。
本展では根室の風景をモチーフにした油彩とアルミニウムパネルを氷に見立てた新作の《結氷》を展示している。

《沼と木立》は、遠くからみると、白黒の抽象画のようだが、近くで目を凝らしてみると、黒い画面の中に木立が見えてくる。

「誰もいない、誰も来ない深い森の中で突然現れた風景に驚き、喜びと、恐怖も感じたことを覚えています」という榎本の言葉を大橋学芸員が伝え、積もった白い雪––榎本が出会った自然をみずみずしい感性でとらえた作品であると紹介した。白黒にシンプルに削られた作品だからこと、見る人が自分の記憶と結び付け自由に想像を広げる余白をもっている。

一方、アルミニウムパネルに表現している10点の新作、《結氷》には、海からの強い風によって雪が生み出す表情がとらえられている。

「氷の上を歩くような経験は(一般的には)ないにしても、この作品がたくさん並ぶことで、氷に囲まれるような空間になっている」と大橋学芸員。10点が並ぶことで、冬の根室でこうした自然の織りなす美しい造形が無数に生み出されていることを想像させてくれる。ちなみに、最後に展示されている小さな作品には、雪上に動物の足跡が見える。一見すると、静かでモノクロームの世界だが、榎本が根室で感じたいきものの気配や生命の煌めきが表されている。

 

会場の最後には、春を表す作品が展示されている。北海道に分布する多年草で、4月から5月に花をつけるエゾエンゴサクをモチーフにした器型の作品だ。展示の最後にと榎本が制作した新作である。

その隣では榎本が作品制作の資料として撮影した写真のスライドショーが流れ、根室の春から四季の移ろいを見ることができる。榎本が、東京とまったく異なる景色を見せる根室に魅了された瑞々しい感覚を存分に伝えるだけでなく、氷った湖上の風景やエゾエンゴサクの花など、展示されている作品と関連が強い写真も含まれているのも興味深い。

5人の現代作家による写真、木版画、油彩画、水彩画、インスタレーションなど、多様な作品が展示される空間を行ったり来たりしながら、日ごろ忘れがちな本来人間が持っている自然とかかわる感覚を呼び起こすきっかけになるだろう。

なお、本展の図録には奄美大島で染められた泥染めの布がついている。
参加作家のひとり、ミロコマチコが作品制作に使っている泥染めと同じ工房によるものだ。

東京都美術館「大地に耳をすます 気配と手ざわり」報道内覧会

撮影・鈴木渉


展覧会開催概要
●展覧会名 大地に耳をすます 気配と手ざわり
The Whispering Land: Artists in Correspondence with Nature
●会期 2024年7月20日(土)~10月9日(水)
●会場 東京都美術館 ギャラリーA・B・C
●休室日 月曜日、9月17日(火)、9月24日(火)※8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・休)は開室
●開室時間 9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00 *入室は閉室の30分前まで
●観覧料 一般 1,100円、大学生・専門学校生 700円、 65歳以上 800円、高校生以下無料
※[サマーナイトミュージアム割引]など割引に関するの詳細は展覧会公式サイトをご覧ください。
●主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
●特別協力 株式会社ツガワ
●協力 合同会社 北暦、株式会社ミシマ社、Gallery Camellia、青森公立大学 国際芸術センター青森
●問合せ先 東京都美術館 03-3823-6921
イベントなどの最新情報は展覧会公式サイトをご覧ください
https://www.tobikan.jp/daichinimimi

 

記事提供:ココシル上野


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新進気鋭作家によるアート作品 2024年8月特別展示アーティスト関根 洋子氏の作品5点を期間限定で展示

「ランデヴー・Ⅰ」「ランデヴー・Ⅱ」(2022年)

ツーリストホテル『ホテルリソル上野』リビングロビー内アートギャラリー「Resol Gallery Ueno」(会期:2024年8月1日(木)~8月31日(土) 入場無料)

リソル株式会社が運営する「リソルホテルズ」ブランドのツーリストホテル『ホテルリソル上野』では、リビングロビー内アートギャラリー「Resol Gallery Ueno」にて、アーティスト 関根 洋子氏による作品5点の特設展示を2024年8月1日(木)~8月31日(土)の期間実施します。

『ホテルリソル上野』では、アートと下町が調和する「上野」という地域に根ざしたホテルづくりの一環として、リビングロビー内アートギャラリー「Resol Gallery Ueno」を、未来の文化を発信する新進気鋭のアーティストと、旅するお客さまとの出会いを創出する場として活用する取り組みを、本年2月よりスタートいたしました。以来、新進気鋭のアーティストの方々の感性・作品に触れる場として、宿泊者のみならず一般の方にもお楽しみいただいています。

第四弾のアーティストとなる関根洋子(せきね ひろこ)氏は、東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、1988年東京都美術館の国展出品や、2007年国画会 準会員推挙、2012年国画会 会員推挙などの経験を重ね、現在は銀座ギャラリーあづまなどを中心に個展を開催されています。また、昨年2023年は夫・小川浩司氏と「FU-FU展」を開催しており、現在は横浜清風高等学校にて講師として精力的に活躍されております。

今回展示する作品は、2枚で1枚の絵になる「ランデヴー・Ⅰ」「ランデヴー・Ⅱ」(2022)や、「夏・花束」(2023)、「花・椿」(2023)、「朱・紫陽花」(2023)など、色鮮やかなお花が印象的な作品となっております。

「リソルホテルズ」では、今後もすべての旅人(ツーリスト)たちのニーズに徹底的に応えるホテル運営を通じて、かけがえのない旅の「物語」を紡いでまいります。

 

開催概要|
会 期:2024年8月1日(木)~8月31日(土)
アーティスト:関根洋子氏
入場料:無料  ※宿泊者以外の方も気軽に立ち寄っていただけます。
開館時間:【ご宿泊者様】24時間見学いただけます。 / 【ご宿泊者以外の方】:10時~20時

 

展示作品:

「ランデヴー・Ⅰ」(左)
「ランデヴー・Ⅱ」(右)
(2022 油彩・パネル綿布 変形1260×297)
連作。顔を合わせても何処となく目線が合わないの
でもね、気持ちはわかっているの

「夏・花束」
(2023 油彩・パネル綿布F4)
夏の花束を持つ少女

「花・椿」
(2023 油彩・パネル綿布 F3)
和のモチーフの中に白椿を生ける

朱・紫陽花」
(2023 油彩・パネル綿布 F3)
朱の背景に対照的な青の紫陽花

プロフィール:関根洋子(せきね ひろこ)- Hiroko Sekine  –
1986  東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業
1988  東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了
1988  国展出品(東京都美術館 東京上野)
2007  国画会 準会員推挙
2012  国画会 会員推挙

個展
1988  個展(ギャラリー檜 東京銀座)
1990  個展(銀座スルガ台画廊 東京銀座)
1992  個展(銀座スルガ台画廊 東京銀座)
2010  個展(ACギャラリー)
2018  個展(銀座ギャラリーあづま 東京銀座)
2021  個展(銀座ギャラリーあづま 東京銀座)

グループ展
2011  美珠彩の会(一畑百貨店 松江)
    国画女流展(銀座スルガ台画廊 東京銀座)  以後2023まで出品
2013  国画会新会員展(銀座井上画廊 東京銀座)
2019  小川浩司 関根洋子 二人展(ギャラリーピクトル 神奈川鎌倉)
2020  HOPE展 (ギャラリーピクトル 神奈川鎌倉)
2021    アミューザン展  以後2025まで出品予定 (銀座ギャラリー向日葵 東京銀座)
2023    FUーFU展 小川浩司×関根洋子 (銀座ギャラリーあづま 東京銀座)
現在  国画会会員    横浜清風高等学校 講師

 

「Resol Gallery Ueno」について|
『ホテルリソル上野』のリビングロビー内にあるアートギャラリー「Resol Gallery Ueno」では、新進気鋭のアーティストたちが、その想いや技術を具現化したアートの数々を展示しています。
アカデミズムの街上野ならではの芸術体験は、単なるホテルステイとはひと味違ったスパイスを、旅人たちに提供します。
ギャラリーでは特設展示と常設展示を隔月で交互に実施。訪れるたびに新たな発見と成長の機会を与えてくれます。

【特設展示について】
「Resol Gallery Ueno」では、新進気鋭のアーティストの作品発表の場として、無償でギャラリーを提供しています。
「旅、旅人、または旅先をイメージさせる作品」「下町文化、風土、歴史をイメージさせる作品」「アカデミズムを感じさせる作品」「観る者の心を癒し、新たな発見やインスピレーションを与える作品」など、様々な作品とお客さまとの出会いを創出していきます。

<出展希望者からの問い合わせ先>
Tel:  03-5325-9269(担当:伊藤)
Mail: ka.ito@resol.jp

 

【常設展示について】

(画像左から)
太陽と月(2020 清水慶太 木製パネルにアクリル絵の具 2枚1組)
パンダ(2020 石川マサル・清水慶太 樹脂製フィギュアにアクリル絵の具)
EDO, rotated 90°(2020 清水慶太 キャンバスにプリント)
うえの(2020 清水慶太 木製パネルにアクリル絵の具)

プロフィール:清水 慶太(しみず けいた)
デザイナー、デザインコンサルタント
1974年、東京都生まれ。
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了後、ミラノを拠点にデザイナーとして活動を開始。
アメリカで過ごした幼少期、およびイタリアでのデザイナー生活によって培われたグローバルな価値観から作られる包含性のあるデザインは、国内外で高い評価をうける。昨今は、プロダクトのデザインのみでなく、ホテルのコンセプト開発や企業のコーポレートデザインも手掛けている。

『ホテルリソル上野』概要
◇所在地:  東京都台東区上野7丁目2-9
◇交通:      JR上野駅、浅草口・入谷口から徒歩1分
◇構造:     鉄骨造[地上10階]
◇客室数:   115室[モダレット(セミダブル)107 室 /ツイン8室]
◇公式サイト: https://www.resol-hotel.jp/ueno/

 

【リソル株式会社】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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「大ゴッホ展」 開催決定!《夜のカフェテラス》など来日 東京で2026年から

上野の森美術館

画家、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~90)の名品を集めた巡回展「大ゴッホ展」(産経新聞社など主催)が東京都台東区の上野の森美術館を東京会場として開催されることが決定しました。世界屈指のファン・ゴッホコレクションを誇るオランダのクレラー=ミュラー美術館所蔵の名品を2期に分けて公開します。
【公式ホームページ】https://grand-van-gogh.com/

 

本展は神戸を皮切りに福島、東京を2期に分けて巡回。神戸では阪神・淡路大震災から30年、福島では東日本大震災から15年の節目の年に取り組む事業として企画されました。

第1期の目玉は、約20年ぶりに日本で公開となる《夜のカフェテラス》。他にも《自画像》をはじめとする初期のオランダ時代から数多の傑作を生みだしたアルル時代までのファン・ゴッホ作品約60点や、同館が所蔵するクロード・モネ、オーギュスト・ルノワールら同時代の印象派巨匠の名作を展示します。
アルル時代から晩年までを紹介する第2期の注目作品はオランダの至宝と称される《アルルの跳ね橋》で、2027年に東京に巡回します。

《夜のカフェテラス》
南フランスの都市アルルにある広場のカフェテラスを描いた名品。夕闇とカフェの明かりの鮮やかなコントラストに、平坦(へいたん)な色塗りと勢いのある筆遣いが見事です。

《アルルの跳ね橋》
《夜のカフェテラス》とならんでファン・ゴッホ最高傑作のひとつ。オランダの国宝とされ国外に貸し出されることは極めてまれで、日本での公開は約70年ぶりです。空と水の青が印象的で、ファン・ゴッホの熟練した技術を示しています。

■クレラー=ミュラー美術館
オランダ・ヘルダーラント州のデ・ホーヘ・フェルウェ国立公園内にある美術館。約90点の油彩画と約180点の素描などからなる世界屈指のファン・ゴッホ作品を収蔵・展示しています。

■「大ゴッホ展」東京会場 開催概要
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
会期:第1期/2026年5月29日(金)~8月12日(水)
第2期/2027年10月~2028年1月頃(期間確定後に公表)
主催:産経新聞社、TBS、TBSグロウディア、博報堂DYメディアパートナーズ、上野の森美術館

■巡回情報
第1期
神戸会場:神戸市立博物館 2025年9月20日(土)~2026年2月1日(日)
福島会場:福島県立美術館 2026年2月21日(土)~5月10日(日)

第2期
神戸会場:神戸市立博物館 2027年2月~5月頃(開催確定後に公表)
福島会場:福島県立美術館 2027年6月19日(土)~9月26日(日)

 

【産経新聞社】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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【国立科学博物館】企画展「高山植物~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~」開催のお知らせ

国立科学博物館

国立科学博物館は、2024(令和6)年7月30日(火)から11月4日(月・休)までの期間、下記のとおり、企画展「高山植物~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~」を開催いたします。
【詳細URL:https://www.kahaku.go.jp/event/2024/07alpineplants/

企画展「高山植物~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~」ポスター①
企画展「高山植物~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~」ポスター

夏山を彩る高山植物たちの多様な形態や生態、そのほかの生き物との繋がりなどを、科学的な知見とともに、数多くの標本資料などで紹介します。また、高山植物の危機的な現状や保全の取り組みなどについても解説します。迫力の映像や臨場感のある展示会場で、高山植物の多様性を知り、その魅力を体感してください。

・開催概要

企画展「高山植物~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~」

【開催場所】国立科学博物館(東京・上野公園)
日本館1階 企画展示室および中央ホール(~9月1日)

【開催期間】2024(令和6)年7月30日(火)~11月4日(月・休)

【開館時間】9時~17時
※8月10日(土)~8月15日(木)は18時まで ※入館は各閉館時刻の30分前まで

【休館日】月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
※ただし8月5日(月)・13日(火)・19日(月)・26日(月)、10月7日(月)は開館

【入館料】一般・大学生:630円(団体510円)、高校生以下および65歳以上:無料
※本展は常設展示入館料のみでご覧いただけます ※団体は20名以上
※入館方法の詳細等については、当館ホームページをご覧ください
https://www.kahaku.go.jp/

【主催】国立科学博物館
【協賛】モンベル
【協力】 岩手大学農学部附属農業教育資料館、環境省、市立大町山岳博物館、須川長之助顕彰会、長野県環境保全研究所、日本植物園協会、白馬館、白馬五竜高山植物園、北海道大学植物園・博物館、北海道大学大学文書館、郵政博物館

 

・展示紹介

第1章 高山植物とは
はじめに、高山植物の特徴について、形態や生態などを紹介します。きびしい高山環境で生きる植物たちは、さまざまな生存戦略を発達させながら環境に適応しています。さらに高山植物は、高山生態系において重要な位置にあり、ほかの生物と密接に関わりながら生きており、その例についても紹介します。

コマクサ(写真:国立科学博物館)

第2章 日本の高山植物の多様性
日本列島は南北に長く、さらに起伏に富みます。亜熱帯から亜寒帯までの気候が存在し、実に多種多様な植物が分布しています。そのなかでも、本州中部から北海道にかけては、高山植物の生育する地域が、まるで島のように点在しています。また、特殊な地質の地域には、そこにしか生育しない固有種も多く見られ、日本の高山植物の多様性をより豊かなものにしています。

ハヤチネウスユキソウ(写真:国立科学博物館)
キタダケソウ(写真:国立科学博物館)

第3章 高山植物の研究
高山植物に関する研究について、日本での初期の研究に関わった人物や代表的な山岳地域などを中心に紹介します。貴重な標本や資料、写真などをご覧ください。さらに近年、高山植物の多様性を知るための研究は、大きく進展してきているため、その研究成果や新たな取り組みなどについても紹介します。

ツクモグサ(写真:国立科学博物館)

第4章 高山植物の現状と多様性を守る取り組み
高山植物の素晴らしい多様性は、大変な危機に瀕しています。気候変動の影響により高山植生にはすでに変化が起こっています。シカの食害によりお花畑が消失した場所も多くあります。このような状況に対して自生地では、植生の保護や回復のための試みが行われています。また、筑波実験植物園などでは、絶滅危惧種を中心に、自生地外での保全が進められています。

第5章 高山植物の楽しみ方
本展で高山植物を知っていただいたら、ぜひ観察をしに出かけてみましょう。国内で高山植物が観察できるおすすめスポットをいくつか紹介します。また、海外にまで足をのばすと、日本では見ることのできない奇想天外な高山植物も楽しめます。さらに、植物観察の際に注意したい点なども紹介します。高山植物をさまざまな角度からお楽しみください。

ボンボリトウヒレン(写真:国立科学博物館)
ウルップソウ(写真:国立科学博物館)

 

・本展監修者

植物研究部 多様性解析・保全グループ 研究主幹
村井 良徳(むらい よしのり) 

専門分野は植物科学、化学生態学、環境適応学。主に高山植物について、化学成分の多様性や機能、環境適応機構などについて研究を行っています。また、標本資料センターのコレクションマネージャーも兼務し、筑波実験植物園では収集した100 種以上の高山植物を栽培しながら、絶滅危惧種の栽培・増殖方法の開発など生育域外保全にも取り組んでいます。

 

【文化庁】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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【国立科学博物館】科博NEWS展示「我が家にまりも!?~一般家庭の水槽で見つかったまりもの調査~」のご案内

国立科学博物館

独立行政法人国立科学博物館において、来る2024年7月17日(水)から9月1日(日)まで、科博NEWS展示「我が家にまりも!?~一般家庭の水槽で見つかったまりもの調査~」を開催いたします。

当館が本年3月27日に行ったプレスリリース「ふたたび見つかった民家の水槽だけで発生するモトスマリモ」は多くのメディアに幅広く取り上げられました。新聞やテレビ報道を通じて、当館研究者が同様の事例に関する情報提供の呼びかけを行ったことにも大きな反響があり、当館へ日本各地から続々と情報が寄せられ、「まりも」と思われる実物試料も送られてきました。 解析の結果、これらの試料にはモトスマリモだけでなく、日本で知られている全てのまりもの仲間(5分類群)が含まれていることが分かり、様々な新しい知見を得ることができました。これらのまりもについて、水槽の展示と共に、まりもの仲間の紹介、全国各地のまりもが見つかった水槽写真の一覧展示、そして当館研究者等が富士五湖で行ってきたまりもの研究について紹介します。

【開催期間】 令和6年7月17日(水)~9月1日(日)
【開催場所】 国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)地球館1階オープンスペース
【主  催】  国立科学博物館

 

・展示概要

展示は下記の3つのゾーンから成り立ちます。

①まりものなかまたち
今回の調査では今まで日本で知られていた全てのまりもの仲間(5分類群)が、見つかりました。それらについて、イラストも交えてその特徴を紹介します。

②まりものいる風景
今年2例目のモトスマリモが見つかり、各メディアで当館が水槽のまりもの情報提供を呼びかけたところ、46件もの情報が寄せられました。そのうち、26件の方に試料を送っていただき当館で検討を行った結果、まりもの5つのなかまの全てが家庭の水槽から見つかりました。今年初めまでは日本で2例しか情報がありませんでしたが、3ヶ月足らずのあいだに20例を超える出現例が集まりました。東京の湧水地帯に由来すると考えられるタテヤママリモが見つかるなど、新しい知見も多く含んでいます。

全国各地から送られてきたまりもの仲間
千葉県市原市の家庭用水槽

③当館のまりも調査
当館のまりもの調査は、山中湖村から1956年(昭和31年)に当時小学3年生だった亀田良成氏が採集し、栽培したものを50年後に当館に持ち込まれたのが始まりです。この経緯について絵本「富士山のまりも」(福音館書店)として出版されました。この事がきっかけとなり、2013年から当館と山中湖村教育委員会との間で山中湖の共同でのまりもの学術調査が始まりました。2022年の甲府、2024年の川崎、そして今回の水槽からのモトスマリモの発見に伴い、今では富士五湖全体の調査や、関東周辺での河川調査も始めています。

【関連情報】

プレスリリース 
ふたたび見つかった民家の水槽だけで発生するモトスマリモ(2024年3月27日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000746.000047048.html

プレスリリース 
日本では3種目のマリモ類の発見!モトスマリモと命名(2022年11月10日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000523.000047048.html

プレスリリース
「山中湖のまりも(山中湖村フジマリモ生息調査報告書)」の出版 ~ふたたび退潮傾向が明らかになった山中湖のマリモ 地球温暖化が影響か?~(2021年3月31日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000232.000047048.html

ホームページ:小さな「も」の世界
https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/microalgae/microalgal_kids/

 

【文化庁】プレスリリースより

記事提供:ココシル上野


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