【国立西洋美術館】「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」内覧会レポート

国立西洋美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年

3月中旬に国立西洋美術館で「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」メディア向けの特別内覧会が開催されました。今回はその様子をお伝えいたします。

※開幕が延期となりました。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合がございます。
最新情報を展覧会公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/)で必ずご確認ください。

英国の誇る至宝、奇跡の初来日。

展示会場入口

 

展示風景

 

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《34歳の自画像》 1640年

 

(画面手前)トマス・ゲインズバラ《シドンズ夫人》1785年

ロンドン中心部、トラファルガー広場に面して建つロンドン・ナショナル・ギャラリー西洋絵画に特化し、その世界屈指のコレクションは多くの来場者を魅了し続けています。多くのヨーロッパの美術館とは違い王室のコレクションを母体とせず、市民のために、市民の手で形成されたという点が大きな特徴。いわば、英国民による「アワ(私たちの)・コレクション」と言えるかもしれません。

しかし、これまで同ギャラリーはまとまった数の作品を貸し出すことには慎重で、英国外で所蔵作品展が開かれたことは一度もありませんでした

本展では、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵する世界的傑作が奇跡の日本上陸。全作が「初来日」となるこの機会は、まさに歴史的な展覧会といえるでしょう。

さあ、西洋絵画の歴史をめぐる美の旅へ

第4章展示会場風景

 

(画面手前)ルカ・ジョルダーノ《ベラスケス礼賛》1692-1700年頃

 

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》 1829年

 

ポール・セザンヌ《プロヴァンスの丘》1839-1906年

 

日本初公開となるゴッホの4番目の《ひまわり》(1888年)

今回来日する作品は全61点。本展は全7章構成となっており、ルネサンスからポスト印象派にいたるまでの名品が一挙に公開されています。英国とヨーロッパ大陸の相互関係の歴史を紐解きながら西洋絵画史を俯瞰することができ、まさに教科書的に楽しめるので、西洋絵画初心者の人も、そのコレクションの質の高さから美術ファンの人も幅広く堪能できる展覧会になっています。

時代の幅もさることながら、ゴッホ、フェルメール、レンブラント、ターナー・・・絵画史に名を刻む画家たちの作品が一堂に会しているさまはまさに「美の殿堂」「西洋美術界のオールスター」。
特に第7章で展示されているゴッホの《ひまわり》は自らその出来を認め、サインを記したという特別な作品。会場の中で燦然とした輝きを放つ《ひまわり》の力強さを、ぜひ会場で直接ご鑑賞ください!

 

鑑賞時間や注意点などは?

鑑賞時間は、ひと通り観て回るだけなら一時間程度。それぞれの作品をじっくり鑑賞したいなら、もう少し見込んでおくと良いでしょう。
新型コロナウィルス感染症の影響で、人数制限や予約入場制などの対応があるかもしれませんが、そうなれば鑑賞スペースには余裕があるはず。
事前に公式サイトで美術館の対応をチェックしておきましょう。

展示作品紹介

ヨハネス・フェルメール
《ヴァージナルの前に座る若い女性》 1670-72年頃

時を超え、見る者を誘う少女の眼差し。

近年、日本における「フェルメール・ブーム」も記憶に新しい世界屈指の画家。本展で出品されているこちらの作品は、ヴァージナル(小型撥弦鍵盤楽器)の前に座り、こちらに眼差しを送る若い女性を描いたものです。大理石の床、美しく飾られたヴァージナル、金の額縁で飾られた絵画・・・その内装の豪華さから、それなりに高い身分の女性であることがうかがえます。

やはり目を引くのは「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる鮮やかな発色の青色。そして背後の絵画に見られるような、入念に描き込みすぎない、自由闊達なタッチです。左下に置かれた弦楽器ヴィオラ・ダ・ガンバは、観ている私たちに「さあ、一緒に演奏しましょう」と語りかけているようにも思えます。

 

カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1735年頃

描いたのは風景ではなく、市民たちの活況(ドラマ)。

カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)は、18世紀の欧州における最も重要な景観(風景)画家として知られています。

この《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》は画家の故郷ヴェネツィアの大運河でおこなわれるゴンドラ競漕の景観を描いた作品ですが、その並外れた描写力、そして瑞々しい大気と水の表現には驚かされます。画面中景には華やかなゴンドラ、そして画面の大部分を占める大運河の両側には大勢の観客が描かれ、まるで市民たちの歓声が聞こえてくるかのよう。

現在、新型コロナウィルス感染症の影響により制限のある生活を強いられているイタリア。この絵画に描かれているような、活気のある情景が戻る日を祈るばかりです。

 

ディエゴ・ベラスケス《マルタとマリアの家のキリスト》1618年頃

ニンニク、卵、オリーブオイル・・・庶民のリアルな台所事情。

台所と思われる質素な室内で、乳棒と乳鉢を手にした若い女性。彼女がちょっと不機嫌そうに見えるのは、せっかく自分がイエス様をもてなすための料理を作っているのに、妹のマリアが手伝いもせず、ずっとイエス様のお話を聞いているから。

この絵画は新約聖書「ルカによる福音書」に書かれた物語を下敷きにした作品で、若き日のベラスケスが故郷セビーリャで描いたもの。注目すべきは、最も重要であるはずのイエスとマリアの問答が画面隅に追いやられ、その代わりに圧倒的な質感と写実性をもって前景を描いていること。いわば、「宗教画のかたちを借りた風俗画」といえるかもしれません。

滑らかな光沢を放つ白身魚、テーブルのニンニクや卵の質感・・・ぜひ、「手前のテーブルの上の静物」に注目して鑑賞してみてください。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年

世界中で愛される、ゴッホの代表作。

ゴッホは共同生活を送る予定の友人ポール・ゴーガンのために、1888年から花瓶に生けたひまわりの絵を4点描きました。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》はその4点目にあたり、ゴッホ自らがゴーガンの寝室を飾るにふさわしいと認め、サインをした2点のうち1点。つまりゴッホ自身の「お墨付き」というわけですね。

太陽へと向かい、黄金色に花を咲かせるひまわり。パリ時代に新印象派から学んだ技法、そして日本の浮世絵などから着想を得て、ゴッホは日常を超えた、内面世界のイメージのようなこの強烈なひまわりの図像を表現しました。

ゴッホの死後、なぜひまわりは世界中の人たちに愛されてきたのか。彼の作品に込められた「生命」の力を、ぜひご自身で体感してみてください。

開催概要

展覧会名 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
会 期 開幕日未定~2020年6月14日(日)
9:30~17:30
毎週金・土曜日:9:30~20:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日
会場 国立西洋美術館
観覧料 当日:一般1,700円、大学生1,100円、高校生700円
※開幕が延期となりました。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合がございます。
最新情報を展覧会公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/)で必ずご確認ください。
※中学生以下は無料。
※心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。
公式サイト https://artexhibition.jp/london2020/

 
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06. 江戸をたずねる(令和3年度終了)

「江戸たずねる」とは

台東区内に根付く江戸に関連する史跡や文化財に焦点を当て、現地で江戸文化や歴史を体感できるガイドツアーを開催しました。

イベント開催内容(令和3年度)

(1)上野東照宮ガイドツアー
①事前講習会
日時 令和3年8月28日(土)
講師 浦井 正明 氏(寛永寺住職)
昭和12年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部史 学科卒業。東叡山寛永寺山内現龍院住職、寛永寺長臈を経て、令和2年2月より東叡山輪王寺門跡門主・寛永寺貫首。台東区文化財保護審議会委員、台東区教育委員会委員長を歴任し、現在は台東区文化政策懇談会委員、 上野の山文化ゾーン連絡協議会顧問を務める。 平成29年10月に台東区文化功労栄誉章を受章。
内容 東照宮の歴史や建立の理由などの基礎知識について

②ガイドツアー
日時 
第1回 令和3年 9月23日(木・祝)
第2回 令和3年10月10日(日)
内容
・上野東照宮拝観
・上野東照宮社殿拝観(特別公開)
・神田囃子鑑賞
・五條天神社拝観
講師
波多野 純 氏(日本工業大学名誉教授)
昭和21年生まれ、神奈川県出身。日本工業大学教授、同学長を歴任。現在は、波多野純建築設計室代表。工学博士。『江戸城Ⅱ』で建築史学会賞、「ネパールにおける仏教僧院の保存修復」で日本建築学会賞(業績・共同)。
嵯峨 まき 氏(上野東照宮禰宜)
東京都出身。東京女子医科大学医学部医学科卒業。医師としての仕事の傍ら神職資格を習得し、2005年より上野東照宮禰宜を務める
始澤 澄江 氏(五條天神社宮司)
東京都出身。日本女子大学文学部史学科卒業。先代の父の跡を継いで宮司を拝命し、現在に至る。

上野東照宮 社殿
上野東照宮 社殿内部

「Youtube 台東区公式チャンネル」にて、令和3年10月10日(日)に開催した「上野東照宮ガイドツアー」の様子を配信しています。

(2)奥浅草ガイドツアー
日時
令和3年11月6日(土)
内容
・待乳山聖天拝観
・浮世絵鑑賞
・奥浅草まち歩き(待乳山聖天~吉原弁財天)
講師
平田 真純 氏(待乳山聖天本龍院住職)
昭和32年生まれ 大正大学仏教学部仏教学科卒業。平成11年本龍院住職を拝命。法務、信徒指導の傍ら、江戸名所としても名高い待乳山を「浮世絵展」等の催事開催を通じて広く紹介。
日比谷 孟俊 氏(元慶應義塾大学教授・燈虹塾代表)
昭和20年生まれ。慶應義塾大学大学院修了。専門は、材料工学、宇宙工学、システム工学。工学博士、文学博士。江戸後期の妓楼 新吉原江戸町一丁目「和泉屋平左衛門」の末裔で、平成30年に『江戸吉原の経営学』を笠間書院より出版。浮世絵(遊女絵)の解析から、遊女の人事を解明し、吉原俄や、歌舞伎、神田明神祭礼の出し物には、吉原の男芸者が関わったことを指摘。
不破 利郎 氏(奥浅草観光協会専務理事・燈虹塾会員)
昭和36年生まれ、台東区出身。奥浅草地区の伝統・文化を地域振興のアイテムとして定着させ、地域活性と観光振興を図る活動を行う奥浅草観光協会の専務理事を務める。現在もかつての遊郭の地であった台東区千束にてビジネスホテル「ホテルみかさ」を営む。吉原商店会長。吉原青年部部長。

待乳山聖天

お問い合わせ

台東区文化振興課 TEL.03(5246)1153

特別展「『江戸風像人形』の世界~建物・人形・小物の三位一体の妙~」

本企画展は令和2年2月24日をもって終了しました。

台東区立中央図書館で開催している企画展「吉原細見の世界Ⅱ」については、
令和2年3月15日(日)まで開催です。詳細は台東区立中央図書館HPをご覧ください。


「江戸風俗人形」は、檜(ひのき)細工師・三浦宏氏による建物、人形師・辻村寿三郎氏による人形、江戸小物細工師・服部一郎氏による小物によって構成され、3人の職人技が一体となって造り上げた作品です。およそ一坪の展示台の上には、四季折々の情景を表した部屋が展開された建物を見ることができ、その様式や各部屋に配置される調度品あるいは人形などは、細部にまでこだわって造り込まれています。現在に甦った江戸時代の華やかな廓(くるわ)の情景をお楽しみください。

あわせて、「江戸風俗人形」の舞台となった吉原に関連する錦絵、地図、絵はがきなどを展示し、江戸の頃より連綿と続く優美な世界をご紹介します。

およそ一坪ある見ごたえのある展示
細部までこだわりのある遊郭と人形

会場
台東区立下町風俗資料館 2階展示室

開催期間
令和元年12月7日(土)~ 令和2年2月24日(月休)

開館時間
午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)

休館日
毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日)
令和元年12月3日(火)~ 12月6日(金)
令和元年12月29日(日)~ 令和2年1月1日(水)
令和2年2月26日(水)~ 2月28日(金)

入館料
一般300円(200円)
小・中・高校生100円(50円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、特定疾患医療受給者証を提示の方と、その介助者は無料
※毎週土曜日は台東区内在住・在学の小・中学生と、その引率者は無料

ギャラリートーク
担当学芸員が特別展のみどころを解説します。

<日時>
令和元年12月7日(土)・21日(土)
令和2年1月4日(土)・18日(土)
令和2年2月1日(土)・15日(土)

※各回午後2時から。20~30分程度。
※12月21日(土)と2月15日(土)は、台東区立中央図書館郷土・資料調査室専門員の平野恵によるギャラリートークを行います。
※予約不要。入館された方ならどなたでも参加いただけます。


同時開催「吉原細見の世界Ⅱ」

台東区立中央図書館で企画展「吉原細見の世界Ⅱ」が開催されます。吉原のガイドブックである『吉原細見』を活用し、吉原を題材とした浮世絵を読み解きます。
会期中は、前期・中期・後期と展示替えを行います。また、トークイベント・ギャラリートークも開催します。
詳細は台東区立中央図書館のホームページをご確認ください。

開催場所
台東区立中央図書館2階郷土・資料調査室

開催期間
令和元年12月20日(金)~ 令和2年3月15日(日)

開館時間
月~土:午前9時~午後8時
日・祝日:午前9時~午後5時

休館日
令和元年12月31日(火)~ 令和2年1月2日(木)、
1月16日(木)、2月20日(木)