【国立科学博物館】「絵本でめぐる生命の旅」報道内覧会レポート

国立科学博物館

2019年12月17日(火)~2020年3月1日(日)まで、東京上野の国立科学博物館で「絵本でめぐる生命の旅」が開催されています。
先日、プレス向け報道内覧会がありましたので、その様子をレポート致します。
展覧会の見どころ、注目の展示物などを紹介しますので、ご覧ください!


企画展「絵本でめぐる生命の旅」とは?

 

約38億年前に地球上に出現したとされる、最初の生きものから現代まで続く、進化の過程。
その進化が途切れずに続いたことで、人やさまざまな生き物は存在し続けているといっても過言ではありません。
絵本には、そのような生き物の進化の過程に着目した、科学や自然を題材にした作品がたくさんあります。
「科学や自然を題材にした絵本と博物館の展示を組み合わせることで、自然科学への興味をもつきっかけや、いつもと異なる国立科学博物館の楽しみ方を提供したい」。そうして考えられたのが、この企画展。
紙芝居形式で、生命の起源をわかりやすく展示します。

企画展は、46億年前~36億年前の生命を知る旅から始まります。

みどころ

企画展のみどころを紹介します。

①国立科学博物館で新しい絵本の体験ができる!?

企画展では、7つの絵本から選んだ場面を、化石やはく製などの標本とともに展示した構成になっています。
絵本の世界に楽しく触れながら、標本とともに生命進化の歴史をたどることができます。

②魚からヒトへと続く進化を実感できる!

企画展では、魚類から私たちヒトへと続く約5億年間の生命進化の主な出来事を、特にわかりやすく解説しています。
私たちの遠い祖先から現在まで続く生命のつながり、私たちの体の中に残る進化を感じ取って下さい。

③もっと知りたい人は・・

この企画展をご覧になって、もっとくわしく、もっと広く知りたくなった方は、常設展へ足をのばしてみて下さい。
国立科学博物館で行っている調査・研究や、関連する常設展示を紹介するコーナーがありますよ。

④新しい絵本と出会えるかも!

企画展の入り口付近には、自然科学や生命の進化に関連する絵本を100冊以上集めた読書コーナーを設けています。
懐かしい絵本との再会、お気に入りの新しい絵本と出会えるかもしれません。
日本語以外の言語の絵本も用意されています。

企画展で使われている主な絵本

 

企画展では、下記の7つの作品が使われています。

①『せいめいのれきし』 バージニア・リー・バートン 文・絵、岩波書店
② 『ながいながい骨の旅』 松田素子 文、川上和生 絵、講談社
③ 『わたしはみんなのおばあちゃん はじめての進化のはなし』 ジョナサン・トゥイート 文、カレン・ルイス  絵、岩波書店
④ 『とりになった きょうりゅうのはなし 改訂版』 大島英太郎 作、福音館書店
⑤ 『ダーウィンの「種の起原」 はじめての進化論』 サビーナ・ラデヴァ 作・絵、岩波書店
⑥ 『いのちのひろがり』 中村桂子 文、松岡達英 絵、福音館書店
⑦ 『13800000000ねんきみのたび』 坂井治 作・絵、光文社

主な展示物を紹介

 

約5億800万年前(カンブリア紀中期)に生息した捕食性動物アノマロカリス。
奇妙なエビとの意味で学名を与えられたといいます。

アノマロカリス・カナデンシス 所蔵:国立科学博物館

 

約3億6000万年前に生息した、古代魚ユーステノプテロン類と推測される頭部化石。モロッコでお土産物にするために、ツルツルに磨かれているところを発見したジャイカ職員の方が、国立科学博物館に寄贈してくれたもの。
実際に、触れることができますよ。

ユーステノプテロン類? 所蔵:国立科学博物館

 

こちらが、ユーステノプテロンの全身です。

ユーステノプテロン 所蔵:国立科学博物館

 

約1億1500万~1億1800万年前に生息した、デイノニクス。
映画やアニメに度々登場しています。

デイノニクス 所蔵:国立科学博物館

 

約3000万年前に生息した、肉食哺乳類ヒエノドンの化石。
恐竜までの哺乳類は、お腹のところに肋骨があり、子供を抱きしめたいと思っても抱きしめてあげられませんでした。
その後、横隔膜ができて、呼吸の仕方が変わったことで、哺乳類は、我が子を抱きしめて、母乳を与えたりすることができるようになりました。

ヒエノドン 所蔵:国立科学博物館

 

700万年前~20万年前の生命は、手足の指が長くなり、他の生き物と異なる動きをするものが出てきます。
手足で枝を掴んで、樹上生活をしたり、鳴き声でお互いにコミュニケーションを取ることもできるようになります。
それが、現在のわたしたち、人間の祖先です。

 

ダーウィンのビーグル号をイメージしたという絵本コーナー。
企画展を見終わった後には、この読書コーナーで、自然科学や生命の進化に関連する、お気に入りの絵本を探してみましょう。
企画展で取り上げた7冊の絵本もご覧になれます。

 

まとめ

国立科学博物館にて現在開催されている、企画展「絵本でめぐる生命の旅」の報道内覧会についてお伝えしてきました。
約38億年前から現代まで続く、生き物の歴史。
私たち人間は、当たり前のように生きているように思えますが、実は、この何十億年と続く歴史の過程があってこその生命だと、改めて気づかされます。
国立科学博物館へ、ご家族やご友人と絵本でめぐる生命の旅に出かけてみませんか?

今回の企画展の監修を務めた、国立科学博物館標本資料センターコレクションディレクターの真鍋真さん。生命の歴史について、楽しく解説していただきました。

 

開催概要

企画展「絵本でめぐる生命の旅」
開催期間:2019年12月17日(火)~2020年3月1日(日)
開催場所:日本館1階 企画展示室、中央ホール
開館時間:午前9時~午後5時
*金曜・土曜日は午後8時まで。
*入館は各閉館時刻の30分前まで
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)および12月28日(土)~1月1日(水・祝)、ただし2月17日(月)は開館
入館料:一般・大学生:630円(団体510円)
高校生以下・65歳以上:無料
*常設展示入館料のみでご覧いただけます。
主催:国立科学博物館
公式HP: https://www.kahaku.go.jp/

 

 

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東京国立博物館、恒例の正月企画「博物館に初もうで」を2020年1月2日(木)~26日(日)に開催!

東京国立博物館

東京国立博物館は、2020年も1月2日より開館し、恒例の正月企画である「博物館に初もうで」を開催します。

今年の干支は「子(ねずみ)」。十二支最初の干支です。
毎年恒例となっている干支をテーマにした作品の特集や当館所蔵の国宝「松林図屏風」(長谷川等伯筆)をはじめとする名品の数々をご覧いただけます。
また、新春を華やかに彩るいけばなや、和太鼓、獅子舞など伝統芸能のイベントも行い、日本のお正月を一挙にお楽しみいただけます。
日本の伝統文化に触れる機会として、また、ご家族やカップルでのお出かけとしても楽しめます。

 

<特集「博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ」>

1月2日(木)~26日(日) 本館特別1室・特別2室

干支のはじまりは古代中国。
もともとは暦や方角をさす概念で、現在も私たちの生活に寄り添っています。
さて、子年にあたる2020年は、トーハクが所蔵する鼠にちなんだ作品を選りすぐって展示します。
十二支の子、大黒天の使いとしての鼠、子孫繁栄の象徴である鼠など、鼠のさまざまな顔をご紹介します。
江戸時代に流行した粋な鼠色の着物や、永遠のライバルである猫との共演もお楽しみください。

 

・ギャラリートーク「大黒天と鼠」

1月21日(火) 14:00-14:30 本館特別1室

講師:河野 正訓(考古室研究員)

子宝、繁栄、幸福の象徴として人々に愛されてきた鼠について、神々と関連付けて解説します。

・主な展示作品 ※いずれも東京国立博物館蔵

 

袱紗 紺繻子地鼠大根米俵模様/江戸時代・18~19世紀/アンリー夫人寄贈

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_3.jpg

 

鼠蒔絵印籠 紐通し朱漆銘「塩見政誠」/明治時代・19世紀/クインシー・A.ショー氏寄贈

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_4.jpg

 

染付大根鼠図大皿 伊万里/江戸時代・19世紀/平野耕輔氏寄贈

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_5.jpg

 

<新春名品紹介 今年も国宝「松林図屏風」や、年のはじめを寿ぐ様々な名品を展示します。>

 

国宝「松林図屏風」長谷川等伯筆 安土桃山時代・16世紀

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_6.jpg

1月2日(木)~1月13日(月・祝) 本館2室(国宝室)

日本の水墨画がたどり着いたひとつの到達点です。

国宝「古今和歌集(元永本)下帖」平安時代・12世紀/三井高大氏寄贈

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_7.jpg

 

1月2日(木)~1月19日(日) 本館3室

日本の書ならではの連綿と余白の美にご注目ください。

 

重要文化財「御所車蒔絵硯箱」江戸時代・17世紀

https://www.atpress.ne.jp/releases/199959/img_199959_8.jpg

 

1月2日(木)~3月22日(日) 本館12室

州浜を望む流水に岸辺で菊が咲き乱れ、技巧を凝らした画面です。

<イベント 正月2日、3日は、和太鼓や獅子舞など日本の伝統芸能も開催します。>

1月2日(木) 11:00/13:15 和太鼓 湯島天神白梅太鼓 東洋館前

11:45/14:00 獅子舞 葛西囃子中村社中 東洋館前

1月3日(金) 11:00/13:15 和太鼓 湯島天神白梅太鼓 東洋館前

11:45/14:00 獅子舞 葛西囃子中村社中 東洋館前

12:30/14:45 クラリネット・コンサート(ジュリアンズ) 平成館ラウンジ

※雨天時は場所を変更、または中止になることがあります。

 

■いけばな 1月2日(木)~1月13日(月・祝)

正門、本館玄関、本館大階段 真生流 山根 由美氏

 

■正月限定!カレンダー付きワークシートを配布します

新年1月2日・3日の2日間、ご来館の先着3,000名様(各日)にワークシートをお配りします。特集「博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ」を楽しむためのワークシートの裏面は、2020年カレンダーです。ワークシートの配布は11時から16時まで本館2階便殿前で行います。

※時間内でもなくなり次第終了となります。

 

■TNM&TOPPANミュージアムシアターよりプレゼント 2020年1月2日(木)・3日(金)

VR作品を鑑賞された方にシアター無料券とオリジナルグッズをプレゼントします。

※鑑賞には別途料金および当日の予約が必要です。

※コンテンツ等の詳細はウェブサイト( http://www.toppan-vr.jp/mt/ )をご覧ください。

 

■ホテルオークラレストラン ゆりの木からプレゼント 2020年1月2日(木)・3日(金)

ゆりの木ご利用のお客様先着200名様に、伊予の水引の箸置きをプレゼントします。

 

■ミュージアムショップからお年玉 2020年1月2日(木)・3日(金)

東京国立博物館の全ミュージアムショップで3,000円以上お買い上げのお客様、両日とも先着300名様にミュージアムグッズをプレゼント(全ミュージアムショップの会計額が対象、引き渡しは本館ミュージアムショップでのみ対応)

美術図書バーゲンセール(本館ミュージアムショップのみ対象)

 

■寛永寺根本中堂特別参拝 2020年1月2日(木)・3日(金) 10:00~15:00

根本中堂、徳川歴代将軍の肖像画、四天王像などを公開します。当館観覧券の半券(当日分)をご提示ください。散華をお配りします。

 

【来館案内】

 

■開館時間:9時30分~17時

※金曜、土曜は21時まで開館
※入館は閉館の30分前まで

■休館日:月曜日、12月26日(木)~2020年1月1日(水・祝)
※1月13日(月・祝)は開館、14日(火)は休館

■観覧料:一般 620円(520円)、大学生 410円(310円)
※( )内は20名以上の団体料金
※特別展は別料金。
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳等をご提示ください。
※子ども(高校生以下および満18歳未満)と一緒に来館した方(子ども1名につき同伴者2名まで)は団体料金で観覧できます。

■交通:JR上野駅公園口、鶯谷駅南口から徒歩10分 東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分

記事提供:ココシル上野


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【国立科学博物館】企画展 電子楽器100年展〜わくわくする未来が聞こえてくる〜

国立科学博物館


ロシアのレフ・テルミン博士により、1920年に発明された「テルミン」。
世界初の電子楽器として登場したテルミンが誕生して、来年2020年で100年を迎えます。
これに先立ち、12/3(火)より、国立科学博物館にて、企画展「電子楽器100年展」が開催されています。
先日、この展示会の報道内覧会がありましたので、お伝えします。
電子楽器100年展の編集部注目の企画を写真と共に紹介しますので、是非、ご覧ください。


電子楽器100年展とは?

先述しましたが、電子楽器100年展は、来年、世界初の電子楽器テルミンの発明から100年になるのを記念して行われる企画展です。
電子楽器の発展の歴史を、貴重な展示品、コンサート、最新サウンド、映像、トークショーなどを通じて体験することで、電子音楽を、科学的、芸術的な視点で多角的に味わうことができるものです。

電子楽器100年展 注目の企画

電子楽器100年展の注目の企画を紹介します。

 

①電子楽器テーマ展示 “セネステシア” (国立科学博物館 日本館1階 中央ホール)
※12月3日(火)~12月8日(日)

テーマ展示となる中央ホール。
大理石に囲まれた、吹き抜けの空間で、音と映像、光による電子楽器の創造性を体感(=セネステシア)することができます。
冨田勲の数々のシンセサイザーの名作を音と映像で、立体的に体感。
さらには、ボーカロイドや最新のユニークな電子楽器を特別なデモ空間で楽しめます。


 

大理石に囲まれた吹き抜けの空間で、冨田勲さんのシンセサイザーの名作を楽しめます。
音楽と共に、映像や蛍光パネルも変化。中央に立つと、四方からの音の迫力を、より体感することができます。

 

音声合成の技術を活かした電子楽器、ボーカロイド。
鍵盤を弾くと、歌声が出てくる仕組みとなっています。
音声合成で作った音を、人間が歌っているように変換。
この技術で、クリンプトン・フューチャー・メディア社の初音ミクが、大ヒットして話題となりました。

 

会場では、実際にボーカロイドの演奏が行われました。
弾く場所を少し間違えるだけで、音痴な歌になってしまうんだとか。
お子様も演奏できますので、電子楽器のライブ感覚を楽しんで下さい。

 

中央ホールでは、その他、最新のユニ―クな電子楽器の数々をお楽しみいただけます。

電子パーカッション aFrame(エレクトロ・オーガニック・パーカッション)
梯郁太郎(かけはしいくたろう)さんが、生前、最後に力を注がれた電子楽器です。
叩いたり、ひっかいたり。
デジタルながら、アナログ感覚で叩くことができます。
叩く場所によって音が変わるため、音の変化を楽しんで下さい。

 

ボイス・トランスフォーマーVT-4
声に様々な変化を加える、音の加工装置。
つまみを回すと、女性の声が男性の野太い声に変わったりと、違うキャラクターの声を楽しめます。

 

MIDI オルゴール(プリモトーンクリスタルモデル)
電子楽器MIDIのデータを動作に変換した技術を使い、櫛歯を弾いて生の演奏をする電子制御オルゴールです。
最大1000曲の音楽を掛けることが可能です。

 

②企画展示”電子楽器の偉人たち”(国立科学博物館 日本館地下1階 多目的室)
※12月3日(火)~12月15日(日)

世界初の電子楽器を発明したと言われるレフ・テルミン博士。
積極的に電子楽器を作品に取り入れて、音楽に新境地を切り開いていった冨田勲。
海外で”INNOVATOR”と称され、電子楽器の開発に生涯を捧げた、梯郁太郎。
その3人の電子楽器の偉人たちの歴史と功績を数々の展示品で確かめることができます。

梯郁太郎さんの展示品

Canary Model S-3 (エース電子工業)1962年
5オクターブ+1オクターブの6オクターブの音域を持つ電子キーボード。
国内に先立ち海外に紹介した製品です。

 

(写真手前)チューナー TUNING GUN  エース電子工業  1960年代中期
チューナー型のピストル音叉。
(写真奥)DATARAME38 梯郁太郎私製 1974年付近
梯が、海外出張で北欧に行った際、S-100バスのコンピューターシステムのパーツを買い漁り、日本のオフィスコンピューターの中古ジャンク部品を組み合わせて、手作りで完成させたものです。

 

MC-8 (ローランド) 1977年
5,400音と、当時としては、大記憶容量、8系統のCV/GATE出力、独立した最大8パートの演奏、データレコーダーによるバックアップ可能、と画期的なスペックの製品。国内では、冨田勲やYMO(Yellow Magic Orchestra)の準メンバ―松武秀樹などのアーティストにより使用されました。

 

TR-808 (ローランド)1980年
32種類のリズム作成と編集が可能。
作成されたパターンを自由に組み合わせ、1曲分のリズムパターンを作り出せる画期的なリズムマシンです。
2019年9月に、未来技術遺産として登録されました。

 

冨田勲さんの展示品

冨田勲さんが受賞されたトロフィーの数々が展示されています。

NARM全米レコード販売者協会のアルバムに2年連続で最優秀クラシカル・レコードに選出されたトロフィー。
(写真左)1974年のアルバム「Snowflakes Are Dancing(日本語タイトル:月の光)」
(写真右)1975年のアルバム「展覧会の絵」で受賞したもの。

 

冨田勲さんの自筆の楽譜も展示されています。

 

レフ・テルミンの展示品

レフテルミンの写真の前に置かれているのは、1920年に発明されたテルミンボックス。
テルミンの最初のモデルです。
テルミンボックスは、ロシア語で「テルミンの声」という意味。

 

後に、改良されモデルが、箱型のテルミンボックスとなりました。
箱の内部は、真空管となっています。

 

現代のテルミンです。
(写真左)マトリョミン
マトリョーシカの中にテルミンが入っている型です。
(写真中央)
Etherwave(Moog Music) Theremin Standard
(写真左)学研『大人の科学』17号 ふろく「テルミンmini」

 

③電子楽器プレシャス・コンサート(東京藝術大学 上野キャンパス 第6ホール)
※12月6日(金) 開場17:45 開演18:30~20:30

東京藝術大学の演奏者による電子音楽と世界初と言われるテルミン奏者たちのアンサンブル。
シンセサイザーの元祖と言われる貴重な楽器である『オンド・マルトノ』。
東京藝術大学内の木質の特別な音響空間で、貴重な電子楽器コンサートを聞くことができます。
藝大秘蔵で、世界的にも珍しいモジュラー・シンセサイザーの数々の展示も行います。
電子楽器ファンには、嬉しい企画です。

出演:

【1部】東京藝術大学 後藤 英(音楽環境創造科准教授)、満 潔 (音楽音響創造博士課程)、顧 昊倫(音楽音響創造修士課程)、鈴木俊哉(リコーダー)
【2部】竹内正実(テルミン)、Mable and Da(マトリョミン・アンサンブル)、大矢素子(オンド・マルトノ)、安田結衣子(ピアノ)

 

④「オサムとムサシ」上映会(国立科学博物館 日本館2階 講堂)
※12月14日(土)

第1回目10:00開場 10:30上映
第2回目12:00開場12:30上映
第3回目14:00開場14:30上映
第4回目16:00開場16:30上映

手塚プロダクションと音楽家 冨田勲のコラボによる名作アニメ「オサムとムサシ」の1日限りの上映会を行います。
宝塚市の手塚治虫記念館でしか観られない映像を国立科学博物館でお楽しみください。

 

⑤「オサムとムサシ」スペシャル・トークセッション(国立科学博物館 日本館2階 講堂)
※12月14日(土)

開場17:30 開演18:00(アニメ上映を含む約90分間)

 

手塚プロダクションと音楽家 冨田勲コラボによる「オサムとムサシ」3人のスペシャリストが作品について語る特別プログラムです。
出演者:千住明(音楽家)、手塚眞(ビジュアリスト)、福岡伸一(生物学者)

その他のイベントも盛りだくさんですので、公式HPにてご確認ください。

施設概要

 

■開催場所:  国立科学博物館(東京・上野公園)他
■開催期間:  2019年12月3日(火)~2019年12月15日(日)
■開館時間:
午前9時~午後5時(金・土曜は午後8時まで)
※入場は各閉館時刻の30分前まで
■休館日: 12月9日(月)
※開館時間や休館日等は変更になる場合があります。
公式サイト等(https://www.kahaku.go.jp/)でご確認ください
■料金:
博物館の常設展示入館料のみでご覧いただけます。
一般・大学生:630円(団体:510円) 高校生以下および65歳以上: 無料

 

記事提供:ココシル上野


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企画展「下町の火事と防災 江戸から学ぶ火の用心」

本企画展は令和元年9月8日をもって終了しました。


「火事と喧嘩は江戸の華」は、江戸という町の特色を表す言葉といわれていますが、江戸の町には火事が非常に多く、特に江戸時代末期の下町地域では、江戸の人口の半分が生活していた木造の長屋が密集していたため、火事は深刻な脅威でした。ひとたび火災が発生すると、火は広範囲に延焼し、江戸の町全体を脅かしました。明治以降にも下町地域は、大正12(1923)年の関東大震災による火災、昭和20(1945)年の東京大空襲と、二度も大規模な火災による甚大な被害を受けたという歴史があります。

下町の暮らしにとって火事は忘れてはならない恐ろしい脅威であると同時に、火事によって発展した下町ならではの防災の特色も少なくありません。火災の延焼を防ぐための火除地や広小路の設置、火事を起こさないための様々な防災の備え、金銭や物をため込まない生活様式など、日ごろ忘れがちなものにも、実は防災の知恵が込められているのです。

本展では鳶口や水鉄砲、火消し半纏など、下町での防災に関する資料の展示を通して、火災の脅威と日々の防災の大切さを紹介いたします。


会場
台東区立下町風俗資料館 2階展示室

開催期間
令和元年7月2日(火)~ 9月8日(日)

開館時間
午前9時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)
「うえの夏まつり」期間中である7月13日(土)~8月12日(月)は、午後7時まで開館時間を延長します(入館は午後6時30分まで)

休館日
毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日)

入館料
一般300円(200円)
小・中・高校生100円(50円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、特定疾患医療受給者証を提示の方と、その介助者は無料
※毎週土曜日は台東区内在住・在学の小・中学生と、その引率者は無料

▼会場の様子

 

 

【東京都美術館】『子どもへのまなざし』+松本力『記しを憶う』報道内覧会レポート

東京都美術館


母と子の物語 A Mother and Child’s Story 2013

 

2019年11月16日(土)~2020年1月5日(日)まで、上野の東京都美術館にて、上野アーティストプロジェクト2019「子どもへのまなざし」と松本力「記しを憶う」が同時開催されています。
先日、これらの展覧会の合同報道内覧会がありましたので、その様子をレポート致します。
それぞれの展覧会のみどころ、構成、注目作品を取り上げていますので、ご覧頂ければ幸いです。

 


「子どもへのまなざし」とは?

 

東京都美術館は、数多くの公募団体の作品発表の場として親しまれ、「公募展のふるさと」と呼ばれています。
2017年からは、毎年テーマを決めて公募団体で活躍する現代作家を紹介する「上野アーティストプロジェクト」シリーズを展開。
第3弾となる今年は、「子どもへのまなざし」をテーマに開催します。
現在、美術公募団体に所属する若手からベテランまでの6名の作家の作品を通じ、描かれた子どもに仮託される多層的なイメージを紹介。

 

構成と注目作品

 

「子どもへのまなざし」は、大きく分けて3章から構成されています。

 

第1章 愛される存在

第1章では、愛される存在をテーマに、新生加奈(日本美術院)と大久保綾子(一陽会)の作品を紹介します。

 

・新生加奈 SHINJO Kana

女性をモチーフに、温かな色彩を用い、やわらかなタッチの繊細な人物像を描き出す新生加奈。
今回展示される作品は、世の中の汚れを知らない純真な少女像、心の奥底の大事な部分に触れるような温かな母子像です。
子どもたちや母子の存在を通じて、命の尊さ、美しさ、愛おしさを描きたいと語る新生は、作品を描くことにより、自分自身が子どもの頃に周りから受けた優しさを再認識するといいます。

 

(新生さんコメント)

宇宙のように広がる少女の内面を表現したいと思い、作品を描いています」。

 

母と子の物語 A Mother and Child’s Story 2013

 

 

・大久保綾子 OKUBO Ayako

一貫して母子像を描き続ける作家、大久保綾子。
今回展示される作品は、動き回る子供の躍動感、母子の一体感を感じさせる母子像です。
大らかでどっしりとした母親は、守るべき存在である赤ん坊やエネルギー溢れる子供たちを大地のようにやさしく包み込みます。

 

(大久保さんコメント)

「いのちを紡ぐ」というテーマで、ここ10年くらいは作品を作っています。
周りを飛び回る子供たちを通して、生命のエネルギーのようなものを表現できたらと思います」。

 

生命(いのち)-海の音 Life₋Sound of the Sea 2002

 

 

 

第2章 成長と葛藤

第2章では、成長と葛藤をテーマに、志田翼(独立美術協会)と豊澤めぐみ(新制作協会)の作品を紹介します。

 

・志田翼 SHIDA Tsubasa

高校で教鞭をとりながら、現代の中学生や高校生をモチーフに描き続ける志田翼。
今回展示される作品は、大人が創り出す社会に葛藤を抱きながら攻撃的な内面をのぞかせる純粋な子どもたちや社会に反発する自身の内面を描いた自画像です。
現代の青年期を迎える子どもたちが直面するリアルな状況をあぶり出します。

 

(志田さんコメント)

「子どもの様々な心理を自分なりに絵画で表現し、いろいろな人たちと繋がりたいと思っています」。

 

まと Target  2012

 

・豊澤めぐみ TOYOSAWA Megumi

作品の中に自分を投影した女子高生を描き続ける、豊澤めぐみ。
豊澤が描くのは、自身が思春期の頃に抱えていた、自分を否定したい気持ち、周囲からの影響で揺れ続ける感情です。
若者の心のとげとげしい痛みを表現し、見ている者に若い頃感じたであろう、過去の様々な感情を呼び起こします。

 

(豊澤さんコメント)

「自分の作品を型にはめてマンネリ化していた時期があったんですが、そのマンネリを打破するために一回リセットして、新たな気持ちで作品を描きました。様々な素材を用いたり、工夫をして作品を作っていますので、そちらもお楽しみください」。

 

 

君が嫌い I Hate You  2017

 

 

第3章 生命のつながり

第3章では、生命のつながりをテーマに、山本靖久(主体美術協会)と木原正徳(二紀会)の作品を紹介します。

 

・山本靖久 YAMAMOTO Yasuhisa

物質と情報にまみれ、自然を破壊しようとする現代の私たちですが、自然との共生なくして人間は生きられません。
そんな現代へのアンチテーゼとして作品を描き続ける、山本靖久。
今回展示される作品は、豊かな自然の中で穏やかな時を過ごす子どもたちや家族を中心とした人間の交響です。
作品に触れることで、人間が持つ生命の根源的な記憶に共感するはずです。

 

(山本さんコメント)

「私は、豊かさをテーマに一貫して作品を描いています。今回、子どもへのまなざしというテーマを頂きまして、そのテーマに沿った新作も作りましたので、ご覧ください」。

 

木精-菩提樹の木の下で Spirit of the Tree-Under the Linden Tree  2019

 

・木原正徳 KIHARA Masanori

移り変わる自然と、豊かな量感を持つ人間本来の性質が絡み合う世界を描き続ける木原正徳。
今回展示される作品は、自然と人間が境界を隔てることなく共存し、生命が循環する世界。
独特な色彩感覚とリズム感を用いて、艶やかで透明感のある画面を生み出し、見ている者に本当の豊かさを問いかけます。

 

(木原さんコメント)

「私は、子供を直接的に描いているわけではありませんが、色彩の豊かさを通して、命を託したいと思い作品を制作しています。『人のかたち野のかたち―地に還る』という作品は、2年前に亡くなった父の弔いの作品です。
父が亡くなり、息子夫婦に子どもが宿っていたのですが、作品を通して、生命が大地に還り、新たな生命が生まれるということを、象徴的にかなり意識して描いた作品となっています」。

 

人のかたち野のかたち―地に還る-  Form of the Human,Form of the Field-Return to the Earth- 2017

 

 

同時開催 松本力『記しを憶う』-東京都写真美術館コレクションを中心に

 

「子どもへのまなざし」との連動企画として、松本力 『記しを憶う』(しるしをおもう)も同時開催しています。

 

・松本力(まつもとちから)

 

松本力(1967~)は、絵かき・アニメーション作家として、国内外で活躍している作家です。
トレースしないで、1コマずつドローイングを描き、透過光を加えてビデオ撮影した映像作品を制作。
映像のインスタレーションとして、立体作品、音声によるライブパフォーマンス、手製の映像装置を用いた独自のワークショップを学校や美術館、滞在する各地域で開催しています。

今回の展示は、東京都写真美術館で所蔵する作品を新たなインスタレーションと共にご覧いただけるものです。

 

構成と展示作品

 

展示の構成と展示作品を紹介します。

 

■6面インスタレーションアニメーション作品

 

会場には、6面のインスタレーションアニメがスクリーンに映し出されます。
1つ1つ、独立した作品で6作品が上映。

6作品は、以下のタイトルです。

①オワリ山の一日

②エレクトリック・スノー

③フォローミ―/美と出会う/まなざし

④カームウォーム

⑤山をわたる歌声

⑥山へ

 

(作品について)

オワリ山の一日から山への物語を、繋がりを持ちながら展開しています。
会場の真ん中には、ピラミッド型の見晴らし台が。
この見晴らし台に登り、山越しにオワリ山の一日の映像を見て、視点が変わる、視界が変わるということを意識してもらうように作られています。

 

 

 

会場に設けられた見晴らし台

 

 

6面のインスタレーション作品の原画やトーテムポール型の複数の映像も流されています。

 

 

 

映像作品 SA YONA RAも上映されています。
この作品は、松本さんの亡くなられたお父様が、1ページだけ書き残したままの未完の絵本の続きを描いたものが元となった映像。
作品の中に描かれているキャラクターは、オバケとも何ともわからない得体のしれない存在がモチーフになっています。

 

 

 

SAYONARAの楽曲のヴァージョン違いの映像をヘッドホンで鑑賞できるように映画館型の装置も設置されています。
ご自由にご鑑賞ください。

 

 

 

まとめ

 

『子どもへのまなざし』+松本力『記しを憶う』報道内覧会レポートをお伝えしてきました。

『子どもへのまなざし』では、自分にも当てはまる子ども時代の記憶、思春期の辛くとも輝いていた日々、生命の根源的な問いかけ、などに触れることができました。
松本力『記しを憶う』では、子ども時代の懐かしい日々に、少し寂しいような、切ないような気持ちになる自分を確認できました。
この2つの展示会を通して、自分の過去の記憶と未来への希望を探しに来てみませんか?

東京都美術館でお待ちしております。

 

開催概要

 

上野アーティストプロジェクト2019『子どもへのまなざし』

■会期:2019年11月16日(土)~2020年1月5日(日)
■会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
■開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
■夜間開室:
金曜日、11月30日(土)、
12月7日(土)は9:30~20:00
(入室は閉室の30分前まで)
■休室日:11月18日(月)、12月2日(月)、
16日(月)、26日(木)~2020年1月3日(金)
■観覧料:当日券:一般 500円 / 65歳以上 300円 団体券:一般 400円
※団体割引の対象は20名以上
※学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください
※同時期開催の「コートールド美術館展 魅惑の印象派」
のチケット(半券可)提示にて入場無料
■主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館
■問い合わせ先:東京都美術館 交流係
TEL:03-3823-6921(代表)
■イベント情報: 東京都美術館HP『子どもへのまなざし』のページにてご確認ください。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_uenoartistproject.html

 

松本力『記しを憶う』-東京都写真美術館コレクションを中心に

■会期:2019年11月16日(土)~2020年1月5日(日)
■会場:東京都美術館 ギャラリーB
■開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
■夜間開室:金曜日、11月30日(土)、
12月7日(土)は9:30~20:00
(入室は閉室の30分前まで)
■休室日:11月18日(月)、12月2日(月)、
16日(月)、26日(木)~2020年1月3日(金)
■観覧料: 無料
■主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団、東京都美術館
■問い合わせ先: 東京都美術館 交流係 TEL:03-3823-6921(代表)
■イベント情報: 東京都美術館HP 松本力『記しを憶う』
のページにてご確認ください。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_collection.html

 

 
記事提供:ココシル上野


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