5.貸出施設情報に雷5656会館が追加されました!
上野を歩いておトクに楽しもう! 上野ミュージアムウィークが開催決定!
5月10日(金)~5月26日(日)は、上野エリアの人気スポット&グルメを巡るスタンプラリーで文化を楽しむウォーキング!
上野エリアでは、5月18日の “国際博物館の日” にちなみ、上野恩賜公園周辺にある博物館や美術館、動物園など 12 施設と、上野のれん会の加盟店が協力し、「上野ミュージアムウィーク」が行われます。今年は初の試みとなるデジタルスタンプラリーも行われます。5月18日の “国際博物館の日” は複数の館が “無料観覧日” となります。毎年恒例の “まちのお楽しみ” クーポンと合わせてフルにお楽しみください。
今年一番の注目は初の試みとなるデジタルスタンプラリー!上野公園内の文化施設から上野商店街の各スポットまで実に13箇所のスタンプポイントが上野エリアに出現します!
公園内の文化施設だけでなく 松坂屋上野店 本館 7Fアートギャラリー や ABAB上野店6階「上野下スタジオ」 、上野駅アートスペースのCREATIVE HUB UENO “es”とまちの中でもアートを感じられるスポットもポイントになります。中でも BUZZCHIKA (シノバズブルワリー ひつじあいすの地下)は若手アーティストの展示や演劇などまちなかで盛んに行われるアートのホットスポットです。スタンプラリーとともにアートのまち上野の風情をぜひお楽しみください。スタンプラリーの特典は、スタンプ1か所で上野のお店で使えるクーポン(スタンプ1つごとにもらえて最大13個も!)が、3か所でクリエーターコラボデジタルアート作品、7か所で参加文化施設各館の賞品が得られます。
もうひとつの目玉は、5月18日 “国際博物館の日” に行われる “無料観覧” です。当日は東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館の3館が無料で観覧できます。さらに今年は東京藝術大学美術館が美術館オリジナルグッズを先着50名にプレゼントが行われます。
※台東区立 旧東京音楽学校奏楽堂の無料観覧日は5月15日(水)です。お間違えのないようお気をつけください。
毎年恒例のクーポンサービスは上野のれん会の11店舗で使用可能です。期間中、上野ミュージアムウィーク2024参加の12箇所の文化施設の入場チケットの半券をご呈示ください。サービスソフトドリンクや生ビール、デザート、お買い上げの10%オフなど大盤振る舞いの無料サービスを実施します。友人や家族などを誘って、上野の“杜”と“まち”をまるごとご堪能ください。
■開催概要■
「国際博物館の日」記念事業2024 上野ミュージアムウィーク
開催期間:2023年5月10日(金)~5月26日(日)
会場(参加施設・団体):東京国立博物館/国立科学博物館/国立西洋美術館/東京藝術大学大学美術館/東京都美術館/東京都恩賜上野動物園/上野の森美術館/台東区立旧東京音楽学校奏楽堂/旧岩崎庭園/国立近現代建築資料館/国立国会図書館国際子ども図書館/東叡山寛永寺/上野のれん会参加店舗(順不同)
※会期中に休館日あり
主催:上野ミュージアムウィーク実行組織連盟
共同主催:上野のれん会
協賛:(一財)全国科学博物館振興財団
協力:東京都東部公園緑地事務所、台東区、(公財)台東区芸術文化財団
公式サイト:http://www.ueno-mw.com/
■【ueno杜まちふらり】上野ミュージアムウィーク2024~国際博物館の日~■
5月10日(金)~5月26日(日)の間、デジタルスタンプラリーが開催されます。下記の参加施設内にスタンプポイントが出現します。
【参加施設】
・国立科学博物館
・国立西洋美術館
・東京国立博物館
・上野の森美術館
・旧東京音楽学校奏楽堂
・旧岩崎邸庭園
・東京藝術大学大学美術館
・国際子ども図書館
・寛永寺
・松坂屋上野店 本館 7Fアートギャラリー
・ABAB上野店6階「上野下スタジオ」
・BUZZCHIKA
・CREATIVE HUB UENO “es”
【利用方法】
お手持ちのスマートフォンにでジタルスタンプラリーfurariをダウンロード。スタンプラリー加盟の参加施設の指定の場所に行き、スタンプをゲットする。 スタンプ1か所で上野のお店で使えるクーポン(スタンプ1つごとにもらえて最大13個も!)が、3か所でクリエーターコラボデジタルアート作品、7か所で参加文化施設各館の賞品が得られます。 賞品の発送は、ミュージアムウィーク終了後1から2か月後に当選者に届きます。
スタンプ1個・・・・・上野のお店で使えるクーポン(スタンプ1つごとにもらえて最大13個も!)
スタンプ3個・・・・・クリエーターコラボデジタルアート作品
スタンプ7個・・・・・参加各館の賞品
【上野のお店で使えるクーポン】
クーポン実施店はクーポンサービスをご参照ください
【クリエーターコラボデジタルアート作品】
上野界隈を中心に活動する若手アーティスト支援団体・藝を育むまち同好会の若手アーティスト4名が制作したデジタルアート作品を配布します。
TOMIMOとあきな
「記憶との遭遇」をテーマに作品制作している。人間の視線だけではなく機械の視線をも組み込むことで現実と現実味のギャップを探求している。主な展示に、『マモノ』(銀座ニコンサロン, 2018)、『HUMAN<3』(京都国際映画祭, 2019)、トミモトラベル名義『私のバスはどこですか?』(種子島宇宙芸術祭, 2019)ほか。著書に『mamono』(PlaceM出版, 2020)。東京藝術大学院先端芸術表現修了。
Web : https://ak-7.net
磁佑(じゆう)
多摩美術大学工芸科金属専攻卒業。金属や鹿角、木材等を素材に工芸技法を用いてオリジナルのSF作品を制作しています。近頃は3Dプリンターを用いた派生作品も制作しています。
MAHANA
fair enough Creative director
コンセプトや表現に合わせ、平面から立体物など様々な手法で製作作品コンセプトは、パーソナル的なものから社会風刺まで、その時々の思想を投影
Instagram:https://www.instagram.com/mahana_fe_d/?hl=ja
fair enough
2021年にスタートしたデザイナーズブランドfair enough。“十分な公平さと対話”をコンセプトに、表現の探求を行うブランド
ニューヨークファッションウィーク2024AWに出展
Instagram:https://www.instagram.com/fairenough_official_/?hl=ja
コボリサヤカ
ぬいぐるみアーティスト。smallmoat(合)代表。1991年9月18日生まれ。
新潟県産まれ神奈川育ち。「だけじゃない」をコンセプトにした手のひらサイズのオリジナルキャラクターを製作。型紙製作から、染色、小物製作まですべて一から創っています。
Instagram:https://www.instagram.com/coborisayaka/?hl=ja
CHIKA TOYS
チカ
広島県福山市出身。メカと可愛いを融合させ、レトロフューチャーな世界観を創造しております。朽ちた世界で人間を模して生活し続ける錆びたロボたちのストーリーです。作家として10年を迎えました。色々なイベントに出展し、藝育会でも作品を出展させていただいております。
Instagram:https://www.instagram.com/chikatoys/?hl=ja
【参加各館の賞品一覧】
〇国立科学博物館
共通招待券を20組40枚
〇国立西洋美術館
「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」観覧券 20組40枚
〇東京国立博物館
総合文化展招待券+オリジナルチケットフォルダ セット 20組40枚
特別ガイドツアー招待(博物館が指定する日の実施)10組20名様
〇上野の森美術館
昨年開催した「恐竜図鑑展」のオリジナルグッズ 16名分
(マグカップ、ボールペン、ステッカーのセット)
〇旧東京音楽学校奏楽堂
招待券2枚+チケットフォルダ1枚を10セット
(計 招待券20枚、チケットフォルダ10枚)
〇旧岩崎邸庭園
オリジナルエコバッグ 20名様(お一人1個)
〇東京藝術大学大学美術館
大学美術館オリジナルポストカード 20名様
〇寛永寺
非売品の特製ご朱印帳 20名様(お一人1冊)
■クーポンサービス■
5月6日(土)~5月28日(日) の期間、下記店舗にて各館の半券をご提示いただくと無料サービスが受けられます。サービスの内容などの詳細は、上野ミュージアムウィーク公式サイトをご覧ください。
【参加店舗】
よし寿司 上野店、あんみつ みはし、伊豆榮(鰻割烹)、Hatoya(婦人服)、天寿ゞ (天ぷら)、会席中華料理 上野 池之端 古月、洋食 黒船亭、亀屋 一睡亭(御蒲焼・旬菜料理)、焼肉 太昌園、厳選洋食さくらい、しゃぶしゃぶ 鉢の木
【利用方法】
上野公園の文化施設の半券を提示
※お1人様1枚提示
※クーポンサービス併用不可
■プレゼント■
【上野の森美術館】
5月3日(金・祝)美術館オリジナルグッズプレゼント
●時間:10:00〜
●内容:受付カウンターにて展覧会入場者先着50名
【国立西洋美術館】
5月18日(土)美術館オリジナルポストカードプレゼント
●時間:9:30〜
●場所:常設展改札
●対象:常設展入場者先着200名
【東京藝術大学大学美術館】
5月18日(土)美術館オリジナルグッズプレゼント
●時間:10:00〜
●場所:エントランスホール
●対象:展覧会入場者先着50名
【BUZZCHIKA 展示情報】
展示タイトル:FIND IT!!!
上野の杜から街にPOP OUTされた小さな生命体がバズチカという空間に集合する
日常生活ではお目にかかることのない多種多様な生命体と遭遇体験をお楽しみください
開催日:2024年5月10日(金)-12日(日)、5/17(金)-19(日)、5/24(金)-26(日)
時間:13:00-17:00
場所:〒110-0005 東京都台東区上野2丁目10−7 かきくけこビル B1F
出展アーティスト:コボリサヤカ 磁佑 チカトイズ MAHANA fair enough
■国際博物館の日とは ■
「国際博物館の日」は1977年に国際博物館会議(ICOM)が設けた博物館の記念日です。多くの方に博物館に親しんでいただくこと、博物館の役割をより広く知っていただくことなどを目的に、5月18日とその前後に世界中の博物館で記念行事が行われます。国際的にも稀なほど、博物館・美術館などの文化施設が多数集まる上野では、毎年「国際博物館の日」の前後を「上野ミュージアムウィーク」として文化施設と上野のれん会が様々な記念イベントを行っています。
■上野のれん会■
花の雲、上野は大江戸このかたの盛り場代表。明治このかた芸術文化の発信地。 上野のれん会は、その上野の有名店約100店の連合体です。1959年(昭和34年)の創立以来この地の文化的伝統の再発見をめざして、タウン誌「うえの」を、毎月発行してきました。通巻776号(2024年5月現在)になります。
■フライヤー■
◎お問い合わせ
上野ミュージアムウィーク実行委員会事務局
TEL 03-3833-8016 FAX 03-3839-2765(上野のれん会内 平日10:00~17:00)
【上野のれん会】プレスリリースより
記事提供:ココシル上野
5.【東京都美術館】「デ・キリコ展」取材レポートを公開しました!
【東京都美術館】「デ・キリコ展」取材レポート。多くのシュルレアリストに衝撃を与えた形而上絵画など、その芸術の全容に迫る
東京都美術館
20世紀を代表する巨匠ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)の、日本では10年ぶりとなる大規模回顧展「デ・キリコ展」が東京・上野の東京都美術館で開催中です。会期は2024年8月29日まで。
サルバドール・ダリやルネ・マグリットといったシュルレアリストをはじめ、数多くの芸術家に多大な影響を与えた「形而上絵画」で名声を獲得したジョルジョ・デ・キリコ。前衛画家としてのイメージが強いですが、一方でルネサンスやバロックといった古典主義的な表現手法にも傾倒し、時代によって画風を大きく変化させていった人物でもありました。
回顧展というと、作家の初期から晩年までの作品を時系列に並べて紹介するのが一般的です。しかし本展では、世界各地から集まった油彩を中心とする100点以上の作品を「自画像・肖像画」「形而上絵画」「伝統的な絵画への回帰」など、デ・キリコが扱ったテーマやモチーフごとにまとめ、それらをどのように描き続け、変化を加えていったのかをわかりやすく紹介しています。
第1章では導入部として、自画像と肖像画に注目。デ・キリコがその画業の初期から取り組み、生涯で何百枚も手掛けたという自画像に見られる多様な様式の変遷には、彼が追い求めたそれぞれの時代の研究成果が表れています。
デ・キリコは1888年にギリシアでイタリア人両親のもとに誕生し、父の死後、母、弟とともにドイツのミュンヘンへ移住。そこで美術学校に入学するも中退し、1909年にイタリアのミラノへ居を移します。当時のデ・キリコはフリードリヒ・ニーチェの哲学や、《死の島》で有名な抽象主義の画家アルノルト・ベックリンの絵画などから大きな影響を受けており、本展にはこの時期、つまりパリで形而上絵画を確立する以前の初期段階に描かれた貴重な肖像画《弟の肖像》(1910)を見ることができました。
《自画像》(c1922)は、前衛運動による表現形式の破壊への反動で、古典絵画の秩序を再発見した「秩序への回帰」という動向が西洋美術を席巻した時代に、デ・キリコが応答として手掛けたもの。ピエロ・デッラ・フランチェスカやラファエロ・サンツィオといった、ルネサンス絵画の堅固なヴィジョンに基づいています。
また、自画像のなかには17世紀風の衣装や闘牛士に扮装をしているものもありました。そういった演出的な試み、演劇的嗜好はデ・キリコ作品の特徴のひとつであり、彼がそのキャリアで断続的にかかわっていたオペラや演劇などの舞台美術と密接に関係しています。なお、展示後半ではデ・キリコが手掛けた舞台衣装やデザインスケッチも紹介されているので、相互に与えた影響を想像しながら鑑賞するのも面白そうです。
第2章ではデ・キリコの代名詞ともいえる形而上絵画を、「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」という3つのテーマにわけて構成。ふだんは世界中に散らばっている1910年代黄金期の代表作が多数集結した、本展のハイライトです。
デ・キリコは1910年のある日、フィレンツェのサンタ・クローチェ広場で、見慣れたはずの景色が初めて見るものであるかのような感覚に襲われたといいます。その「啓示」をきっかけに、広場や室内という具象を描きながらも、歪んだ遠近法や本来ならあり得ないモチーフの配置によって、夢のイメージにも似た、私たちに見えている世界の奥にある非日常的なもの、神秘や謎をほのめかすような絵画の制作を開始。
1911年にパリに移り住むと、彼の幻想的な絵画はたちまち批評家たちを虜にし、パリにおける最前線の潮流の一角をなします。敬愛するニーチェの哲学に影響を受けたその作品群を、後にデ・キリコは自ら「形而上絵画」と名付けました。「イタリア広場」のコーナーに出展されている《沈黙の像(アリアドネ)》(1913)は、まさに形而上絵画の傑作といわれる作品です。
人の姿がない広場で、ただ画面の外から伸びる長い影が不穏な雰囲気を漂わせる《バラ色の塔のあるイタリア広場》(c1934)は、1913年制作の《赤い塔のあるイタリア広場》を複製したもの。デ・キリコは過去に描いた形而上絵画の再制作も積極的に行っており、こうした行為はときに「贋作」として非難されることもありましたが、本人は「これらの複製は、より美しい素材とより洗練された技法をもって描かれているということ以外、欠点はないでしょう」(再制作を依頼した師アンドレ・ブルトンの妻への手紙より)とポジティブに捉えていたようです。
第一次世界大戦の勃発に伴い、兵士としてパリからフェッラーラに移り住んだデ・キリコの絵画は、それまでの広場を見渡す開けた視界から、室内の閉じた空間へと転換。描かれるモチーフも、フェッラーラの家の室内や店先のショーウインドウからインスピレーションを得て、ビスケットや海図、定規といったデ・キリコの身の回りにあっただろう事物が脈絡なく登場するようになります。
それらは「形而上的室内」と呼ばれており、1910年代の作品を見ると、描かれているモチーフが不自然なほど目の前に迫っているような、外部の存在を排除した近視眼的な画面構成になっています。それが1960年代に入ると、窓を設置し、空間に広がりを生み出す構図へ変化。窓からはイタリア広場の建物も見えており、これはデ・キリコが1968年ごろから着手した、過去の作品のモチーフを統合する「新形而上絵画」の作品群に見られる特徴です。
「マヌカン」のコーナーでは、古典的な西洋絵画において特権的な地位を与えられていたモチーフである人物像を無個性のマヌカン(マネキン)に置き換え、他のモチーフと同列の、一種のモノとして扱ってみせた一連の作品群を展示。マヌカンの登場が第一次世界大戦の勃発と時を同じくすることから、マヌカンは戦争を引き起こしてしまう人間の理性の無さ、あるいは暴力に対する人間の無力さを表しているともいわれています。
ミューズや予言者、哲学者、花嫁などさまざまな役割を演じているマヌカンですが、初期の代表作《予言者》(1914-15)や《形而上的なミューズたち》(1918)では無機質に描写されていながら、時代が進むにつれて古典主義の影響を受ける形で肉感が与えられ、人間化していくという面白い変容を遂げているのは注目すべき点でしょう。
デ・キリコは、形而上的絵画からいったん古典絵画に回帰したのち、1925年に戻ったパリでシュルレアリスムの画家たちと交流をもつことによって、ふたたび形而上的絵画に目を向け、「剣闘士」や「谷間の家具」といった新しい主題も扱うようになりました。第3章では、そんな1920年代後半の展開に注目しています。
続く第4章は【伝統的な絵画への回帰―「秩序への回帰」から「ネオ・バロック」へ】と題し、本稿でもたびたび触れている、古典絵画への傾倒から得た成果を示す作品をあらためて紹介。1920年ごろからはティツィアーノやラファエロといったルネサンス期の作品を、次いで1940年代にはルーベンスやベラスケスといったバロック期の作品を研究し、シュルレアリストたちに批判されながらも、その表現や主題、技法を自らの制作に取り入れていきました。
本章には2点の水浴画があります。1点は《横たわって水浴する女(アルクメネの休息)》(1932)で、当時、ルネサンス期の古典主義研究の第一人者として知られていた印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールが晩年に描いた水浴画を原型にしています。
もう1点はその10年以上後に描かれた《風景の中で水浴する女たちと赤い布》(1945)で、バロック絵画やそれを解釈したウジェーヌ・ドラクロワ、ギュスターヴ・クールベの作品に着想を得ています。同じ主題でありながら、比較すると後者のほうが全体的に艶っぽく、暗く濃密な色彩が引き立っているなど、その筆致や様式が大きく変化したことがわかります。
最終章となる「新形而上絵画」のセクションでは、デ・キリコが1978年に亡くなるまでの10年余り、再び形而上絵画に取り組み始めてからの展開を追います。
最晩年にあって、デ・キリコは過去に手掛けてきた広場、室内、マヌカン、古典絵画にみられる神話の物語、さらには挿絵の仕事で描いた太陽と月といった要素を画面上で自由に組み合わせ、ただの焼き直しに留まらない新しい境地を切り開きました。それらの様式は「新形而上絵画」と呼ばれ、1910年代の形而上絵画にあった憂鬱で重苦しい雰囲気はなくなり、いずれも毒気を抜かれたように軽やかで明るく、どこか遊び心を感じるものばかりです。
周囲からの批判に左右されず、前衛と古典を相反するものではなく共存可能なものとし、自作の引用やオマージュを繰り返してきたデ・キリコの、まさに画業の集大成と呼ぶにふさわしい独創的な様相を呈していました。
「デ・キリコ展」概要
会場 | 東京都美術館 |
会期 | 2024年4月27日(土)~8月29日(木) |
開室時間 | 9:30~17:30 金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで) |
休室日 | 月曜日、7月9日(火)~16日(火) ※ただし、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室 |
観覧料(税込) | 一般 2,200円、大学生・専門学校生 1,300円、65歳以上 1,500円
※土曜・日曜・祝日及び8月20日(火)以降は日時指定予約制。 |
主催 | 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都美術館、朝日新聞社 |
お問い合わせ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
展覧会公式サイト | https://dechirico.exhibit.jp/ |
※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。