東京都美術館「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」

東京都美術館

エドヴァルド・ムンク《叫び》1910年? テンペラ・油彩、厚紙 83.5×66cm オスロ市立ムンク美術館所蔵

 
東京都美術館では2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)の期間、「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」が開催されます。

世界で最もよく知られる名画の一つ《叫び》を描いた西洋近代絵画の巨匠、エドヴァルド・ムンク(1863-1944)。本展は、愛や絶望、嫉妬、孤独など人間の内面が強烈なまでに表現された代表作の数々から、ノルウェーの自然を描いた美しい風景画、明るい色に彩られた晩年の作品に至るまで、ムンクの生涯を辿りながら約60年にわたる画業を振り返る大回顧展です。

展覧会概要

展覧会名 ムンク展ー共鳴する魂の叫び

会 期 2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)

休室日 月曜日(但し、11月26日、12月10日、24日、1月14日は開室) 、12月25日(火)、1月15日(火)【年末年始休館】12月31日(月)、1月1日(火・祝)

開室時間 午前9時30分~午後5時30分 ※金曜日、11月1日(木)、11月3日(土)は午後8時まで(入室は閉室の30分前まで)

会 場 東京都美術館 企画展示室
東京都台東区上野公園8-36

観覧料 一般:1600円、大学生・専門学生:1300円、高校生:800円
※12月は高校生無料
※11/21(水)、12/19(水)、1/16(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料。当日は混雑が予想されます。

公式サイト https://munch2018.jp

「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」内覧会レポートを見る
 
記事提供:ココシル上野


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【東京都美術館】「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」内覧会レポート

東京都美術館


 
東京都美術館では、2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)の期間、「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」を開催しています。
 
開催に先立ち行われた報道内覧会に参加しましたので、その様子をお伝えします。


ムンクの「叫び」と言えば誰もが知る超有名絵画です。実は「叫び」は連作で複数描かれており、版画以外に4点が現存しています。
 
今回、日本初来日となるのはムンクの故郷・ノルウェーのオスロ市立ムンク美術館が所蔵するテンペラ・油彩画のもの。繊細な素材を用いていることから、ムンク美術館でも常設はされていません。
 
本作がムンク美術館外で展示されることは稀であり、本展は実物を日本で目にすることができる非常に貴重な機会となります。
 

エドヴァルド・ムンク《叫び》1910年? テンペラ・油彩、厚紙

 
しかし、ムンクの魅力は「叫び」だけではありません。
 
本展はオスロ市立ムンク美術館のコレクションを中心に、油彩画約60点、版画を合わせた約100点を展示するムンクの大回顧展となります。
 
以下でそのうち数点をご紹介します。
 

自画像に見るムンクの生涯

 
ムンクは生涯に80点以上に上る自画像を手掛けており、描かれた表情や背景が当時の心境を読み解くよすがとなっています。
 
 
画家として駆け出しのころの作品。端正な顔立ちに自信の溢れる表情を浮かべています。

エドヴァルド・ムンク《自画像》1882年 油彩、紙(厚紙に貼付)

 
 
このころ恋人とのトラブルやアルコール依存、放浪生活によって引き起こされた妄想症に悩まされていたムンク。
エドヴァルド・ムンク《地獄の自画像》1903年 油彩、カンヴァス

背景の地獄の炎やおどろおどろしい影に、当時のムンクの鬱憤が投影されているようです。
 
 
 
ムンクの人生のターニングポイントとなった年に描かれた1枚。
エドヴァルド・ムンク《青空を背にした自画像》1908年 油彩、カンヴァス

ムンクはこの年、神経衰弱のためにコペンハーゲンの診療所に数カ月入院します。その後にようやく長年に渡る欧州での放浪を終えることを決意し、翌年祖国ノルウェーに戻ります。明るい色彩が、その後の平穏な生活を予感させます。
 
 

豊かな内面描写

 
ムンクの作品の特徴として、大胆なストロークによる綿密な内面描写が挙げられます。
 
 
《メランコリー》と題された本作。

エドヴァルド・ムンク《メランコリー》1894年-96年 油彩、カンヴァス

人物の鬱々とした感情が、その表情にのみならず、背景にもにじみ出ているかのよう。
 
 
 
こちらは《叫び》と同じ構図を用いて制作されています。
エドヴァルド・ムンク《絶望》1894年 油彩、カンヴァス

《叫び》、《絶望》ともオスロのフィヨルドに沈む夕日を背景としていますが、《叫び》が背景と相互に呼応しているように見えるのとは対照に、本作の人物は絶望に深く沈み、周囲から隔絶しているようです。
 
 
 
背景にちらりと映る窓外の明るさとは対照的な暗い屋内。強い愛により男女間の輪郭は破壊され、ふたりは一体化します。
エドヴァルド・ムンク《接吻》1897年 油彩、カンヴァス

孤独や憂鬱、嫉妬といった負の感情を押し出した作品を多く描いているムンクですが、男女をモチーフとした作品も多数残しています。
 

特別解説

 
内覧会では、オスロ市立ムンク美術館で展覧会・コレクション部長を務めるヨン=オーヴェ・スタイハウグ氏による特別解説がありました。

ヨン=オーヴェ・スタイハウグ氏(ムンク美術館 展覧会およびコレクション部長)

「(連作《叫び》について)120年前には、ばかばかしい、醜い、品がない、という人すらいましたが、現在こうして世界中で注目を集めているのがとても興味深いと思います。《叫び》はムンクが非常に過激であると同時に、実験的な試みをしていたことを表しています。自身の経験に基づいた、不安や絶望といった感情を伝えるために、通常では使用されないような素材(パステルやテンペラ、鉛筆に厚紙)を用いて作成しています。」
 
「ムンクの多くの作品に共通して言えることですが、人物やその顔を通して、観ている者と対決しているような印象を与え、また一方では遠近法を通して観ている者を引き込むような要素も見られます。自分の感情をドラマチックに表しています」
 
また、イチオシの作品も教えてくださいました。
エドヴァルド・ムンク《赤い蔦》1898-1900年 油彩、カンヴァス

「(《叫び》と同室に展示されている)《赤い蔦》は、《叫び》と同じくらい強く、激しい感情を伝えています。素晴らしく、力強い作品です。」


ムンクの作品のみで構成されている、見ごたえたっぷりの「ムンク展ー共鳴する魂の叫び」は東京都美術館で2019年1月20日まで開催されています。
 
どっぷりとムンクの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。
 
※作品はすべてオスロ市立ムンク美術館蔵 All Photographs ⓒMunchmuseet
 

展覧会概要

展覧会名 ムンク展ー共鳴する魂の叫び

会 期 2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)

休室日 月曜日(但し、11月26日、12月10日、24日、1月14日は開室) 、12月25日(火)、1月15日(火)【年末年始休館】12月31日(月)、1月1日(火・祝)

開室時間 午前9時30分~午後5時30分 ※金曜日、11月1日(木)、11月3日(土)は午後8時まで(入室は閉室の30分前まで)

会 場 東京都美術館 企画展示室
東京都台東区上野公園8-36

観覧料 一般:1600円、大学生・専門学生:1300円、高校生:800円
※12月は高校生無料
※11/21(水)、12/19(水)、1/16(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料。当日は混雑が予想されます。

公式サイト https://munch2018.jp

記事提供:ココシル上野


その他のレポートを見る:https://www.culture.city.taito.lg.jp/ja/reports

「旧東京音楽学校奏楽堂 リニューアルオープン記念式典」取材レポート

台東区立旧東京音楽学校奏楽堂

上野公園の片隅に佇む台東区立旧東京音楽学校奏楽堂。

当館は、明治23年に東京音楽学校(現・東京藝術大学音楽学部)の施設として建てられた「日本最古の洋式音楽ホール」です。後に東京藝術大学から台東区が譲り受け、昭和62年に現在の地に移築・復原、翌年に重要文化財の指定を受けます。

老朽化が進んでいたため、平成25年4月より休館し、建物の耐震補強及び保存修理のほか、舞台正面のパイプオルガンの修理が実施されました。

11月2日、約5年半にわたる休館を経て、旧奏楽堂がリニューアルオープンしました。

それにともない開催された記念式典の様子をお伝えします。


素晴らしい秋晴れのなか開催された落成式。開会前には、東京藝術大学音楽学部の学生の方々による演奏がありました。

多数の来賓が出席されました。 挨拶をする服部征夫・台東区長。

祝辞を述べる澤和樹・東京藝術大学長。

ご自身も東京藝術大学を卒業された澤学長は、旧奏楽堂の歴史の目撃者でもあります。

澤学長「私が在学時にはキャンパス内に奏楽堂がありましたが、老朽化が進み、300人が入るとその重みで1階のドアが開かなくなるほどでした。オルガンも音が出ませんでした。大学4年生の時に卒業試験をこの奏楽堂で受けましたが、それを最後に本堂は使用されなくなりました。

その後、明治村へ移築するといった話も出ましたが、上野に残したいという声が多く、台東区により1987年にここ上野公園に移築されました。その際に開催された記念公演にも私は参加しています。今回、また記念公演に参加することができて光栄です。」

来賓の方々によるテープカットにより、旧奏楽堂が落成しました。


落成したばかりの旧奏楽堂のホールにて、澤学長を中心とした弦楽アンサンブルのミニコンサートが開催されました。

曲目
・ワーグナー
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への「前奏曲」
(オルガン独奏)
・J.S.バッハ
2つのヴァイオリンのための協奏曲 二短調 BWV1043
(第一ヴァイオリン 岡本誠司氏、第二ヴァイオリン 澤和樹氏)
・アルビノーニ
オルガンと弦楽のためのアダージョ ト短調
(ジャゾット編)

修理を経た舞台正面のパイプオルガンも、東京藝術大学大学院オルガン専攻を修了し、現在同大音楽学部オルガン専攻教授・主任をされている廣江理枝さんによって演奏されました。比較的小ぶりなオルガンながら、迫力のある音色が特徴です。

2曲目で第一バイオリンを務めた岡本誠司氏は、東京藝術大学の卒業生で、現在ベルリンで腕を磨いています。

ミニコンサートの最後には、旧奏楽堂でピアノを弾いたこともある瀧廉太郎氏作曲の「花」をアンコール演奏。歌詞に「春のうららの隅田川」とあるように、台東区とゆかりのある曲です。

「花」演奏の様子は以下の動画でご覧いただけます。


ミニコンサートののちには館内を見学することができました。

ミニコンサートが開催されたホール
舞台から見た客席
2階のコンサートホールにつづく階段
パイプオルガンの仕組みを再現した展示
1階玄関脇の瀧廉太郎像

5年半ぶりにリニューアルオープンした旧東京音楽学校奏楽堂。歴史的建造物としてだけではなく、生きた文化財として演奏会や音楽資料の展示を楽しむことができます。

11月2日から建物が公開されていますので、上野にお越しの際に覗いてみてはいかがでしょうか。

施設案内

 

公開日 日・火・水曜日(木・金・土曜日はホールの使用が無い場合)
公開時間 9:30~16:30(最終入場 16:00)
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝休日にあたる場合は、その翌平日)
年末年始(12月29日~翌年1月3日)
特別整理期間

入館料一般300円(200円)
小・中・高校生100円(50円)
※()内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、療育手帳、精神障害者福祉手帳、特定疾患医療受給者証をお持ちの方とその介護者の方は無料
※毎週日曜日は、台東区内在住・在学の小・中学生とその引率者の方は無料(第5日曜日を除く)

住所

台東区上野公園8-43

TEL

03-3824-1988

公式HP

http://www.taitocity.net/zaidan/sougakudou/

 


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