「旧東京音楽学校奏楽堂 リニューアルオープン記念式典」取材レポート

台東区立旧東京音楽学校奏楽堂

上野公園の片隅に佇む台東区立旧東京音楽学校奏楽堂。

当館は、明治23年に東京音楽学校(現・東京藝術大学音楽学部)の施設として建てられた「日本最古の洋式音楽ホール」です。後に東京藝術大学から台東区が譲り受け、昭和62年に現在の地に移築・復原、翌年に重要文化財の指定を受けます。

老朽化が進んでいたため、平成25年4月より休館し、建物の耐震補強及び保存修理のほか、舞台正面のパイプオルガンの修理が実施されました。

11月2日、約5年半にわたる休館を経て、旧奏楽堂がリニューアルオープンしました。

それにともない開催された記念式典の様子をお伝えします。


素晴らしい秋晴れのなか開催された落成式。開会前には、東京藝術大学音楽学部の学生の方々による演奏がありました。

多数の来賓が出席されました。 挨拶をする服部征夫・台東区長。

祝辞を述べる澤和樹・東京藝術大学長。

ご自身も東京藝術大学を卒業された澤学長は、旧奏楽堂の歴史の目撃者でもあります。

澤学長「私が在学時にはキャンパス内に奏楽堂がありましたが、老朽化が進み、300人が入るとその重みで1階のドアが開かなくなるほどでした。オルガンも音が出ませんでした。大学4年生の時に卒業試験をこの奏楽堂で受けましたが、それを最後に本堂は使用されなくなりました。

その後、明治村へ移築するといった話も出ましたが、上野に残したいという声が多く、台東区により1987年にここ上野公園に移築されました。その際に開催された記念公演にも私は参加しています。今回、また記念公演に参加することができて光栄です。」

来賓の方々によるテープカットにより、旧奏楽堂が落成しました。


落成したばかりの旧奏楽堂のホールにて、澤学長を中心とした弦楽アンサンブルのミニコンサートが開催されました。

曲目
・ワーグナー
『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への「前奏曲」
(オルガン独奏)
・J.S.バッハ
2つのヴァイオリンのための協奏曲 二短調 BWV1043
(第一ヴァイオリン 岡本誠司氏、第二ヴァイオリン 澤和樹氏)
・アルビノーニ
オルガンと弦楽のためのアダージョ ト短調
(ジャゾット編)

修理を経た舞台正面のパイプオルガンも、東京藝術大学大学院オルガン専攻を修了し、現在同大音楽学部オルガン専攻教授・主任をされている廣江理枝さんによって演奏されました。比較的小ぶりなオルガンながら、迫力のある音色が特徴です。

2曲目で第一バイオリンを務めた岡本誠司氏は、東京藝術大学の卒業生で、現在ベルリンで腕を磨いています。

ミニコンサートの最後には、旧奏楽堂でピアノを弾いたこともある瀧廉太郎氏作曲の「花」をアンコール演奏。歌詞に「春のうららの隅田川」とあるように、台東区とゆかりのある曲です。

「花」演奏の様子は以下の動画でご覧いただけます。


ミニコンサートののちには館内を見学することができました。

ミニコンサートが開催されたホール
舞台から見た客席
2階のコンサートホールにつづく階段
パイプオルガンの仕組みを再現した展示
1階玄関脇の瀧廉太郎像

5年半ぶりにリニューアルオープンした旧東京音楽学校奏楽堂。歴史的建造物としてだけではなく、生きた文化財として演奏会や音楽資料の展示を楽しむことができます。

11月2日から建物が公開されていますので、上野にお越しの際に覗いてみてはいかがでしょうか。

施設案内

 

公開日 日・火・水曜日(木・金・土曜日はホールの使用が無い場合)
公開時間 9:30~16:30(最終入場 16:00)
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝休日にあたる場合は、その翌平日)
年末年始(12月29日~翌年1月3日)
特別整理期間

入館料一般300円(200円)
小・中・高校生100円(50円)
※()内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、療育手帳、精神障害者福祉手帳、特定疾患医療受給者証をお持ちの方とその介護者の方は無料
※毎週日曜日は、台東区内在住・在学の小・中学生とその引率者の方は無料(第5日曜日を除く)

住所

台東区上野公園8-43

TEL

03-3824-1988

公式HP

http://www.taitocity.net/zaidan/sougakudou/

 


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