龍にまつわるコレクション展~辰年生まれの大観~
8月15日~10月6日
横山大観記念館
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国宝89件を含む約12万件の膨大なコレクションを誇り、その建築自体も重要文化財に指定されている、まさに日本の美の殿堂である東京国立博物館(以下、東博)。ふだんは厳かな雰囲気が漂う東博ですが、その本館前中庭にティラノサウルスやギガノトサウルスなどの巨大恐竜たち約20頭が出現! 原始の咆哮を上げながらナイトパレードを行うという意外過ぎるイベント「恐竜大夜行」が、2024年9月27日(金)・28日(土)の2日間にわたり開催されます。
本イベントに先立って実施された記者発表会に参加してきました。
「恐竜大夜行」は、株式会社ON-ARTが開発した恐竜型メカニカルスーツ「DINO-TECHNE」による体験型恐竜ライブショープロジェクト「DINO-A-LIVE(ディノアライブ)」の企画で開催されるナイトイベントです。
■「DINO-A-LIVE」の紹介動画
「恐竜が生きていたら、現代に蘇ったら、私たちはそれをどんな風に感じるのだろう?」――そんな素朴な疑問から誕生したという「DINO-A-LIVE」。言葉や情報、知識ではなく「生きている存在」を目の当たりにし、体感することでしか生まれないセンス・オブ・ワンダー(言葉にならない驚き)の感動を届ける、2011年から始動したプロジェクトです。
主役となる自立歩行恐竜型メカニカルスーツ「DINO-TECHNE」は、世界に類のないリアルな恐竜ライブショーを実現するため、ON-ART社が特殊美術品やリアルバルーンの制作などで培った技術を活かして独自に開発を進めたもの。(現在、世界14か国で特許を取得)
「私たちの恐竜というのは、まるで生きているかのように蘇る。魂を込めるように作り上げてきました」と語るのは、ON-ART社の代表者取締役・金丸賀也氏です。
ライブショーで目指すのは、自然環境や生き物の世界を学びながら楽しむエデュテイメント(エデュケーションとエンターテイメントを合わせた造語)であること。誰も本物を見たことがない恐竜ですが、最新の学説や専門家の意見を取り入れて造形の改良を重ね、骨格や皮膚、関節の動きなどあらゆる部分の再現性に徹底してこだわっているといいます。また、現生動物の鳴き声などのサンプリング音を使って1種につき数十通りの生体音を合成。恐竜の動きとリアルタイムでシンクロさせて”恐竜の音”を表現しているとか。
人間が操演しているとは思えない生き生きとした恐竜が目の前を闊歩し、しっぽを振り回しながら叫び、ときに観客に牙をむく。ダイナミックで躍動感にあふれた「DINO-A-LIVE」は、近年では国内5大都市アリーナツアーを成功させるほどに人気を集めているほか、クウェート王立博物館のロイヤルオープニングセレモニーやイタリアの人気テレビ番組に招待されるなど、海外でも脚光を浴びています。
「恐竜のイベントなら、お隣の国立科学博物館で開催するほうがお似合いでは?」と不思議に思う方もいるでしょう。
じつは、東博では2022~23年に創立150年を記念して「150年後の国宝展」を開催しており、その企業部門で“150年後の国宝候補”として参加したのが「DINO-A-LIVE」の恐竜たちでした。その縁から金丸氏らが「東博アンバサダー」に就任。日本のものづくり精神の素晴らしさを発信するため、そしてものづくり文化の粋が集積した東博への関心を高めるために企画されたのが、今回のアンバサダー企画「恐竜大夜行」というわけです。
「恐竜大夜行」は、古来より日本の絵巻物や書簡に描かれてきた、人々が寝静まった夜中に妖怪や鬼たちが繰り広げる大行列「百鬼夜行」から着想を得たもの。プロジェクト初の野外イベントになります。
金丸氏は「本館前の中庭で夜な夜な恐竜たちに大パレードさせようという、それに尽きます」としつつ、コンセプトについては次のように説明しました。
「中庭には巨大なユリの木があります。あれは恐竜時代から形をそこまで変えずに今まで生き残った種なんですね。その木が夜な夜な語り出し、恐竜たちを招聘します。そこで恐竜とともに、参加されているお客さんたちみんなで未来へ向かって野生の雄叫びを上げよう! という企画になります。人間の作った芸術や文化という価値のあるものと、原始的な感覚を融合したような演出ができればと考えています」
2日間の公演で、公演時間はそれぞれ約1時間。前半30分でさまざまな民族楽器を使った演奏、後半30分で恐竜のパレードを予定しているとのこと。全長8メートルのティラノサウルスやギガノトサウルスをはじめ、トリケラトプス、ステゴサウルス、アロサウロスなど、各時代を代表する人気者の恐竜たち約20頭が集結するそうです。
記者発表会後半では、一足早くティラノサウルスとギガノトサウルスの2頭が乱入し、会場は大盛り上がり! 長いしっぽを振り回しながら会場内を練り歩き、ときには取材陣にかみつく仕草も。
造形ももちろんですが、動きがあまりに生々しく、目の前で口を大きく開けられたときには本物ではないとわかっていても「食べられる!」とゾッとした気分になりました。頭ではなく感覚から原始的な「生きる力」を意識するこの心の動きこそが、まさに「DINO-A-LIVE」の醍醐味なのかもしれません。
受け継がれてきたものづくりの歴史と最先端技術との融合の形を体験する、東京国立博物館アンバサダー企画「恐竜大夜行」の開催は2024年9月27日(金)・28日(土)の2日間。天候によっては恐竜の頭数の制限やイベント内容の変更、または中止の可能性もあるそうなので、当日が天候に恵まれることを祈るばかりです。
なお、座席やチケット料金などは追って発表されますので、詳細は特設ページでご確認ください。
記事提供:ココシル上野
中世ヨーロッパで普及した彩飾写本の魅力に触れる展覧会「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」が国立西洋美術館で開催中です。会期は2024年8月25日(日)まで。
写本とは、15世紀に印刷技術が発明される以前のヨーロッパで普及した、動物の皮を薄く加工して作った紙(獣皮紙)に人の手でテキストを筆写し、膨大な時間と労力をかけて制作した本のことです。
華やかな装飾や挿絵が施されるケースも多く、ときに非常な贅沢品になった写本ですが、当時の人々にとって情報伝達の主要な媒体であったと同時に、キリスト教の信仰を支える重要な役割も担っていました。
本展タイトルにある「内藤コレクション」とは、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏が収集した写本零葉(リーフ/本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とするコレクションを指します。国内美術館の写本コレクションとしては最大級のもので、2015年度に同館に一括寄贈され、2020年にかけてさらに26点の写本零葉が追加されました。
本展は内藤コレクションの大多数に国内の大学図書館収蔵品などを加えた約150点を通じて、それぞれの写本の役割とともに、文字と絵が一体となった中世彩飾(※)芸術の世界を紹介する大規模展です。
(※写本の装飾は、金を多用した光り輝く特徴から「彩飾」と呼ばれます)
展示は、零葉が本来属していた親写本の用途を基準に章分けし、「1章:聖書」「2章:詩編集」「3章:聖務日課のための写本」「4章:ミサのための写本」「5章:聖職者たちが用いたその他の写本」「6章:時祷書」、「7章:暦」、「8章:教会法令集および宣誓の書」「9章:世俗写本」の全9章構成となっています。
写本装飾の代表的な例として挙げられるのがイニシャルです。
イニシャルは文頭のアルファベットを華美に飾ったもの。目を喜ばせるだけではなく、テキストの重要なセクションの始まりを示す目印や、節の区切りの役割を果たしました。面白いのは、装飾の種類がイニシャルの、ひいてはテキストのヒエラルキーを表しているという点。
たとえば、《典礼用詩編集零葉》の紙面左中央には大型の「B」の文字があり、「B」の内部上段には神が祝福する姿、下段には伝承上の「詩編」の作者ダヴィデが楽器を奏でる姿が描かれています。このように、文字の内部スペースに物語の場面や人物などを描いたものを「物語イニシャル」と呼びます。
ほかにも、彩色した地に金の文字を置いた「シャンピ・イニシャル」や、文字の周囲を線描で装飾した「線条装飾イニシャル」などがありますが、ヒエラルキーでいえば物語イニシャルが最上位。核となるテキストを最も目立つ物語イニシャルで示すことで、読む人の理解を視覚的に補助していたのです。
なお、「典礼用詩編集」は修道院や教会で1日8回、定刻に行われる礼拝である聖務日課のために、旧約聖書の「詩編」のテキストや聖歌、祈祷文などを編纂したものです。
内藤コレクションには13世紀のイングランドやフランスで制作された聖書写本の零葉が多く存在し、「創世記」の冒頭を示した《聖書零葉》はその代表的な一葉です。
膨大な文字が細かくぎっしりとレイアウトされた中で、紙面を縦に貫く金縁の装飾が目を引きますが、じつは物語イニシャルの巨大な「I」だとわかり驚きました。まさに壮大な物語の始まりを伝えるのにふさわしいスケールといっていいでしょう。2cmほどの小さな円形の中で、神による万物の創造からカインによるアベルの殺害までのストーリーを緻密に表現しています。
15世紀後半の北ネーデルラント(現在のオランダ付近)の街ズヴォレで制作された《『ズヴォレ聖書』零葉》は、物語イニシャルを含めて「D」を強調した一葉。その整然とした美しさに見入りました。
写本は当初、修道士や修道女が筆写や装飾を担っていましたが、次第に在俗の職人たちが参入していきました。本作に見られる到底手書きとは思えない洗練された書体は、ヤコビュス・ファン・エンクハイセンという能書家として名高い人物が手掛けたもので、全巻分を書き写すために14年もの歳月をかけたとか。
この調和のとれたレイアウトは、3バージョンの「詩編」を併記したことで生まれたもの。物語イニシャルには、契約の箱をエルサレムへ運ぶダヴィデなど、それぞれダヴィデの生涯の場面が描かれています。
写本が誰のために制作されたのか、どんな場面で使われていたのかをイニシャルで表すケースもあり、たとえば《典礼用詩編集零葉》のイニシャル「C」に描かれているのは、書見台の前で歌うフランシスコ会修道士の姿。つまり、親写本がフランシスコ会のために制作されたものだとわかります。
なお、本作のように植物をモティーフにしてページの余白を埋める枠装飾は、写本の中ではポピュラーですが、よく見ると本作は極彩色の優美な草花にまじって、修道士らしい奇妙な老人の頭部を浮かべている点がかなり独特。
会場にはほかにも、画家の遊び心なのか、余白部分にイタズラ描きのような装飾を施した零葉があり、ページをくまなくチェックする面白さがありました。
聖務日課の際に朗読する全テキストを収録した「聖務日課書」は、礼拝を進行する司祭が所持するものでしたが、次第に一般信徒の間にも普及していきました。
なかでも、イタリアの街フェラーラを15世紀に統治していたエステ家の依頼で制作された《『レオネッロ・デステの聖務日課書』零葉》は、世俗の信徒のために贅を尽くした華やかな作例。金を散りばめつつ糸のごとく微細な線を引いた枠装飾は豪奢なジュエリーの瞬きを思わせ、見事というほかありません。
装飾はフェラーラを代表する写本彩飾画家であったジョルジョ・ダレマーニャによるもの。全体的には後期ゴシック様式でありながら、当時のフェラーラではすでにルネサンスが幕を開けていた影響もあってか、イニシャル内部の人物の描き方はルネサンス様式の影響が見てとれます。
写本装飾は本の中で守られ、壁画やタペストリーに比べて散逸や破損を免れてきたことから、中世の美術に関する貴重な証言者ともいえます。本作も、流行の過渡期にあった二つの美意識のエッセンスが封じ込められた、時代を伝える好例といえるでしょう。
もちろん、イニシャルの装飾ではなく、ページ上で独立したスペースを割り当てられたミニアチュール(挿絵)が載った零葉も多数紹介されています。
《祈祷書零葉》はキリストを描いた挿絵を、金地に草花や虫をトロンプ・ルイユ(だまし絵/1500年頃のヘントやブリュッヘで流行した装飾)風に散りばめた余白装飾で囲っています。本来、既存の写本に挿入して美的価値を高めるために制作された紙葉ですが、所有者はそこに刺繍の縁取りを施し、小型絵画の形で礼拝に使用していたようです。
そのほか、会場では百科全書的内容を持つものや身分証明書など、キリスト教関連以外の「世俗写本」も展示。また、作品調査の成果として、筆写されたテキストの内容や書体、装飾の様式などから特定した零葉の親写本や、親写本から切り離された姉妹葉についても取り上げていました。
ときに所有者のステータス・シンボルとして、あるいは美的趣味を満たすために贅を凝らされた彩飾写本。装飾部分のみ切り取るコレクターも生まれ、書物の域を超えた一流の美術品として愛好されました。サイズこそ小型のものが多いですが、私たちが普段、美術館で目にする西洋絵画と同様の美意識が込められており、見ごたえは全く劣りません。ぜひ本展で、現代の私たちとは異なる感覚で本を読んでいただろう中世の人々の美意識について、思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
会期 | 2024年6月11日(火)〜8月25日(日) |
会場 | 国立西洋美術館 企画展示室 |
開館時間 | 9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00) ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、7月16日(火) ただし、7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、8月13日(火) は開館 |
観覧料 | 一般1,700円、大学生1,300円、高校生1,000円
※中学生以下は無料。 |
主催 | 国立西洋美術館、朝日新聞社 |
問い合わせ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
展覧会公式ページ | https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2024manuscript.html |
※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式ページ等でご確認ください。