ビートたけしさんも登壇、「江戸まち たいとう芸楽祭」記者発表会レポート

木馬亭

台東区では、2018年8月~2019年2月にかけて、本区に根付く芸能や伝統文化を肌で感じてもらう新事業、「江戸まち たいとう芸楽祭(げいらくさい)」を開催します。5月30日に浅草・木馬亭で開かれた記者発表会には、名誉顧問に就任されたビートたけしさんも登壇されました。

芸能・伝統文化の継承・発展

粋や人情など、心を感じる生活文化が息づく台東区。この風土の中で、先人たちは芸を磨き、世へ発信していきました。「江戸まち たいとう芸楽祭」は、こうした芸能や伝統文化に触れてもらうとともに、次代を担う新しい才能を発掘しようとする取り組みです。2018年8月~10月は「夏の陣」と題して、北野武監督作品の上野公園野外上映をはじめ、むかし話を創作する講談ワークショップや、屋形船で実演芸能を堪能するイベントなどが実施されます。また11月~2019年2月は「冬の陣」として、演芸場などの文化資源を活用した朗読、演劇などのほか、江戸~平成の芸能を堪能できる豪華プログラムが予定されています。

名誉顧問には、浅草フランス座(現 東洋館)で修業し芸人を目指したビートたけしさんが就任。顧問には、「浅草演芸ホール・東洋館」を率いてビートたけしさんや萩本欽一さんを育てた松倉久幸(まつくら ひさゆき)さんが就任しました。記者発表会のトークセッションには、お二人のほか、服部征夫(はっとり ゆくお)台東区長も登壇。冒頭では、服部区長がビートたけしさんに「(浅草に)おかえりなさい、たけしさん」と呼びかける場面もありました。

服部征夫 台東区長

トークセッション

先ほど区長から「おかえりなさい」という言葉がありました。たけしさん、いかがでしょうか。

ビートたけしさん:
まあ、帰ってきたわけじゃなくて、よくいるから(笑)。暇さえあれば、浅草で呑んでるんですけど。とにかく、自分が学校をクビになって辿り着いたのが、この街で。それで、妙な拍子に芸人になってしまったものだから、自分の人生の半分以上は浅草の人情でもってきたようなものです。できれば時間の許す限り、恩返ししたいと思っています。

ビートたけしさん
司会を務めたのは、河井卓治(台東区文化産業観光部長)さん

松倉会長にも、芸楽祭を盛り上げていただきます。今のお気持ちはいかがでしょうか。

松倉久幸さん:
たけしさんが名誉顧問を引き受けてくれたのは、台東区にとって、浅草にとって、非常にありがたいことだなと思っています。浅草というところは、エノケン以来、数多くの芸人が巣立っております。今も第二の「たけし」になろうということで、若い芸人さんたちが張り切っております。これから浅草は益々盛んになるだろうと思っておりますので、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。

松倉久幸(浅草演芸ホール・東洋館会長)さん

たけしさんが今回の顧問を引き受けてくださったのは、浅草に対する里帰りや、恩返しというお気持ちがあったのでしょうか。

ビートたけしさん:
浅草に行くことは、子供時代から遠足みたいなもので。中学生から高校生になると、映画から演劇から何でもあって、今でいう下北沢のような感じだったんです。でも、いつの間にか演劇場がなくなったりして、若者のエンターテインメントが下北沢のほうに行ってしまった。浅草は東洋館とかも頑張っているんですけど、もうちょっとライブハウス的なもの、ロックバンドから落語から漫才から、全部が気軽にできるフリーな劇場を浅草が率先して作って、若い奴らがチャレンジできる場所があれば、また若い奴らが目立つようになると思うんです。その助けは、どうにかしたいと思っています。

たけしさんの修業時代の浅草は、まだ人が集まらなかった時代だと思います。松倉会長は、現在の浅草をどうご覧になっていますか。

松倉久幸さん:
たけしさんが浅草に来た時代は、いわば浅草のどん底の時代でございました。オリンピックを境にテレビが浸透しまして、映画館はなくなっていく、演芸場はなくなっていく。けれども、たまたま浅草には深見千三郎という素晴らしい芸人がおりまして、彼に憧れて浅草に来たという芸人さんが大勢おりました。たけしさんも、薫陶を受けた一人。やはり深見千三郎という素晴らしい先輩、指導者がいたのは、浅草にとっても日本の演芸界にとっても、素晴らしいことだったと思っています。浅草はこれからも、そういう素晴らしい芸人が巣立つ場所であってもらいたい。その意味で、今回の芸楽祭はありがたいものだと思っています。

たけしさんを目指している若手芸人の方に、たけしさんから、何かアドバイスはありますでしょうか。

ビートたけしさん:
昔は芸人になることが、ちょっとカッコ悪いことでした。そういうのをぶち破ったのが萩本欽一さんで、そのあとを継いだのが我々だと思っています。最近では、テレビでお笑い芸人を観ないことがない。でもインターネットの世代が登場して、また時代が変わった。今度はライブの時代になって、ライブハウスがいっぱいある下北沢のほうに、文化が全部流れていくような状態なんです。それでも、こと浅草に関してはもともと歴史があって、お笑いとか映画とかの文化は浅草発信というものが多い。浅草は江戸時代くらいからの年季がありますから、そこで育つ人たちのほうが、味があるんじゃないかと思っています。伝統と歴史の裏付けを背負った素晴らしい芸人さんや職人さんがいっぱい出てくれたら、非常に嬉しいです。それで浅草がまた、文化の中心地になったらいいなと思います。

トークセッション後のフォトセッション

トークセッションでは、登壇された皆さんの浅草への愛情、そして浅草で若者に成功してもらいたいという想いを感じることができました。「江戸まち たいとう芸楽祭」は、2018年8月4日(土)より、上野恩賜公園 噴水広場にて開催される映画の野外上映を皮切りにスタートします。台東区に根付く芸能や伝統文化の祭典に、是非ご期待ください。

開催されるイベントの詳細は、公式ホームページをご覧ください。

【江戸まち たいとう芸楽祭】
http://www.taitogeirakusai.com/
 
その他のレポートを見る:https://www.culture.city.taito.lg.jp/ja/reports