【国立西洋美術館】「チュルリョーニス展 内なる星図」レポート。絵画と音楽を融合したリトアニアの国民的芸術家、34年ぶりの大回顧展

国立西洋美術館
《レックス(王)》1909年

リトアニアを代表する芸術家ミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス(1875–1911)の、日本で34年ぶりとなる大回顧展「チュルリョーニス展 内なる星図」が、国立西洋美術館で開催中です。会期は2026年6月14日(日)まで。

※展示作品はすべてミカロユス・コンスタンティナス・チュルリョーニス作、国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)所蔵です。M. K. Čiurlionis National Museum of Art, Kaunas, Lithuania.

展示風景
左から《第6ソナタ(星のソナタ):アレグロ》、《第6ソナタ(星のソナタ):アンダンテ》1908年

20世紀初頭、絵画と音楽のふたつの領域で卓越した才能を示し、リトアニア近代文化の礎を築いたチュルリョーニス。35年の短い生涯のうち、約6年間の画業で300点以上の作品を残しています。

その芸術は、ロシア帝国の支配下、民族解放運動のさなかに形成されたものであり、祖国の豊かな自然や歴史、古来より伝わる民話を創作の源泉にするなど、リトアニア固有のアイデンティティに根差しています。同時に、神智学や天文学にも関心を寄せ、人間の精神世界や宇宙の神秘を巡る思索を深めました。象徴主義絵画と抽象絵画を橋渡しするような独自の表現で知られ、とりわけ作曲家ならではの感性で、音楽形式の絵画の構造への転換といった造形的革新性が、今日における評価を確かなものとしています。

リトアニアにおける生誕150周年の祝賀ムードを引き継いで開催される本展は、国立M. K. チュルリョーニス美術館(カウナス)が所蔵する代表的な絵画や版画、素描など約80点を紹介するものです。

 展示は全3章にプロローグ、エピローグを加えた構成になっており、プロローグではチュルリョーニスの画業の出発点を紹介しています。

チュルリョーニスは、1875年にリトアニア南部の慎ましい家庭に生まれ、オルガン奏者の父親のもと、幼少の頃から音楽の才能を発揮しました。1894年、作曲を学ぶために18歳で隣国ポーランドのワルシャワ音楽院に進学。1901年まで同地で研鑽を積み、代表的な交響詩《森の中で》をはじめとする音楽作品を手がけます。その後、ドイツのライプツィヒ王立音楽院での学びを経て、長年の夢だった絵画の道を本格的に志すようになるのは、1902年頃になってからのことでした。

《森の囁き》1904年

初期の絵画作品には象徴主義的な表現が強く表れていたといいますが、残念ながらその大部分は失われています。新設されたワルシャワ美術学校に第1期生として入学した1904年に描かれた《森の囁き》(1904)は、現存する貴重な作例です。

画面では、神秘的な暗い森に立ち並ぶ木立の前に、霧のようにかすんだ手が浮かび上がっています。前年に制作された同一モティーフの絵葉書と見比べると、木立の形態にハープの弦が、森の柔らかな騒めきにハープをつま弾く音色が重ね合わされていることが、より明確に読み取れるでしょう。本作にはすでに、チュルリョーニスの絵画を特徴づける音楽的感性が色濃く反映されています。

第1章「自然のリズム」では、チュルリョーニスの描いた自然の表現を辿っています。

展示風景、右は《山》1906年
《庭(噴水)》1905/06年

ワルシャワに拠点を置きながらも、チュルリョーニスにとって、祖国の豊かな自然は創造の源であり続けました。しかし、その絵画に写実的な風景描写は少なく、主に関心が向けられていたのは、自然の動的な移ろいであったといいます。自然の内部に流れるリズムや生命の循環プロセスそのものを抽象的に、時に擬人的に捉え、そこに抒情性や象徴性を吹き込んでいきました。

左から《閃光Ⅰ[3点の連作より]》《閃光Ⅱ[3点の連作より]》《閃光Ⅲ[3点の連作より]》1906年

そうした関心は、四季の巡りなど自然を主題とする連作のかたちで結実します。3点からなる最初期の連作《閃光》(1906)では、夜が深まる中、灰色の煙から生まれた光の群れが列をなして移動し、やがて風に導かれるように青い門の前へとたどり着く、幻想的なイメージが展開されます。

閃光の正体について、一見ではホタルの発光のような自然現象を連想します。しかし、チュルリョーニスにとって「門」は重要なモティーフであり、現実と幻想、可視と不可視の境界を示す存在、あるいは精神的次元への入口や魂の通過点を象徴するものです。こうした点を踏まえると、精神や魂といった根源的な何かが、門を介して変容を遂げる過程を示唆するものとして解釈することもできるでしょう。

展示風景、右は《冬Ⅰ[8点の連作より]》1907年

また、周辺の画家の多くが、冬の静謐でメランコリックな側面に着目したのに対し、チュルリョーニスは、そこに内在する力をダイナミズムとともに可視化しようと試みました。8点からなる連作《冬》(1907)では、生命の象徴である樹木を一貫した主題に据え、冬の自然の諸相の中でさまざまな姿に変奏しています。

《冬Ⅳ[8点の連作より]》1907年
《冬Ⅷ[8点の連作より]》1907年

雪原に立つ樹木を堅牢な氷塊に閉じ込めながら、あるときは生と死、希望と絶望といった対照的な観念を提示するものとして、またあるときは神の啓示を暗示する燭台のメタファーとして表しています。やがて雪解けが生命の息吹を伝える中、樹木や雪片といったすべてのモティーフを幾何学的な星や矩形の集積に還元することで、冬に内在する強靭なエネルギーそのものを示すようなかたちで連作を締めくくっています。

第2章「交響する絵画」では、いよいよチュルリョーニスが試みた、絵画と音楽の融合というテーマを扱っています。

チュルリョーニスがこのテーマに集中的かつ体系的に取り組んだのは、1907年から1909年にかけてのことです。当時のヨーロッパでは、ボードレール、ワグナー、ニーチェらの思想を背景に、画家たちの間で絵画と音楽の融合を試みる動きが広がりました。しかし、多くの画家が色彩による共感覚的な音楽表現に関心を寄せたのに対し、チュルリョーニスは作曲家ならではの視点から、音楽の構造そのものを絵画に応用したのです。この点にこそ、モダンアートの歴史においてチュルリョーニスが特異な位置を占める理由があるといえるでしょう。

左から《プレリュード[二連画「プレリュード、フーガ」より]》《フーガ[二連画「プレリュード、フーガ」より]》1908年

二連画の《プレリュード、フーガ》(1908)では、ポリフォニー(多声音楽)の一形式であり、主題を複数の声部(パート)が模倣しながら追いかけるフーガへの導入として、プレリュードを置いています。

「プレリュード」では画面中央に浮かぶ黄金の船に目が引かれますが、注目すべきは、画面右下に描かれた首を垂れて座る人間や、上方を指す手、塔を思わせるシルエットが「フーガ」の画面下部へと連続している点です。

続く「フーガ」では、それらのモティーフに加えてモミの木が主題として登場します。穏やかな湖畔の風景かと思いきや、よく観察すると、モミの木の像と水面の反映像が対応していません。ここではフーガの構造にのっとり、各モティーフを形や色彩の微妙な変奏を伴いつつ反復し、大きく、小さく、まばらにすることで音楽性を喚起しています。

本作のように、チュルリョーニスは伝統的な遠近法に基づく再現的空間を放棄し、水平に分節した複数の層によって画面を構成していきました。そして、複数の独立した旋律を調和させながら同時進行させる対位法(フーガなどの作曲技法)さながらに、それぞれの層を共鳴させることで、まさにポリフォニーが織りなす響きの印象を視覚的に表すことに成功したのです。

左から《第3ソナタ(蛇のソナタ):アレグロ》《第3ソナタ(蛇のソナタ):アンダンテ》《第3ソナタ(蛇のソナタ):スケルツォ》《第3ソナタ(蛇のソナタ):フィナーレ》 1908年

また、チュルリョーニスは音楽のソナタ形式を絵画に導入し、より壮大な構成を有する連作を生涯で7点制作しました。本展ではそのうちの3点、《第3ソナタ(蛇のソナタ)》《第5ソナタ(海のソナタ)》《第6ソナタ(星のソナタ)》(いずれも1908)を紹介。連作の各章にはテンポを指示するタイトルが付けられており、《第5ソナタ(海のソナタ)》は「アレグロ」「アンダンテ」「フィナーレ」の3章構成です。

左から《第5ソナタ(海のソナタ):アレグロ》《第5ソナタ(海のソナタ):アンダンテ》《第5ソナタ(海のソナタ):フィナーレ》1908年

規則的な水平層によって構成された「アレグロ」では、海が音符の弾む楽譜のように捉えられており、岸辺に広がる波や泡沫、黄金色に輝く粒が軽快なリズムを生み出しています。続く「アンダンテ」では、波の動きがゆったりとしたものへと変化。静謐な雰囲気の中で、視線はリトアニア神話のイメージが重なる海底の王国へと沈んでいきます。そして「フィナーレ」では、立ち上がる大波の高揚するリズムとともに、泡や帆船といったモティーフが集約され、劇的な終幕を迎えます。

本作は、チュルリョーニスが婚約者のソフィヤと、バルト海に面した保養地でひと夏のバカンスを過ごす間に構想・制作されたもので、その祝祭感は私的な幸福感の発露であるという見方もあります。なお、「フィナーレ」の大波の図像については、葛飾北斎の《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の影響が指摘されています。(※同作は同時開催されている「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」に展示中です)

《ピアノのための交響詩「海」の楽譜草稿》1903年

海は永遠や生命の循環のイメージと結びつくとともに、波の反復が音楽的リズムを体現するため、チュルリョーニスの感性と深く共鳴するモティーフであり、交響詩や散文詩においても主題として扱われました。本章の展示室では、ピアノのための交響詩《海》がBGMとなっているほか、《海》の楽譜草稿も展示されています。チュルリョーニスがどのように自然の気配に対して耳を澄まし、その旋律を作品へ“採譜”したのかを、より多面的に探ることができるでしょう。

第3章「リトアニアに捧げるファンタジー」では、リトアニアの民族性に焦点を当てながら、チュルリョーニスの円熟期の作品を紹介しています。

1904年から1905年の日露戦争でのロシア敗戦とロシア第一革命を受け、リトアニアにおいて民族解放運動が急速に活発化しました。チュルリョーニスもまた、同国の芸術界をけん引する指導者のひとりとして運動に身を投じ、リトアニア文化の精神的マニフェストとしてのエッセイ集や、リトアニア民謡集のための挿絵などを手掛けていきます。その根底には、地方に息づく民話や民謡、工芸といった民族文化の再評価が、失われた国民・国家のアイデンティティの形成や、リトアニア的な芸術様式の構築に不可欠だという思いがありました。

ソフィヤ・キマンタイテ=チュルリョーニエネ著《『リトアニアにて』(1910年出版)のための表紙デザイン》1909年

一方で、民族文化はチュルリョーニス自身の創作においても良い着想源となりました。たとえば、《リトアニアの墓地》(1909)に登場する十字架は、民族の独立への願いが込められた同国を代表するモティーフのひとつです。

《リトアニアの墓地》1909年

本作では、テンペラ画らしい透明感のある青緑を基調とする空に、魂の道標である北斗七星が輝き、地上では十字架のシルエットがリズミカルに配置されています。これらの十字架はリトアニアの自然崇拝や祖霊信仰の伝統と、14世紀に国教として導入されたキリスト教の象徴が融合することで生まれたもので、動植物や天体の装飾的意匠がふんだんに施された独創的なものでした。

次第に十字架そのものが民間信仰化し、死者の弔いのみならず、旅の安全や豊作祈願といった広義の祈りや記念の手段として、墓地や路端、農家の敷地内などあらゆる場所に建てられたといいます。それゆえに、ロシア帝国の同化政策下で弾圧の対象になったのです。

《プレリュード(騎士のプレリュード)》1909年

より高らかに民族復興をうたっているのは《プレリュード(騎士のプレリュード)》(1909)です。めったに特定の景観を表すことのないチュルリョーニスが、リトアニアの首都ヴィリニュスを想起させるエッセンスを散りばめた都市。その上空を勇ましく駆ける透明な騎士(ヴィティス)は、14世紀から18世紀末までリトアニア大公国の国章として親しまれた、国家の独立と栄光の象徴です。

左から《おとぎ話Ⅰ[三連画「おとぎ話」より]》《おとぎ話Ⅱ[三連画「おとぎ話」より]》《おとぎ話Ⅲ[三連画「おとぎ話」より]》1907年

また、チュルリョーニスは1907年以降、民話や神話、普遍的な物語構造を自身のヴィジョンと融合させた原型的イメージを展開する、「おとぎ話」という独自の絵画ジャンルを確立しました。

魔法の世界、王や王女、騎士、旅、道といったモティーフは、このジャンルの典型的な構成要素であり、《おとぎ話(王たちのおとぎ話)》(1909)は王を主題とした作品です。夜闇に包まれた森を舞台に、リトアニアの美しい自然と農村の風景が収められた光り輝くドームを見つめる、ふたりの王。彼らは世界の二元性を体現すると同時に、小さきリトアニアを世界の外から見守る守護者でもあります。

《おとぎ話(王たちのおとぎ話)》1909年

「王」はチュルリョーニスの画業の初期から、一貫して重要な主題のひとつでした。その世界を司る超越的存在としてのイメージは、本展エピローグで登場する大作《レックス(王)》で決定的なものとなります。

一方で、チュルリョーニスは神智学や天文学といった当時の国際的な思想潮流に触れ、人間の精神世界と宇宙の神秘に対する思索を深めていきました。

《祭壇》1909年

日本初公開となる《祭壇》(1909)は、鳥瞰視点の独特な空間表現に、宇宙的なヴィジョンの感覚が満ちたチュルリョーニスの代表作です。階段状の巨大な祭壇の側面に描かれているのは、騎士や天使など、いずれもチュルリョーニスにとって象徴性を備えたモティーフ。それらが複雑に絡み合うことで、下段から上段に向けて壮大な叙事詩の様相を呈しています。同時に、階段というモティーフ自体も、高みへと上昇する人間精神の諸段階を象徴しており、その階数は宇宙と人間の構造を7つの段階に分ける神智学の理論に対応すると考えられています。

《レックス(王)》1909年

エピローグで展覧会を締めくくるのは、チュルリョーニスの思想と造形的探究を最も包括的に示す代表作であり、自身最大の絵画作品でもある《レックス(王)》(1909)です。モノクロームの美しい明暗で彩られた画面に、世界を構成する火・水・大地・大気の四大元素を凝縮。壮大な交響詩を思わせる多元的構造のもと、星や天使、木々といったモティーフが無数に反復されるなか、二重に重なった半透明の王が宇宙を垂直に貫くように地球の上に鎮座しています。

いまだ謎の多い本作において、チュルリョーニスはリトアニア土着の自然崇拝やヒンドゥー教、エジプト神話、神智学、天文学、自然科学など、これまで吸収した多岐にわたる思想をひとつの造形体系として統合し、キリスト教的な神とは異なる新しい物語を創出しました。ふたつの王は、二元論的な原理を示すと同時に、単なる世界の支配者ではなく、自然や宇宙と一体となった汎神論的な存在として描かれているのです。

本作は、画家としてさらなる飛躍を求めたチュルリョーニスが、サンクトペテルブルクへと活動の場を広げた時期に描かれたものであり、その目論見どおりに、ロシア芸術界の重鎮アレクサンドル・ベヌアから高く評価されました。しかし、チュルリョーニスがそれを知ることはなく、過酷な制作活動や精神的緊張により、次第に心身を病んでいきます。そして1911年4月10日、肺炎により35歳の若さでその生涯を閉じました。


音楽と絵画、リトアニア民族のアイデンティティ、そして人間の精神世界や宇宙の神秘を巡る思索を幻想的に描き出した、唯一無二の芸術家チュルリョーニス。2000年以降、ヨーロッパ各地で展覧会が開催されるなど、再評価の機運が高まるその独創的な世界を、ぜひ会場でお楽しみください。

「チュルリョーニス展 内なる星図」概要

会場 国立西洋美術館 企画展示室B2F(東京都台東区上野公園7-7)
会期 2026年3月28日[土]~6月14日[日]
休館日 月曜日、5月7日[木](ただし、5月4日[月・祝]は開館)
開館時間 9:30 ~ 17:30(金・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込) 一般2,200円、大学生1,300円、高校生1,000円、中学生以下無料

※観覧当日に限り「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」と常設展を共通のチケットでご覧いただけます。

※チケットはイーティックス、もしくは国立西洋美術館券売窓口で購入できます。

主催 国立西洋美術館、読売新聞社、国立M. K. チュルリョーニス美術館
展覧会公式サイト https://2026ciurlionis.nmwa.go.jp/

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。


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「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」(国立科学博物館)レポート。圧倒的パワーや猛毒など、危険生物たちの“必殺技”に焦点を当てた知的好奇心をくすぐる展覧会

国立科学博物館
展示風景

動物や恐竜、神話生物などの強さを対戦形式で紹介・考察する、いわゆる「バトル図鑑」が近年高い人気を集めています。「世界最強の動物は?」「アフリカゾウでしょ」「いや、なんだかんだ言ってカバが強い」——そうした議論は、好奇心旺盛な子どもはもちろん、大人も思わず白熱する楽しい話題のひとつです。

強大なパワー、鋭い牙、猛毒、電撃。人間が太刀打ちできない、危険生物たちの驚異的な能力。それは、獲物を狩るため、身を守るために進化の中で身につけてきた“必殺技”とも呼べる能力です。

そんな必殺技に焦点を当て、危険生物の驚くべき生態から身近な生物が秘める危険性までを科学の視点から解き明かす特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」が、東京・上野の国立科学博物館で開催中です。「最強」をめぐる議論にも、新たな視点を与えてくれるかもしれません。(会期は2026年6月14日まで)

会場入り口
展示風景
展示風景

会場のデザインコンセプトは、“危険生物の驚異的な能力を探る禁断の研究所(ラボ)”です。既存の分類群ではなく、必殺技を基準に危険生物を8タイプ(型)で分類。貴重な標本、精巧なCG、学びにつながる模型、迫力満点の資料映像など、多角的な手法を駆使して紹介しています。

■展示構成
エリアA「肉弾攻撃系危険生物」
ラボ1. パワーファイター型
ラボ2. キラーバイト型
ラボ3. 武装型
ラボ4. 大群型

エリアB「特殊攻撃系危険生物」
ラボ5. 猛毒型
ラボ6. 化学攻撃型
ラボ7. 電撃型
ラボ8. 吸血型

KEEP OUTテープが張り巡らされ、アンダーグラウンドな雰囲気が漂う危険生物研究所。

基本的に、生物1種につき必殺技1種を紹介しており、それぞれの技名は各分野の担当学芸員が本展のために名付けたそう。思わず口に出したくなるかっこいい技名から、ダジャレっぽいもの、直球すぎるものまで、担当者の個性が光ります。

オオアリクイの必殺技は「死の抱擁」と非常に詩的。

また、国内外で起こった危険生物による実際の事件を新聞風に取り上げた「アニマル新聞 超危険生物事件簿」の展示や、タイプ別に設定されたカードゲーム風のアイコンなど、子供心をくすぐるディティールの凝り方にも注目です。

アニマル新聞の展示

「パワーファイター型」の展示は、とりわけ迫力満点。アフリカゾウを筆頭に、オオアナコンダやヒクイドリなど、小細工を必要としない圧倒的な体格やパワーが脅威となる生物が登場します。

「パワーファイター型」アフリカゾウの全身骨格標本(多摩動物公園で飼育された「タマオ」のもの)/国立科学博物館蔵

たとえば、アフリカゾウは鼻を一振りするだけのシンプルな必殺技「ノーズ・パワーボム」で大打撃を与えます。その要となる鼻は長さ2m、重量150kgにも達し、骨がなく、すべて筋肉で構成されているのが特徴。ヒトの全身分の数に相当する9万本程度の筋繊維の束が集まり、複雑な伸縮を可能にしています。さらに、内部の体液量を変化させて圧力を調整する、いわば油圧のような仕組みによって硬さや形も自在に変えられるそう。そのため、単純なパワーだけではない、ニワトリの卵をつまめるほどの器用さも持ち合わせています。

3Dホログラムを駆使して、恐るべきパワーを生みだすアフリカゾウの鼻の秘密に迫っています。
「パワーファイター型」ミナミゾウアザラシの剥製/国立科学博物館蔵

続く展示では、アフリカゾウに引けを取らない巨大なミナミゾウアザラシの剥製が登場。アザラシと聞くと、のんびり横たわる丸いフォルムの癒し系動物というイメージをもっている方が多いかもしれませんが、ミナミゾウアザラシのオスは体長5m、体重3tもの威容を誇ります。

サメやシャチに咬まれても、その歯を10cmもの厚い皮下脂肪層で阻み、皮膚を再生して生き延びるケースもあるそうで、生存能力の高さもうかがえます。ここでは、街中に迷い込んだミナミゾウアザラシが、這い滑りながら必殺技「ボディプレス」で車を押し潰そうとする資料映像を上映しており、その脅威の一端が実感できるでしょう。

「パワーファイター型」キリン(首・剥製)の展示。おとなしいイメージのあるキリンも、必殺技「ネッキング」で鞭のように首をしならせて強烈な一撃をお見舞いしあう姿は、まさにパワーファイター。
「パワーファイター型」ヒクイドリの剥製/我孫子市 鳥の博物館蔵。ギネス世界記録で「世界一危険な鳥」とされ、アイスピックのような鋭く長い爪が繰り出す足技「スパイクキック」は、スイカを一撃で粉砕します。
「キラーバイト型」の展示

また、テーマ「シャチVSホホジロザメ 海の最強は誰だ」を筆頭に、会場各所に展開されているコラムで、強さをめぐる議題にさまざまな判断材料を提示してくれるのも本展の魅力です。

たとえば、「かみつき」を得意とする危険生物を集めた「キラーバイト型」の展示では、生体内でもっとも硬い組織であるエナメル質に覆われた歯の構造のほか、かむ力=「咬合力(こうごうりょく)」について解説しています。

体型に左右されない相対的な咬合力を比較するために用いられる「咬合力指数(BFQ)」を食肉類で比べると、ライオン(123)やブチハイエナ(99.6)を、体重100gほどの小型種であるイタチ科のイイズナ(164)が大きく上回るという興味深い結果が示されています。さらに、肉食類でありながら植物食であるジャイアントパンダ(151)も上位に位置しており、小さいから、あるいは草食だからといって侮れないことがわかります。

「キラーバイト型」イイズナ、フクロネコの展示

なお、イタチ科は非常に獰猛なハンターぞろいで、イイズナやクズリなど、自分より大きな獲物を鋭い犬歯で仕留めることで知られています。とりわけ、アフリカ大陸に分布するイタチ科最大級の種・ラーテルは、自分の10倍以上の体重をもつライオンにも臆することなく立ち向かうといい、その強烈な闘争心には目を見張るものがあります。

「キラーバイト型」クズリやラーテルなどイタチ科の展示

そんなラーテルの必殺技(能力)として紹介されているのは、かみつきではなく「鉄壁ボディ&アンチポイズン」。分厚く柔軟な皮膚で、動物のかみつきやヤマアラシの針、蜂の刺し傷などのダメージを受けにくいだけでなく、コブラなどの毒ヘビの一撃にも耐性があるというから驚きです。攻撃力、防御力、生存能力いずれも高い水準のバランス型ファイターといっていいでしょう。

また、「キラーバイト型」の展示では、世界最大級6m超のイリエワニ、通称<ロロン>の実寸大レプリカが日本初公開されています

「キラーバイト型」ロロン(イリエワニ)の実寸大レプリカ/原標本はフィリピン国立自然史博物館蔵

多くの人身事故が報告され、時に「人食いワニ」とも呼ばれるイリエワニ。なかでも<ロロン>は捕獲された個体として全長6.17m、体重1,075kgという驚異的な数値を記録し、「飼育下の世界最大のワニ」としてギネス世界記録に認定されています。その個体データを現地フィリピンでスキャンし、実寸大で忠実に再現したレプリカが会場に登場。100人がかりで海から引き上げられたというエピソードも納得の迫力です。また、獲物に食いつき、自身の巨体を水中で回転させ獲物をねじ切る「デスロール」の映像解説も見どころとなっています。

「武装型」の展示。ウシ科やシカ科のスタイリッシュなツノが並んでいる様子が壮観です。
「武装型」オオノコギリエイの展示。狩りの際に目にもとまらぬ速さで振り回す、異様な「大ノコギリ」はインパクト大。

バッタやピラニアなど、集団で脅威となる「大群型」の展示で見逃せないのはサスライアリのコーナーです。

東南アジアからアフリカにかけて生息し、数千万匹の大群で周囲の獲物を食い尽くしては移動する生態で知られるサスライアリ。小さなトカゲやバッタにとどまらず、子ヤギや、さらには病気で動けない老人が襲われて亡くなった例も報告されているそうで、その圧倒的な捕食力は想像するだけでも背筋が寒くなるほどです。

「大群型」サスライアリの展示

群れの中心にいる女王アリは、これまで国内外の研究者が長年調査を続けても、姿を確認すること自体が極めて難しい幻の存在とされてきました。しかし、本展監修者のひとり・九州大学総合研究博物館准教授の丸山宗利さんと、昆虫探検家・写真家の島田拓さんがケニア共和国で調査を実施。TBSの番組「クレイジージャーニー」の取材中に女王アリと遭遇・撮影に成功したとのこと。会場では、女王アリの貴重な標本の一つを日本初展示しています。

トリッキーな必殺技の多様性にワクワクさせられるのが、後半のエリアB「特殊攻撃系危険生物」です。

スズメバチやコドモオオトカゲ、ヒョウモンダコなど、多様な生物がもつ毒を解析する「猛毒型」の展示から始まり、シマスカンクがお尻から噴射する強烈な臭液や100℃の高温ガス、自爆防衛など奇天烈な必殺技が並ぶ「化学攻撃型」、最大850ボルトもの電圧を発生させるデンキウナギなどの発電メカニズムを探る「電撃型」、チスイコウモリやマダニなど吸血性生物を取り上げ、感染症の危険性にも言及する「吸血型」の展示へと続きます。

「猛毒型」コドモオオトカゲの剥製/国立科学博物館蔵

エリアBは、タランチュラやオオムカデなど生理的な嫌悪感を覚えるビジュアルの生物が多く登場するため、苦手な方は要注意。問題なければ、ぜひその姿の細部まで観察してみてください。

「猛毒型」の代表格であるサソリのコーナーでは、中型でスリムな体にサソリ界でも屈指の強力な神経毒をもつデスストーカー(“死に忍び寄るもの”の意)とともに、いかつい外見に反して毒性は弱く、多くの場合ハチに刺された程度の痛みで済むとされるダイオウサソリが登場します。サソリの毒性に「ハサミが小さい種ほど毒が強く、逆にハサミが大きい種ほど毒は弱い」という傾向があるというのが面白く、「危険性の高さは見かけによらない」という事実を分かりやすく示しています。

「猛毒型」サソリの展示
「猛毒型」ヒヨケムシの展示

見かけ倒しの生物といえば、「初対面の印象だけなら節足動物界屈指の怖さを誇る」と紹介されている「猛毒型」のヒヨケムシが象徴的です。巨大な鋏角は迫力がありますが、それ以上の脅威はありません。人間に向かって突進してくるように見えても、実際には苦手な太陽を避けられる影を求めているだけであり、非常に小心者とのこと。毒も毒針も備えておらず、なぜ本展で取り上げられたのかは不思議ですが、そこはご愛嬌。見た目の“危険生物度”は主役級です。

「猛毒型」カツオノエボシの液浸標本/新江ノ島水族館蔵。日本では春ごろに出現。刺針に触れたわずか数ミリ秒で針が飛び出し、けいれんや鋭い痛みを発生される毒を注入します。
「科学攻撃型」ヒメコンドルの剥製/国立科学博物館蔵。胃から未消化物(いわゆる「ゲロ」)を吐きかけるという嫌すぎる攻撃を仕掛けます。

また、「電撃型」のデンキウナギ、デンキナマズ、シビレエイについては、最新の技術で制作された透明標本が用いられている点も見どころです。

透明標本は、薬剤処理などで生物標本を透明にし、解剖することなく体内の構造を観察する方法です。従来の処理では、筋肉や内臓を強力な薬剤で溶かしていたため、骨以外の構造の観察が困難でした。しかし近年では、強力な薬剤を使わずに標本内の細胞や遺伝子を観察する透明化技術が次々に開発されています。本展でも、そのひとつであるCUBIC法を改良した手法が用いられており、これまで可視化が難しかった発電器官の構造を、立体的に観察できるようになりました。

「電撃型」シビレエイの展示。発電器官が体の前半部左右に葉状の1対で存在しており、電流攻撃でホホジロザメすらも撃退した例があるそう。
「吸血型」ツェツェバエの展示。吸血によって猛烈な痛みを発生させるだけではなく、媒介するアフリカ睡眠病にかかると、発熱、頭痛、精神錯乱を経て昏睡、いずれ死に至るとか……。

さて、本展は生物たちの必殺技に焦点を当て、その驚くべき生態から身近な生物が秘める危険性までを科学の視点から解き明かすことを目的とした展覧会です。しかし、総合監修を務める国立科学博物館 動物研究部の川田伸一郎さんが本展に寄せたコメントを読むと、企画の裏には、科学的理解に基づいて「正しく恐れる」ことの重要性を伝えたいという思いがあるようです。

川田さんは、危険生物の不確かな危険性を煽るマスメディアや、フェイク画像や動画があふれるインターネットに囲まれた現代社会に警鐘を鳴らします。ヒトは自分にない能力を持つ者に対して、恐怖のみならず憧れを感じ、よく知り、模倣し、それを超えたいと考える生物であり、その知識欲は、解剖学から最先端の生化学・遺伝学に至るまで、科学の発展を大きく推し進めてきました。さらに、危険生物の能力は「科学的知識の宝庫」であり、我々の生活に必要な素材や技術へと利用可能なものが多々あると強調します。

本展を巡れば、「正しく恐れる」ための知識こそが、より良い明日へ向けたヒトの生存戦略であると感じられるでしょう。

川島明さん

先立って行われた報道内覧会には、本展アンバサダー・音声ガイドナビゲーターを務める麒麟の川島明さんが登壇しました。

本展を鑑賞した感想として、「世界的にも貴重な資料がたくさんあり、エリア別に研究室のような世界観で展開していくので、アトラクションのようでした。奥に進むにつれて没入感が増していき、自分も研究員の一員になったような気持ちになりました」とコメント。特に注目の危険生物はキリンだと述べ、「草食動物で、目を見る限りおとなしくて可愛らしいと思っていましたが、映像を見るとネッキングという、己の首でヒトを死に至らしめるほどの威力で戦うことができるという。気軽に『麒麟です』なんて言うのが申し訳なくなりました」と笑いを誘いました。

最後に、本展を次のようにPRしました。
「毒が弱いサソリほどハサミが大きいという展示がありました。弱い奴ほど虚勢を張ってケンカを売ってくる、そうした人間に共通する部分が勉強できますし、展示を見終わった後には、自分の武器はなんだろうと見直せます。人を思いやる心だったり、他人を優先する優しさだったり、人間には人間にしかない武器が見つかるかもしれません。そんな素敵な発見ができる展覧会だと思います」

特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」の開催は、2026年6月14日までとなっています。

特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」概要

会場 国立科学博物館
会期 2026年3月14日(土)~6月14日(日)
開館時間 9:00~17:00(入場は16:30まで)
夜間開館 4月25日(土)~5月6日(水・休)は18時まで開館(入場は17時30分まで)
休館日 月曜日、5月7日(木)
※ただし4月27日(月)、5月4日(月・祝)、6月8日(月)は開館
料金(税込) 一般・大学生2,300円 小・中・高校生600円 (当日券)
主催 国立科学博物館、TBS、TBSグロウディア、朝日新聞社
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)、03-5814-9898(FAX)
展覧会公式サイト https://chokikenseibutsuten.jp/

※会期・開館時間・休館日等は変更になる場合がございます。
※最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は展覧会公式サイトでご確認ください。

 

記事提供:ココシル上野


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2026年 秋 開催決定! 国立科学博物館 初、“生きものの性”に迫る特別展 特別展「生きものたちの性」

国立科学博物館

会期:2026年10月31日(土)~2027年2月21日(日)
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)

国立科学博物館(東京・上野公園)では、2026年10月31日(土)より、特別展「生きものたちの性」を開催いたします。本展は、国立科学博物館として初めて“性”をテーマに据えた、生きものがもつ多様な性のすがたとその仕組みに迫る特別展です。
世の中には、当たり前のようでいて、実は深く説明できない事柄が数多く存在します。その代表的なテーマが「性」です。
性はヒトに限らず、生物全般に見られるものです。多くの生きものにはオスとメスが存在し、それぞれがつくり出す精子と卵が受精することで子孫を残します。しかし、その「すがた」「仕組み」「行動」は驚くほど多様で、生きものによって大きく異なります。たとえば、成長の途中で性が変わる生きもの、温度などの環境要因によって性が決まる生きものなど、私たちの常識を覆す事例が多数存在します。
本展では、こうした生きものの“性の多様性”を、形態、行動、性決定、子育てなどの切り口で科学的に紐解きます。生きものにとって「性」とは何かーの根源的な問いに迫る、国立科学博物館初の特別展です。

この度、本展の展示内容を表現した、ティザービジュアルが完成しました。

ビジュアルには“性”とは何かを読み解くためのキーワードが散りばめられています。
これらのキーワードが織りなすデザインは、本展で紹介する性の多様性を視覚的に伝えるもので、印象深いビジュアルに仕上がりました。

このティザービジュアルのデザインは、
アートディレクターの大島依提亜(おおしま・いであ)氏が担当しました。

特別展「生きものたちの性」はこの秋、10月31日(土)開幕です。
どうぞご期待ください。

 

【実施概要】
展覧会名:特別展「生きものたちの性」
会期:2026年10月31日(土)~2027年2月21日(日)
会場:国立科学博物館[東京・上野公園]
  (〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20)
主催:国立科学博物館、読売新聞社、フジテレビジョン
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)、03-5814-9898(FAX)
公式サイト:https://www.ikimono-sei.jp

 

■ 監修
総合監修
堤 千絵(国立科学博物館 植物研究部 多様性解析・保全グループ研究主幹)
篠田 謙一(国立科学博物館 館長)

監修
西海 功(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹)
川田 伸一郎(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹)
田島 木綿子(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹)
中江 雅典(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹)
吉川 夏彦(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究員)
並河 洋(国立科学博物館 動物研究部 海生無脊椎動物研究グループ研究主幹)
神保 宇嗣(国立科学博物館 動物研究部 陸生無脊椎動物研究グループ研究主幹)
田中 実(名古屋大学 理学研究科 生命科学領域)

 

【特別展『生きものたちの性』事務局】プレスリリースより


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超 生き残り術、大集合! 動物の世界、おどろきだらけ!? 特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」 開催決定!

国立科学博物館

会期:2026年 7月11日(土)~10月12日(月・祝)
会場:国立科学博物館(東京・上野公園)

このたび、国立科学博物館・NHK・NHKプロモーションは、2026年7月11日(土)から10月12日(月・祝)まで「いきものの生存戦略」をテーマにした特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」を開催します。
地球誕生から現代に至るまで、地球環境は目まぐるしく変化しています。この多様で変化に富んだ環境に適応したいきものが次世代を育み、長い生命進化の歴史を築いてきました。
本展では、そうしたいきものの適応進化や生存戦略、それに伴い獲得された形質や機能を「動物」を中心に幅広く紹介します。そして、NHKの自然番組『ダーウィンが来た!』との共同企画により、国立科学博物館が所蔵する標本・資料、研究成果、さらにはNHKが撮影してきた多くの映像を駆使し、動物たちの環境適応や生存戦略などを項目ごとに展開します。
また、国立科学博物館の脊椎動物・無脊椎動物・昆虫そして古生物の研究者の監修のもと、驚くべき「いきものの生存戦略」の世界をわかりやすく紹介します。

この度、本展のメインビジュアルが完成しました。ビジュアルには様々ないきものたちが大集合。

特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」はこの夏、7月開幕です。どうぞご期待ください。

 

<展示構成>
標本と映像で学ぶ! 知れば知るほど面白い! いきものたちの“生き残り術”
本展では、国立科学博物館が有する標本や最新の研究成果に加え、NHK『ダーウィンが来た!』がこれまで撮影してきた大自然を生き抜くいきものたちの迫力の映像を用いて、いきものたちの驚きと感動の世界を紹介します。

【CHAPTER 1】いきもので異なる「五感」
「視覚:見る」、「触覚:触る」、「聴覚:聴く」、「嗅覚:嗅ぐ」、「味覚:味わう」の五感
は生き残るための重要なセンサー!いきものによってどのセンサーが研ぎ澄まされていて、どんな驚きや戦略があるのだろう。

【CHAPTER 2】いきもので変わる「エネルギー補給」
生きるためには何といってもエネルギー補給が重要。その戦略はまさに多様性の宝庫で、知れば知るほど面白い。エネルギー源(動物や植物)を獲得する多様性や体内への取り込み方法にはどんな戦略があるのか覗いてみよう。

【CHAPTER 3】いきものの挑戦「サイズ」適応術 
いきものたちの体のサイズは三者三様。今は小さくても昔は大きかったいきものや、地球上最大の動物が海にいたりする。砂浜を覗くと今度は目に見えないほど小さないきものが沢山。体のサイズからも驚くべき戦略や適応が見えてくるんだ。

【CHAPTER 4】いきもので違う「移動」のかたち
いきものの大半は移動しながら生きているけれども、その手段や身体の構造は、実に多様性に富んでいる。それは生息環境に適応したり、生き残り作戦に繋げるためなんだ。でも、実は、移動しないいきものもいるって知ってた?!驚きの生き残り術を見ていこう。

【CHAPTER 5】いきものに学ぶ「集団」の意義
様々な場面で優位に立つために、いきものの大半はその生涯を単独で過ごすことが多く、重要な生き残り作戦の1つ。一方、あえて「群れる」ことで生き残ってきたいきものも少なくない。「群れる」とは?「群れない」とは?その意義や真意を見ていこう。

【CHAPTER 6】いきのもが紡ぐ「命のバトン」
いきものたちは、出会い・育み・旅立つことを繰り返しながら、次世代へ「命のバトン」を紡いでいる。それが、生きとしいけるもの全ての根源。それぞれのシーンに見られる驚きと感動の戦略や適応を見ていこう。

※本展で紹介する「いきもの」は動物とします。
※チラシ掲載画像はイメージです。掲載の動物は標本または映像で紹介します。

 

<本展オリジナルキャラクター>
「くじらじい」誕生!

Name:くじらじい
本展オリジナルキャラクター「くじらじい」は、『ダーウィンが来た!』のヒゲじいとコラボして誕生。
標本・研究・映像の見どころをつなぎ、驚きポイントを紹介します。

 

<本展ナビゲーター>
相葉雅紀さんが本展ナビゲーターに決定!

俳優・タレントとして多方面で活躍し、NHKの自然番組ナビゲーターとして『ダーウィンが来た!』に出演中の相葉雅紀さんが、いきものたちの驚きの世界へ皆さんをご案内します。

 

【開催概要】
名 称:特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」
会 期:2026年7月11日(土)~10月12日(月・祝)
会 場:国立科学博物館[東京・上野公園]
   (〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20)
主 催:国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション
制作協力:NHKエンタープライズ
公式サイト:https://ikimonoworld.jp

監 修
田島木綿子 国立科学博物館 動物研究部脊椎動物研究グループ  研究主幹
並河  洋 国立科学博物館 動物研究部海生無脊椎動物研究グループ  研究主幹
井手 竜也 国立科学博物館 動物研究部陸生無脊椎動物研究グループ  研究主幹
對比地孝亘 国立科学博物館 生命史研究部進化古生物研究グループ  研究主幹

 

【関連番組情報】

『ダーウィンが来た!』 NHK総合/毎週日曜 午後7時30分
秘境から身近な街中まで、世界で生きものに密着。最新機材をフル活用し、スクープ映像で驚きと感動に満ちた大自然の物語を紹介するNHKの自然番組。2026年は放送開始20周年!
これまで900回あまりを放送し、取材した国・地域は70を越える。取材班がものにした「世界初」の快挙は160以上!成果は多くの科学論文にもなっている。

 

【特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」事務局】プレスリリースより


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【国立科学博物館】企画展 生誕100年記念「かこさとしの科学絵本」開催のお知らせ

国立科学博物館

 国立科学博物館は、2026(令和8)年3月24日(火)から6月14日(日)までの期間、下記のとおり、企画展 生誕100年記念「かこさとしの科学絵本」を開催いたします。【詳細URL:https://www.kahaku.go.jp/tenji-event/nid00001839.html

生誕100年記念「かこさとしの科学絵本」ポスタービジュアル

かこさとし(1926-2018)は1959(昭和34)年に『だむのおじさんたち』でデビューして以来、600冊を超える作品を世におくりだした絵本作家です。彼の手がけた絵本の分野は幅広く『からすのパンやさん』などの愉快な作品に加え、『かわ』をはじめとする多くの科学絵本を制作しました。これらの作品はサイエンスコミュニケーションの先駆けともいえ、科学教育の発展を促しました。

本展ではかこさとしの生誕100年を記念し、彼の主要な科学絵本を中心に科学教育への熱い信念や自然科学への飽くなき探求心を原画とともに紹介します。研究者の視点でめぐる国立科学博物館ならではの科学絵本の世界をどうぞお楽しみください。

企画概要

企画展 生誕100年記念「かこさとしの科学絵本」

【開催場所】国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階 企画展示室および中央ホール

【開催期間】2026(令和8)年3月24日(火)~6月14日(日)

【開館時間】9時~17時
※4月25日(土)~5月6日(水・休)は18時まで
※入館は各閉館時刻の30分前まで

【休 館 日】 月曜日、5月7日(木)
※ただし、3月30日(月)、4月27日(月)、5月4日(月・祝)、6月8日(月)は開館

【入 館 料】 一般・大学生:630円(団体510円)、高校生以下及び65歳以上:無料
※本展は常設展示入館料のみでご覧いただけます ※団体は20名以上
※入館方法の詳細等については、当館ホームページをご覧ください
https://www.kahaku.go.jp/

【主  催】国立科学博物館

【特別協力】加古総合研究所

【展示概要】別添の本展チラシ参照

本展監修者

国立科学博物館 植物研究部 菌類・藻類研究グループ研究主幹
北山 太樹(きたやま たいじゅ)

専門は海藻学。世界に例をみないほど多様な暖流・寒流が流れる日本沿岸の海藻相を解明するため、北は北海道から南は小笠原まで、素潜りやドレッジなどで海藻を採集調査している。 最近では父島で日本新産となる汽水藻カナガワアオノリを発見し、調査を継続中。また、東京都内では淡水藻の調査研究も行っており、2024年には皇居外苑北の丸公園から新種の紅藻キタノマルカワモズクを報告した。当館の常設展示では、系統広場、日本の海藻、地球史ナビゲーター、田中芳男プロジェクションマッピングなどを企画している。

加古総合研究所 代表 鈴木 万里(すずき まり)
加古総合研究所の代表で、かこさとし氏の長女。平成15年から加古総合研究所に勤務し、父の仕事を支え続けた。現在は夫とともに講演活動などを行っている

 

【文化庁】プレスリリースより


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【上野の森美術館】令和7年度(第5回)「森の中の展覧会」表彰式レポート。出品数は過去最多の325点、独創的で自由な表現が集う

上野の森美術館

令和8年3月6日(金)から3月10日(火)までの5日間、上野の森美術館で令和7年度(第5回)「森の中の展覧会」が開催されました。

「森の中の展覧会」は、台東区と上野の森美術館が令和3年度から共催している、障害のある方々によるアート展です。美術館で作品を展示する機会を通じて、文化芸術に携わる楽しさを感じてもらうことを目的としています。

会場風景
会場風景
会場風景
会場風景
会場風景

応募対象は、台東区に在住・在学・在勤、または区内の障害者施設や団体を利用している障害のある方々であり、水彩画やクレヨン画、切り絵、粘土など、ジャンルやテーマを問わず自由な表現で制作できます(※)。5回目の開催となる今回は、過去最多となる325点の作品が展示されました。

(※)…壁面での展示が可能な平面作品に限る。

会場風景
会場風景
会場風景

3月7日(土)には表彰式が行われ、特に優れていると評価された作品として「台東区長賞」(1点)、「上野の森美術館賞」(1点)、「優秀賞」(3点)、「佳作」(6点)の各賞が授与されました。なお、審査員は武蔵野美術大学 樺山祐和学長、書家で高友社理事長の蕗野雅宣さん、上野の森美術館学芸員の坂元暁美さん、準審査員は本年度の美術ワークショップ講師である書家の伊藤桐花さん、画家の吉田さとしさんが務めています。

服部征夫台東区長

式の冒頭では、服部征夫台東区長が受賞者に祝意を示し、「今回の受賞を機に、さらなる創作活動に励んでいただきたい」と激励。出展作品は、いずれも豊かな表現力と独創性にあふれていると紹介し、「作品に込められた思いや自由な発想から生まれるアートの魅力を感じ、障害者への理解を深める機会になれば」と期待を寄せました。

上野の森美術館 宮内正喜館長

続けて、上野の森美術館 宮内正喜館長が登壇。2022年から上野の森美術館が台東区と連携して展覧会を開催するとともに、障害者福祉施設での美術ワークショップにも取り組んできたことを説明し、台東区における美術活動の広がりを喜びました。出展作品については「描くことの楽しさや、伝えたいという気持ちにあふれた、それぞれがかけがえのない表現」と評し、「作品から生まれるさまざまな思いを感じていただければ」と述べました。

武蔵野美術大学 樺山祐和学長

最後に審査員代表として、武蔵野美術大学 樺山祐和学長による講評が行われました。多彩な表現が集う本展ですが、樺山氏は本年度ならではの傾向として、「墨絵や書などの墨を使った作品が非常に多く、良い作品が集まった」と述べ、「今日あらためて壁に飾られた作品を見て、その一つ一つがいろいろな声で歌っているように感じられた」と振り返りました。

さらに、美術(造形表現)が人の心を打つ理由について、「生命感があふれており、作品そのものが私たちにピュアな感覚を与えてくれるからではないか」と述べたうえで、出展作品を「いずれもピュアで、柔らかな印象がある」と称賛。混迷する時代において、「絵を描くこと、表現することには、さまざまな困難を乗り越えていく可能性がある」と語り、展覧会のさらなる発展への期待と、関係者への敬意を表しました。

ご家族や来場者の前で、賞状と副賞が授与されました。
左から、服部征夫台東区長、台東区長賞を受賞した中島直良さん、石川義弘台東区議会議長

台東区長賞を受賞した中島直良さんのアクリル画《前穂高》は、北アルプス・前穂高岳の残雪がのぞく初夏の姿を描いた一作。突き抜けるような深い青の空と、鮮やかな緑の斜面のコントラストが印象的です。筆致をあえて残す伸びやかなタッチが、ダイナミックな山容に生き生きとしたリズムを与えています。

台東区長賞《前穂高》中島直良

中島さんは、「森の中の展覧会」の第1回から出品しているという常連作家です。絵を描き始めたのは、病気で体調を崩してからのこと。なかでも「描いていて心が落ち着く」という山は、10年以上にわたり取り組んでいる主題だといいます。

本作は、体調を崩す以前、長野県を流れる梓川にかかる河童橋から前穂高岳を見上げた思い出をもとに、写真資料などを参照しながら約半年かけて制作したとのこと。「自分の好きな絵を描いただけですが、こういった賞をいただけるのは嬉しいこと」と受賞を喜び、次回は群馬県・榛名山にある烏帽子岩の景観に挑戦してみたいと意欲をのぞかせました。

上野の森美術館賞《万華鏡の家》卵の国の王様の画家

上野の森美術館賞を受賞したのは、「卵の国の王様の画家」さんの《万華鏡の家》。鮮やかな原色のストライプと幾何学的な構図が、空間の奥行きと物語性を感じさせ、見る者を色の世界へと誘うエネルギッシュな作品です。

もともと上野にある美術館や文化施設めぐりが趣味で、上野の森美術館は特にお気に入りの場所だったそう。そのため、初出品でいきなり賞を受賞したことに、喜びもひとしおだったといいます。

「卵の国の王様の画家」という特徴的なアーティスト名は、空想上の物語に登場する、とある王国の王様やモチーフを描く画家、という世界観を表したもの。王様が目にしている万華鏡に現れた花や車、動物などを、これまでも50点以上の絵で表現してきたといいます。なかでも「家」は、温かく安心できる場所として、本人にとって思い入れの強いモチーフだったため、今回の出品につながりました。

頭に浮かんだ景色やひらめきを忠実に再現するため、制作はいつもスピーディーで、本作も10分ほどで仕上げたというから驚きです。次回は「王様の休日」をテーマに制作予定とのこと。これからの「卵の国」ワールドの展開が待ち遠しいです。

優秀賞、左から《書 昇太之円相》横川昇太、《無題》音頭由基
優秀賞《どんな色がすき?》川浦 陽南子
佳作、左上から《どらやき》斎藤 永津子、《元気なカメ》藤田 ウヤンガ、左下から《版画》内山 龍、《旭川の森》恒松 良彰、《夢鯨》なるみ
佳作《みんなのMALAMA》放課後等デイサービスMALAMA

会場では、出品作家がご家族と嬉しそうに記念撮影をしている一方で、来場者が作品に添えられた作家コメントをヒントに、発想の素晴らしさや創意工夫について熱心に言葉を交わす場面も多く見られました。一角では、福祉作業所等で製作されたオリジナル商品の販売「森の中マルシェ」も行われ、終始にぎわいに包まれていたのが印象的です。

右は、「森の中の展覧会」チラシの題字・森のイラストを担当した高橋祐次さんの原画《森の中》

ますます輪が広がる「森の中の展覧会」。受賞作品の一部は4月30日まで台東区役所1階 アートギャラリーにて展示を予定していますので、ぜひ足を運んでみてください。

 

■令和7年度(第5回)「森の中の展覧会」概要
会期:令和8年3月6日(金)~3月10日(火)
会場:上野の森美術館
入場料:無料
受賞作品一覧:https://www.culture.city.taito.lg.jp/ja/shogaisha_arts/morinonakanotenrankai/r07

■美術ワークショップの様子を公開しています
令和7年12月5日実施 美術ワークショップ映像
https://www.youtube.com/watch?v=cFAXP3nOTe8

■表彰式の様子を公開しています
令和8年3月7日実施 令和7年度(第5回)「森の中の展覧会」表彰式映像
https://www.youtube.com/watch?v=FQtVyqyo1v8


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東京国立博物館で毎年恒例「博物館でお花見を」 2026年3月10日(火)~4月5日(日)に開催!

東京国立博物館

博物館にも春が訪れました。東京国立博物館(館長:藤原誠)は、今年も春の恒例企画「博物館でお花見を」を開催します。
本館では、桜をモチーフにした日本美術の名品を各展示室でご覧いただけます。また、庭園では約10種類の桜が続々と開花します。作品鑑賞とあわせて、庭園散策や各種イベントもお楽しみください。

メインビジュアル

 

■本館で桜めぐり
主に日本美術を展示する本館の各展示室では、桜の名所を描いた絵画「嵐山春景」をはじめ、「色絵桜樹図透鉢」や「桜西行蒔絵硯箱」といった、桜をモチーフにした陶磁器や漆工など、さまざまな作品をご覧いただけます。
該当作品のキャプションには桜マークが付いていますので、それを探しながら展示室内の桜をご堪能ください。
※4月7日(火)まで、本館2階「屏風と襖絵」「暮らしの調度」「書画の展開」「能と歌舞伎」「浮世絵と衣装」は閉室しています。

 

【主な展示作品】 ※作品はすべて東京国立博物館蔵

1. 嵐山春景(あらしやましゅんけい) 塩川文麟筆 明治6年(1873) 塩川文麟氏寄贈
3月10日(火)~4月19日(日) 本館1階「近代の美術」にて展示
文麟(ぶんりん)は京都に生まれ、幕末から明治初期にかけて活躍した、近代京都画壇の基礎を築いた画家の一人です。本作品は、山水の名手としても知られた文麟が、桜の名所である嵐山の情景を描いたもので、画面全体を覆う靄(もや)にけぶる大気の表現により、嵐山に咲く可憐な桜がより映えています。文麟自ら博物館に寄贈した作品です。

1. 嵐山春景

2. 色絵桜樹図透鉢(いろえおうじゅずすかしばち) 仁阿弥道八作 江戸時代・19世紀
3月10日(火)~5月31日(日) 本館1階「陶磁」にて展示
満開の桜が器の内側と外側に、白を中心に赤、青の絵具を用いて点描表現であらわされています。口縁近くにあしらわれた複数の透(すかし)表現も巧みで、のぞき込むとまるで花を揺らす風まで感じられるような、心躍る一作です。

2. 色絵桜樹図透鉢

3. 桜花山鵲図鐔(おうかさんじゃくずつば) 塚田秀鏡 明治3年(1870)
3月3日(火)~5月24日(日) 本館1階「刀剣」にて展示
のどかな春を祝うかのように、鐔のなかで山鵲が舞い、桜が花を咲かせています。ゆったりとした空気を感じるのは、尾の広がりや桜の枝ぶりが余白と調和しているからです。この鐔は武士の世が終わってまもない時期に作られましたが、刀装具で培われた彫金技術と洗練された感覚は、近代の金工作品に大きな影響を与えました。

3. 桜花山鵲図鐔

4. 桜西行蒔絵硯箱(さくらさいぎょうまきえすずりばこ) 江戸時代・18世紀
3月17日(火)~5月24日(日) 本館1階「漆工」にて展示
漂泊の老僧が桜を眺める姿は近世における「花見西行(はなみさいぎょう)」の定形表現です。蓋裏は一転して琵琶湖の東岸より比叡山を望む景観。西行は文治5年(1189)、比叡山から琵琶湖を眺めて慈円と最後の和歌を詠み、翌年の桜の季節に入寂しました。本作品の意匠構成は、そうした西行の生涯を使用者に想起させるものだったと思われます。

4. 桜西行蒔絵硯箱

5. 瓢形酒入(ひさごがたさけいれ) 船田一琴作 江戸時代・天保14年(1843)
3月10日(火)~5月31日(日) 本館1階「金工」にて展示
瓢箪形の酒入です。黒みがかった四分一(しぶいち)(銀と銅の合金)と赤い素銅(すあか)を斜めに継ぎ合わせ、下の方には金色の桜花を散らし、上の方には雲のかかった銀色の月を配しています。刀装金工として高名な後藤一乗(ごとういちじょう)に師事した船田一琴(ふなだいっきん)の作品です。
今も昔もお花見にはお酒とお弁当が付き物。この洒落た酒入も花見の席が似合いそうです。

5. 瓢形酒入

 

■桜イベント *すべて事前申込不要、参加無料(ただし、当日の入館料が必要)

◆ボランティアによるガイドツアー・スライドトーク
ボランティアによるガイドツアー・スライドトークでは、「博物館でお花見を」の期間中、構内の樹木や桜、お花見に関わる作品を紹介する予定です。
ボランティアによるガイドツアーやスライドトークなどの日時、詳細は当館ウェブサイトでご確認ください。
*天候等により、内容は変更になることがあります。

 

◆「東博ぬりえ」
「博物館でお花見を」にあわせ、当館所蔵《色絵桜樹図皿》のぬりえをお楽しみいただけます。
展示室にある作品の色づかいや表現もあわせてご覧ください。

ぬりえ

日程:3月10日(火)~4月19日(日)
時間:9時30分~17時00分、夜間開館時は20時00分まで
会場:本館 特別4室

 

◆お花見ヨガin法隆寺宝物館
どなたでもお気軽にご参加いただける「お花見ヨガ」を実施します。

お花見ヨガ2023の様子

日時:3月26日(木)
   (1)13時00分~13時30分
   (2)14時00分~14時30分
   (3)15時00分~15時30分(受付開始は各回15分前〈予定〉)
場所:法隆寺宝物館エントランス
※先着20名、当日受付、参加無料(ただし、当日の入館料が必要)
※詳細は当館ウェブサイトをご確認ください。

 

◆東博句会「花見で一句」
「博物館でお花見を」の期間中、桜をテーマにした俳句を募集します。桜咲く庭園や、桜をモチーフにした作品をテーマに、一句詠んでみませんか?
応募方法等などの詳細は、当館ウェブサイトでご確認ください。

 

■庭園散策について
庭園には、ソメイヨシノをはじめ、オオシマザクラ、枝垂れのエドヒガンザクラなど、約10種類の桜が次々と開花します。池の前にある腰掛石に座って、ゆったりと景色を楽しむこともできます。散策のベストシーズンであるこの季節、展示室で見る桜の作品とあわせて、庭園で咲く桜もお楽しみください。

8. 庭園風景

開放時間:9時30分~17時00分
※天候や整備作業等により、閉鎖もしくは散策エリアを制限する場合があります。
※庭園内の茶室の中には入れません。

 

■その他、2026年3月開催の特集・特別企画
*詳細は、当館ウェブサイトをご覧ください。

特集「明末清初の書画―乱世にみる夢―」
2026年1月1日(木・祝)~ 3月22日(日) 東洋館 8室

特別企画 日韓国交正常化60周年記念
「韓国美術の玉手箱―国立中央博物館の所蔵品をむかえて―」
2026年2月10日(火)~4月5日(日) 本館 特別1室、特別2室

特集「フォルモサ(美しき島)の豊かな暮らし」―台湾の原住民族の資料―
2026年3月10日(火)~5月31日(日) 平成館 企画展示室

 

【「博物館でお花見を」 来館案内】
会期    : 2026年3月10日(火)~4月5日(日)
開館時間  : 9時30分~17時
      ※金曜・土曜日は20時まで ※入館は閉館の30分前まで
休館日   : 月曜日
      ※ただし、3月30日(月)は開館
      ※本館7~10室、平成館考古展示室は4月7日(火)まで閉室します。
      ※東洋館8室は3月24日(火)~4月7日(火)まで閉室します。
観覧料   : 一般1,000円、大学生500円
      ※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。
       入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
      ※障害者とその介護者1名は無料。
       入館の際に障害者手帳等をご提示ください。
      ※有料イベント等は別途料金が必要です。
交通    : JR上野駅公園口、鶯谷駅南口から徒歩10分
       東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分
お問合せ  : 050-5541-8600(ハローダイヤル)
ウェブサイト: https://www.tnm.jp/

※会期・開館日・開館時間・展示作品・展示期間、開催内容等については、今後の諸事情により変更する場合があります。詳しくは、当館ウェブサイトでご確認ください。

 

【東京国立博物館】プレスリリースより


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東京・上野公園|『第四十七回 上野東照宮 春のぼたん祭』2026年4月4日(土)~5月6日(水)開催のお知らせ

上野東照宮

“ジパング”“赤銅の輝”など希少品種や珍しい緑色の「ぼたん」など110種500株以上が春の苑内を彩ります。

上野東照宮(東京都台東区・上野恩賜公園内)では、2026年4月4日(土)から5月6日(水)までの期間、『上野東照宮 第四十七回 春のぼたん祭』を開催いたします。
同宮は、上野公園に鎮座し、徳川家康公・徳川吉宗公・徳川慶喜公をお祀りする神社です。

本催しは例年多くの方が訪れ、昨年は3万人超が来苑しました。

春のぼたん祭では、日本・中国・アメリカ・フランスなどで作出された110品種・500株以上のぼたんを、品種ごとに異なる花の移ろいとともにご鑑賞いただけます。赤やピンクなどの定番の花色のほか、黄色の希少品種も楽しめます。

新緑と春の陽気に包まれた苑内に広がる、日ごとに移り変わる花々の姿。
開花状況は公式Instagramにて毎日発信いたします。
 公式Instagram:https://www.instagram.com/utbotanen_official/

 

■第四十七回 上野東照宮 春のぼたん祭 開催概要
開催期間:2026年4月4日(土)~5月6日(水)※期間中無休
開苑時間:9:00~17:00(入苑締切)
入苑料:大人(中学生以上)1,000円、団体(15名以上)800円、会期入苑券2,500円、小学生以下無料
住所:〒110-0007 東京都台東区上野公園9-88
TEL:03-3822-3575(ぼたん苑)
アクセス:JR上野駅 公園口より徒歩5分
京成電鉄京成上野駅 池之端口より徒歩5分
東京メトロ根津駅 2番出口より徒歩10分

 

[ジパング]
黄色の千重咲き品種で、香りも特徴のひとつです。

 

[赤銅の輝]
黄色に桃色がかった橙色の花弁で珍しい品種です。

 

■上野東照宮ぼたん苑 苑長より
春のぼたん祭開催に向け、一年を通してぼたんの手入れを行ってまいりました。
今年も元気な芽をつけており、皆様に美しい花をご覧いただけることと思います。
新緑や季節の花々とともに、春のぼたんをぜひお楽しみください。
上野東照宮ぼたん苑 苑長 小野晋吾

 

■上野東照宮ぼたん苑
上野東照宮ぼたん苑は、徳川家康公を御祭神とする上野東照宮の敷地内に、1980年4月、日中友好を記念し開苑しました。回遊形式の日本庭園にはぼたんが植栽され、現在は春に110品種500株、冬に40品種160株を栽培しています。また秋には、ダリア(別名:天竺牡丹)約100品種200株を展示し、季節ごとの花々をお楽しみいただけます。
東京都心にありながら緑豊かな上野の地で、江戸の風情とともにゆっくりとご鑑賞ください。
公式HP:https://uenobotanen.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/utbotanen_official/

 

【東照宮】プレスリリースより


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