「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」取材レポート。科博の標本×NHKの貴重映像が融合、驚きの生存戦略に迫る

国立科学博物館
会場風景

東京・上野の国立科学博物館では、NHKの自然番組『ダーウィンが来た!』との共同企画による特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」が開催中です。会期は2026年10月12日(月・祝)まで。

先立って行われた報道内覧会には、本展のナビゲーターを務めるタレントの相葉雅紀さんも登壇しました。当日の様子をレポートします。


本展は、太古から現在まで続く絶え間ない環境変化に適応し、進化してきたいきものたちが磨き上げた「生存戦略」にスポットを当てる展覧会です。国立科学博物館が所蔵する標本や最新の研究成果に加え、NHKの撮影スタッフが長年挑んできた大自然を生き抜くいきものたちの迫力の映像を紹介しています。

会場風景

イントロダクションでは、草原や山岳、森林、砂漠、海洋といった地球上の多様な生息環境を代表する大型哺乳類から小さな昆虫までが勢ぞろい。剥製や骨格標本を組み合わせた圧巻のパノラマ展示が来場者を出迎えます。

標本×映像の相乗効果で、生存戦略のリアルを体感

展示は、いきものの「五感」「エネルギー補給」「サイズ」「移動」「集団」「命のバトン」をテーマにした全6章構成。第1章では、生存に不可欠なセンサーである「五感」に着目しています。

会場風景、ヒトももつレンズ眼の仕組みや「鳥目」の誤解についてなど視覚に関する展示

たとえば「味覚」のエリアでは、必要なエネルギー源を得るために甘味(糖分)やうま味(エサ生物)を検知する必要があり、生存を脅かす危険なもの(毒:苦味、腐敗:酸味)を回避するために味覚が備わってきたことを紹介。舌に限らず、いきものたちがどのような体の部位で「味わって」いるのかを学べます。

驚いたのは、わたしたちヒトは、舌でうま味(グルタミン酸やイノシン酸)を感じることで幸福感や満足感を得られますが、実のところ、他のいきものにとっては必ずしも重要な味覚ではないという点。厳しい自然環境では、うま味で食物を選ぶことがかえって不利益になる場合があるからです。

会場風景、左はジャイアントパンダ/剥製、右はカリフォルニアアシカ/剥製、国立科学博物館蔵

ヒトと同じ哺乳類でいえば、肉食から竹食へと進化したジャイアントパンダや、捕まえたエサ生物を丸呑みするカリフォルニアアシカなどは、うま味を感じる機能が乏しいそう。ジャイアントパンダはともかく、うま味たっぷりの魚類を主食としながらその味に頓着しないカリフォルニアアシカの生態には、魚が大好きな日本人としてはどうしても「もったいない!」と感じずにはいられません。

続く第2章は「エネルギー補給」をテーマに、狩りの戦略やエネルギーの消化方法に迫ります。

会場風景

見どころの一つは、緊迫感あふれる捕食シーン集を上映している大型モニターです。魚が水面に姿を現すまで何時間も辛抱強く待ち伏せるハシビロコウ。時速110kmにも達する俊足で獲物を追うチーター。カニなどを狙って陸に上がり、まさかの豪快なジャンプを披露するアナダコ。どのシーンからも、決定的瞬間を追い続けた撮影者たちの粘り強さが伝わってきました。

標本や解説パネルだけでは捉えきれない実際のスピード感や身体の使い方を、『ダーウィンが来た!』の臨場感あふれる映像が補完することで、一層理解を深められる。こうした展示構成こそ、本展の魅力といえるでしょう。

会場風景、ハシビロコウ/剥製、我孫子市鳥の博物館蔵

本章では「偏食」についても扱っています。それは単なる好き嫌いではなく、毒性のユーカリを食べるコアラのように、他者が敬遠する食物に適応できれば、ライバルと争わずに独り占めできるという立派な生存戦略なのです。

会場風景、左はハチクマ/剥製、右はレッサーパンダ/剥製、国立科学博物館蔵

タカの仲間であるハチクマの生態も実にユニーク。凶暴なスズメバチなどの巣を襲って食べる彼らは、巣に突き入れる頭部にハチの毒針を通さないよう、うろこ状に密集した羽毛構造で守っています。「偏食」を極めた結果として頭部の構造まで変えてしまう徹底した合理性に、「そこまでするか」と思わずうならされます。

シロナガスクジラから砂粒サイズまで、スケールの幅広さに圧倒される

会場でひときわ存在感を放っていたのが、「サイズ」がテーマの第3章に展示された、絶滅した最大級のナマケモノ類メガテリウムの近縁種「ピラミオドンテリウム」のレプリカ復元骨格標本です。(実物化石の展示もあります)併置された現生のノドチャミユビナマケモノの骨格標本と比較すれば、その巨大さは一目瞭然。大きな個体では、なんと体長4m、体重1.8tにも達したといいます。

会場風景、中央はピラミオドンテリウム/レプリカ復元骨格標本、右はノドチャミユビナマケモノ/骨格標本、国立科学博物館蔵

大型の陸上性ナマケモノ類が絶滅したのに対し、現生のナマケモノ類はすべて体長1m以下の小型で、樹上性の種であるとのこと。体が大きければ力も強く優位に立てそうですが、生存においてはそれがすべてではありません。環境に適したサイズであることが、生き残るための大切な戦略だということがうかがえます。

ピラミオドンテリウムの上空には、謎のアーチ状の物体が浮かんでいます。てっきり装飾かと思いきや、最大体長約33mに達する地球上最大の現生動物・シロナガスクジラの巨大な「下あごの骨」だとわかり驚きました。陸上では自重を支える負担が大きい一方、水中では浮力によって負担が軽くなるため、ここまでの大型化が可能になるといいます。骨の下に立ち見上げれば、その規格外のスケールを全身で感じられます。

会場風景、シロナガスクジラ/乾燥標本、国立科学博物館蔵

巨骨に圧倒された次の瞬間には、現生最小級の海洋無脊椎動物群「メイオベントス」(0.031~1mmほどの微小生物の総称)の展示が目に入ります。砂浜の砂一握りに100匹以上も生息するという超ミクロな世界であり、この極端すぎるスケールの振れ幅も、種のジャンルを横断した本展ならではの醍醐味といえそうです。

会場風景、「大自然超体感シアター」

第4章との間には、足元まで広がる4面の大型モニターを使った「大自然超体感シアター」(2分05秒)が登場。高精細映像で捉えられた大自然と、野生で躍動するいきものたちの美しさには、しばし言葉を失います。まるで空を飛んでいるような感覚が心地よく、とても癒やされる空間になっていました。

第4章は「移動」がテーマ。歩く、飛ぶ、泳ぐなど自力で移動するいきものが多い一方で、「他者に便乗する」というユニークな戦略も紹介されています。

会場風景

たとえば節足動物のカニムシは、ネズミの体に乗って巣から巣へと移動していることが近年の研究で判明したそう。さらに、移動先の巣穴でマダニやノミ、ムカデといったネズミにとっての寄生虫・害虫を捕食しているといいます。単なる一方的な「便乗」ではなく、互いに利益をもたらし合う共生関係の可能性が示唆されるという点でも興味深い展示です。

会場風景、岩礁に生息するサンゴ類などの固着生物たち/一部レプリカ、国立科学博物館蔵

また、大量のプランクトン類や有機物が漂う海洋は、いわば栄養満点のスープのようなもの。そのため、展示されるサンゴ類のように、「移動しない」という思い切った選択を取るいきものも少なくありません。しかし、一度固着すると移動はできず、どこに住み着くかはまさに死活問題。人気の場所ではライバルとの争いも起こるため、「動かない=楽」ではないことがよくわかる内容でした。

「かわいい」も生存戦略? 繁殖という大命題に向けて

第5章はいきものの「集団」の意義を問い、第6章は次世代を育む「命のバトン」の諸相を見ていく内容ですが、どちらにも共通するキーワードは「繁殖」です。

会場風景、上はスナメリ/レプリカ(FRP造形)、国立科学博物館蔵

第5章で登場する小型のイルカの仲間・スナメリは、繁殖期のみ遺伝子の多様性を求めて集団で行動する場合があるそう。「夏から秋にかけて100頭近い個体が一堂に会し、さながらスーパーお見合いの様相を呈し、交尾が終了すると解散する」という直截的すぎる紹介文には思わず笑ってしまいました。本展のキャプションは専門的な用語も登場しますが、このように肩ひじ張らずに楽しめるものばかりです。

会場風景、上段中央はラッコ/剥製、国立科学博物館蔵

第6章で登場するラッコのメスは、海の上でお腹に赤ちゃんを乗せながら、授乳や毛づくり、さらには睡眠まで行うといいます。狩りの最中は子どもが流されないよう海藻に絡めておくという有名な生態も、目の前の剥製と重なると愛おしさが倍増しました。

その流れで、隣にいるホッキョクグマの赤ちゃんにも思わず「かわいい!」という視線を向けてしまいますが、じつは彼らの愛らしい顔つきや鳴き声も、親の保護本能を刺激し、世話をしてもらうための巧みな戦略なのだとか。

会場風景、ホッキョクグマ/剥製、国立科学博物館蔵
会場風景、ミズダコ/プラスチネーション標本、国立科学博物館蔵

他方、ミズダコなどのタコ類のメスには、我が子の成長する姿を見届ける余裕がありません。一生に一度の繁殖のために、産卵後は卵が孵化するまでの数ヶ月間、絶食状態で卵の世話をし、すべての卵が孵化した直後にその命を終えるといいます。ヒトの感覚ではせつなく映りますが、これも長い進化の中でたどり着いた生存戦略。命のバトンをつなぐために彼らが導き出した答えの数々に、ただ思いを巡らすばかりでした。

出口付近では、科博の研究者や『ダーウィンが来た!』の撮影スタッフの「知るための工夫」を取り上げています。

会場風景

極地から熱帯まで世界中を舞台に、約1ヶ月間のロケを行う撮影スタッフの舞台裏を知る展示では、最新の撮影機材のほか、迷彩柄が施されたブラインドテントも紹介。大人1~2人が入れば満員の狭さで、小さな窓からレンズを出し、暑さや寒さ、ときには痒みに耐えて静かに決定的瞬間を待つ過酷さには頭が下がる思いです。

しかしスタッフにとっては、都会の喧騒を離れ、野生の息吹に包まれて待つその時間こそ、何物にも代えがたい贅沢であるとのこと。本展の迫力ある映像に魅了され、この仕事に憧れる子どもたちもいるはずです。締めくくりに、未来へつながるバトンもしっかりと感じられました。

相葉雅紀さん「体験型アトラクションのよう」

右から3人目が総合監修の田島木綿子研究員、4人目が相葉雅紀さん、左端が『ダーウィンが来た!』マスコットキャラクターのヒゲじい

報道内覧会では、本展総合監修を務めた国立科学博物館の田島木綿子研究員が登壇。「国立科学博物館が誇る標本と『ダーウィンが来た!』の貴重な映像が融合した、最高のコラボレーションになりました」と手応えを語ります。

多様な環境に適応し、がむしゃらに、そして忖度なく生存戦略を磨き上げてきたいきものたちの姿。それは全力でプレーするアスリートに感動するのと同様に、私たちの胸を打つものがあるとし、それを共有したいという想いから本展を企画したといいます。そうした点を踏まえつつ、「私たちも自然の一員であることを心に留めながら展示を楽しんでいただけたら」と期待を寄せました。

続けて、本展のナビゲーターを務める相葉雅紀さんがインタビューに応えました。

相葉雅紀さん

会場を巡った感想を聞かれると、「『ダーウィンが来た!』の4Kのきれいな映像がたくさん散りばめられているんです。一つひとつ撮影するのに何時間、何十時間とかかっただろうという捕食や捕獲の瞬間の映像も、もったいぶらずにガンガン出てくるので、剥製や標本と照らし合わせながら、体験型アトラクションのように楽しめました」と笑顔を浮かべます。

なかでも印象に残った展示として挙げたのは、第3章に展示されている巨大なナマケモノ「ピラミオドンテリウム」です。「(ピラミオドンテリウムが)めちゃくちゃデカかったです! 進化の過程で今のナマケモノのサイズになったのか、小さくなったほうが生き残りやすかったのかと、そういうことを考えるのも楽しかったです」と語り、好奇心を刺激された様子でした。

相葉雅紀さん

また、相葉さんは本展の音声ガイドも担当しており、「楽しんで展覧会を観てもらいたいので、あまり邪魔をしないように、そっと情報をお渡しできたらという思いで収録させていただきました」とコメント。何度も訪れているという国立科学博物館の仕事に携われたことへの喜びを語り、最後に本展に関心を寄せる方々にメッセージを送りました。

「見終わった後、子どもだけでなく、大人も深く考えさせられる展覧会だと感じました。僕自身も、ダンゴムシがコンクリートを食べたり、ヘビが電信柱を上ったりと、人間の身近で共存している生きものがたくさんいることに驚かされました。知らないことをたくさん知れる場所ですので、皆さんぜひお越しください」

特別展「いきもの超ワールド展 国立科学博物館×ダーウィンが来た!」概要

会期 2026年7月11日(土)~10月12日(月・祝)
開館時間 9:00~17:00(入場は16:30まで)
※8月9日(日)~8月15日(土)は18:00まで開館(入場は17:30まで)
休館日 9月7日(月)、14日(月)、24日(木)、28日(月)
会場 国立科学博物館(東京・上野公園)
入場料(税込) 一般・大学生 2,300円、小・中・高校生 600円

※未就学児は無料。
※土日祝日および8月10日(月)~8月14日(金)の期間については、日時指定予約を実施します。
※本展を観覧された方は、同日に限り常設展示(地球館・日本館)もご覧いただけますが、常設展示の開館時間内に限ります。
※そのほか、詳細は公式サイトでご確認ください。

主催 国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション
お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト https://ikimonoworld.jp

※最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は展覧会公式サイトでご確認ください。

 


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【東京藝術大学大学美術館】「藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」取材レポート。誰もが“藝大生”になれる特別な夏が上野で開幕

東京藝術大学大学美術館
「藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」特別チューターのお笑いコンビ・ナイツ

東京・上野公園の東京藝術大学大学美術館にて、2026年7月24日(金)より、誰もが憧れの“藝大生”になれるユニークな展覧会「藝大式 美術の“ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」が開幕しました。会期は9月23日(水・祝)まで。

本展は、東京藝術大学の現役講師陣が手がける12コマの「講義」を、同館の貴重なコレクション作品を教材にしながら「展覧会」として味わうというもの。まるで本当に大学の授業を聴講しているかのような、これまでにない贅沢な鑑賞体験ができるのが大きな魅力です。

本展の特別チューターに就任したお笑いコンビ・ナイツ(塙宣之さん・土屋伸之さん)が登場した取材会など、開幕前日に行われた報道内覧会の詳細をレポートします。

ナイツ登場! 笑いで紐解く「藝大」の世界

本展特別チューターに就任したナイツ・塙宣之さん(左)と土屋伸之さん(右)

報道内覧会では、本展の「特別チューター」に就任したお笑いコンビ・ナイツ(塙宣之さん・土屋伸之さん)の取材会が行われました。

現在、日本大学芸術学部で美術を学ぶ土屋さんは、「かつて本気で美大予備校に通って東京藝大を受験し、全く歯が立たなかった」というエピソードを披露。「この展示で『藝大生になれる』んだったら、あんなに一生懸命勉強しなくてよかった(笑)」と、藝大の授業をリアルに体感できる本展のクオリティを大絶賛しました。一方の塙さんも「プラモデルが好きなので、赤外線で中の骨組みから調べて仏像を模刻する展示に感動した」と独自の視点で語り、会場を沸かせました。

取材会が行われた「7限目」のエリアでは、動物の作品を見てその気持ちを付箋に書き残す参加型展示が行われています。 取材会では、ここで大喜利が勃発。巨大なシロクマの作品《polka dots》を前に、お二人もフリップボードで回答を発表しました。

土屋さんは「私こそがチューターです」、塙さんは「実はな~んにも考えてないよ!」と回答。「面白い答えを求められたけど、思いつかなくて逃げました」と白状する塙さんに、土屋さんが「あえて語らず相手に考えさせるのもアートですよね」とフォローを入れる一幕も。

最後に本展へのメッセージを求められると、土屋さんは「『藝大生になれる』というのが一番の魅力。本当に藝大の授業を受ける体験をしてほしい」と本展のコンセプトを力強くアピール。塙さんも、「今はネットやスマホばかり見てしまう時代ですが、実際に足を運んで、生で絵を見て感じることは非常に大事」と、生の芸術に触れる意義を真面目に語ってくれました。

そうだ、藝大生になろう。

展示会場入口

藝大美術学部は1887(明治20)年設置の東京美術学校(美校)を前身とし、美術教育と研究の中枢として、優れた芸術家や研究者を数多く輩出してきました。

本展は2026年~2028年の3年にわたり毎夏開催されるシリーズの第一弾で、藝大の現役講師陣が藝大コレクションを中心に企画した講義形式の展示を体験できるという初の試み。

美術館の展示として構成された全12限の「講義」では、美術の歴史、実技、表現、鑑賞、保存修復などをテーマに、藝大講師陣がさまざまな美術の「ミカタ」を提案しています。

ホンモノで美術の「ミカタ」を学ぶ

ラファエル・コラン《田園恋愛詩》1882年 ※本記事で紹介している作品はすべて東京藝術大学蔵
黒田清輝《婦人像(厨房)》明治25年(1892)
永井翔彩《模写・国宝 伴大納言絵巻 上巻1》平成24年(2012)紙本著色
五味清吉《大国主命と八上姫》大正2年(1913)
左手前は奥村謙太郎《夏雲》大正7年(1918)

授業形式といっても、もちろん座学ではありません。会場には黒田清輝、和田英作、平櫛田中ら歴代教授や藤田嗣治ら卒業生の作品、さらにゴッホや学生たちの作品まで、バラエティに富む藝大コレクションが並び、リアルな鑑賞体験を通じて美術の「ミカタ」を習得できます。

1~3限では明治期の日本近代美術をさまざまな角度から振り返り、4限では美校創設に深く関わった岡倉天心の『茶の心』から日本人の美意識を学びます。5限では藝大で脈々と受け継がれる「模写」に焦点を当て、続く6限では「模刻」を軸とした仏像の保存修復方法を紹介。これらを通じて「ルーツと向き合う」ことの重要性を浮き彫りにします。

また、9~11限では美校卒業生の活躍を紹介するとともに、約100年前の東京の文化的変容に関して概観します。

藝大生の模写を目の前で鑑賞!

1限 絵画基礎演習「まねぶ美術館~模写でよみとく美の手とこころ~」では、なんと展示室内で現役の藝大生による模写を実演。

ナイツの取材会では、土屋さんが模写を行う藝大生にインタビューした時のことを語ってくれたのですが、実際に美術品を展示する会場である以上、模写に使える道具も限られてくるそうです。そんな中で藝大生たちは作品をそのまま模写するだけでなく、実際の絵画とは光源を変えて描いてみたり、さまざまなチャレンジを行っているということでした。

今まさに藝大で美術を学ぶ学生が真剣に模写をする姿を通じて、絵に秘められた画家の心情や意図について思いをめぐらせてみるのもいいかもしれませんね。

夏休みの体験学習として

動物をモチーフにした可愛らしい作品が並ぶ7限の展示室
描かれた動物の気持ちを考えて貼り付けてみよう
8限ではAI解析による美術鑑賞アーカイブを体験・参加できる
その精巧さと迫力に唸らされる、縮尺模刻・東大寺南大門仁王像

大学講義がテーマの本展ですが、楽しめるのは大人だけではありません。

7限「動物の目で作品を見てみよう」では、動物をモチーフにしたさまざまな作品を展示。「かわいい」という素朴な感覚からスタートできるという意味で、子供たちにもおすすめのエリアです。

8限「見て、触れて、言葉にして」ではAI解析による最新の美術鑑賞アーカイブを紹介。作品を見た時の印象などを、AIで整理・蓄積したアーカイブを通じて、他者との違いや自身の作品鑑賞の変化を実感できます。お子さんと一緒に感想をアウトプットしてみると、さまざまな気づきがあるかもしれません。

個人的にオススメなのは6限「藝大式、仏像のお医者さん」の会場に展示されている縮尺模刻・東大寺南大門仁王像です。縮尺に応じて、像のさまざまな角度や造形の微調整を経て制作されたという本作。邪を払うという仁王像の「睨み」をぜひ会場で体験してみてください。

会場には親子で楽しめる体験展示のほか、エンボススタンプを押して楽しめるワークシートも配布。さらに会期中はミニコンサートやミニレクチャーなど、藝大ならではのイベントも実施。興味のある「講義」を深掘りして、夏休みの自由研究にしてみてはいかがでしょうか?

藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」概要

会期 2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)
会場 東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4(東京・上野公園)
開館時間 午前10時~午後5時(最終入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日
8月10日(月)、9月21日(月・祝)を除く
観覧料 詳細は公式サイトでご確認ください。
主催 東京藝術大学、読売新聞社
問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト https://geidai-art-mikata.jp/

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。


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【国立西洋美術館】「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」取材レポート。ゴヤやルドン、マティスにつながるレンブラント版画の革新性とは

国立西洋美術館
展示風景

17世紀オランダを代表する画家レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン(1606-69)の“版画家”としての側面に光を当てる展覧会「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」が、国立西洋美術館で開幕しました。会期は2026年9月23日(水・祝)まで。

※会期中、一部作品の展示替えがあります。詳細は公式ページに掲載されている作品リスト等でご確認ください。


1606年、オランダ・レイデンに生まれ、肖像画家・物語画家として確固たる地位を築いたレンブラント。光と影の劇的な対比表現を用いた《夜警》などの油彩画で広く知られますが、生涯にわたり版画、とりわけエッチングの制作にも情熱を注ぎ、その表現の可能性を切り拓いたことで、版画史上最大の巨匠とも評されています。

展示風景
右はシャルル・ワルトネ《夜警 (レンブラントに基づく)》1886年、国立西洋美術館(星元太郎氏より寄贈)

本展は、レンブラントの版画表現におけるさまざまな「挑戦」の軌跡のみならず、その影響を受けたゴヤやマティス、ピカソらの作品を一堂に集め、20世紀初頭までの「継承」と「インパクト」の様相をたどるもの。世界唯一のレンブラント専門美術館であるアムステルダムのレンブラント・ハウス美術館と国立西洋美術館の所蔵作品を中心に、国内の美術館、大学図書館、海外の個人コレクターから拝借した作品、書籍やポスターなども含めた約130点を展示しています。

 

第1章「レンブラント、版画の挑戦」では、レンブラントの野心的な版画制作によって生み出された多彩な表現を、「肖像と頭部習作」「社会的周縁者と庶民たち」「宗教主題」「銅版上のスケッチ」「風景」という主題別5セクションで紹介しています。

17世紀ヨーロッパにおいて普及していた主な版画技法には、木版画と、金属凹版画であるエングレーヴィング、エッチングが存在しました。エッチングに先行して登場したエングレーヴィングは、ビュラン(彫刻刀)で原版(印刷のための図像を彫る板)となる金属板を直接刻む技法です。その扱いの難しさから高度な訓練を要し、力強くシャープで直線優位、ともすれば機械的なほど規則正しい線描表現が定式化していました。

16世紀エングレーヴィング技法の作例/ヘンドリク・ホルツィウス、コルネリス・コルネリスゾーン・ファン・ハールレムに基づく《竜に噛まれるカドモスの部下》1588年、国立西洋美術館 【参考出品】

これに対し、レンブラントが主に取り組んだのがエッチング(腐食銅版画)です。もともと硬い鉄の鎧や刀剣に装飾を刻むために生み出された技術を版画に応用したもので、防蝕剤を塗った銅板をニードル(針状の先端を持つ道具)で削り、金属が露出した部分を酸で腐食させて溝をつくる技法です。紙にペンで描くような感覚で制作できるのが特徴ですが、当初は制作に膨大な時間がかかるエングレーヴィングの代替として扱われることが多く、その表現の可能性は十分に探究されていませんでした。

エッチング制作に関する資料の展示

17世紀初頭になると、オランダで版画家としての訓練を受けたことのない画家たちがエッチング制作に参入。伝統にとらわれない新たな表現を模索する動きが広がり始めました。その流れに画家として独立したばかりのレンブラントも加わり、歴史的転換期の牽引者として発展に貢献。原版数にして実に314点もの作品を残しています。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《旅回りの楽師たち》1635年頃、レンブラント・ハウス美術館

エッチングを扱った画家の多くは、キャリアの一時期に数点の作品を制作するにとどまり、また、その作品の大半は風景を扱ったものでした。対するレンブラントは、風景はもちろん肖像や頭部習作、風俗、聖書の物語まで多岐にわたる主題を扱い、オランダでは新ジャンルとなる、銅板をスケッチブックのように用いた習作風の作例も残しています。これほど幅広いジャンルを手掛けることは、ジャンルの専門分化が進んだ当時のオランダにおいて、決して一般的なことではありませんでした。こうした観点から見ても、レンブラントの版画制作は挑戦的であったといえます。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《自画像、口を開けた顔》1630年、レンブラント・ハウス美術館

初期のアイコニックな習作《自画像、口を開けた顔》(1630)は、大きく見開いた眼とすぼめた口が一見ひょうきんな印象を与えますが、決して戯れで制作されたものではありません。物語画家として人物描写の説得力を追求したレンブラントが、自らの顔をモデルにさまざまな表情を研究したことがうかがえる一作です。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《柔らかい帽子をかぶり模様つきの外套をまとう自画像》1631年、国立西洋美術館

翌年に制作された《柔らかい帽子をかぶり模様付きの外套をまとう自画像》(1631)は、小品ながらその線描の多彩さに目を見張ります。湾曲した帽子のつばのしなやかな生地は、緩やかにうねる縦線の集積で描写され、光沢のあるどっしりとした外套の生地は、パターンが異なる交差線やジグザグ線が重ねられています。一方で、襞襟や袖口のレース、縮れた髪はペン素描のように自在で、柔らかく繊細な線によって成立しており、従来評されがちだった「単調さ」をすでに克服し、質感に応じた線描表現を確立していたことが見て取れます。

また、エッチングはステート(原版改変)を重ね、印刷しながらイメージを発展させるプロセスが一般的です。レンブラントはその回数が突出しており、本作も14ものステートが確認されています。

どちらもレンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《版画商クレメント・デ・ヨンゲの肖像》1651年、レンブラント・ハウス美術館

《版画商クレメント・デ・ヨンゲの肖像》(1651)の展示では、第1ステートと第5ステートの刷りを比較できます。第5ステートでは陰影が濃くなり、表情が読み取りづらくなっていることでミステリアスな雰囲気が漂います。

レンブラントはステートを重ねることで、しばしば情景そのものの意味が変わるほどの大幅な変更を加えました。次第にイメージの発展にとどまらず、原版改変をバリエーション制作の手段として利用するようになります。なかには、先行する版画家セーヘルスの《トビアスと天使》の原版を改変し、エジプト逃避の旅路にある聖家族という別主題の作品に仕立ててしまった《エジプトへの逃避》(c.1652)のような例も存在し、レンブラントが版画を固定された完成品ではなく、柔軟な創作の場として捉えていたことがうかがえます。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン、ヘルキュレス・セーヘルスの原版を改変《エジプトへの逃避》1652年頃、国立西洋美術館

レンブラントのエッチング作品の白眉とされる《百グルデン版画》(1648)は、本展のハイライトのひとつ。タイトルは当時の版画として破格の「100グルデン」という高値で取引されたことに由来し、画面では新約聖書『マタイによる福音書』19章の諸場面が、共通の主人公であるキリストを中心に同時進行で展開しています。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《百グルデン版画》1648年頃、国立西洋美術館

柔らかな闇で閉じられた背景において、漆黒からグレー、白へと移り変わる、むしろ絵画的にニュアンス豊かな陰影のグラデーションを生み出しているのは、無数の線が織りなすネットワークです。専用のニードルで直接銅板を削り、まくれた部分で独特の滲みを生み出す「ドライポイント」技法の併用や、和紙への印刷がその豊かな階調を一層深め、情景描写に深い余韻をもたらしています。

その一方で、画面左側の人物群はほぼ輪郭線のみで、ペン素描のように捉えられています。斬新な群像劇の構成で注目される本作ですが、レンブラントによる技法的挑戦の成果の結晶と見なすこともできるでしょう。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《イタリア風景の中で読書する聖ヒエロニムス》1653年頃、レンブラント・ハウス美術館
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《アムステルダムの眺望》1641年頃、レンブラント・ハウス美術館

《アムステルダムの眺望》(c.1641)は、レンブラントがキャリアの大半を過ごしたアムステルダム市を、運河を挟んだ対岸から捉えた作品。低い地平線と画面の大半を占める空という構成は、当時のオランダ風景画のトレンドに沿うものです。一方で、空をあえて白く残して光を感じさせる手法は、必ずといっていいほど雲が描かれていた伝統的な版画表現から離れるものあり、こちらもレンブラントが開拓したアプローチといえます。

 

第2章「受け継がれる遺産―17-18世紀」では、レンブラントと同時代の17世紀から18世紀の影響を辿っています。

レンブラントの版画作品は製作当時より高い人気を誇っていました。しかし、その技法があまりに高度であったためか、17世紀におけるフォロワーは弟子のフェルディナンド・ボルや、イタリアのジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネなど少数にとどまりました。

ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ、通称イル・グレケット《箱舟に入るノアと動物たち》1650-55年、国立西洋美術館

続く18世紀には、ドイツの作家たちを中心に関心が高まります。レンブラント信奉者のひとり、ゲオルク・フリードリヒ・シュミットの《窓の蜘蛛を伴う自画像》(1758)は、明るい窓辺で制作に励む作家の姿を捉えたものですが、併置されたレンブラントの《窓辺でエッチングを制作する自画像》(1648)をはっきりとわかる形で土台にしています。ただし、ヴァイオリンや兵役の経験を示唆する剣など独自の趣向も盛り込んでおり、運命や時の経過と結びつくモチーフであるクモの巣が、場面にメランコリックな抒情を加えています。

左から、ゲオルク・フリードリヒ・シュミット《窓の蜘蛛を伴う自画像》1758年、レンブラント・ハウス美術館 /レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《窓辺でエッチングを制作する自画像》1648年、レンブラント・ハウス美術館
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン、およびゲオルク・フリードリヒ・シュミット、ブレーズ・ニコラ・ル・シュウールに基づく《額に手をかざす老人》1639年頃および1770年、レンブラント・ハウス美術館

18世紀はこうした模倣作品が乱立したのはもちろん、シュミットが描画を担当した《額に手をかざす老人》(c.1639/1770)のように、レンブラントが未完で残した作品に手を入れて「完成」させる動きも見られました。さらに、オリジナルの原版が急速に摩耗するほど需要が過熱し、複製品や模造品が市場に出回る事態へと発展します。

ウィリアム・ホガース《戯画化された「フェリクスの前のパウロ」》1751年、レンブラント・ハウス美術館

イギリスの風刺画家ウィリアム・ホガースは《戯画された「フィリクス前のパブロ」》(1751)で、時に露骨なまでに自然主義的だったレンブラントの作風を揶揄。自国の作家を差し置き、レンブラント作品に多額の金銭が費やされる状況に警鐘を鳴らしたことからも、当時の熱狂ぶりがうかがえます。また、この時期に「カタログ・レゾネ(全作品解説目録)」の編纂も始まり、現代に続くレンブラント研究の堅固な基盤が築かれていきました。

エドメ=フランソワ・ジェルサン《レンブラント全作品のカタログ・レゾネ》1751年、レンブラント・ハウス美術館

 

第3章「世紀を超えるインパクト――19-20世紀」でまず登場するのは、スペインの巨匠フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスです。晩年には「自然とベラスケス、レンブラント以外に師匠はいなかった」と語ったと伝えられるゴヤですが、この言葉が指すのは油彩画家ではなく、版画家としてのレンブラントです。ゴヤは当時のスペインで希少だったレンブラントの版画作品を知人のコレクション等を通して熱心に研究し、制作に生かしました。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《使徒たちに現れるキリスト》 1656年、レンブラント・ハウス美術館
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス《〈戦争の惨禍〉79:真理は死んだ》1810-20年頃、国立西洋美術館

《〈戦争の惨禍〉79:真理は死んだ》(c.1810-20)は、ナポレオン戦争や国内の混乱を経験したゴヤが、人間の醜さ、残酷さを告発するとともに、宮廷画家という地位にありながら過激な政治批判を込めて制作した版画シリーズの一作。描かれているのは、王政復古による「憲法の自由」の死を暗喩する、女性擬人像によって表された「真理」の死です。円を描くような群像の配置や、真理が発する光線の描写は、併置されたレンブラントの《使徒たちに現れるキリスト》(1656)とのつながりが見てとれます。

一方、19世紀前半のフランスにおいて、エッチングは世間からなかば忘れられた技法でしたが、芸術家の感性やオリジナリティを重視する潮流の中、近代にふさわしい版画技法として再評価されます。そうした文脈において、とりわけ注目されたレンブラント作品のひとつが《書斎の学者(ファウスト)》(c.1652)です。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《書斎の学者(ファウスト)》1652年頃、国立西洋美術館

線が密集した暗い部分と、描線そのものの表現力を生かした明るい部分の対比が美しい傑作ですが、その内容は髑髏や地球儀が置かれた書斎で、学者らしき老人が窓辺に現れた謎めいた幻影を見つめている、というものです。作品の意味は判然とせず、さまざまな解釈を生みましたが、18世紀までに錬金術師ファウストを描いたとみなされるようになり、熱心なレンブラント信奉者であったゲーテの有名な戯曲『ファウスト』の着想源になったことが知られています。

また、画面に漂う神秘的な雰囲気は19世紀の人々の感性と響き合い、文豪ユゴーが代表作『ノートル=ダム・ド・パリ』にイメージを取り入れたほか、エッチングの普及を目的として発刊された『エッチングのパリ』誌ポスターにも利用されました。本作は、当時のパリのエッチング・リバイバルと結びついた、一種のレンブラント崇拝現象を象徴する一例と見なすことができます。

フレデリック・レガメ《『エッチングのパリ』誌ポスター》1875年、レンブラント・ハウス美術館

こうしてレンブラントがエッチングの可能性として示した、神秘的な薄明りや揺らめく光、漆黒の闇といった革新的な明暗表現を絶賛したのは、1862年にパリで設立された「腐食銅版画家協会」でした。版画集の序文の中で、「(それらは)彼の夢想的で力強く奇怪な想像力が生み出すあらゆる幻想を描くために必要なものだったのだ。彼のパレットはいかに豊かであっても、これほど多彩な効果をもたらしはしなかった」と評したのです。

フランス象徴主義を代表する画家オディロン・ルドンもまた、レンブラントの繊細な階調と深い奥行きのある明暗法に、神秘的な精神性を喚起する造形語法を見出した一人です。その敬愛ぶりは、「造形の持つあらゆる神秘が、彼(レンブラント)に依る」ことを必須としたと手記に残すほどでした。《〈ヨハネ黙示録〉:その右の手に7つの星を持ち、その口より両刃の利き剣いで》(1899)でキリストを包み込む深い闇は、まさにレンブラントを思わせるものです。

オディロン・ルドン《〈ヨハネ黙示録〉:その右の手に7つの星を持ち、その口より両刃の利き剣いで》1899年、国立西洋美術館
レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン《三本の木》1643年、国立西洋美術館

レンブラントのエッチング風景画の代表作《三本の木》(1643)も、19世紀フランスでは広く知られていました。嵐が迫るオランダの田園風景を表現した作品で、鋭い直線で斜めに刻まれた激しい雨、交差線のグラデーションによる黒く渦巻く雲、そして三本の木の背後に存在する光のコントラストがドラマチックな効果を生んでいます。この表現に多くの作家が魅せられ、展示ではバルビゾン派のシャルル゠フランソワ・ドビーニーやアルフォンス・ルグロ、フェリックス・ブラックモンらの作品でその影響を紹介しています。

アルフォンス・ルグロ《嵐の川景色》1857年、レンブラント・ハウス美術館
どちらもフェリックス・ビュオ《ウェストミンスター・ブリッジないしウェストミンスターの時計塔》1884年頃、国立西洋美術館
ジェイムズ・アボット・マクニール・ホイッスラー《庭》 1886年、国立西洋美術館

20世紀初頭に入ってもレンブラント人気は衰えることなく、20世紀美術の双璧をなすアンリ・マティスやパブロ・ピカソも、自身の作品の中でレンブラントへのオマージュを捧げています。

マティスは前衛芸術運動「フォービズム」の創始者であり、卓越した色彩画家として知られる一方で、版画においてはわずかな例外を除いて、黒と白の表現に徹しました。展示される《版画を彫るアンリ・マティス》(1900-03)は、作家の版画制作の出発点に位置する作例です。

制作にあたる自身の上半身を正面から大きくとらえたテーマや構図は、前述した18世紀のシュミット同様、レンブラントの《窓辺でエッチングを制作する自画像》を着想源にした可能性が高いと考えられています。初めて版画制作を試みるにあたって、19世紀後半以降にパリで評価が高まっていたレンブラントの自画像を手本とすることは、若きマティスにとって自然な選択だったのでしょう。

アンリ・マティス《版画を彫るアンリ・マティス》1900-03年、国立西洋美術館

ピカソの《〈ヴォラールのための連作〉:パレットを持つレンブラント》(1934)では、口ひげを蓄え、羽根飾りのついた帽子をかぶるなど、エッチングの自画像で繰り返し描かれたレンブラントのパブリックイメージが戯画化されています。本作は、使い物にならなくなった銅板に、ピカソが半ば自棄になって線を走らせる中、偶然レンブラントの姿が浮かび上がったという経緯で作品化されました。レンブラントのような深い黒を再現できるかを試す実験的な試みでもあり、複数の版画作品からの図像の借用も確認されていることから、ピカソもまたレンブラントを深く研究していたことがうかがえます。撮影不可だったため、ぜひ現地で実物をご確認ください。

 

本展を担当した国立西洋美術館の中田明日佳学芸員は、「日本国内では、これまでにもたびたびレンブラントの版画制作をテーマとした展覧会が開催されてきました。しかし本展のように、その影響にまで視野を広げた企画は初めてです。会場では、レンブラントの版画作品の魅力をご堪能いただくとともに、その時間的、地理的スパンの幅広さと豊かさにも驚いていただけるのではないかと思います」と語りました。

「版画家レンブラント 挑戦、継承、インパクト」概要

会場 国立西洋美術館 企画展示室
会期 2026年7月7日(火)~ 9月23日(水・祝)
※会期中、一部作品の展示替えがあります。
開館時間 9:30 〜 17:30(金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで。
休館日 月曜日
※ただし、8月10日(月)、9月21日(月・祝)は開館。
観覧料(税込) 一般2,200円、大学生1,300円、高校生1,000円
※観覧当日に限り、常設展もご覧いただけます。
※その他、詳細は展覧会公式ページでご確認ください。
主催 国立西洋美術館、レンブラント・ハウス美術館、朝日新聞社
展覧会公式ページ https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026rembrandt.html

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。


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「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」(上野の森美術館)取材レポート。夜景の傑作が約20年ぶりに来日、鮮烈な色彩表現への歩みを辿る

上野の森美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》1888年9月16日頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の傑作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》が約20年ぶりに来日したことで大きな注目を集めている「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」が、上野の森美術館で開催中です。会期は2026年8月12日(水)まで。


世界有数のファン・ゴッホ・コレクションを誇る、オランダのクレラー=ミュラー美術館。その至高の作品群のみで構成される本展は、2期にわたり開催される「大ゴッホ展」の第1期にあたり、わずか約10年という短い画家人生の前半部に焦点を当てています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》1887年4-6月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

会場では、ファン・ゴッホの油彩画と素描など約60点を、モネやルノワールといった同時代を代表する画家らの作品とともに紹介。初期オランダ時代から、パリで鮮烈な色彩に目覚め、さらなる光を求めて南仏アルルへと向かい、《夜のカフェテラス(フォルム広場)》に結実するまでの、「誰もが知るファン・ゴッホ」が形成される軌跡を5章構成で辿ります。

また、弟のテオや親しい知人に宛てた手紙の言葉が、心情を読み解く手がかりとして会場の壁面や解説パネルに数多く引用されている点も見どころとなっています。

「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」展示風景、上野の森美術館、2026年

第1章「バルビゾン派、ハーグ派」

ファン・ゴッホは1869年、16歳で叔父の共同経営するグーピル商会の画廊で働き始めたものの、宗教問題への関心の深まりとともに美術品取引への興味を失い、1876年に解雇されます。その後、牧師を志し、過酷な状況で生きる農民や労働者たちと交流する中で、彼らの生活の中にこそ「真実」や「誠実さ」があると考えました。

1880年以降、本格的に画家としての活動を始めたころにまず関心を寄せたのが、第1章で紹介されるフランスの「バルビゾン派」とオランダの「ハーグ派」です。

バルビゾン派は、19世紀前半から中頃にかけて、パリ郊外のバルビゾン村周辺で活動した自然主義的な風景画・風俗画で知られるグループです。伝統的な歴史画から離れ、身近な自然や貧しい農民の姿を直接観察に基づき写実的に描きました。アトリエを飛び出した彼らの屋外制作の手法は、次世代の印象派へ大きな影響を与えています。

一方、19世紀後半にオランダの北海に面した都市ハーグを拠点に活動したハーグ派は、バルビゾン派に学び、当時としては珍しい題材だった漁村の厳しい生活風景などを描いた画派です。色彩よりも明暗を重視し、憂愁や情感を感じさせるグレイッシュなトーンで湿った空気や曇天を捉える独特の手法は、当時のオランダ画壇で広く支持を集めました。

展示風景、左はヨーゼフ・イスラエルス《ユダヤ人の写本筆記者》1902年、クレラー=ミュラー美術館

ファン・ゴッホは教則本の模写から始め、1881年末から1883年9月まではハーグを拠点に、遠縁の親戚であるハーグ派のアントン・マウフェから直接絵画の基礎を学びました。主に手本にしていたのは、同派の中心的人物であったヨーゼフ・イスラエルスです。

イスラエルスは漁師や農民らの風俗的な主題のみならず、ユダヤ教を背景とした宗教主題も多く手掛けました。そのドラマチックな明暗法は、17世紀オランダの巨匠レンブラントから受け継いだものです。ファン・ゴッホの初期の傑作《ジャガイモを食べる人々》(ファン・ゴッホ美術館蔵)でも、暗闇に人物の表情が浮き上がる厳かな宗教的雰囲気に、イスラエルスからの影響が見てとれます。(※会場では同作のリトグラフを展示)

ジャン=フランソワ・ミレー《パンを焼く女》1854年、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

また、ファン・ゴッホを語る上で、《種まく人》や《落穂拾い》などで知られるバルビゾン派のジャン=フランソワ・ミレーの存在は欠かせません。土と共に信仰心の篤い生活を送る人々を厳粛なまなざしで捉え、その生き方の崇高さを描き出したミレーを、彼は生涯にわたり敬愛し続けました。リトグラフを模写するにとどまらず、自分なりの色彩と表現で再構成し、画風を確立する土台としていったのです。

シャルル=フランソワ・ドービニー《夕暮れ時の川》1873年、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

第2章「オランダ時代」

第2章では、実際にファン・ゴッホがハーグや1883年に移り住んだオランダ南部のニューネンで制作した油彩や素描が並びます。

フィンセント・ファン・ゴッホ《麦わら帽子のある静物》1881年11月後半-12月半ば、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

《麦わら帽子のある静物》(1881)は、それまでデッサンに明け暮れていたファン・ゴッホが、本格的に油彩と格闘しはじめた時期の習作・・です。木製のテーブルの上に、黒いリボンのついた黄色い麦わら帽子やパイプ、陶器、布切れなどを配置し、多様な質感の描き分けに挑みました。「僕は何か本格的なものを描き始める最初の入口に辿りついたのではないかと思う」という手紙の言葉からは、彼の自負が伝わってきます。本作は後の制作の参考資料として、長く手元に置かれたといわれています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《縫い物をする女》1881年10月‒ 11月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

なお、前述のハーグ派とファン・ゴッホは同じように労働者階級の生を描いていますが、ハーグ派はブルジョワジーの収集家の歓心を買うため、収集家たちが幻想を抱いている「慎ましい生活」を描くことに努める傾向がみられました。一方でファン・ゴッホは、彼らの苦しみや葛藤を表そうと、ときに顔を誇張して厳しく、醜く、あるいは疲れ切ったように表現するという独自性を見せていきます。

フィンセント・ファン・ゴッホ《大工の仕事場と洗濯場》1882年5月下旬、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

ハーグでの住居の窓から裏手を臨んだ風景を捉えた《大工の仕事場と洗濯場》(1882)は、遠近法を用いた構図が臨場感を与えています。特に注目したいのが、前景に描かれた小さな木です。最初は鉛筆でスケッチし、ペンとインクで輪郭を描いた後、白い水彩絵具で花を咲かせ、最後に鋭利な器具で背景の周辺部を引っかくという工夫が凝らされています。ややぎこちなさを残しつつも、さまざまな画材や技法を試み、自らの表現力を広げようともがいていた軌跡がうかがえる一作といえるでしょう。

フィンセント・ファン・ゴッホ《織機と織工》1884年4月‒ 5月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

機織りで作業する「織工」は、ニューネン時代を代表するモチーフのひとつでした。ファン・ゴッホは1880年に北仏の織工の村々を訪れた際、「夢見るようで、物思いに耽り、夢遊病者のような人」である織工の姿に強く共感します。当時はほとんど美術のモチーフとして取り上げられることのなかった彼らにスポットライトを当てようと決意し、複雑な構造を持つ織機そのものにも魅了されていきました。

背景のくすんだ灰色に、堂々とした織機の黒が際立つ《織機と織工》(1884)はその代表的な作例。テオに出来栄えを報告しつつ作品を売り込ませるためでしょうか、わざわざ本作をカルト・ド・ヴィジット(名刺サイズの写真)で撮らせたといいます。

展示風景、右はフィンセント・ファン・ゴッホ《掘る人》1885年8月、クレラー=ミュラー美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子をかぶった女の頭部》1884年11月-1885年5月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

ニューネンで暮らした1883年12月から1885年11月までに、500点以上の作品を手掛けていますが、その多くは明暗技法を探求した頭部習作でした。特に、ニューネンの女性たちが日常的に被っていた白い帽子に興味をもち、帽子とその影になる顔の部分が「まさに明暗技法のような上質な色調をもたらしている」と手紙で述べています。

当時のファン・ゴッホはイスラエルスの影響もあり、「闇の中に浮かび上がる光」に美を見出していました。そこで、モデルの顔や衣服の色調を整えてから背景の明暗を調整することで、暗い色調の中に表れる光の効果や奥行を表現していったのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ《じゃがいもを食べる人々》1885年4月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

こうしたオランダ時代の集大成となったのが、油彩画《じゃがいもを食べる人々》でした。展示されているのは油彩画の習作に基づくリトグラフであり、農民たちの「手の労働」の尊さを物語った自信作のイメージを、親しい人たちに伝えるべく制作されたものです。不慣れな版画に挑んだものの、テオや友人の画家ファン・ラッバルドからの評価は「効果が不鮮明」「表面的」と厳しいものでした。この後のファン・ゴッホは、芸術において技巧よりも抒情的表現への志向を深めていくことになります。

展示風景、右はフィンセント・ファン・ゴッホ《秋の風景》1885年11月、クレラー=ミュラー美術館

第3章「パリの画家とファン・ゴッホ」

第3章では、1860年代から90年代に活躍した印象派を中心とする巨匠たちの作品に焦点を当てています。

パリで画商として成功していたテオから画面の暗さに苦言を呈され、もっとモダン・アートを知る必要があると説得されたファン・ゴッホ。バルビゾン派への関心から、フランスの美術やその土地そのものへの憧れを募らせていたこともあり、ベルギー・アントウェルペンの美術学校で短期間学んだ後、衝動に任せるように1886年2月、念願のパリの移住を果たします。

アパートでテオと同居し、カフェ「ル・タンブーラン」で自作を展示する機会を得ながら、カミーユ・ピサロやアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、エミール・ベルナールら同時代の画家たちと交流。最新の絵画表現に触れることで、暗いオランダ時代から一転、その芸術は光と色彩に満ちた劇的な変化の時を迎えることになります。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《カフェにて》1877年頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
クロード・モネ《モネのアトリエ舟》1874年、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

ファン・ゴッホは中でも、クロード・モネの色彩感覚や、ピエール=オーギュスト・ルノワールの色鮮やかな陰影と柔らかなタッチ、ポール・セザンヌの構図と色彩表現の大胆な手法に関心を寄せました。また、ジョルジュ・スーラやポール・シニャックら新印象主義の画家たちと親交を結び、その影響から点描画法を実践。1887年の夏の終わりには、新印象主義を独自に解釈したリズミカルな筆致を用いる作品を完成させるに至ります。

カミーユ・ピサロ《虹、ポントワーズ》1877年、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.
ポール・セザンヌ《湖へと続く道》1880年頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

同時期、点描画法をより体系的に実践した画家に、新印象派のマクシミリアン・リュスがいます。人工物と自然が共存する美しさに惹かれ、ファン・ゴッホと同じく、都会と田舎の風景が交錯するモンマルトルの丘にアトリエを構えました。そのアトリエからサン=ドニの工業地帯の眺望を捉えた作品が《パリ一帯、モンマルトルからの眺め》(c.1887)です。夏の陽射しのなかで輝く豊かな緑や、連なる煙突から上る煙と雲が混じる様子などが、点描で鮮やかに表現されています。

マクシミリアン・リュス《パリ一帯、モンマルトルからの眺め》1887年頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

スーラの光学理論に忠実に、細かく規則正しい点描によってパリの光や大気を捉えようとしたリュス。それに対し、ゴッホは画法をルール通りに実践するにとどまらず、自らの感情を叩きつけるようなリズミカルで力強い筆致や、主観的な色彩へのアプローチへと昇華させることになります。

第4章「パリ時代」

第4章では、約2年間のパリ生活において劇的に変化した、ファン・ゴッホの絵画表現の変遷を辿っています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《モンマルトルの丘》1886年4-5月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

パリに移って数か月、モデル代を捻出できず、望んでいた人物画ではなく静物画や自画像を描かざるを得なかったファン・ゴッホですが、結果的にこれが色彩感覚を飛躍的に向上させることになります。

フィンセント・ファン・ゴッホ《野の花とバラのある静物》1886年‒1887年、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

特に花の静物画は、1886年の夏だけで少なくとも約30点が制作されました。具体的には、赤と緑、オレンジと青といった補色(色相環で正反対に位置する色)を隣り合わせに配置し、それぞれの色をより鮮やかに際立たせる補色対比の実験を繰り返したのです。展示された3点の花の静物画《バラとシャクヤク》(1886)、《野の花とバラのある静物》(1886-87)、《青い花瓶の花》(1887)を制作順に見ていくと、色の対比が強まる一方で、画面の調和はむしろ洗練されていき、その習熟ぶりがうかがえます。

フィンセント・ファン・ゴッホ《青い花瓶の花》1887年6月頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

そこには、印象派以前に補色効果を理論的に分析・応用したウジェーヌ・ドラクロワや、当時のファン・ゴッホが深く心酔していたアドルフ・モンティセリの影響もありました。モンティセリは彫刻を思わせる極端な厚塗りと、コントラストの強い色彩を駆使した独創的な画風で知られている南仏出身の画家です。加えて、歌川広重をはじめとする浮世絵への感化が、いわゆるファン・ゴッホらしい筆致や色彩感覚を形成する重要な契機のひとつとなります。

フィンセント・ファン・ゴッホ《レストランの室内》1887年夏、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

ファン・ゴッホにしては珍しく、ブルジョワジー向けのレストランを舞台とした《レストランの室内》(1887)は、新印象派の手法を最も鮮明に示す作品のひとつ。シニャックを思わせる点描の筆遣いで、壁の赤と緑、床の黄色とくすんだ紫、椅子のオレンジ色とテーブルクロスの青みといった補色によるコントラストを、熟考がうかがえるバランスで配しています。

ただし、テーブルや椅子は必ずしも点描が徹底されていません。加えて、本作が一度使用されたカンヴァスの裏側に描かれていること、地道に点を打つ手法が画家の情熱的な気質には窮屈すぎたのか、アルル移住後には厳密な点描画法から距離を置いていること。ファン・ゴッホ作品の中でもひときわ明るく洗練された色彩で人気の高い本作ですが、こうした点を踏まえると、意外にも本人にとっては広くお披露目したいものではなく、あくまで技術習得の機会に過ぎなかったのかもしれません。

第5章「アルル時代」

パリで画家として大きな成長を遂げたファン・ゴッホでしたが、都会の喧騒や芸術家同士の激しい競争が、次第に心身を蝕んでいきました。憧れの浮世絵に見られるような眩い太陽の光と、芸術家たちがともに制作する理想の共同体を求めて、1888年2月に南仏の小さな町アルルへ移住。色彩豊かで陽光あふれる様子をすっかり気に入り、その自然を鮮烈な色彩対比で表現することに没頭していきます。

15か月足らずで約200点の油彩と100点以上の素描・水彩を制作。並行して、実際に共同体のアトリエである「黄色い家」を構想し、ポール・ゴーギャンら多くの気鋭の画家たちを招くため準備を進めました。

フィンセント・ファン・ゴッホ《夕暮時の刈り込まれた柳》1888年3月、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

「今、絶対に描きたいのは星空だ」「僕には、夜のほうが昼間よりもはるかに生き生きと色彩豊かに見えることがたびたびある」との言葉が残っているように、アルルでファン・ゴッホを高揚させたのは昼の光だけではありません。

本展のハイライトである《夜のカフェテラス(フォルム広場)》(1888)は、町の中心にあるフォルム広場の夜景を、ガス灯の黄色い明かりのもとで描いています。オランダ国外に出る機会の少ない屈指の傑作であり、ファン・ゴッホが初めて本格的な星空を描いた記念碑的な作品です。

フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》1888年9月16日頃、クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands.

星の煌めく夜空を背景に、煌々と光を放つカフェテラス。絵具が盛り上がる星々は、まるで宝石のように存在感を示しています。本作について、ファン・ゴッホは手紙で「これは黒のない夜の絵だ。美しい青と紫と緑しかなく、これを背景に、灯りで照らされた広場は薄い硫黄色と緑がかったレモンイエローで色づけされている」と述べています。暖色の前景と寒色の背景というコントラストによって、一瞬で目を引く華やかさを備え、従来の西洋絵画において黒や灰色で描かれることの多かった夜のイメージを更新しました。

ファン・ゴッホが星空に挑んだ背景には、愛読したギ・ド・モーパッサンの小説『ベラミ』における壮麗な星空の描写や、1888年6月初めに地中海で見た色彩豊かな星空などの影響が指摘されています。いずれにしても重要なのは、彼にとって星空が「希望」を示す重要なモチーフだったということです。

本作が描かれた当時は、共同体の仲間が来てくれるか分からない不安や寂しさを抱えつつも、希望に胸躍らせた時期であったと考えられます。「夜に焦燥を感じたとき外に出て空を眺めると、星空が仲間たちのように見える」という趣旨の手紙が残っていることから、本作においても星空に仲間の姿を重ねていたのかもしれません。

ただし、当時のカフェは現代と在り方が異なり、男女の社交や享楽の場でもあったという事実は注目すべきでしょう。本作におけるカフェテラスの表現は、先述した『ベラミ』の中で、裕福な人々が飲食を楽しみ、娼婦たちがたむろしている夜のカフェを、貧乏な主人公が嫌悪感をもって見つめるシーンを意識したものだと分かっています。また、同時期に制作された《夜のカフェ》という作品に関して、ファン・ゴッホが「カフェというのは人が身を持ち崩し、正気を失い、罪を犯す場所だということを表現してみようとした」と述べている点も見逃せません。

欲望や退廃が交錯する地上の世界と、希望を象徴する星空の広がる天上の世界。ファン・ゴッホはそのふたつを対比的に捉え、鮮烈な補色のコントラストによって、後者の輝きをいっそう際立たせようとしたのでしょうか。


第2期にあたる「大ゴッホ展 アルルの跳ね橋」は、2027年2月6日から神戸を皮切りに福島、東京へ巡回予定。オランダの国宝とも称される《アルルの跳ね橋(ラングロワ橋)》が約70年ぶりに日本で公開されますので、こちらにもぜひ注目してください。

■「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」概要

会期:2026年5月29日(金) ~ 2026年8月12日(水)
会場:上野の森美術館
開館時間:日~木 9:00~17:30/金・土・祝日 9:00~19:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料(平日):一般 2,800円、大学生・専門学生・高校生 1,600円、中学生・小学生 1,000円
 ※土日祝は平日料金にそれぞれ+200円
 ※高校生以下は6月30日(火)まで入場無料。
 ※詳細は公式ページでご確認ください。
主催:産経新聞社、TBS、TBSグロウディア、博報堂、上野の森美術館
お問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル/9:00~20:00)
展覧会公式サイト|https://grand-van-gogh-tokyo.com/

※本稿の内容は取材時点ものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は公式サイトでご確認ください。

記事提供:ココシル上野


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企画展「藝大アートプラザアートアワード2026」開催 ──様々な年代の受賞者の新作を一堂に展示します

2026年7月24日(金) 〜10月4日(日) 上野・藝大アートプラザにて開催(入場無料)

小学館と東京藝術大学の協働事業として東京藝術大学美術学部構内(台東区・上野)で運営するギャラリー「藝大アートプラザ(https://artplaza.geidai.ac.jp/ )」。2026年7月24日(金)13時より、企画展 「藝大アートプラザアートアワード受賞者招待展2026」を開催します。
本展では、さまざまな年代のアートプラザアートアワード受賞作家の作品を展示販売。入場無料・撮影も可能です。

2026年7月24日(金) 開催 企画展「藝大アートプラザアートアワード2026」展

藝大アートプラザ・アートアワード(旧:藝大アートプラザ大賞)は初開催から2025年度で20回目を迎え、例年楽しみにしてくださるお客さまの多い企画となります。今年も現役の学生から、作家として鋭意活動する卒業生まで、様々な年代の受賞者の皆様の新作を、一堂に展示する本展を開催いたします。

参加予定作家一覧(予定)
縣 健司 / 上垣内 若葉 / 大島 利佳 / 海田 通孝 / 筧 由佳里 / 加藤 萌 /菊地 言美 / 小林 真理子 / 鹿間 麻衣 /清水 雄稀 / 鈴木 初音 / センザキリョウスケ / 東條 明子 / 野村 絵梨 / 長谷川 雅子 / 堀口 晴名 / 前田 恭兵 / 水巻 映 / 満田 晴穂 / 森 聖華 / 若林 真耶

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「藝大アートプラザアートアワード2026」
 企画展開催告知ページ
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/31602/
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■ 企画展概要
企画展名:企画展 「藝大アートプラザアートアワード2026」

会場:
藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
会期:2026年7月24日(金) 〜10月4日(日)
前期:2026年7月24日(金) 〜8月23日(日) ※7/24のみ13:00開場
後期:2026年8月28日(金) 〜10月4日(日) ※8/28のみ13:00開場

入場料:無料
営業時間:10:00-18:00

定休日:月曜 ※9/21(月) は祝日のため営業

※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください


藝大アートプラザとは

トップアーティストを数多く輩出する、東京藝術大学(以下、藝大)の教職員、学生、卒業生の作品を展示販売するギャラリー「藝大アートプラザ」。藝大上野キャンパス構内において、一般の方々が、年間を通して自由に入場・見学することができる、貴重な場所のひとつです。小学館と藝大の協働事業として、2018年から運営をスタートしました。

現在は、1,2カ月ごとに異なるテーマの展示を開催。企画展には毎回10〜50名のアーティストが参加し、油画、日本画、彫刻、工芸、デザイン等、藝大ならではの多様な技法とアプローチで表現された作品が、一堂に会します。

2026年5月開催の企画展「PANDART 藝大パンダ」展示風景
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/31364/

 

また、ギャラリー奥のホワイトキューブ(WC)スペースでは、藝大の教職員、学生、卒業生による個展やグループ展も随時開催。企画展とは異なる視点から、作家一人ひとりの表現にじっくりと触れることができます。

2026年5月WCで開催した三人展「工芸生態系 ーA World in Kogeiー 河﨑海斗 野村俊介 望月嶺」展示風景
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/31552/

 

店舗内には、器やアクセサリーなど生活に寄り添うアートを中心とした常設作品コーナー「LIFE WITH ART」を設置。藝大アーティストらが直接ドローイングを行った世界で一枚だけの「ドローイングTシャツ(通称ドロT)」も複数取り扱っています。藝大アートプラザは、入場無料。

写真撮影やSNSでのシェアも原則大歓迎。アートファンのみならず、どなたさまでも、気軽にアートに触れられる場所を目指しています。

常設コーナー「LIFE WITH ART」展示風景

ドローイングTシャツ 展示風景

 

2024年9月には公式オンラインショップ「うつわとTシャツの店」もオープン。藝大アーティストたちによる1点もののうつわやカトラリー、急須や茶碗などに加えて、オリジナルグッズも多数販売しています。

公式オンラインショップ「うつわとTシャツの店」
https://geidaiartplz.base.shop/

藝大アートプラザ基本情報

■ アクセス
最寄駅:JR上野駅(公園口)、鶯谷駅 下車徒歩約10分
東京メトロ千代田線・根津駅 下車徒歩約10分
東京メトロ日比谷線・上野駅 下車徒歩約15分
京成電鉄 京成上野駅 下車徒歩約15分
都営バス上26系統(亀戸〜上野公園)谷中バス停 下車徒歩約3分

※駐車場はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください

■ 公式SNSアカウント
Instagram:
https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
X:
https://x.com/artplaza_geidai
Podcast(Spotify):
https://open.spotify.com/show/2FlkumYv9ScWy69UlBtqWy
Threads:
https://www.threads.net/@geidai_art_plaza

■ 2025年-2026年の展示
2025年1-3月企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展 2025」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/26551/
2025年3-5月 企画展「藝大動物園 Welcome to the art zoo!」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27319/
2025年5-7月 企画展「ドン・キホーテによろしく Chasing Windmills: Regards to Don Quixote」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27855/
2025年8-10月 企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27804/
2025年10-11月企画展「time after time〜時の軌跡〜」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/28865/
2025年12-2026年1月企画展「Made in Art」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/29525/
2026年1-3月企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」
  https://artplaza.geidai.ac.jp/column/30117/
 ※藝大アートプラザ アートアワード2026審査結果&講評 掲載記事
2026年3-5月企画展「Energy エネルギーってなんだろう?」協賛:大塚製薬株式会社
  https://artplaza.geidai.ac.jp/column/30991/
2026年5-6月企画展「PANDART 藝大パンダ」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/31364/

■ お問合せ

よくあるご質問はこちら
https://artplaza.geidai.ac.jp/qa/

 

【株式会社小学館】プレスリリースより


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藝大式 美術の“ミカタ”展 特別チューターにナイツが就任! みんなが“藝大生”になる、夏が来る! イベント&ワークショップ詳細決定!6月26日(金)チケット発売

東京藝術大学大学美術館

「藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」
会場:東京藝術大学大学美術館
会期:2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)

東京藝術大学大学美術館(東京・上野公園)は、2026年7月24日(金)から9月23日(水・祝)まで、「藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」を開催します。

「藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」(通称:ミカタ展)は、2026年~2028年の3年に渡って毎夏に開催するシリーズ企画の記念すべき第一回展です。本展では、東京藝術大学現役の講師陣が贈る12コマの「講義」を、美術館の中で「展覧会」として展開します。美術の歴史、実技、表現、鑑賞、素材、保存修復など、美術に関する多様なテーマを、東京藝術大学の貴重なコレクションを中心とする芸術作品を教材として「聴講」するように味わう、これまでにない贅沢な鑑賞体験をお届けします。
このたび本展では、漫才師・ナイツのお二人が特別チューターに就任することになりました。土屋伸之さんは2026年4月、47歳で大学へ進学し、現在は美術を学びながらその魅力を発信しています。こうした経験を背景に、本展のテーマ「美術を学ぶ」こととの親和性から参加が実現しました。本展は大学の授業を模した構成となっており、来場者と学びをつなぎ、展示への理解を深める存在として「特別チューター」と名付けられました。ナイツならではの視点で、展示の魅力をわかりやすくお届けします。
この夏は、みんなで藝大生になれる「藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」にご期待ください!

ミカタ展特別チューター ナイツ(塙宣之・土屋伸之)

【特別チューター就任にあたってのコメント】
▼塙宣之
このたびは「藝大式美術の”ミカタ“―この夏、藝大生になる― 」の特別チューターに選んで頂きありがとうございます。
ヤホーで「芸術」を調べたら、ある学生と先生とのやりとりが心に残りました。学生が「一流の芸術に触れろと言われても、一流が何か分からないし、人がいいと思っても、自分はそうは思いません。一流とは、何でしょうか?」と質問しました。それに対して先生は「本当に自分が感動し、讃歎できるものが『一流の芸術』です。皆がいいと言うからというだけで追従していたら、肝心かなめの自分自身の心が死んでしまう。先入観を捨てて、白紙の自分で、どんどん、じかにぶつかっていくのです。その結果、本当に感動すれば、それが自分にとっての『一流』です」と答えました。私も全くその通りだと思います。みなさんが「ミカタ展」を通して、この夏たくさんの感動に出会える事を特別チューターとして切に願います。
絵は全く描きませんが、漫才は誰よりも書いている「二流の漫才師」より。

▼土屋伸之
このたび「藝大式美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―」の特別チューターを務めさせていただくことになり大変驚いております。
この展覧会は、作品を鑑賞するだけでなく、藝大の授業を受けるように美術を学べる特別な展覧会という事で、実際に過酷な美大受験を経験した身としては、「この夏、藝大生になれる」なら早く言ってよ!という気持ちですが、東京藝大の美術を学べるなんて本当に夢のようで、今から興奮しています。

ナイツ(塙宣之・土屋伸之)/プロフィール
2001年ボケの塙と、ツッコミの土屋にて活動開始。内海桂子の弟子として活動。漫才協会、落語芸術協会、三遊亭小遊三一門として寄席でも活躍中。M-1グランプリ決勝進出など実績も多く、テレビ、ラジオなど幅広く活躍している。今年4月から放送のNHKEテレ「3か月でマスターする西洋美術」では土屋さんがナビゲーターとして出演中。

 

「ミカタ展」イベント&ワークショップ詳細決定!
参加チケットは6月26日(金)発売!
本展のイベント&ワークショップの詳細が決定しました。参加チケットは6月26日(金)10時より発売。藝大現役学生が実際の講義で学ぶ日本画模写の技法「上げ写し」体験に、版画の技法の一つである「エッチング」体験、子ども向けワークショップを実施します。専門知識は不要で、小学生以上のお子様から大人までお楽しみいただけます。

【ワークショップ】
●動物モチーフに作品をつくろう!(子どもワークショップ)
担当講師:丸山素直(デザイン科デザイン専攻)
動物になりきろう!子ども向けの制作ワークショップ。
・日時:8月2日(日)13時30分~
・料金:1,000円 / 定員:20名 / 所要時間:120分 / 対象:小学生以上~18歳未満

●エッチング体験(版画ワークショップ)
担当講師:三井田盛一郎(絵画科版画研究室)
銅版画技法の一つである「エッチング」を行います。
・日時:8月5日(水) 13時~
・料金:3,000円 / 定員:12名 / 所要時間:180分 / 対象:小学生以上

●上げ写し体験(日本画ワークショップ)
担当講師:高島圭史(絵画科日本画専攻)
藝大現役学生が実際の講義で学ぶ日本画模写の技法「上げ写し」の体験を行います。
・日時:8月28日(金) 13時~/15時~、8月29日(土) 13時~/15時~ 各日2回、計4回
・料金:3,000円 / 定員:各回15名 / 所要時間:90分 / 対象:小学生以上
※ワークショップに参加する上での注意事項は公式HPおよびチケット販売ページでご確認ください。

・参加チケット発売日:6月26日(金)10時~(先着販売)
・販売プレイガイド:美術展ナビチケットアプリ(クレジットカード決済のみ
※事前に「美術展ナビ チケットアプリ」のダウンロードが必要です
https://aejtickets.api.yomiuri.co.jp

 

【イベント】
●ミニコンサート
東京藝術大学大学院音楽研究科 器楽専攻の学生2名によるミニコンサートをおこないます。
・日時:7/28(火)14時~
・会場:東京藝術大学大学美術館 エントランスホール
・演目:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 ト長調 K.423
・料金:無料(ただし、当日の観覧券が必要)
※事前申込は不要です。当日直接会場にお越しください。
※人数により参加を制限する場合があります。

●大学講師によるミニレクチャー
担当学芸員と講師による展示に関するミニレクチャー(約20分)を行います。
・日時:7月29日(水)15時~ 古田亮(総合監修・大学美術館)
    8月12日(水)15時~ 村上敬(大学美術館)
    9月11日(金)15時~ 岡田靖(文化財保存学専攻)
・会場:東京藝術大学大学美術館 エントランスホール
・料金:無料(ただし、当日の観覧券が必要)
※事前申込は不要です。当日直接会場にお越しください。
※人数により参加を制限する場合があります。

●Museum Start あいうえの関連企画
藝大の先生や藝大生、作家たちの”ミカタ”に出会い、自分だけのミカタを探っていく3日間連続プログラム。
展覧会の講義を担当する宮本武典先生(絵画科油画専攻)と丸山素直先生(デザイン科デザイン専攻)とともに、作品を見て、感じたことを言葉にし、自分でも表現する活動をします。
・開催日:8月21日(金)〜23日(日)
・対象:15〜18歳(大学生は対象外です)
・定員:20名
・参加条件:全3日間参加できる方
・参加費:無料
・申込締切:7月30日(木)
※申し込み方法など詳細はあいうえの公式HPをご確認ください。
https://museum-start.jp/program/family/mikatalabo

 

【スペシャルチケット情報】前売りチケット好評発売中!
親子そろって、この夏「藝大生」になれちゃう?!
●親子チケット 販売価格 2,100円
一般観覧券1枚と中・高校生観覧券1枚がセットになったチケット。
それぞれ別日での入場も可能です。
・販売先:セブンチケット
・販売期間:発売中~9月23日(水・祝)15時
ご学友と共に!一緒に「藝大生」になってみよう!

●トモダチ割 大学生観覧券ペア 販売価格 1,900円
      中・高校生観覧券ペア 販売価格 900円
大学生観覧券あるいは中・高校生観覧券のペアチケットがお得に購入できます。それぞれ別日での入場も可能です。
・販売先:セブンチケット
・販売期間:発売中~9月23日(水・祝)15時

 

\「ミカタ展」楽しい特典付きスペシャルチケットの追加発表!/
追加発売は7月1日(水)午前10時~

ミカタ展修了試験(クイズラリー)付きチケット

講義や展示作品に関連する修了試験(クイズラリー)付きチケット。会場では正答率にあわせて押印できる成績スタンプや、購入者全員がもらえる修了証ステッカーをご用意!
●前売券・当日券とも通常料金+500円
●発売日:7月1日(水) 午前10時~

学生証付きチケット

似顔絵や名前などを書きこんで楽しむことができる「学生証」プリント付きチケット。会場で「学生証」プリントを提示すると、公式グッズのポストカードをランダムでプレゼント。
●前売券・当日券とも通常料金+300円
●発売日:7月1日(水) 午前10時~

※画像はイメージです

 

【本展のみどころ】
1.大学講義を展覧会で「履修」!
美術の秀才・天才が集まる東京藝大。いったい学内ではどのような授業が行われているのか?実習から座学まで、藝大での美術教育の一端を体験するまたとない機会。展覧会のために考えられた様々な「講義」を、美術館の中で「展示」する初めての試みです。「絵画基礎演習」や「西洋美術史概説」というような講義を、展覧会を見ることで「履修」できます!

2.夏期集中講義として、夏休みの体験学習として
大学講義がテーマの本展ですが、大人から子どもまで、実際の美術作品を中心に分かりやすい内容となっています。親子で楽しめる体験展示も複数用意。また、会期中にはワークショップも実施。興味のある講義を深堀りして、夏休みの自由研究にしてはいかがでしょうか?

3.ホンモノで美術の「ミカタ」を学ぶ!
授業形式といっても、スライドによる講義ではありません。小倉遊亀の代表作「径」をはじめとする名品の数々を含むホンモノによる授業です。黒田清輝、和田英作、平櫛田中ら歴代教授や、藤田嗣治ら卒業生たちの作品に加えて、ゴッホから学生たちの作品まで、バラエティーに富む藝大コレクションを通じて美術の「ミカタ」を習得できます。

 

【開催概要】
展覧会名:藝大式 美術の“ミカタ”―この夏、藝大生になる―
会  期:2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)
休 館  日:月曜日(8月10日(月)、9月21日(月・祝)を除く)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
会  場:東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1、2、3、4[東京・上野公園]
[所在地]〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8
観 覧  料(税込):一般  2,000円(1,800円)
    大学生  1,200円(1,000円)
    中・高校生     600円(  500円)
    ※()内は前売料金
    ※小学生以下無料
    ※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者1名は無料
    (入館の際に障がい者手帳などをご提示ください)。

前売りチケット:販売中

■オンラインチケット
・公式オンラインチケット https://www.e-tix.jp/geidai-art-mikata
・美術展ナビチケットアプリ(クレジットカード決済のみ)
※事前に「美術展ナビ チケットアプリ」のダウンロードが必要です
https://aejtickets.api.yomiuri.co.jp/?key=MKT26&type=1

■チケット販売プレイガイド
・セブンチケット  セブンコード:115-650
URL: https://7ticket.jp/s/115650
・チケットぴあ      Pコード:687-475
URL: https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2618240
・ローソンチケット Lコード:32305
URL: https://l-tike.com/event/mevent/?mid=783792
・e+(イープラス)   URL: https://eplus.jp/sf/detail/4527780001-P0030001?P6=001&P1=0402&P59=1

<販売スケジュール>
▽前売券:発売中~7月23日(木)23時59分
▽当日券:2026年7月24日(金)0時~9月23日(水・祝)16時30分
※混雑状況等の都合により、販売期間や入場システムを変更する場合があります。

主  催:東京藝術大学、読売新聞社
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://geidai-art-mikata.jp
東京藝術大学大学美術館公式サイト:https://museum.geidai.ac.jp

公式X:@geidai_mikata
https://x.com/geidai_mikata
公式Instagram:@geidai_art_mikata
https://www.instagram.com/geidai_art_mikata

 

【本展覧会に参加する教員】※五十音順
牛島大悟(先端芸術表現科先端芸術表現専攻)
岡田 靖(文化財保存学専攻)
熊澤 弘(大学美術館)
佐藤直樹(芸術学科芸術学専攻)
高島圭史(絵画科日本画専攻)
田口智子・倪雪(未来創造継承センター)
古田 亮(大学美術館・総合監修)
丸山素直(デザイン科デザイン専攻)
三井田盛一郎(絵画科版画研究室)
宮本武典(絵画科油画専攻)
村上敬(大学美術館)

 

【「藝大式 美術の“ミカタ”」事務局】プレスリリースより


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ギャラリーがひとつの “床の間” に変わる。 藝大アートプラザ企画展 THE ART OF TEA「茶の藝」展 開催

2026年6月20日(土) 〜7月19日(日) 上野・藝大アートプラザにて開催(入場無料)

小学館と東京藝術大学の協働事業として東京藝術大学美術学部構内(台東区・上野)で運営するギャラリー「藝大アートプラザ(https://artplaza.geidai.ac.jp/ )」。2026年6月20日(土) より企画展 THE ART OF TEA「茶の藝」展を開催します。
本展は、「茶の湯」に通底する美意識をテーマに、東京藝術大学に所属または出身のアーティスト18名(予定)による作品を展示・販売。平面・立体作品を織り交ぜた展示構成を通して、空間と作品、そして鑑賞者との関係性を体感いただけます。入場無料・撮影も可能です。

2026年6月20日(土) 開催
企画展 THE ART OF TEA「茶の藝」展

日本のアートの根底には、「茶の湯」の思想が確かに流れています。それは単なる作法や伝統文化ではなく、人と作品が出会うことの意味を問い直す、美の体系です。 私たちは、日本のアートは The Art of Tea であると考えます。では、茶の湯の思想とは何でしょうか。

藝大の前身である東京美術学校の初代校長、岡倉天心 は、『茶の本』のなかで、茶の湯を単なる嗜好や儀礼ではなく、芸術と人生を結びつける思想として捉えました。

第一に、床の間における絵画と立体の調和。
第二に、作品を独立した存在としてではなく、空間と響きあうものとして楽しむ視点。
第三に、作品と鑑賞者の相互作用。
第四に、茶碗に代表される工芸の技が織りなす小宇宙。

本企画展では、藝大アートプラザをひとつの「床の間」に見立て、平面作品5名、立体作品5名による展示をしつらえました。
あわせて、茶碗を中心に、茶の湯の技と思想を体現する作家の作品を展示します。そこには、「美は細部に宿る」という、日本独自の美意識が息づいています。日本ならではのアートの楽しみ方――

The Art of Tea を、ぜひご体感ください。

参加予定作家一覧
荒谷 翔 / 石川 将士 / 及川 春菜 / 柿坪 満実子 / 片岡 操 / 川上 椰乃子 / 城田 崚吾 / 高橋 梓 / 中津川 博之 / 馬場 隆志 / 濱野 佑樹 / futaba / 堀田 紅音 / 本間 賛 / 森 一朗 / 八木 叶夢 / 吉田 周平 / 渡邉 泰成

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企画展開催告知ページ
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/31064/
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■ 企画展概要

企画展名:企画展 THE ART OF TEA「茶の藝」展
会場:藝大アートプラザ(東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学美術学部構内)
会期:2026年6月20日(土) 〜7月19日(日)
 ※6月19日(金)13時よりプレオープン
 ※展示入れ替えなし
入場料:無料
営業時間:10:00-18:00
定休日:月曜

※営業日時が変更になる場合がございます。最新情報は公式Webサイト・SNSをご確認ください


藝大アートプラザとは

トップアーティストを数多く輩出する、東京藝術大学(以下、藝大)の教職員、学生、卒業生の作品を展示販売するギャラリー「藝大アートプラザ」。藝大上野キャンパス構内において、一般の方々が、年間を通して自由に入場・見学することができる、貴重な場所のひとつです。小学館と藝大の協働事業として、2018年から運営をスタートしました。

現在は、1,2カ月ごとに異なるテーマの展示を開催。企画展には毎回10〜50名のアーティストが参加し、油画、日本画、彫刻、工芸、デザイン等、藝大ならではの多様な技法とアプローチで表現された作品が、一堂に会します。

2026年1月開催の企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展 2026」展示風景
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/29190/

 

店舗内には、器やアクセサリーなど生活に寄り添うアートを中心とした常設作品コーナー「LIFE WITH ART」を設置。藝大アーティストらが直接ドローイングを行った世界で一枚だけの「ドローイングTシャツ(通称ドロT)」も複数取り扱っています。藝大アートプラザは、入場無料。
写真撮影やSNSでのシェアも原則大歓迎。アートファンのみならず、どなたさまでも、気軽にアートに触れられる場所を目指しています。

常設コーナー「LIFE WITH ART」展示風景

 

ドローイングTシャツ 展示風景

 

2024年9月には公式オンラインショップ「うつわとTシャツの店」もオープン。藝大アーティストたちによる1点もののうつわやカトラリー、急須や茶碗などに加えて、オリジナルグッズも多数販売しています。

公式オンラインショップ「うつわとTシャツの店」
https://geidaiartplz.base.shop/

 

藝大アートプラザ基本情報

■ アクセス

最寄駅:JR上野駅(公園口)、鶯谷駅 下車徒歩約10分
東京メトロ千代田線・根津駅 下車徒歩約10分
東京メトロ日比谷線・上野駅 下車徒歩約15分
京成電鉄 京成上野駅 下車徒歩約15分
都営バス上26系統(亀戸〜上野公園)谷中バス停 下車徒歩約3分

※駐車場はございませんので、お車でのご来場はご遠慮ください

 

■ 公式SNSアカウント

Instagram:
https://www.instagram.com/geidai_art_plaza
X:
https://x.com/artplaza_geidai
Podcast(Spotify):
https://open.spotify.com/show/2FlkumYv9ScWy69UlBtqWy
Threads:
https://www.threads.net/@geidai_art_plaza

 

■ 2025年-2026年の展示

2025年1-3月企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展 2025」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/26551/
2025年3-5月 企画展「藝大動物園 Welcome to the art zoo!」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27319/
2025年5-7月 企画展「ドン・キホーテによろしく Chasing Windmills: Regards to Don Quixote」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27855/
2025年8-10月 企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者招待展」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/27804/
2025年10-11月企画展「time after time〜時の軌跡〜」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/28865/
2025年12-2026年1月企画展「Made in Art」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/29525/
2026年1-3月企画展「藝大アートプラザ・アートアワード受賞者展」
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/30117/
 ※藝大アートプラザ アートアワード2026審査結果&講評 掲載記事
2026年3-5月企画展「Energy エネルギーってなんだろう?」協賛:大塚製薬株式会社
 https://artplaza.geidai.ac.jp/column/30991/

 

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【株式会社小学館】プレスリリースより


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特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」来場者数30万人突破!好評につき夜間開館日の追加が決定!

国立科学博物館

国立科学博物館で開催中の特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」は、閉幕まで残り1ヶ月を切る中、来場者数が30万人を突破し、下記日程で夜間開館日の追加実施を決定いたしました。

 

■ 夜間開館の追加実施について
対象日:5月30日(土)、31日(日)、6月6日(土)、7日(日)、13日(土)、14日(日)
開館時間:19時まで(最終入場 18時30分)
※常設展示は17時まで(最終入場 16時30分)

 

【日時予約制 実施のお知らせ】
特別展「超危険生物展」では、一部日程において日時予約制を導入しております。
■ 今後の日時予約制 実施日
対象日:5月30日(土)、31日(日)、 6月2日(火)〜14日(日)
詳細は展覧会公式HPをご確認ください。

※ゆっくりご鑑賞されたい方には、平日のご来場をおすすめしております。

 

【開催概要】
展覧会名 :特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」
会期   :2026年3月14日(土)~6月14日(日)
開館時間 :9時~17時(入場は16時30分まで)
夜間開館 :5月30日(土)以降の毎週土曜・日曜日は19時まで開館(入場は18時30分まで)
     *常設展示は17時まで開館(入館は16時30分まで)
休館日  :月曜日 *但し6月8日(月)は開館
会場   :国立科学博物館(東京・上野公園)
料金(税込):一般・大学生2,300円  小・中・高校生600円
主催   :国立科学博物館、TBS、TBSグロウディア、朝日新聞社
協賛   :野崎印刷紙業、早稲田アカデミー
後援   :BS-TBS、TBSラジオ
お問合せ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)、03-5814-9898(FAX)
展覧会公式サイト: https://chokikenseibutsuten.jp
公式X:@chokiken2026
公式Instagram:@chokiken2026
※会期、開館時間、休館日等は変更する場合があります。

 

【展示概要】
2つのエリア、8つのラボで構成された 危険生物の秘密を解き明かす「危険生物研究所」!
あなたが知らない“脅威”が、ついに姿を現します。
特別展「超危険生物展」では、あらゆる“必殺技”を武器に生き抜く生き物たちの、 驚愕の生態を徹底的に解説します。会場には、思わず後ずさりするほどの迫力満点の展示が集結。全身骨格、剥製、実寸大模型、迫力満点の映像など、多角的な手法を駆使してご紹介します。

 

【TBSグロウディア】プレスリリースより


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【東京都美術館】「アンドリュー・ワイエス展」取材レポート。光と影、生と死、存在と不在をつなぐ「境界」のかたち

東京都美術館
《クリスティーナ・オルソン》1947年/テンペラ/マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス

20世紀アメリカの具象絵画を代表する国民的画家アンドリュー・ワイエス(1917-2009)を、「境界」というテーマから読み解く大規模な回顧展「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」が、東京都美術館で開催中です。会期は2026年7月5日(日)まで。

※本稿で紹介している作品はすべてアンドリュー・ワイエス作です。

「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」展示風景、東京都美術館、2026年

20世紀を通じて活躍したアンドリュー・ワイエスは、抽象表現主義やネオ・ダダ、ポップアートといった、同時代を席巻した前衛芸術から距離を置き、故郷ペンシルヴェニア州と夏を過ごしたメイン州を拠点に、生涯にわたり身近な人々や風景を精緻に描き続けました。

アンドリュー・ワイエス(1917-2009)

画風は写実的ですが、目に映る情景の単なる再現ではありません。そこに広がるのは、内省的なイメージを反映させた自叙伝的とも呼べる独自の絵画世界でありながら、誰もが抱く感情や記憶と響き合う普遍的な要素を内包しています。加えて、限られた土地と人間関係に繰り返し向き合ったことから、明確な物語が描写されずとも、画面には堆積された時間、そこに生きた人々の気配や記憶が確かに漂っている――。そうした静謐なドラマ性も、ワイエス作品独特の魅力となっています。

本展は、日本では17年ぶり、ワイエスの没後では初となる大規模な回顧展。初期から晩年までの時系列で作品を紹介する一般的な回顧展とは異なり、ワイエス作品に頻出する「窓」や「ドア」といった、より私的な世界との繋がりとして機能した「境界」の表現に焦点を当てた構成です。出展作品約100点のうち、10点以上が日本初公開となっています。

第1章「ワイエスという画家」は、寂寥感に満ちた野原を、スケッチブックを抱えて険しい表情で歩く20代の画家自身を描いた《自画像》(1945)から始まります。

《自画像》1945年/テンペラ/ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン、ニューヨーク

ワイエスは1917年、芸術家一家の末子として生まれました。幼少期から虚弱で学校に通えず、ひとりで自宅近隣を散策してはスケッチを重ね、創造性を育む日々を送ります。10代後半から著名な挿絵画家の父、N.C.ワイエスのスタジオで本格的な指導を受け、才能を開花させていきます。偉大な父の影響のもとで苦悩しながら自らの表現を模索し続けた経験が、内省的な作風の礎となりました。

20歳になると、ニューヨークで開催した水彩画の初個展で全作品完売という成功を収めるなど、画家生活は順風満帆かに見えました。しかし、《自画像》が描かれた1945年、28歳の時に、乗り越えるべき壁であり精神的な支柱でもあった父と甥が踏切事故によって急逝。以後「すべてのものは移り変わる」という視座を得たワイエスは、根底に「世の無常」という死生観が潜む独自の絵画世界を深めていきます。

同章は《自画像》を含め、ワイエスが熱心に取り組んだ細密な「テンペラ画」を中心に構成されています。

《冬の野》1942年/テンペラ/ホイットニー美術館、ニューヨーク

卵黄と水で顔料を溶かし、薄い層を幾重にも塗り重ねていくテンペラは、油彩の普及以降、次第に主流から外れていった古典的な技法です。ワイエスは義兄であり父の弟子でもあった、ピーター・ハードから手ほどきを受けました。油彩のテラテラとした光沢を嫌ったワイエスにとって、ザラザラと乾いた質感を生み出すテンペラは、極めて緻密な描写を可能にする点とあわせて、理想的な表現媒体となります。自然のものだけを使って生まれるそのシックな色合いを、ワイエスは自分の住む土地の色としてこよなく愛しました。

水彩においても、水分を抑えたわずかな絵具で画面を擦るように塗り重ねる「ドライブラッシュ」の技法を用いて、まるで織物を織るように、草木や壁面の荒れた質感、風にさらされた空気までも生々しく表現しました。メランコリックな詩情をたたえた画面は、こうした技法によって支えられているといえるでしょう。

《鷹の木》1973年/ドライブラッシュ/成田ゴルフ倶楽部

《マザー・アーチーの教会》(1945)は、アフリカ系住民の心の拠り所であった教会を描いたテンペラ画です。建物は滅びの途上にありますが、開いた窓からは白い鳩が舞い込んでいます。本展のテーマ「境界」にもかかっている構図は、ただ失われていくだけではない、かすかな希望の気配を差し込んでいるようにも捉えられます。

《マザー・アーチーの教会》1945年/テンペラ/フィリップス・アカデミー附属アディソン・ギャラリー、アンドーヴァー

ワイエスの育った田舎村チャッズ・フォードには、アフリカ系コミュニティやドイツにルーツをもつ移民が暮らしていました。差別や偏見が根強かった時代にあっても、ワイエスはそうした人々と親しく交わり、モデルとして多く描いています。

第2章「光と影」は、ワイエスの特徴のひとつである、光と影の巧みな対比表現に焦点を当てています。

展示風景、左は《スプール・ベッド》1947年/水彩/ホイットニー美術館、ニューヨーク

ワイエス作品の多くは、光を強く感じさせる部分と、ほの暗さを帯びた部分とが共存しています。それは17世紀バロック絵画に見られるような劇的なスポットライト的演出ではなく、あくまで現実の光として違和感なく表されたものです。しかし、その対比はコントラストを強調する視覚的なテクニックにとどまらず、時に「窓」や「戸口」といった、両者を分け、また結ぶ働きをする境界を静かに浮かび上がらせています。

《鐘つきロープ》1951年/テンペラ/デラウェア美術館、ウィルミントン

そうした光と影の演出には、ワイエス自身の経験や感情が込められており、静謐なドラマを形づくる重要な要素でもありました。たとえば、《鐘つきロープ》(1951)や《冷却小屋》(1953)といった作例では、暗がりの向こうに差し込む光に外の世界への期待や解放への予感がにじんでいます。

《三月の嵐》1960年/ドライブラッシュ・水彩/デラウェア美術館、ウィルミントン

《洗濯物》(1961)では、ワイエスのスタジオの庭に干された洗濯物が風をはらみ、バスケットとともに明るい光に照らされています。対照的に、窓の内側は暗く沈んでいますが、よく見れば両者は断絶しているわけではなく、洗濯ロープでつながっています。そこには、有能なマネージャーとしての影の仕事と、家を支える主婦としての仕事を同時に担っていた妻ベッツィへの温かなまなざしが感じられます。

《洗濯物》1961年/水彩/カマー美術館、ジャクソンビル
《うたた寝》1963年/水彩/ファーンズワース美術館、ロックランド

また、ワイエスは先述した父の事故死と、その5年後に自身を襲った肺疾患からの臨死体験によって、「生と死」という人生で逃れられない命題と向き合い続けました。《うたた寝》(1963)では、納屋の扉の奥に広がる深い暗闇を背景に、日向ぼっこをする白い猫が配されています。猫は死を連想させる「眠り」の状態にありますが、眠っている場所は光と影の境界です。「生と死」が対立するものではなく、連続し、つながり合うものであるというワイエスの哲学の表れと捉えることもできるでしょう。

本展でひときわスペースが広く取られているのは、3章「ニューイングランドの家――オルソン・ハウス」です。

《オルソンの家》1939年/水彩/丸沼芸術の森

毎年夏になると、アメリカの原風景が残るニューイングランド地方のメイン州クッシングで過ごしていたワイエス。本章冒頭に展示されている《オルソンの家》(1939)は、のちに妻となるベッツィに連れられ、同地に暮らすオルソン姉弟宅を初訪問した直後に描かれた水彩画です。丘の上に孤独にたたずみ、増改築によって変則的な形になった建物に一目で魅了されたワイエスは、以降30年にわたり、同家の2階をスタジオとして使い、夥しい数の作品を制作しました。

《表戸の階段に座るアルヴァロ》1942年/水彩/丸沼芸術の森
展示風景、左から《屋根窓》《三階の寝室》いずれも1947年/水彩/丸沼芸術の森
《海からの風》習作/1947年/水彩/丸沼芸術の森

ワイエスにとって鉛筆素描は、「対象との間に起こる私の強い感情を表現する」ものであり、衝動をぶつけるように素早く描きつけることが常でした。一方でオルソン・ハウスに関しては、遠からず滅び去る未来を見据えたのでしょうか。まるで肖像画を仕上げるかのように、窓や羽目板の一枚一枚まで対象を丹念に捉え、その相貌を克明に記録するような素描を残しています。

《ニュー・イングランド》習作/1960年/鉛筆/丸沼芸術の森

ワイエスの心を捉えたのは建物だけではありません。進行性の病気によって脚が不自由になりながらも気高い独立心を持っていた姉クリスティーナと、彼女を支えるために好きな海での漁を辞め、農作業に従事した忍耐強い弟アルヴァロの人間性にも強く惹かれたのです。とりわけ、恵まれた家庭に育った自身にはない精神的な強さを備えたクリスティーナに深い敬意を抱き、名作《クリスティーナの世界》(ニューヨーク近代美術館蔵、本展未出品)をはじめとする数々の作品のミューズとしました。

台所仕事を終えたクリスティーナが、午後の日差しの差し込む裏口の踏み段に腰掛けている様子を捉えた《クリスティーナ・オルソン》(1947)も代表的な肖像画です。ワイエスが「傷ついたカモメを思い起こさせた」と語った彼女の姿もまた、内と外の境界に位置しています。

《クリスティーナ・オルソン》1947年/テンペラ/マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス

不自由な身体ゆえに容易には外へ出られないクリスティーナは、どちらかといえば暗い室内の世界に属する存在かもしれません。しかし彼女は、開かれた戸口から陽光に満ちた外の世界に視線を投げており、画面の外から吹き込む風は彼女の髪をなびかせ、画面に生命感を与えています。ここでは境界が、何かを分断するものではなく、内と外の交流を生み出す通路として表現されているのです。隣には、習作である「風で髪が揺れていない状態」の素描も展示されており、風の表現がいかにワイエスにとって重要な要素だったかを伝えています。

《穀物袋》1961年/水彩/丸沼芸術の森

メイン州は最初期に入植された土地であり、19世紀初頭にさかのぼる古い家に住んでいたオルソン姉弟の父もまた、スウェーデンからの移民でした。ワイエスは姉弟の慎ましくもたくましい生活から、アメリカという国の基盤を作った人々の姿を思い浮かべていたのかもしれません。このように、星条旗やニューヨークの摩天楼といった分かりやすいシンボルではなく、歴史に連なる原風景や、そこに暮らす寡黙な人々の尊厳に深く寄り添ったことで、ワイエスは「アメリカを描く画家」として、国民から支持されるようになったのです。

《オルソン家の終焉》1969年/テンペラ/クリーブランド美術館

アルヴァロは1967年12月に、後を追うようにクリスティーナも1968年1月に亡くなります。翌年の夏、ワイエスは無人となった家を訪れ、《オルソン家の終焉》(1969)を手がけました。描かれているのは、クリスティーナの台所仕事を想起させる煙突や、かつてアルヴァロが漁をしていた入り江、そして自由に空を飛ぶ一羽の小さなツバメの姿です。併置された習作と見比べると、本作では「窓枠」という画面の手前側と向こう側を隔てる境界が取り払われており、すでにこの世を去った姉弟との交流を、なお続けようとするワイエスの深い思慕の念がうかがえます。

ワイエスは、オルソン姉弟やペンシルヴェニア州の隣人であった元軍人のカール・カーナー、カーナーの介護を行っていたヘルガ・テストーフなど、同じ対象を長年にわたり描き続けたことで知られています。第4章「まなざしのひろがり」では、身近な風景の中から「カチッとスイッチが入る瞬間」を探し続けた画家の姿勢とともに、人物にとどまらないモチーフの広がりに着目しています。

展示風景、左から《乗船の一行》1982年/テンペラ/フィルブルック美術館、タルサ《ハイ・スツール》1985年/水彩/医療法人社団 景翠会

同章では《乗船の一行》(1982)、《ハイ・スツール》(1985)、《島のポーチ》(1999)など、椅子をモチーフとした作品が特に目を引きます。《モデルの椅子》(1982)に描かれているのは、アン・コールという女性が休憩していた白い椅子と衣服。そのほうがアンという人物をよく表せると考えられたため、モデル不在の画面が選ばれました。ここでの椅子は、存在と不在を交差させる役割を果たしているといえるでしょう。ワイエスは本作のように、あえて人物を画面から退けることで、かえってその人の気配や内面を浮かび上がらせる表現をしばしば用いました。

《モデルの椅子》1982年/水彩/ユニマットグループ
《美しき休息》1991年/ドライブラッシュ・水彩/ユニマットグループ

《灯台》(1983)は、メイン州サザン・アイランドの灯台での情景を描いた一作。開かれたドアの手前にベッツィの愛犬ノームが行儀よく座っており、奥の階段を上れば外の世界が広がっていることが予感されます。灯台の光は、航海を続ける船乗りたちの生を繋ぎとめるもの。ノームは、主に変わってその命綱を守る灯台守の役割を果たそうとしているかのようです。

展示風景、右は《灯台》1983年/テンペラ/ユニマットグループ

終章「境界あるいは窓」では、窓を中心とした境界のモチーフに立ち返り、ワイエスの絵画に通底する思想をあらためて掘り下げています。

《ゼラニウム》(1960)は、オルソン・ハウスの窓越しに室内にいるクリスティーナを捉えています。ただし、クリスティーナの人影は指摘されなければ気づかないほど存在感が薄く、彼女が好んだという赤いゼラニウム一輪が存在を暗示しています。奥の窓からは陽光が差し込み、《クリスティーナ・オルソン》と同様、彼女の世界が閉ざされてはおらず、明るい外の世界とつながっていることを伝えています。

《ゼラニウム》1960年/ドライブラッシュ・水彩/ファーンズワース美術館、ロックランド

一見すると抽象画のような《薄氷》(1969)は、ワイエスの自宅付近の水路に沈んだ枯葉を、薄く張った氷越しに見下ろした構図の作品です。前年にクリスティーナを亡くし、深い喪失感を抱えていた時期の作例であり、ワイエス自身、沈んだ無数の枯葉が自身の経験やこれまで出会った人々を表していると語っています。そうした文脈を踏まえるなら、この薄い氷の向こう側を「死の世界」として捉えることもできるでしょう。

《薄氷》1969年/テンペラ/株式会社三井住友銀行

しかし、画面をよく見ると、水の流れを示す小さな気泡が描かれており、そこが完全に静止した死の領域ではないことに気づきます。さらに、氷の上に一枚だけせり出した葉が氷面に影を落としている様子は、生と死が対立ではなく連続しているのだという、ワイエスの死生観を雄弁に物語っています。

《ヒトデ》1986年/水彩/フィルブルック美術館、タルサ

常に喪失の気配を漂わせながらも、窓から差し込む光や、境界を越えてゆく鳥の姿に、かすかな希望がにじむワイエスの絵画。彼の「うつろいの美学」は、日本人の美意識にも深く響きます。没後初の大規模回顧展となる本展は、その静謐なドラマ性をあらためて見つめ直す機会となるでしょう。

「東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展」概要

会場 東京都美術館
会期 2026年4月28日(火)~7月5日(日)
開室時間 9:30~17:30
※金曜日は20:00まで
※入室は閉室の30分前まで
休室日 月曜日、6月29日(月)は開室
観覧料 一般 2,300円、大学・専門学校生 1,300円、65歳以上1,600円、18歳以下・高校生以下は無料
※詳細は公式ページでご確認ください。
主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、東京新聞、フジテレビジョン
お問い合わせ (ハローダイヤル)050-5541-8600
展覧会公式サイト https://wyeth2026.jp/

※記事の内容は取材時点のものです。最新情報は展覧会公式サイト等でご確認ください。


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東京国立博物館で文化財との一期一会の出会いを楽しむ  体験型展示「日本美術のとびら」 2026年6月30日(火)にリニューアルオープン

東京国立博物館

東京・上野公園にある東京国立博物館(以下、東博)本館の体験型展示「日本美術のとびら」が2026年6月30日(火)よりリニューアルオープンします。
新しいコンテンツ「とーはくワンダーウォール」のコンセプトは「一期一会」。約12万件に及ぶ膨大なコレクションの中から、来館者の操作に応じてインタラクティブにおすすめの一点を提示し、“文化財との新しい出会い”へと導きます。

「とーはくワンダーウォール」展示室内イメージ

■コーナー1:あなたと文化財の幸せな一期一会を演出する「とーはくワンダーウォール」

東博には、国宝・重要文化財をはじめとする約12万件のコレクションがあります。けれども、今日展示されている文化財は、このうち約3000件。来館者にとってはお目当ての文化財にはなかなかお目にかかれないと同時に、複数ある展示館の“どこで何を見るべきか分からない”という声も聞かれます。保存上の理由から展示替えも定期的に行われるため、今日出会えた文化財に、次回出会えるともかぎりません。しかしそれは、決してマイナスなことではありません。言い換えれば、東博は毎回未知の文化財との出会いがある、「一期一会の博物館」なのです。

「とーはくワンダーウォール」は、その壮大な文化財の世界への入口として、来館者の好奇心を喚起し、鑑賞体験をより主体的で豊かなものへと導くインタラクティブコンテンツです。東博のWEB情報や収蔵品データベース「ColBase」を活用し、“その日確実に見られる文化財”を、来館者の多様な興味関心に応じてマッチングする仕組みを構築することで、新たな来館者の博物館体験のあり方を提案します。

【コンテンツ制作:株式会社内田洋行( https://www.uchida.co.jp/ )・パワープレイス株式会社( https://www.powerplace.co.jp/ )】

 

≪コンテンツ前半:150年の歴史と名品をめぐる特別映像作品(ショートムービー)≫
東博の全体像をつかむ、約2分間のスペシャル映像。1872年の湯島聖堂博覧会にはじまり、2022年の創立150周年に至るまでの歩みを軸に、日本およびアジアの文化財が持つダイナミックな広がりを、映像と音楽による演出で表現しています。映像内では「松林図屏風」や「古今和歌集(元永本)」、「遮光器土偶」など、東博を代表する名品が登場し、時代やジャンルを超えた多彩なコレクションの魅力を体感的に伝えます。

「とーはくワンダーウォール」スペシャルムービーの1シーン

 

≪コンテンツ後半:「きょう、出会う一点」へ導く、体験型インタラクティブコンテンツ≫
研究員が選び抜いた名品を紹介する「研究員の推しと出会う!」コーナーや、ガラポンのようにくじを回し“何が当たるかはその日のお楽しみ”として文化財と出会うコーナーなど、さまざまな仕掛けのあるデジタルコンテンツです。6種類の切り口の中からランダムに選ばれた4つのコンテンツが、当日展示されている約3,000件の作品情報と連動しながらリアルタイムに生成・表示され、最後には「あなたへのおすすめの一点」が提案される仕組みとなっており、実物の文化財を見に思わず展示室へと足が向くことでしょう。日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語対応になっており、国内外の多くの来館者が直感的に楽しめる内容です。あなたと博物館、そして文化財との出会いを今までよりももっと楽しく、予想外なものに。

「とーはくワンダーウォール」インタラクティブコンテンツの体験イメージ

 

■コーナー2:ガラス越しではない距離感が感動をもたらす「高精細複製品と出会う」(継続展示)

文化財活用センター〈ぶんかつ〉が、企業等と連携してつくる文化財の複製のなかから、屏風と掛け軸の高精細複製品を、季節にあわせて展示します。
日本の文化財は、光や熱、湿度に弱いものが多く、100年後、1000年後に受け継いでゆくために、展示の照明、温湿度などを厳しく管理し、年間の展示日数にも制限を設けています。本来これらのものは、人の手から手へ受け渡され暮らしの中で使われてきましたが、今はそのような距離感で楽しむことはできません。

このコーナーでは、最新のデジタル技術と伝統的な職人の技によって、本物そっくりに制作された高精細複製品を、ガラスケースなしで、細部までじっくり見ることができます。間近で見て、感じて、そこから広がる景色や空間を想像する、本物ではできない複製品ならではの鑑賞体験をお楽しみいただけます。
また、これら高精細複製の原本は、名品であるほど他館への貸し出し依頼も多く、東博で展示されるのは数年に一度ということもあります。本物そっくりの高精細複製によって、多くの人に愛される名宝との出会いを確実なものにすることができました。

全て【高精細複製品】 左から 国宝「花下遊楽図屏風」 (展示期間:~5/17)、 国宝「納涼図屏風」 (展示期間:6/30~8/30)、「焔」 (展示期間:~8/30)

 

■展示情報
東京国立博物館 本館1階B室 「日本美術のとびら」
オープン日 : 2026年6月30日(火)
       *5月18日(月)~6月29日(月)までリニューアル工事のため閉室
会場    : 東京国立博物館 本館1階B室(東京都台東区上野公園13-9)
開館時間  : 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
       *毎週金と土曜日は夜20:00まで開館
       *東博コレクション展に準じます
休館日   : 月曜日(ただし月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始、その他臨時休館あり。
観覧料   : (東博コレクション展)一般1,000円、大学生500円、高校生以下無料
       *東博コレクション展観覧料または開催中の特別展観覧料(観覧当日に限る)でご覧いただけます。
ホームページ: https://cpcp.nich.go.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=dtl&id=53

 

【文化財活用センター】
2018年に国立文化財機構に設置された、文化財活用のためのナショナルセンターです。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動をしています。
https://cpcp.nich.go.jp/

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【国立文化財機構 文化財活用センター】プレスリリースより


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