自由な表現者たちの魂が、胸に迫る。
【東京藝術大学美術館】「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」内覧会レポート

東京藝術大学大学美術館

2020年7月23日(木・祝)から9月6日(日)まで、東京藝術大学美術館にて特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」が開催されています。先日、メディア向けの内覧会が開催されましたので、その様子をお伝えいたします。

人間味あふれる、「あるがまま」の作品たち

 

会場入口を彩る、小森谷章氏の作品。糸の塊が絡み合い、アメーバのような生命体を彷彿とさせる

 

展示会場風景

 

作家名の下にはQRコードが貼付されており、スマホ等で読むことで作品情報などを閲覧できる

 

林田嶺一氏はミュシャやロートレックなどのポスター作品とミニチュアなどのさまざまなマテリアルを組み合わせ、不可思議なイメージを作り出す

 

枯葉を折り紙のように折って製作された、渡邊義紘の作品。驚くべき手技の妙

 

井村ももか氏の制作した布製の丸いオブジェ。まるでパフォーマンのように「歌うように、踊るように」作り上げるという

 

当初はTシャツなど、身近なものに描いていたという福井誠。強烈な「目」のイメージが印象的

 

特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」で展示されているのは、いわゆる「プロフェッショナル」の作品ではありません。

ここに集うのは、世間からは「アウトサイダーアート」などとも呼ばれる、既存の芸術や教育、障害の有無などに左右されず、ただひたすらの独自の世界を追求し続けるアーティストたちの作品です。こうした、いわば「独学」のアーテイストたちの活動は20世紀初頭の美術界に大きな衝撃を与え、今日においてもその価値と重要性が強調され、広く社会に受け入れられています。

本展覧会ではNHK・Eテレで放送中のドキュメンタリー番組「no art,no life」と連携し、世界的に注目を集め続ける「あるがまま」のアートの世界を、近年国内外で注目を集めるアーティスト総勢25名、約200点の作品を通じて紹介しています。

 

展覧会初の試み!オンライン上で「ロボット鑑賞」

 

会場を自由に徘徊する自動運転ロボット

 

会場には「ロボット館長」も登場!

 

まさに「日本初」の試み。本展では東京藝術大学とNHKの独自企画として、インターネット経由で遠隔操作可能な自動運転ロボットを活用し、オンライン上のロボ鑑賞会を実現させています。内覧会ではそのお目見えが行われ、「ロボット館長」による展示作品解説も行われました。

ロボットは3Dセンサーを利用して周辺の環境を把握し、目的地に到達する最適なルートを探ってくれます。また、モニターを通じて来場者とコミュニケーションを自由に取ることも可能。来場者とロボットが並んで歩き、和気あいあいと鑑賞する姿を見て、「ああ、新しい時代がやってきたな・・・」と感慨もひとしおでした。

ロボ鑑賞会は予約制で、事前に希望日時を選んで登録し、配信されたURLにアクセスすることで当日鑑賞できるという流れのようです。詳しくはスペシャルコンテンツサイトをご覧ください。

 

出展作家紹介

 

魲万里絵(すずきまりえ)

 

高校時代に統合失調症を発症したという魲万里絵さん。現在は地元の会社と地域活動支援センターに通う傍ら、絵を描き続けているそうです。

ふくよかな女性の身体、ハサミ、性器・・・。彼女の絵画にはこれらのモチーフが反復して登場し、「呪術的」とも言えるほどの強烈な世界観を作り上げています。特にハサミは「描くと落ち着く」モチーフなのだとか。

初めの頃はチラシやポスターのような挿絵風の絵だったようですが、次第にマジックと紙というシンプルな道具を使い、自分自身の内面を曝け出すような絵を描くようになったそうです。

 

小久保憲満(こくぼのりみつ)

 

「この世界のすべてを自分でつくってみたい」

小久保憲満さんは、そうした強い思いで日々筆を取り、絵を描き続けています。会場に展示されている横幅10メートルにも及ぶ大作は17歳の時から描きはじめ、約5年の歳月を経て完成させたもの。

街を縦横に走る線路、ショッピングモール、遊園地・・・。キャンパスには俯瞰した街の風景が描かれていますが、小久保さんは記憶やインターネット検索などで集めた情報を集め、どこにも存在しない空想の街を作り上げました。まさに圧巻の一枚。

キャンパスの右から描き進めていったということで、左に進むほどにモチーフやタッチがまるでグラデーションのように徐々に変化していっているのがわかります。

 

川上健次(かわかみけんじ)

 

「自分にとって強烈な感情をもたらすものをモチーフにする」という川上健次氏。その作品は幼いころに自分をいじめていた男の子や、自責の念にかられながら置き去りにしてしまった猫など、その背後に密度の高い「物語」や「情念」を感じさせるものです。

会場内のモニターには作家自身の姿や創作の様子などがディスプレイされていますが、川上氏は大声で笑ったり泣いたり、まさに「天真爛漫」そのもの。その力強い筆遣いやタッチからは、純粋で野太いエネルギーが伝わってきます。

ときにスリリングで恐ろしい場面を描きながらも、作風はどこかほのぼの。もし岡本太郎が生きていたら、彼のことを絶賛していたのでは・・・そんな想像も浮かんできます。

 

 

開催概要

展覧会名 特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」
会期 2020年7月23日(木・祝)~9月6日(日)
開館時間 10:00~17:00(最終入場は16:30)
※7月30日(木)は12時からご観覧いただけます。
※日時予約制(予約サイトはこちら
休館日 ※休館日:月曜日
ただし、8月10日(月・祝)は開館、8月11日(火)休館
会場 東京藝術大学大学美術館(〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8)
観覧料 入場無料
公式サイト https://www.nhk.or.jp/event/art2020/

 

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【上野の森美術館】「なんでもない日ばんざい!」内覧会レポート~注目作品などを紹介~

上野の森美術館

野田 哲也「日記1979年8月10日」木版、シルクスクリーン、和紙 49.0×63.7cm 1979年 上野の森美術館

2020年7月23日(木・祝)より、上野の森美術館にて、上野の森美術館所蔵作品展「なんでもない日ばんざい!」が開催されています。(~8月30日(日)まで)
先日、この展覧会の報道内覧会がありました。
この記事では、展覧会について、展覧会の構成と編集部注目作品などについて、紹介します。
それでは、ご覧ください!


「なんでもない日ばんざい!」について

上野の森美術館では、1983年から今まで38回開催してきた上野の森美術館大賞展の受賞作品を多数所蔵しています。

今回の展覧会「なんでもない日ばんざい!」は、「なんでもない、どこにでもある日常」をテーマに、コロナ禍で、私たちの行動に様々な制限が強いられる中、こんな時期だからこそ見てみたいという作品を約80点展示します。
そのほか、同じく上野の森美術館の所蔵作品から、版画家・野田哲也が、家族や日常の日々を記録した〈日記〉シリーズの1970~80年代の作品約40点を前後期に分けて展示。また、秋山さやかが上野公園を題材に制作した作品も展示します。

「なんでもない日ばんざい!」公式サイト:http://www.ueno-mori.org/specials/2020/nandemonaihi/

 

展覧会の構成と編集部注目作品を紹介します。

 

展覧会は、5章から構成されており、作品の題材や視点が、徐々に日常の内側から外側、身近なものからより遠いものへとひろがっていくよう構成されています。

第1章「日常のなかに」

日常の「核(コア)ともいえる家や室内、身の回りの光景、自分自身やすぐそばにいる親しい人を描いた作品など、展覧会のテーマ、「なんでもない、どこにでもある日常」を感じる一番代表的なイメージ群です。

 

☆藤井 由隆 「花束」

 

まっすぐと、強いまなざしでこちらを見つめる女性。
その表情に、一瞬で引き込まれてしまいます。
ドレスや靴の鮮明なブルーが、女性の芯の強さを象徴しているように思えます。

藤井 由隆 「花束」油彩 F100  第35回 優秀賞 上野の森美術館

 

☆八嶋 洋平 「プラスチックガール」

 

壁にもたれかかる桃色の少女の人形。
深い悩みを抱えているように見えます。
よく見ると、壁には犬か猫を抱く男性の絵が描かれています。
実は、父親への愛情を求める気持ちを表しているのでしょうか?

八嶋 洋平 「プラスチックガール」 油彩 F100 第36回 絵画大賞 上野の森美術館

 

第2章「日常から絵画へ」

 

日常は、絵画の世界への入り口でもあります。
身近な日常に題材を得ているものを、そのまま描くのではなく、古今東西様々な絵画の様式や先達の手法を参考にしたり、あるいは独自のイマジネーションを発揮して様式化した絵画が、第2章にはそろいます。

 

☆原田 久万 「日本の行方 Ⅱ」

 

顔に布を被る男。
その足元は、粉々に崩れていきます。
日本の未来への憂いでしょうか?
「日本の行方」というタイトルにドキッとさせられます。

原田 久万 日本の行方 Ⅱ 油彩 F80  第10回 佳作賞 上野の森美術館

 

☆井上 猛 「きざし」

 

カタツムリの殻のようなものの中から飛び出す大きな魚と殻に吸い込まれるエビのような生き物。
水面は大きく渦を巻いています。
渦は、どんどん大きくなって、どこへ向かうのでしょうか?

井上 猛 「きざし」 油彩 S80  第8回 佳作賞 上野の森美術館

 

第3章「動物」

 

現代社会においての動物は、人間にとってどういう存在なのでしょう?
都市生活者にとっては、家で飼うペット、あるいは動物園などで囲われた状況の動物がいます。
第3章では、人々の感情を映し出す重要な存在として表現された動物などを紹介しています。

 

☆大村美玲 「間」

 

大きな樹と、その近くに佇む鳥。
神話的な樹が、まばゆい光を放っているようにも、鳥がクジャクのように羽を広げているようにも見えます。
薄明りの中で鑑賞すると、どのように見えるのかも見てみたい作品です。

大村美玲 「間」 日本画 S100  第37回 優秀賞 上野の森美術館

 

第4章「風景」

 

第4章は、第1章で紹介した室内などの手の届く範囲の風景よりももっと広い、遠い風景や俯瞰した風景が中心の展示となります。
都市の象徴である建造物から、水の流れや雲の動き、それら私たちの生活に欠かせない風景がここに描かれます。

 

☆呉 梨沙 「あさくさ」

 

誰もが知っている浅草の風景が、季節の移ろいを象徴する花とともに描かれています。
爽やかな色使いの中に、儚(はかな)さも存在しているように感じられます。

呉 梨沙 「あさくさ」油彩 F100 第29回 優秀賞

 


☆茂木 瑶(もてぎたまな)「星座ー窓からの風景ー」

 

窓の外に広がる夜景を描いた作品。
様々な光が交差して眩(まばゆ)い光を放ち、生き生きと語りかけてきます。
それぞれの光を見ていると、明るさが微妙に異なるので、不思議です。

茂木 瑶(もてぎたまな)「星座ー窓からの風景ー」油彩 S100 第32回 優秀賞

 

第5章「広がる想像」

 

実際の日常がいくら狭く、限られたものであっても、私たちは想像力を用い、物理的な制約を補うことができます。
第5章では、画家たちは絵画のなかで、異質なものどうしを結びつけ、異なる時空を導き入れ、目の前の現実よりはるかに広く深い世界を生み出そうと試みた作品を展示します。

 

☆青木萌 「覚醒する情動」

 

花瓶に植えられた花から蝶のような、別の生命のようなものが誕生しています。
ほとんどモノクロームの作品なのに、色彩を豊かに感じ取ることができるのは、気のせいでしょうか?
所々に配置された赤も、効果的です。

青木萌 「覚醒する情動」ミクストメディア F100 第33回 優秀賞

 

[特集展示] 野田哲也 版画 < 日記>シリーズ

 

☆野田 哲也「日記1979年8月10日」

 

野田哲也が、当時幼かった息子さんを題材にした作品。
歯抜けの口を大きく開けて、こちらを向く表情が、とてもユーモラスです。
よく見ると、顔の上に計算式が書いてあります。
この計算式が、作品を一段とポップな印象にしています。

野田 哲也「日記1979年8月10日」 木版、シルクスクリーン、 和紙 49.0×63.7cm 1979年 上野の森美術館

 

※特集展示は、展示替えがあります。

前期:7 月23 日( 木・祝)~8 月10 日( 月・祝)
後期:8 月12 日( 水)~8 月30 日( 日)

まとめ

 

上野の森美術館所蔵作品展「なんでもない日ばんざい!」について、お伝えしてきました。
展示されている”なんでもない、どこにでもある日常”をテーマにした作品群は、どれも気になるものばかりでした。
ここで紹介した作品以外にも、素晴らしい作品が展示されていますので、上野の森美術館へ行って、確かめてみませんか?

そして、作品に触れたあとは、なんでもない日々の大切さを噛みしめることでしょう。
美術館で作品を鑑賞すること、上野公園を散策すること、家族や友人と笑いあうこと。
なんでもないことが、こんなにもキラキラと輝いているということに。

 

※会場では、新型コロナウイルス対策として、検温の実施、手指の消毒の依頼をしております。
手指の消毒の徹底、マスク着用、密を避けるようソーシャルディスタンスを保って、ご鑑賞ください。

 

開催概要

 

タイトル :     上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい!
会   場   :  上野の森美術館 〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2
会   期 :    2020年7月23日(木・祝)-8月30日(日)
休   館    :   月曜日(ただし8月10日は開館)、8月11日(火)
時   間    :   午前10 時─午後5 時(入場は閉館30 分前まで)
主   催    :   日本美術協会 上野の森美術館、フジテレビジョン
後   援    :   フジサンケイグループ

 

 

チケット情報 

 

*この展覧会は日時予約制です

①10:00~10:59  ②11:00~11:59  ③12:00~12:59  ④13:00~13:59
⑤14:00~14:59  ⑥15:00~16:30

ご来館前にあらかじめ下記(e+ イープラス、ファミリーマート店舗)で日時指定券を購入のうえ
会場にお越し下さい。美術館内の混雑緩和のため、会期中は入場制限をさせていただきます。

 

ネット環境をお持ちでない方へ
日時指定の予約なく当日直接お越しになる方は【当日窓口】でお越しいただいた時間帯の空いている時間枠を照会いたします。
日時指定予約をされた方が優先となりますので、ご入場までお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。

※入替制ではございません。 ※指定時間内にご入場ください。

 

入場料: 一般1000 円、大学生500 円、高校生以下無料

※障がい者とその付き添いの方1名は無料、入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

 

販売期間

 

①2020 年7月10日(金)10時~
[7月23 日( 木・祝)~8 月10 日(月・祝) の期間のチケットを販売します。]

 

②2020 年7 月22 日( 水) 0 時~
[8 月12 日( 水)~8 月30 日( 日) まで の期間のチケットを販売します。]

 

販売場所  e+(イープラス) / QRチケット 【WEB 販売】 https://eplus.jp/ueno-mori/

【 コンビニ店頭販売】 ファミリーマート店内Famiポート

※ファミリーマート店頭購入方法 https://www.family.co.jp/services/famiport.html
※上野の森美術館窓口(開館日のみ)

 

・当館内で新型コロナウイルスの感染者が確認された場合、上野の森美術館ホームページにその情報を掲出いたします。
・会期等に変更等ある場合は上野の森美術館ホームページにてお知らせいたします。

 

 

※タイトルについて

「なんでもない日ばんざい!」は、もともとルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に出てくる「誕生日じゃない日のプレゼント」(un-birthday present)という言葉に由来。ディズニーの「不思議の国のアリス」では、「お誕生日じゃない日のうた」のなかに「なんでもない日おめでとう!」(A Very Merry Unbirthday To You)という歌詞がある。

 

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東京藝術大学大学美術館 特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」 国内外で注目を集める出品作家たちをご紹介!

東京藝術大学大学美術館


井村 ももか《みどりの玉》2014年

 

東京藝術大学・NHK・文化庁・独立行政法人日本芸術文化振興会は、東京藝術大学大学美術館(台東区・上野公園)にて『日本博』の一環として特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」[会期:2020 年7月23 日(木・祝)-9 月6 日(日)/令和2 年度 日本博主催・共催型プロジェクト]を開催します。

本展では、特定の文化や既存の美術、流行、専門教育などに影響されることなく、自身の芸術的な衝動に忠実に、ただひたすら自由に独自の世界を創造し続ける表現活動を行っているアーティストの作品にスポットを当てます。

日本国内には、独学のアーティストの独自の個性的な表現活動が多く見られ、その担い手の中には知的障害や精神障害のある方も多く、作品はなかなか世に出てきませんが、圧倒的な迫力に満ちています。
それらは私たちに人間の豊かさや心の自由を教えてくれると同時に、創造力を掻き立て、新たな人間像を考えるきっかけを提示しています。

近年国内外で注目を集めるアーティスト総勢25 名による約200 点の作品を通して、魅力的で多様性にあふれる「あるがままのアート」の世界と、その作品から垣間見えるアーティストたちの人生を、NHK のE テレやBS4K8K、国際放送で放送中の「no art, no life」、2017 年からETV 特集にて放送している「人知れず表現し続ける者たち」シリーズの映像とともに紹介します。

 

【『日本博』とは】

日本博は、「日本人と自然」を総合テーマに、縄文時代から現代まで続く「日本の美」を体感する美術展・舞台芸術公演、芸術祭などを、年間を通じ、全国各地で展開するプロジェクトです。
文化庁、日本芸術文化振興会、関係府省庁、全国の文化施設、地方自治体、民間企業・団体等が連携して、各地域が誇る様々な文化芸術の振興を図り、その多様かつ普遍的な魅力を国内外へ発信し、次世代に伝えることで、更なる未来の創生を目指します。
日本博公式ウェブサイト:https://japanculturalexpo.bunka.go.jp/

 

 

■本展みどころ

■パリで、ニューヨークで、アジアで、話題となった日本の「あるがまま」のアート作品が勢揃い!
■トゲトゲのオブジェ、落ち葉の折り紙、10 メートル!圧巻の現代絵巻など約200 点の作品を展示
■多様な表現が生まれる瞬間 アーティストたちの創作風景を4K 映像でも紹介
■人間の豊かさとはなにか、共に生きるとはなにか、心を揺さぶる総勢25 名の表現

【出品作家】
今村 花子/井村 ももか/大倉 史子/金崎 将司/川上 建次/記 富久/喜舎場 盛也/CANKTLE (キャンクト)
古久保 憲満/小森谷 章/坂元 郁代/澤井 玲衣子/澤田 真一/舛次 崇/杉浦 篤/魲 万里絵/高田 幸恵
長 恵/林田 嶺ー/福井 誠/藤岡 祐機/戸來 貴規/松本 寛庸/山際 正己/渡邊 義紘(五十音順)
※都合により、掲載している出品作家・作品が変更になる場合があります。

 

■作家紹介

 

澤田 真一(さわだ しんいち)

 

澤田は、架空の動物とも人間とも思えるシンボリックな陶芸オブジェを制作する。形態は奇怪だが、どことなくユーモラスにも見える不思議な生き物たちである。
表面を覆う無数の棘は、独特な世界を作り出し、作品は一度見たら忘れることのできない魅力を兼ね備えている。
棘のような突起物は、見ようによっては、世界を感受するセンサーのようなものにも見えるし、また、自らを保護する体毛が覆っているようにも見える。
当初は、手に乗るほどの小さな動物のようなオブジェの制作から始まったが、やがてサイズは大きくなり、原初的な人間や動物を想起する、空想的な形態の彫刻的な作品へと発展していった。

澤田は、滋賀県栗東市の山中の窯場で静かに制作を続けている。

 

澤田 真一《無題》制作年不詳

 

喜舎場 盛也(きしゃば もりや)

喜舎場盛也は、アルファベットや文字を紙一面に書き記した作品や、ベルや四角といった形を描き連ねる作品などの制作を経て、インクの滲みに着目した≪ドットシリーズ≫を制作している。
本シリーズは、必ず左下隅の青い丸を打つことから始まる。
この丸だけ他よりも少しだけ大きいのは、ペン先が紙に触れている時間が長いからである。
最初の斑点の後は、ドットの色選びを即興的に行っているようであるが、画面の中で色の偏りが見受けられないことから、独自の制作システムがあると思わずにはいられない。
色鉛筆で描かれた新作の≪ドットシリーズ≫では、 色彩のうねりが不思議な景色を作り出している。

喜舎場 盛也《ドットシリーズNo.10》2014年

 

井村 ももか(いむら ももか)

布製の丸い形のオブジェを作り出す。手の上に乗るサイズから抱きかかえるとちょうどよいサイズまで大小がある。
具体的なイメージがあるわけではないが、どこか愛玩動物やぬいぐるみを彷彿とさせる。
始めから大きなものをつくるわけではなく、順次、オブジェを成長させていくように、小さなものから大きなものへと作り上げる。
ピンク色が好きで、工房に着くと、まずピンクのウイッグをかぶり、創作が終わるとウィッグを外して、帰るという日々は、まるでパフォーマンスでもしているかのよう。
ときに歌うように、踊るように、動きながら、作り上げる。

井村 ももか《みどりの玉》2014年

 

 

松本 寛庸(まつもと ひろのぶ)

3m を超える大きな作品からスケッチブックサイズのものまで大小様々な作品あるが、どれも色彩に富んでいて、明快なイメージによってディテールが構成され、隅々までそれらによって埋め尽くされて、ひとつの物語を構成している。作品に近づくと読み解く面白さを堪能できる。
扱う題材は宇宙や歴史上の合戦というスケールの大きなものから、霧や、細菌と白血球など微小なものまで幅が広いが、題材のスケールの大きさを問わず、いずれも一種の世界の成り立ちを、作品を介して紹介しているともいえるもので、どのような法則やルールによってその世界が成立し、系統づけられているのかといった“なぞ”への興味が通底した制作の動機になっている。

松本 寛庸《加藤清正と徳川家康の陣取り合戦》2009-2010年頃

 

 

■展覧会開催概要

 

特別展「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち- 」

 

特定の文化や美術動向に影響されることなく、自身の芸術的な衝動に忠実に、ダイレクトに、表現活動を行っているアーティストの作品を紹介します。
世界的に注目を集める「あるがままのアート」の世界を、近年、国内外で注目を集めるアーティストたち総勢 25名、約 200点の作品を通して幅広い“人間観”を探っていき、“人間の豊かさ”とは何かについて考えていきます。

 

会場: 東京藝術大学大学美術館  〒110-8714 東京都台東区上野公園12-8

会期: 2020年 7月23日(木・祝)~9月6日(日 )

休館日 :毎週月曜日、8月11日(火)
※ただし、 8月10日(月・祝)は開館10:00〜 17:00
※入館は閉館の 30分前まで

主催 :東京藝術大学、NHK、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会、令和2年度日本博主催・共催型プロジェクト

展覧会公式HP: https://www.nhk.or.jp/event/art2020/

展覧会公式 SNS
Instagram:  https://www.instagram.com/arumama20/
Facebook :    https://www.facebook.com/arumama20
twitter    :         https://twitter.com/arumama20

 

 

【展示室内の3密(密閉・密集・密接)を防止するため、 入場予約制の導入のご案内】

 

本展は入場無料ですが、すべてのお客様はオンラインによる事前予約が必要となります。(小学生未満のお子様 は予約不要)
・開館 時間は 10時から 17時 まで 、 30分毎の入場となります。 最終 予約受付時間 は 16時予約回(最終入場 16時 30分) です。
・予約サイト からのみ予約可能です。 ご来場希望日の 1週間前より受付開始します。 電話等ではお受けできません。
・ご来場当日は、日時指定券の画面、もしくは画面を印刷したものを、展示室入口の係員にご提示ください。提示がない場合はご入館できません。

予約ページのURL https://art as it is.jp/reservation/ [ 7月 16日(木)午前 10:00より受付開始]

 

 

記事提供:ココシル上野


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【上野の森美術館】上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい!開催

上野の森美術館

「なんでもない、どこにでもある日常」をテーマに、 いま、こういう時期だからこそ見てみたい、
心に響く作品を上野の森美術館所蔵作品からピックアップ!

 

今年2 月に日本でも本格化した新型コロナウィルスの感染問題により、私たちの意識や社会が根本から変わりつつ あります。その後の緊急事態宣言下では、それまで考えてもいなかった行動制限̶できるだけ人と距離をとること、 会わないこと、集まらないこと、外出や遠出をしないことが求められ、家で過ごす時間が長くなり、だれもがいままで当たり前と思っていた日常生活をみつめ直すことになりました。

上野の森美術館では1983年からこれまで38回開催してきた上野の森美術館大賞展の受賞作品を多数所蔵しています。
今回、このなかから「 なんでもない、どこにでもある日常」 をテーマに、いま、こういう時期だからこそ見てみたい
と思う作品を約80点選びました。

明るく楽しい気持ちにさせてくれるもの、おだやかな日常の情景、いつも変わらずそこにある街や自然、そして身近な人や風景からユニークな想像や思索を巡らせたものなどをグループにして構成しています。

会場には、同じく所蔵作品から、版画家・野田哲也が家族や日常の断片を日々記録した〈日記〉シリーズのうち約40点、そして秋山さやかが上野公園を題材に制作した作品を展示します。
アーティストがごく身近な日常に向けた素朴で素直なまなざしのなかに、いまの私たちの心に響くたいせつなものを見出せるのではないでしょうか。

主な展示作品
・上野の森美術館大賞展受賞作品(油彩、日本画など)から、約80点
・野田哲也作品(版画)約40点 ※前後期にわけ展示替えがあります。
・秋山さやか 「 あるく 私の往来基本形 上野恩賜公園 2008 年 12月25日、2009 年4月3日、7日、14日、5月12日、16日」
※サイズ表記:F100=162.1×130.3 ㎝ S100=162.1×162.1 ㎝

 

春日 佳歩 「惨くて、美味しくて、」

油彩 F100 2020 年

欲に対する罪悪感や嫌悪感、同時に存在するあっけらかんとした爽快感を写真的な極端な三点透視法で描き、インパクトがある。孤独を感じさせる場面、それを鷲掴みにするような大胆なカットと冷静な描写力が強烈な印象をあたえている。

春日佳歩「惨くて、美味しくて、」 油彩 F100 2020年上野の森美術館

 

藤原 早苗 「ピクニック」

日本画 F100 2020 年

家族と出かけた楽しい時間を描いている。
今までそこにいた人たちが立ち上がった後にできる凹んだ感じもそのままに、まだ賑やかな時間が続いているようだ。
リズム感のある明るい色彩がウキウキさせてくれる。

藤原 早苗「ピクニック」日本画 F100 2020年 上野の森美術館

 

 

千葉 美香 「神秘」

油彩 F100 2017 年

水面に差し込む光が乱反射することによって生み出される効果をうまくとらえている。
女性の体はほとんどが透き通った水中にあり、清涼感と浮遊感を繊細な光で表現した秀作。

千葉 美香 「神秘」 油彩 F100 2017年 上野の森美術館

 

 

冨樫 昭裕 「FORM、小鳥がとぶ」 

アクリル・水性ペイントほか S100 2000 年

中央に大きく木のようなものが描かれ、周囲に動物たちや鳥たちが描かれる。素材や技法も様々で、画面の上に布を縫い付けたり、ボタンや塗料を使ったり、自由な手法で伸びやかな画面を作り上げている。

 

冨樫 昭裕 「FORM、小鳥がとぶ」 アクリル・水性ペイント S100 2000年 上野の森美術館

 

 

[特集展示] 野田哲也 版画 < 日記>シリーズ

 

展示替えがあります。
前期:7 月23 日( 木・祝)~8 月10 日( 月・祝)
後期:8 月12 日( 水)~8 月30 日( 日)

 

本展の「なんでもない、どこにでもある日常」のテーマのもと、日本を代表する版画家の一人である野田哲也の〈日記〉シリーズを特集展示します。

身の回りの風景や家族を題材にした〈日記〉シリーズは、1968 年から現在まで続く野田のライフワークであり、本展では当館が所蔵する1970~80 年代の作品から約 40 点を前後期に分けて展示します。

自身が撮った写真をもとに木版、シルクスクリーンなどで制作された作品には、家族の肖像、野菜や果物、買い物袋、ソファ、車窓からの眺めなど日々の生活や出来事を想像させるものが淡々と綴られます。

作家自身の日常生活というきわめて私的な主題に徹しながら、それらは「なんでもない、どこにでもある」情景だけに、だれもが共有できる普遍性を持っているのかもしれません。

野田 哲也「日記 1977 年8 月8 日」 和紙に木版、シルクスクリーン 1977 59.9×84.4cm 上野の森美術館

 

野田 哲也 「日記 1978年12月6日」 和紙に木版、シルクスクリーン 59.8×84.0㎝ 1978年 上野の森美術館

 

(※「画像写真の無断転載を禁じます」)

【概要】

 

タイトル   上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい!
会   場  上野の森美術館 〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2
会   期  2020年7月23日(木・祝)-8月30日(日)
休   館  月曜日(ただし8月10日は開館)、8月11日(火)
時   間     午前10 時─午後5 時(入場は閉館30 分前まで)
主   催     日本美術協会 上野の森美術館、フジテレビジョン
後   援     フジサンケイグループ

 

※タイトルについて
「なんでもない日ばんざい!」は、もともとルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に出てくる「誕生日じゃない日のプレゼント」(un-birthday present)という言葉に由来。ディズニーの「不思議の国のアリス」では、「お誕生日じゃない日のうた」のなかに「なんでもない日おめでとう!」(A Very Merry Unbirthday To You)という歌詞がある。

 

チケット情報 

*この展覧会は日時予約制です

①10:00~10:59  ②11:00~11:59  ③12:00~12:59  ④13:00~13:59
⑤14:00~14:59  ⑥15:00~16:30

 

ご来館前にあらかじめ下記(e+ イープラス、ファミリーマート店舗)で日時指定券を購入のうえ
会場にお越し下さい。美術館内の混雑緩和のため、会期中は入場制限をさせていただきます。
*この展覧会は日時予約制です。

 

ネット環境をお持ちでない方へ
日時指定の予約なく当日直接お越しになる方は【当日窓口】でお越しいただいた時間帯の空いている時間枠を照会いたします。
日時指定予約をされた方が優先となりますので、ご入場までお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。

※入替制ではございません。 ※指定時間内にご入場ください。

 

入場料一般1000 円、大学生500 円、高校生以下無料

※障がい者とその付き添いの方1名は無料、入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

 

販売期間

①2020 年7月10日(金)10時~
[7月23 日( 木・祝)~8 月10 日(月・祝) の期間のチケットを販売します。]

 

②2020 年7 月22 日( 水) 0 時~
[8 月12 日( 水)~8 月30 日( 日) まで の期間のチケットを販売します。]

 

販売場所  e+(イープラス) / QRチケット 【WEB 販売】 https://eplus.jp/ueno-mori/

【 コンビニ店頭販売】 ファミリーマート店内Famiポート

※ファミリーマート店頭購入方法 https://www.family.co.jp/services/famiport.html
※上野の森美術館窓口(開館日のみ)

 

・当館内で新型コロナウイルスの感染者が確認された場合、上野の森美術館ホームページにその情報を掲出いたします。
・会期等に変更等ある場合は上野の森美術館ホームページにてお知らせいたします。

 

 

記事提供:ココシル上野


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【国立科学博物館】第8回 ヒットネット(HITNET) ミニ企画展「香りの魅力-日本の産業技術-」開催いたします! ≪2020年7月14日(火)~8月23日(日)まで≫

国立科学博物館

国立科学博物館 (館長:林 良博)では、2020年7月14日(火)から8月23日(日)まで、第8回 ヒットネット(HITNET) ミニ企画展「香りの魅力-日本の産業技術-」を開催いたします。
【国立科学博物館URL: https://www.kahaku.go.jp/ 】

 

第8回 HITNET ミニ企画展「香りの魅力-日本の産業技術-

 

第8回 HITNET ミニ企画展「香りの魅力-日本の産業技術-」(国立科学博物館)

 

国立科学博物館(館長:林 良博)では、日本の産業系博物館等の資料を検索できる共通データベース(ヒットネット=HITNET)を構築し、公開しています。
産業技術に関する資料を所蔵・展示している多くの産業系博物館が日本各地に存在することを紹介するために、このたび、ヒットネットに登録している 155 館から、「香り」に関連する 4 館を紹介するミニ企画展を開催します。
各館に展示されている香りに関するエピソードなどをお楽しみください。
パネルや展示品を見ながら、日々の生活を支え、豊かな文化を育んできた産業技術の面白さや、技術の歴史を見る楽しさを感じていただければ幸いです。

 

 第8回 ヒットネット(HITNET) ミニ企画展「香りの魅力-日本の産業技術-」の概要


※現在、入館には予約が必要です。ご来館前に必ず公式ホームページをご覧ください。

【開催場所】 国立科学博物館 地球館 2 階 (東京都台東区上野公園7-20)
【開催期間】 2020年7月14日(火)~8月23 日(日)
【開館時間】9:00 ~17:00、但し、下記の期間は18:00まで延長します。
・2020年7月24日(金)から8月末までの金曜日・土曜日
・2020年7月23日(木・祝)、2020年8月8日(土)~16日(日)
【休 館 日】毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
※但し、本開催期間中は休館日なし。
【料  金】 常設展示入館料のみでご覧いただけます。
【主  催】 国立科学博物館
【共  催】 大分香りの博物館 (大分県別府市)
松栄堂薫習館 (京都府京都市)
磐田市香りの博物館 (静岡県磐田市)
東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス 学術情報センター (北海道網走市)

大分香りの博物館
松栄堂 薫習館
磐田市香りの博物館
東京農業大学 北海道オホーツクキャンパス 学術情報センター

 

ヒットネット(HITNET)とは…

 

【ヒットネット=HITNET】では、日本全国の登録した産業系博物館等が収蔵・展示する資料を横断的に検索・閲覧することができます。
ホームページ( http://sts.kahaku.go.jp/hitnet/ )から、関心のあるキーワードを入力すると、データベース内の該当する情報が表示されます。

 

国立科学博物館

 

国立科学博物館

 

※現在、入館には予約が必要です。詳しくは、公式ホームページをご覧ください。

【開館時間】9:00 ~17:00、但し、下記の期間は18:00まで延長します。
・2020年7月24日(金)から8月末までの金曜日・土曜日
・2020年7月23日(木・祝)、2020年8月8日(土)~16日(日)
【休 館 日】毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
※但し、本開催期間中は休館日なし。
【入 館 料】 一般・大学生 630円
高校生(高等専門学校生含む)以下および65歳以上 無料
【所 在 地】〒110-8718 東京都台東区上野公園 7-20
【問い合わせ】ハローダイヤル:03-5777-8600

国立科学博物館:https://www.kahaku.go.jp/
産業技術史資料情報センター: http://sts.kahaku.go.jp/

 

 

記事提供:ココシル上野


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【国立西洋美術館】「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」内覧会レポート

国立西洋美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年

3月中旬に国立西洋美術館で「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」メディア向けの特別内覧会が開催されました。今回はその様子をお伝えいたします。

※開幕が延期となりました。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合がございます。
最新情報を展覧会公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/)で必ずご確認ください。

英国の誇る至宝、奇跡の初来日。

展示会場入口

 

展示風景

 

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《34歳の自画像》 1640年

 

(画面手前)トマス・ゲインズバラ《シドンズ夫人》1785年

ロンドン中心部、トラファルガー広場に面して建つロンドン・ナショナル・ギャラリー西洋絵画に特化し、その世界屈指のコレクションは多くの来場者を魅了し続けています。多くのヨーロッパの美術館とは違い王室のコレクションを母体とせず、市民のために、市民の手で形成されたという点が大きな特徴。いわば、英国民による「アワ(私たちの)・コレクション」と言えるかもしれません。

しかし、これまで同ギャラリーはまとまった数の作品を貸し出すことには慎重で、英国外で所蔵作品展が開かれたことは一度もありませんでした

本展では、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの所蔵する世界的傑作が奇跡の日本上陸。全作が「初来日」となるこの機会は、まさに歴史的な展覧会といえるでしょう。

さあ、西洋絵画の歴史をめぐる美の旅へ

第4章展示会場風景

 

(画面手前)ルカ・ジョルダーノ《ベラスケス礼賛》1692-1700年頃

 

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》 1829年

 

ポール・セザンヌ《プロヴァンスの丘》1839-1906年

 

日本初公開となるゴッホの4番目の《ひまわり》(1888年)

今回来日する作品は全61点。本展は全7章構成となっており、ルネサンスからポスト印象派にいたるまでの名品が一挙に公開されています。英国とヨーロッパ大陸の相互関係の歴史を紐解きながら西洋絵画史を俯瞰することができ、まさに教科書的に楽しめるので、西洋絵画初心者の人も、そのコレクションの質の高さから美術ファンの人も幅広く堪能できる展覧会になっています。

時代の幅もさることながら、ゴッホ、フェルメール、レンブラント、ターナー・・・絵画史に名を刻む画家たちの作品が一堂に会しているさまはまさに「美の殿堂」「西洋美術界のオールスター」。
特に第7章で展示されているゴッホの《ひまわり》は自らその出来を認め、サインを記したという特別な作品。会場の中で燦然とした輝きを放つ《ひまわり》の力強さを、ぜひ会場で直接ご鑑賞ください!

 

鑑賞時間や注意点などは?

鑑賞時間は、ひと通り観て回るだけなら一時間程度。それぞれの作品をじっくり鑑賞したいなら、もう少し見込んでおくと良いでしょう。
新型コロナウィルス感染症の影響で、人数制限や予約入場制などの対応があるかもしれませんが、そうなれば鑑賞スペースには余裕があるはず。
事前に公式サイトで美術館の対応をチェックしておきましょう。

展示作品紹介

ヨハネス・フェルメール
《ヴァージナルの前に座る若い女性》 1670-72年頃

時を超え、見る者を誘う少女の眼差し。

近年、日本における「フェルメール・ブーム」も記憶に新しい世界屈指の画家。本展で出品されているこちらの作品は、ヴァージナル(小型撥弦鍵盤楽器)の前に座り、こちらに眼差しを送る若い女性を描いたものです。大理石の床、美しく飾られたヴァージナル、金の額縁で飾られた絵画・・・その内装の豪華さから、それなりに高い身分の女性であることがうかがえます。

やはり目を引くのは「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる鮮やかな発色の青色。そして背後の絵画に見られるような、入念に描き込みすぎない、自由闊達なタッチです。左下に置かれた弦楽器ヴィオラ・ダ・ガンバは、観ている私たちに「さあ、一緒に演奏しましょう」と語りかけているようにも思えます。

 

カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1735年頃

描いたのは風景ではなく、市民たちの活況(ドラマ)。

カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)は、18世紀の欧州における最も重要な景観(風景)画家として知られています。

この《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》は画家の故郷ヴェネツィアの大運河でおこなわれるゴンドラ競漕の景観を描いた作品ですが、その並外れた描写力、そして瑞々しい大気と水の表現には驚かされます。画面中景には華やかなゴンドラ、そして画面の大部分を占める大運河の両側には大勢の観客が描かれ、まるで市民たちの歓声が聞こえてくるかのよう。

現在、新型コロナウィルス感染症の影響により制限のある生活を強いられているイタリア。この絵画に描かれているような、活気のある情景が戻る日を祈るばかりです。

 

ディエゴ・ベラスケス《マルタとマリアの家のキリスト》1618年頃

ニンニク、卵、オリーブオイル・・・庶民のリアルな台所事情。

台所と思われる質素な室内で、乳棒と乳鉢を手にした若い女性。彼女がちょっと不機嫌そうに見えるのは、せっかく自分がイエス様をもてなすための料理を作っているのに、妹のマリアが手伝いもせず、ずっとイエス様のお話を聞いているから。

この絵画は新約聖書「ルカによる福音書」に書かれた物語を下敷きにした作品で、若き日のベラスケスが故郷セビーリャで描いたもの。注目すべきは、最も重要であるはずのイエスとマリアの問答が画面隅に追いやられ、その代わりに圧倒的な質感と写実性をもって前景を描いていること。いわば、「宗教画のかたちを借りた風俗画」といえるかもしれません。

滑らかな光沢を放つ白身魚、テーブルのニンニクや卵の質感・・・ぜひ、「手前のテーブルの上の静物」に注目して鑑賞してみてください。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》1888年

世界中で愛される、ゴッホの代表作。

ゴッホは共同生活を送る予定の友人ポール・ゴーガンのために、1888年から花瓶に生けたひまわりの絵を4点描きました。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの《ひまわり》はその4点目にあたり、ゴッホ自らがゴーガンの寝室を飾るにふさわしいと認め、サインをした2点のうち1点。つまりゴッホ自身の「お墨付き」というわけですね。

太陽へと向かい、黄金色に花を咲かせるひまわり。パリ時代に新印象派から学んだ技法、そして日本の浮世絵などから着想を得て、ゴッホは日常を超えた、内面世界のイメージのようなこの強烈なひまわりの図像を表現しました。

ゴッホの死後、なぜひまわりは世界中の人たちに愛されてきたのか。彼の作品に込められた「生命」の力を、ぜひご自身で体感してみてください。

開催概要

展覧会名 「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」
会 期 開幕日未定~2020年6月14日(日)
9:30~17:30
毎週金・土曜日:9:30~20:00
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日
会場 国立西洋美術館
観覧料 当日:一般1,700円、大学生1,100円、高校生700円
※開幕が延期となりました。開幕後も混雑対策のためチケットの販売方法や展示室への入場方法が変更となる場合がございます。
最新情報を展覧会公式サイト(https://artexhibition.jp/london2020/)で必ずご確認ください。
※中学生以下は無料。
※心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)。
公式サイト https://artexhibition.jp/london2020/

 
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06. 江戸をたずねる(令和3年度終了)

「江戸たずねる」とは

台東区内に根付く江戸に関連する史跡や文化財に焦点を当て、現地で江戸文化や歴史を体感できるガイドツアーを開催しました。

イベント開催内容(令和3年度)

(1)上野東照宮ガイドツアー
①事前講習会
日時 令和3年8月28日(土)
講師 浦井 正明 氏(寛永寺住職)
昭和12年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部史 学科卒業。東叡山寛永寺山内現龍院住職、寛永寺長臈を経て、令和2年2月より東叡山輪王寺門跡門主・寛永寺貫首。台東区文化財保護審議会委員、台東区教育委員会委員長を歴任し、現在は台東区文化政策懇談会委員、 上野の山文化ゾーン連絡協議会顧問を務める。 平成29年10月に台東区文化功労栄誉章を受章。
内容 東照宮の歴史や建立の理由などの基礎知識について

②ガイドツアー
日時 
第1回 令和3年 9月23日(木・祝)
第2回 令和3年10月10日(日)
内容
・上野東照宮拝観
・上野東照宮社殿拝観(特別公開)
・神田囃子鑑賞
・五條天神社拝観
講師
波多野 純 氏(日本工業大学名誉教授)
昭和21年生まれ、神奈川県出身。日本工業大学教授、同学長を歴任。現在は、波多野純建築設計室代表。工学博士。『江戸城Ⅱ』で建築史学会賞、「ネパールにおける仏教僧院の保存修復」で日本建築学会賞(業績・共同)。
嵯峨 まき 氏(上野東照宮禰宜)
東京都出身。東京女子医科大学医学部医学科卒業。医師としての仕事の傍ら神職資格を習得し、2005年より上野東照宮禰宜を務める
始澤 澄江 氏(五條天神社宮司)
東京都出身。日本女子大学文学部史学科卒業。先代の父の跡を継いで宮司を拝命し、現在に至る。

上野東照宮 社殿
上野東照宮 社殿内部

「Youtube 台東区公式チャンネル」にて、令和3年10月10日(日)に開催した「上野東照宮ガイドツアー」の様子を配信しています。

(2)奥浅草ガイドツアー
日時
令和3年11月6日(土)
内容
・待乳山聖天拝観
・浮世絵鑑賞
・奥浅草まち歩き(待乳山聖天~吉原弁財天)
講師
平田 真純 氏(待乳山聖天本龍院住職)
昭和32年生まれ 大正大学仏教学部仏教学科卒業。平成11年本龍院住職を拝命。法務、信徒指導の傍ら、江戸名所としても名高い待乳山を「浮世絵展」等の催事開催を通じて広く紹介。
日比谷 孟俊 氏(元慶應義塾大学教授・燈虹塾代表)
昭和20年生まれ。慶應義塾大学大学院修了。専門は、材料工学、宇宙工学、システム工学。工学博士、文学博士。江戸後期の妓楼 新吉原江戸町一丁目「和泉屋平左衛門」の末裔で、平成30年に『江戸吉原の経営学』を笠間書院より出版。浮世絵(遊女絵)の解析から、遊女の人事を解明し、吉原俄や、歌舞伎、神田明神祭礼の出し物には、吉原の男芸者が関わったことを指摘。
不破 利郎 氏(奥浅草観光協会専務理事・燈虹塾会員)
昭和36年生まれ、台東区出身。奥浅草地区の伝統・文化を地域振興のアイテムとして定着させ、地域活性と観光振興を図る活動を行う奥浅草観光協会の専務理事を務める。現在もかつての遊郭の地であった台東区千束にてビジネスホテル「ホテルみかさ」を営む。吉原商店会長。吉原青年部部長。

待乳山聖天

お問い合わせ

台東区文化振興課 TEL.03(5246)1153

特別展「『江戸風像人形』の世界~建物・人形・小物の三位一体の妙~」

本企画展は令和2年2月24日をもって終了しました。

台東区立中央図書館で開催している企画展「吉原細見の世界Ⅱ」については、
令和2年3月15日(日)まで開催です。詳細は台東区立中央図書館HPをご覧ください。


「江戸風俗人形」は、檜(ひのき)細工師・三浦宏氏による建物、人形師・辻村寿三郎氏による人形、江戸小物細工師・服部一郎氏による小物によって構成され、3人の職人技が一体となって造り上げた作品です。およそ一坪の展示台の上には、四季折々の情景を表した部屋が展開された建物を見ることができ、その様式や各部屋に配置される調度品あるいは人形などは、細部にまでこだわって造り込まれています。現在に甦った江戸時代の華やかな廓(くるわ)の情景をお楽しみください。

あわせて、「江戸風俗人形」の舞台となった吉原に関連する錦絵、地図、絵はがきなどを展示し、江戸の頃より連綿と続く優美な世界をご紹介します。

およそ一坪ある見ごたえのある展示
細部までこだわりのある遊郭と人形

会場
台東区立下町風俗資料館 2階展示室

開催期間
令和元年12月7日(土)~ 令和2年2月24日(月休)

開館時間
午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)

休館日
毎週月曜日(祝休日の場合は翌平日)
令和元年12月3日(火)~ 12月6日(金)
令和元年12月29日(日)~ 令和2年1月1日(水)
令和2年2月26日(水)~ 2月28日(金)

入館料
一般300円(200円)
小・中・高校生100円(50円)
※( )内は20名以上の団体料金
※障害者手帳、特定疾患医療受給者証を提示の方と、その介助者は無料
※毎週土曜日は台東区内在住・在学の小・中学生と、その引率者は無料

ギャラリートーク
担当学芸員が特別展のみどころを解説します。

<日時>
令和元年12月7日(土)・21日(土)
令和2年1月4日(土)・18日(土)
令和2年2月1日(土)・15日(土)

※各回午後2時から。20~30分程度。
※12月21日(土)と2月15日(土)は、台東区立中央図書館郷土・資料調査室専門員の平野恵によるギャラリートークを行います。
※予約不要。入館された方ならどなたでも参加いただけます。


同時開催「吉原細見の世界Ⅱ」

台東区立中央図書館で企画展「吉原細見の世界Ⅱ」が開催されます。吉原のガイドブックである『吉原細見』を活用し、吉原を題材とした浮世絵を読み解きます。
会期中は、前期・中期・後期と展示替えを行います。また、トークイベント・ギャラリートークも開催します。
詳細は台東区立中央図書館のホームページをご確認ください。

開催場所
台東区立中央図書館2階郷土・資料調査室

開催期間
令和元年12月20日(金)~ 令和2年3月15日(日)

開館時間
月~土:午前9時~午後8時
日・祝日:午前9時~午後5時

休館日
令和元年12月31日(火)~ 令和2年1月2日(木)、
1月16日(木)、2月20日(木)

 

 

神田伯山(神田松之丞改め)、爆笑問題が登場!
「第2回江戸まち たいとう芸楽祭」
クロージングイベント体験レポート

浅草公会堂

 

2019年8月18日のオープニングイベント『ボヘミアン・ラプソディ』の野外上映からスタートした、「第2回 江戸まち たいとう芸楽祭」は、大盛況のまま、クロージングイベント『芸がさね・舞がさね』を迎えました。
今回、2月15日に行われた当イベントの模様を取材してきましたので、ご覧ください。


オープニングセレモニー

 

「第2回江戸まち たいとう芸楽祭」のクロージングイベントは、オープニングセレモニーとともに幕を開けました。
セレモニーは、渡邉寧久 江戸まちたいとう芸楽祭実行委員長、服部征夫 台東区長、石塚猛 台東区議会議長の挨拶に始まりました。
出演者によるフォトセッションの後、各プログラムが始まります。

(写真左から) 石塚猛 台東区議会議長、(1人挟んで)服部征夫台東区長、(1人挟んで)渡邉寧久 江戸まちたいとう芸楽祭実行委員長、浅草花やしき花振袖のみなさん、藤山大樹さん、AUN J クラッシック・オーケストラ

花振袖の舞 浅草花やしき花振袖

 

クロージングイベントは、
浅草花やしき花振袖のみなさんによる花振袖の舞で始まりました。
浅草花劇場を中心に活躍する9人の舞踊家さん達が、ハンカチ、傘、扇子を使って、舞台の上をしなやかに舞います。
その動きは、春風にそよぐ花びらのよう。

大和楽に合わせて、扇子を手に舞う花振袖たち。
色彩豊かな振袖。後ろ姿も華やかです。
舞の終わりに、大輪の花を咲かせました。

 

講談  神田伯山

 

今年、2月11日に真打ちに昇進した、神田松之丞改め6代目神田伯山の登場です。
様々なメディアで取り上げられ、今、最もチケットの取れない注目の講談師、神田伯山。忖度なしの物言いも魅力です。
「超満員と聞いていたのですが、所々席が空いております」
「『源平盛衰記 扇の的』を30分くらいやらなけりゃいけないと言われています。そんなに、やりたくない。。。」
などと言うと、会場は爆笑の渦に。
少し長めのマクラで、お客さんの心を掴んだあと、
「なんで、こんなにマクラをしゃべったかというと、本編が短いから!」と、また、笑いを誘い、本編へ。
よどみなく畳みかける伯山の講談の勢いと迫力に、会場のお客さんも、息つく暇もなく、どんどん引き込まれていきます。
テンポのいい語り口で講談は進み、さあ!という時に、
「なんとなんとー!お時間がー、きてしまいましたー!」
と、言ったかと思うと、間髪入れずに、
「しかし、私に明日は御座いません!この続きを申し上げてもよろしいでしょうかー?」と会場のお客さんを煽(あお)ると、
大きな拍手とともに、講談を再開します。
そして、最後まで畳みかけ、
「みなさんのご健康やご多幸を記念して、みなさんの的(まと)も大当たりとなりますように!」
と、締めくくり、会場は大きな拍手に包まれました。

6代目・神田伯山
源平盛衰記「扇の的」をテンポよく演じます。
物語は、熱を帯びたまま、佳境を迎え、終了。

 

手妻(和妻)  藤山大樹

 

次は、藤山新太郎を師に仰ぎ、国の無形文化財・手妻(和妻)を継承する数少ない手妻師の1人、藤山大樹さんの登場です。
海外でも手妻を披露して、世界中に日本の伝統文化を広めています。
『手妻』は、手を稲妻のように素早く動かすことから、手妻というのだそうです。

こより(細長く切った和紙をひも状にしたもの)で、きつく結び付けられた両手の親指を小刀で切る手妻。
何度刀を通しても、こよりは不思議と切れません。
七変化。一瞬で起こる鮮やかなお面の変化を通して、舞踊の所作を見せます。
こんな表情も。
最後にキメのポーズ!

 

和楽器演奏  AUN J クラッシック・オーケストラ

 

各楽器の第一線で活躍する邦楽家が集結したユニットAUN Jクラッシック・オーケストラの和楽器演奏です。
アンコール・ワットやモン・サン・ミッシェル等の世界遺産でも演奏をするなど、海外でも高い評価を得ています。


息がピッタリと合った6人の和楽器のアンサンブルが、会場を揺らします。
尺八の音色が、AUN J クラッシック・オーケストラのメロディラインを支えます。
まるでギターのような三味線の早引き
和太鼓のソロパート。お腹の底から湧き上がるようなリズムに、気持ちが高ぶります。

 

漫才 爆笑問題

 

クロージングイベント、そして「第2回江戸まちたいとう芸楽祭」の大トリを飾るのは、爆笑問題のお2人です。
地上波では放送できないような今話題の時事ネタを、毒舌を交えてバッサリ斬り、会場の笑いを誘っていました。

爆笑問題のお2人
旬な芸能界の話題を毒舌交じりにネタにします。
社会情勢もバッサリ。

フィナーレ

 

最後は、出演者による手ぬぐいまきで、締めくくりました。

手ぬぐいまきの様子。

大きな拍手とともに、「第2回江戸まち たいとう芸楽祭」のクロージングイベントは、幕を閉じました。

まとめ

 

「第2回江戸まちたいとう芸楽祭」クロージングイベントの体験レポートをお伝えしました。
今話題の演者たちが集合して、踊りや話芸、和楽器演奏などを展開した舞台は、まさにクロージングイベントに華を添えるにふさわしい内容だったのではないでしょうか?
約半年間、多彩な芸能・芸術文化をもって台東区を盛り上げてきた「第2回江戸まちたいとう芸楽祭」は、ここに幕を閉じました。

 

 

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東京国立博物館「博物館でお花見を」 2020年3月10日(火)~4月5日(日)開催!

東京国立博物館

東京国立博物館は、春の恒例企画「博物館でお花見を」を今年も開催します。
本館の各展示室では、桜をモチーフにしたさまざまな日本美術の名品が咲き誇ります。
また、本館北側にある庭園では約10種類の桜をお楽しみいただけます。
さらに、ギャラリートークやクイズラリーなど関連イベントも行います。
トーハクならではの、特別なお花見をどうぞご堪能ください。

■本館桜めぐり

本館では、「観桜図屏風」など桜を描いた絵画や、桜をモチーフにした工芸品、陶磁器など、桜に関連したさまざまな作品を展示します。
該当作品のキャプションには桜マークを付けていますので、展示室にてお気に入りの桜を見つけてください。

◆主な展示作品 ※作品はすべて東京国立博物館蔵

本館7室

観桜図屏風(かんおうずびょうぶ)

住吉具慶筆 江戸時代・17世紀

西脇健治氏寄贈

展示期間:3月24日(火)~4月19日(日)

https://www.atpress.ne.jp/releases/205579/img_205579_1.jpg

『伊勢物語』より、桜を讃え歌を詠む惟喬(これたか)親王と在原業平(ありわらのなりひら)らを描きます。

本館8室

瓢形酒入(ひさごがたさけいれ)

船田一琴作 江戸時代・天保14年(1843)

展示期間:1月28日(火)~4月19日(日)

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銀、銅、銀と銅の合金など多彩な金属でつくった酒入。
桜の花は、銅を立体的に彫り、鍍金(ときん)したものを象嵌しています。

本館8室

色絵桜樹図透鉢(いろえおうじゅずすかしばち)

仁阿弥道八作 江戸時代・19世紀

展示期間:1月28日(火)~4月19日(日)

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少し斜め上から鉢の内外を同時に眺めると、より満開の桜を感じられます。

本館8室

色絵桜樹図皿(いろえおうじゅずさら)

鍋島 江戸時代・18世紀

展示期間:1月28日(火)~4月19日(日)

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円形に沿って枝が巡る構図で、桜が器面いっぱいに爛漫と咲いています。

本館10室

隅田川の花見船図(すみだがわのはなみぶねず)

歌川国政筆 江戸時代・19世紀

展示期間:3月17日(火)~4月12日(日)

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舟を浮かべて遊ぶ女性たちと吉原へ向かう遊客。
遠くには桜の名所の三囲神社も描かれます。

本館10室

小袖 白綸子地若松桜幕模様

(こそで しろりんずじわかまつさくらまくもよう)

江戸時代・18世紀

展示期間:2月26日(水)~4月19日(日)

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満開の桜に幔幕(まんまく)がかかる模様は、『源氏物語』「花宴(はなのえん)」巻を想起させます。

本館13室

桜花鳳凰図鐔(おうかほうおうずつば)

塚田秀鏡作 明治3年(1870)

展示期間:3月10日(火)~6月14日(日)

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鐔の中で咲き誇る桜と舞い飛ぶ鳳凰が、華やいだ春を感じさせます。

■春の庭園開放

本館北側の庭園を、桜の時期にあわせて開放します(茶室内には入れません)。

また、期間中には臨時でカフェも出店します。
展示室で桜の作品を見たあとは、庭園でゆったりとお花見をお楽しみください。

3月10日(火)~4月19日(日) 10:00~16:00

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※悪天候により中止する場合があります。

※庭園の一部工事を行うため、立入りエリアに制限が生じる場合がございます。

◆桜ライトアップ

春の庭園開放期間中の金曜・土曜日は、19:30まで庭園のライトアップを行います。

■桜イベント

※事前申込制の記載がないものは事前申込み不要、参加無料です。(ただし、当日の入館料が必要となります)

◆桜ギャラリートーク

器に咲く桜

陶磁器に表された桜について解説します。

日時:3月17日(火) 14:00~14:30

講師:今井敦(博物館情報課長)

場所:本館地下 みどりのライオン(教育普及スペース)

仏教絵画に描かれた桜

風景描写を伴う仏教絵画には桜も描かれます。

蓮華だけではない、仏教絵画の中の花についてお話しします。

日時:3月24日(火) 14:00~14:30

講師:沖松健次郎(絵画・彫刻室長)

場所:本館地下 みどりのライオン(教育普及スペース)

◆桜鑑賞ガイド

桜作品の見どころをダイジェストでご紹介します。

日時:3月31日(火) 14:00~14:30

講師:阿部楓子(教育講座室アソシエイトフェロー)

場所:本館地下 みどりのライオン(教育普及スペース)

◆桜セミナー

金銀螺鈿の花づくし

漆と金が生み出す季節の楽しみ方をご紹介します。

日時:4月4日(土) 13:30~15:00(13:00開場予定)

講師:福島修(工芸室研究員)

会場:平成館大講堂 定員380名(先着順)

◆ボランティアによるガイドツアー

桜にちなんだ作品や構内の桜など、さまざまなテーマで「トーハクの桜」をご案内します。

※日時とテーマは、当館ウェブサイトなどでご確認ください。

◆東博句会「花見で一句」

桜咲く庭園や桜をモチーフにした作品をテーマに俳句を募集します。

ご応募は当館敷地内4か所に設置されたポストに投函してご応募ください。

入選作品は、東京国立博物館ニュース9-11月号と当館ウェブサイトで発表し記念品を贈呈します。

※「博物館でお花見を」期間中毎日受付。

◆桜ワークショップ 春らんまん 桜ぬりえ

桜をモチーフにした作品のぬりえに、思い思いに色をつけ、自分だけの春らしい作品をつくるワークショップです。

日時:3月27日(金)~3月31日(火)

各日11:00~16:00 ※ぬりえシートがなくなり次第終了

会場:本館2階ラウンジ

◆桜クイズラリー

展示室をめぐって、5つのクイズを解いてください。
全て正解した方にオリジナルバッジをプレゼントします。

「博物館でお花見を」期間中、毎日開催。
バッジは全部で2種類ご用意しています。

※台紙の配布・バッジの引換え場所:本館エントランス

(バッジの引換えは10:00~閉館まで)

オリジナル缶バッジ(2020年限定デザイン)

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◆アートスタジオ 事前申込制

桜の根付作り

本館10室と高円宮コレクション室の根付を見学したあと、粘土を加工して桜をテーマにオリジナルの根付を制作します。
完成作品はお持ち帰りいただけます。

日時  :3月28日(土)13:30~15:30

会場  :本館地下 みどりのライオン(教育普及スペース)

対象  :高校生以上

定員  :20名程度(応募者多数の場合は抽選)

参加費 :無料(ただし、高校生を除く18歳以上70歳未満の方は当日の入館料が必要)

申込締切:2月25日(火)必着

◆庭園茶室ツアー 事前申込制

草庵(そうあん)茶室に入ってみよう!

庭園内にある茶室の見どころについて解説します。
通常のガイドツアーでは入らない「六窓庵(ろくそうあん)」「転合庵(てんごうあん)」の内部までご案内します。

*悪天候の場合は中止することがあります

日時  :3月19日(木) 11:00~12:00

定員  :16名(応募者多数の場合は抽選)

参加費 :無料(ただし、高校生を除く18歳以上70歳未満の方は当日の入館料が必要)

申込締切:2月17日(月)必着(申込みは締め切りました)

◆応挙館での茶会 事前申込制

応挙館(おうきょかん)桜茶会

庭園の応挙館でのお茶会です。
桜と円山応挙の障壁画(複製画)をご覧いただきながら、季節のお菓子とともにお茶をお楽しみいただきます。

*悪天候の場合は中止することがあります

日時  :3月29日(日) (1)11:00~12:00 (2)13:00~14:00(各回とも同じ内容)

定員  :各回15名(応募者多数の場合は抽選)

参加費 :500円(ただし、高校生を除く18歳以上70歳未満の方は、別途当日の入館料が必要)

申込締切:2月19日(水)必着(申込みは締め切りました)

※事前申込制のイベントについて、申込方法は当館ウェブサイトでご確認ください。

◆コンサート

桜の街の音楽会

「東京・春・音楽祭」参加アーティストによる無料のミニコンサートを開催します。

(ただし当日の入館料が必要です)

▼4月2日(木)

10:30~10:50 正門前

Vive! サクソフォーン・クヮルテット(サックス四重奏)

13:00~13:20 法隆寺宝物館エントランスホール

石井希衣(フルート)&岡本和也(ギター)

▼4月7日(火)

13:00~13:20 本館エントランス

大江馨(ヴァイオリン)

主催・お問合せ: 東京・春・音楽祭実行委員会(TEL:03-5205-6497)

ウェブサイト : http://www.tokyo-harusai.com/

【来館案内】

開館時間:9時30分~17時(金曜、土曜日は21時まで開館。入館は閉館の30分前まで)

休館日 :3月16日(月)、3月23日(月)

観覧料 :2020年4月1日(水)より観覧料を改定します

●2020年3月31日(火)まで

<一般>

620円(520円)

<大学生>

410円(310円)

●2020年4月1日(水)より

<一般>

1,000円

<大学生>

500円

※( )内は20名以上の団体料金。4月1日(水)より廃止

※高校生以下および18歳未満、満70歳以上の方は無料(入館の際に年齢がわかるものをご提示ください)

※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳等をご提示ください)

※子ども(高校生以下および満18歳未満)と一緒に来館した方(子ども1名につき同伴者2名まで)は団体料金で観覧できます。4月1日(水)より廃止

※特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」(3月13日(金)~5月10日(日))は別料金

交通    : JR上野駅公園口、鶯谷駅南口から徒歩10分

東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分

お問合せ  : 03-5777-8600(ハローダイヤル)

ウェブサイト: https://www.tnm.jp/

 

 

記事提供:ココシル上野


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