東京国立博物館 正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-開催

東京国立博物館


東京国立博物館 平成館では、2019 年 10 月14 日(月・祝)~11 月24 日(日)まで、御即位記念特別展『正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-』を開催します。

この展覧会は、天皇陛下の御即位を記念し、正倉院宝物を中心とした飛鳥・奈良時代の国際色豊かな造形文化に焦点を当てた特別展で、わが国の7世紀美術を代表する法隆寺献納宝物と8世紀美術を代表する正倉院宝物を同時公開するものです。

 

正倉院正倉

 

■見どころ

古代インドに起源を持ち世界中で唯一正倉院にしか現存しないシルクロードの音色を運ぶ至高の美しさを誇る五絃の琵琶《螺鈿紫檀五絃琵琶》をはじめとした正倉院宝物の代表作を展示することに加え、《漆胡瓶》(正倉院宝物)と《竜首水瓶》(法隆寺献納宝物)など同じ用途のために製作された作品を並べて展示することで、時代や素材の異なるそれぞれの造形美の特色を間近にご覧いただけます。

令和元年の本年にこそふさわしい、日本文化を世界に発信する展覧会です。
皇室が守り伝えたかけがえのない日本の美、今後も受け継がれゆく悠久の美をご覧いただけます。

螺鈿紫檀五絃琵琶 唐時代・8世紀 正倉院宝物 【前期展示10月14日~11月4日】
漆胡瓶 唐または奈良時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

 

国宝 竜首水瓶 飛鳥時代・7世紀 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)
【後期展示11月6日~24日】

 

重要文化財 伎楽面酔胡王 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)【前期展示10月14日~11月4日】

 

 

平螺鈿背八角鏡 唐時代・8世紀 正倉院宝物 【後期展示11月6日~24日】

 

また、この度、既にご案内されております出品作品に加えて、正倉院で大切に守り伝えられてきた数々の宝物の中から、聖武天皇筆「雑集」や「紅牙撥縷撥」など、全43件の出品が決定しました。

 

■前売企画チケットも好評発売中!

・前期+後期チケット

前期(10 月 14 日~11 月 4 日)と後期(11 月 6 日~11 月 24 日)に各 1 回ずつ入場できるお得なセット券です。
価格:一般 2,800 円(税込) 販売期間:2019年7月19 日(金)~9月19日(木)

 

・「御即位記念 第 71 回正倉院展」+御即位記念特別展「正倉院の世界」セット券

「御即位記念 第 71 回正倉院展」(奈良国立博物館 会期:10月26日(土)~11月14 日(木)と御即位記念特別展「正倉院の世界」が各 1 回ずつ鑑賞できるお得なセット券です。
価格:前売一般 2,300 円(税込) 当日一般 2,500 円(税込)
販売期間:前売:2019年7 月19日(金)~10月13日(日)/当日:2019年10月14日(月・祝)~11月13日(水)15:00まで

※「御即位記念 第 71 回正倉院展」(奈良国立博物館)では、11月14日(木)は御即位を記念して入館無料です。

 

・図録・音声ガイド セット券

本展の公式図録と音声ガイド、入場券がセットになったお得なチケットです。
※公式図録は、会期中に会場展覧会特設ショップにてお引換え下さい。
※音声ガイドは、会期中に会場音声ガイド受付にてお引換え下さい。
※ナレーターは後日発表いたします。
価格:一般 4,500円(税込) 販売期間:2019年7月19 日(金)~10月13 日(日)
※各企画チケットは各種プレイガイドで販売中

【展覧会概要】

御即位記念特別展 正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―

■会 期:2019年10月14日(月・祝)~11月24日(日)
・前期10月14日(月・祝)~11月4日(月・休)
・後期 11月6日(水)~11月24日(日))
■会 場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
休館日:月曜日、11月5日(火)
※ただし 10月14日(月・祝)と11月4日(月・休)は開館

 

記事提供: ココシル上野


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第2回江戸まち たいとう芸楽祭~夏の陣~
オープニングイベント 取材レポート

上野恩賜公園竹の台広場(噴水広場)

昨年、好評を博した「江戸まち たいとう芸楽祭」が満を持して今年も開催。
粋・豊かな人情・進取の気性といった先人たちが守り、育み、現代へ継承されてきた多彩な芸能・芸術文化を老若男女だれもが肌で感じることができる情趣あふれる文化イベントです。

名誉顧問は前回に引き続きビートたけしさん。

8月18日のオープニングイベントを皮切りに、夏の陣が2019年8月18日~10月26日、冬の陣が2020年1月~2月15日にかけて開催の2部構成です。
そこで今回はオープニングイベントを取材しましたので、その模様をご覧ください。

マッハスピード豪速球&モンローズ

イベントの先陣を切ったのは、2019年1月に開催された「ビートたけし杯 漫才日本一」で、見事に優勝をさらったマッハスピード豪速球。10秒、30秒、1分のショートコントを披露しました。持ち味の毒舌と、要所要所に自らの知名度に関する自虐を交えたテンポの良いボケとツッコミ、そしてトークが会場から心地よい笑いを誘います。

マッハスピード豪速球

そんな彼らと、ビートたけし杯で競り合った準優勝のモンローズも次いで登場。現代的な脱力感あるボケと熱量全開のツッコミを持ち合わせた対照的な二人は、鉄板ネタ『弱小野球部の監督』を披露し、独自の笑いを魅せつけます。

モンローズ

こうして今年波に乗る若手芸人二組が会場を盛り上げ、「江戸まちたいとう芸楽祭~夏の陣~」の口火がきられました。

尺八演奏(き乃はち さん)

江戸時代から続く「琴古流」という尺八の流派を継承するき乃はちさんは、台東区根岸出身。4歳にして尺八をおもちゃ代わりに吹き始め、後に三橋貴風に師事。
2003年のソロデビュー後、舞台・歌舞伎・映画などの作曲活動にもその才能を発揮され、さらには全国の寺社仏閣において、奉納演奏を実施することをライフワークにもされているようです。
国外に目を向ければ、これまでロンドン、モスクワ、ウクライナ、カザフスタン、クリミア、ニュージーランド、北京、上海をはじめとした海外公演にも精力的で、まさに日本文化の発信者のお一人です。
今回は故郷台東区でその音色を響かせます。

き乃はち さん(左) 竹内純さん(右)

竹内純さんのヴァイオリン演奏もあって、一層会場は敬虔で神秘的なムードに包まれていきます。大人ばかりではなく、その音色は、物心ついたばかりの小さな子供たちの足をも止めさせる力を持っていました。伝統や格式を重んじる一方で、現代的な遊び心も忘れないそんな魅力ある演奏でした。

ニューヨーク発ダンスパフォーマンス(国際芸術文化交流 舞)

「国際芸術文化交流 舞」は、アメリカ・ブロードウェイでも活躍されている舞台女優・井本美穂さんを中心に、ダンスというエンターテイメントを通じて、地域に密着した体験型ワークショップや、国際文化交流にも力を発揮されているパフォーマンス集団です。

国際芸術文化交流 舞

特にシアターダンスを得意とし、今回は手話をダンスに取り入れることにも挑戦しました。そして、なんといっても今回のダンスの目玉は、この後上映される映画 『ボヘミアン・ラプソディ』にちなんだロックバンド QUEENの曲にのせたダンスパフォーマンス。躍動感あふれる力強いダンスに皆さん夢中です。曲調に併せて手拍子も沸き起こり、会場は盛り上がりをみせます。

手話を取り入れたダンスパフォーマンス

ROLLY & 村治 佳織(トークショー)

こよなくQUEENを敬愛するミュージシャンのROLLYさんと、たいとう観光大使としても活躍しているクラシックギタリストの村治 佳織さんが映画『ボヘミアン・ラプソディ』、そしてQUEENについて熱く語ってくれました。

村治佳織さん(左)・ROLLYさん(右)

特に印象的だったのはブライアン・メイがギターを演奏するときに、ピックではなくコインを使ってギターを弾いていたというエピソード。
日本でいう1円玉にあたるイギリスのシックスペンスコインと彼のピッキングセンスが相まって数々の曲が生まれたとか。
お二人のQUEEN愛トークは尽きません。
そして、今回はなんとお二人セレクトのQUEENメドレーのセッションも披露してくれました。

『ボヘミアン・ラプソディ』映画上映

昨年、日本だけでなく世界で一大ムーブメントを巻き起こし、第91回アカデミー賞最多4部門を受賞した映画『ボヘミアン・ラプソディ』。
本作が、これ以上ない最高級のサウンド設備で、上野恩賜公園に設営された野外大スクリーンで上映されました。
上映に併せて、会場に集まった多くの観覧者の視線が、上映機材を積んだトラックから投影される光の先に注がれました。

日も沈み、暑さはコンクリートの地面がため込んだ熱を残すのみだったはずが、応援上映もOKとなった会場では場面が進むにつれて、QUEENファンによる熱い声援と歌声によって再び熱気がたちこもりました。
その様子は映画館というよりもライブ会場さながら。
この日の上野はいつも以上に熱くなりました。


こうして始まった「第2回 江戸まち たいとう芸楽祭」では、今後続々と映画・芸能・演劇といった多種多様な文化イベントが開催されます。
ぜひ周囲の皆様をお誘いの上、地域に根付き育まれてきた大衆芸能と、年月をかけ洗練された格式や伝統を観て、聴いて、笑いに、会場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
詳しくは、下記公式ホームページをご覧ください。

江戸まち たいとう芸楽祭概要

会期 2019年8月18日(日)~2020年2月15日(土)
会場 ○上野地区 上野恩賜公園噴水前広場・御徒町南口駅前広場ほか
○谷中地区 防災広場初音の森
○北部地区 山谷堀広場ほか
○南部地区 蔵前小学校
○浅草地区 東本願寺・浅草公会堂ほか
公式HP http://www.taitogeirakusai.com/

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東京国立博物館 第6回「博物館でアジアの旅」開催!

東京国立博物館


東京国立博物館では、2019年9月10日(火)~10月14日(月)まで、第6回「博物館でアジアの旅」が開催されます。

「博物館でアジアの旅」は、今年で6回目を迎える東京国立博物館の秋の恒例企画です。
東洋の美術・工芸・考古遺物が集う「東洋館」を舞台に、毎年異なるテーマを掲げ、それに沿った名品を館内随所に展示します。

今年のテーマは「愛」。
愛は人間の根源的な感情であるがゆえに、その対象や交わりのかたちもさまざまです。
愛と性のかかわり、愛と恋の違いについても、人それぞれの答えがあるはず。
今回は「ラブラブアジア」※というタイトルのとおり、愛を題材とした多彩な作品をご紹介しながら、アジア各地の人々が、いにしえより愛をどのようにとらえ、表現してきたのかを探ります。

※正式には「LOVEラブアジア」(“ラブ”部分はハートマーク)と表記します。

 

◇主な作品◇

≪一本の矢に込めた、切なる願い≫

 

【東洋館13室】

●ナーイカを膝に乗せて矢をつがえるナーヤカ
ビーカーネール派 インド 18世紀初

実は、男が狙った矢の先には雄鶏がいるのです。
雄鶏さえ鳴かなければ朝は来ない、そうすれば二人はいつまでも一緒にいられるという男女の想いが描かれています。

※インドではさまざまな愛を細密画の形で表現してきました。今回の展示では、性的表現を含む作品も一部ございます。予めご了承ください。

 

≪絵画ではなく刺繍!愛にあふれた縁起物≫

【東洋館10室】

●花鳥図屏風(かちょうずびょうぶ)
朝鮮 朝鮮時代・19世紀 小倉コレクション保存会寄贈

つがいの鳥と吉祥の植物を刺繍で表したおめでたい意匠の屏風。
新婚の高貴な女性の部屋を飾ったものです。

 

≪美女と勇者のカップル、その運命やいかに≫

【東洋館13室】

(左) ワヤン・クリ アルジュノ
インドネシア・中部ジャワ 20世紀 松本 亮氏寄贈

(右) ワヤン・クリ バヌワティ
インドネシア・中部ジャワ 20~21世紀 松本 亮氏寄贈

インドネシアの影絵人形ワヤン・クリ。
画像の二体は叙事詩『マハーバーラタ』に登場するキャラクターです。
勇者アルジュノを慕いながら、彼の宿敵の妻となった美女バヌワティ。
戦火のなかでついに二人は結ばれますが、バヌワティは敵襲によって命を散らします。

 

≪“鴛鴦(おしどり)夫婦”が可愛い、唐三彩の枕≫

【東洋館5室】三彩印花鴛鴦文枕(さんさいいんかえんおうもんまくら)

中国 唐時代・8世紀 広田 松繁氏寄贈

夫婦和合の象徴とされる鴛鴦が、子孫繁栄を意味する蓮花に乗った、たいへん縁起のよい意匠が施されています。

 

≪仲良し親子には、隠れた意味が≫

【東洋館9室】白玉水禽形合子(はくぎょくすいきんがたごうす)
中国 清時代・19世紀

蓮池に遊ぶ水鳥の家族を表す白玉の合子。
雌雄の水鳥は相愛を、雛鳥と蓮は子孫繁栄を意味します。
蓮は恋と同音なので、恋愛をも象徴するモチーフです。

 

≪二人の想いを、笛の音にのせて≫

【東洋館8室】春水吹簫図扇面(しゅんすいすいしょうずせんめん)
諸火斤筆※ 中国 清時代・乾隆48年(1783) 林 宗毅氏寄贈

※「火斤」は正式には1文字での表記です

うららかな春の川下りを楽しむ男女。南宋時代の有名な詞人・姜キ(きょうき)が奏でる簫(しょう)の音に、彼に愛された小紅(しょうこう)が歌をあわせる場面です。
※展示は9月18日(水)から

 

≪小さいけれど、後ろ姿までラブラブ≫

【東洋館3室】銀製装飾(ぎんせいそうしょく)ピン
イランまたはイラク パルティア時代・2~3世紀

(全体)

 

(背面部分)

まったりと飲食を楽しむ、夫婦と思しき仲睦まじい男女の姿が印象的です。
葬送の宴の一幕とも考えられます。

 

◇関連イベント◇

※すべて参加無料(ただし高校生を除く18歳以上70歳未満の方は当日の観覧料が必要)

<スペシャルツアー「愛を探す旅 ―添乗員はトーハク研究員―」>[当日受付]

各日3人の研究員が「愛」をキーワードに約20分ずつ、計70分間の東洋館の旅へと、ご案内します。

スペシャルツアー 2018年の実施風景

 

●9月10日(火)14:00~15:10「工芸に表現された愛」

猪熊 兼樹(工芸史)、小野塚 拓造(中近東考古)、三笠 景子(東洋陶磁史)

●10月8日(火)14:00~15:10「絵画に表現された愛」

勝木 言一郎(東洋美術史)、植松 瑞希(東洋絵画)、市元 塁(東洋考古)

受付場所:東洋館1階エントランス(受付開始は各回30分前予定)

※展示室をめぐるツアーです。歩きやすい靴でご参加ください。

<月例講演会「アジア美術に見える愛の表現」>[当日受付]

地中海世界から東アジアに至るまで、愛をテーマとしたさまざまな作品を通して、古今東西の人々が愛をどのようにとらえ、そして表現しようとしたのかを探ります。

●9月28日(土)13:30~15:00

講師:勝木 言一郎(東洋美術史)

会場:平成館大講堂(開場は開始30分前予定) 定員:380名

 

<ボランティアによるガイドツアー>[当日受付]

東洋館ハイライト、彫刻、考古などのガイドツアーを「博物館でアジアの旅 特別バージョン」で実施します。

9月15日(日) 11:00~11:40 東洋館ツアー (1)

9月20日(金) 11:00~11:30 樹木ツアー (2)

9月21日(土) 14:00~14:40 本館ハイライトツアー (2)

9月26日(木) 11:00~11:40 東洋館ツアー (1)

9月29日(日) 14:30~15:00 考古ガイド@東洋館 (1)

10月1日(火) 11:00~11:40 たてもの散歩ツアー (2)

10月3日(木) 11:00~11:40 東洋館ツアー (1)

10月5日(土) 14:00~14:40 本館ハイライトツアー (2)

15:00~15:30 彫刻ガイド@東洋館 (1)

10月6日(日) 14:30~15:00 考古ガイド@東洋館 (1)

10月13日(日) 15:00~15:30 彫刻ガイド@東洋館 (1)

集合場所:(1)東洋館1階エントランス

(2)本館1階エントランス

 

<トーハクでヨガ体験>[事前申込制]

毎年大好評のヨガ、今年も行います! トーハクの文化財に囲まれながらヨガを体験できるチャンスです。

●マットでリラックスヨガin表慶館

9月27日(金)(1)11:00~11:30、(2)13:30~14:00、(3)15:00~15:30

講師  :渡辺 美保(ヨガインストラクター)

会場  :表慶館1階(受付開始は各回30分前予定)

定員  :各回20名(応募者多数の場合は抽選)

申込方法:当館ウェブサイトのフォームからお申し込みください。

申込締切:8月23日(金) 必着

※マットを使用したヨガとなりますので、動きやすい服装でご参加ください。(ジーンズ、スカートはご遠慮ください)

※着替えができる部屋をご利用いただけます。

 

●気軽に椅子ヨガin東洋館

気軽に椅子ヨガin東洋館(2018年の実施風景)

 

10月4日(金)(1)11:00~11:30、(2)13:30~14:00、(3)15:00~15:30

講師  :渡辺 美保(ヨガインストラクター)

会場  :東洋館1階(受付開始は各回15分前予定)

定員  :各回20名(応募者多数の場合は抽選)

申込方法:当館ウェブサイトのフォームからお申し込みください。

申込締切:8月30日(金)必着

※動きやすい服装でご参加ください。(ジーンズ、スカートはご遠慮ください)

※展示室内でのプログラムですので、着替えができる部屋のご用意はございません。

 

【博物館でアジアの旅 ラブラブアジア】

※正式には「LOVEラブアジア」(“ラブ”部分はハートマーク)と表記します。

■会期:2019年9月10日(火)~10月14日(月・祝)
■会場:東京国立博物館 東洋館
■開館時間:9時30分~17時

※金・土曜日は21時まで、9月20日(金)・21日(土)は22時まで

※入館は閉館の30分前まで

■休館日:月曜日、9月17日(火)、9月24日(火)

※9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)は開館

■観覧料:一般620円(520円)/大学生410円(310円)

※総合文化展観覧料および開催中の特別展観覧券(観覧当日に限る)でご覧いただけます。

※( )内は20名以上の団体料金。

※特別展は別料金。

※高校生以下、および満18歳未満と満70歳以上の方は無料。

入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。

※障がい者とその介護者1名は無料。

入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

※敬老の日(9月16日<月・祝>)は総合文化展が観覧無料です。

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

■ウェブサイト: https://www.tnm.jp/?lang=ja/

記事提供:ココシル上野


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【東京藝術大学大学美術館】円山応挙から近代京都画壇へ~報道内覧会レポート~

東京藝術大学大学美術館

2019年8月3日(土)から東京上野の東京藝術大学大学美術館で、
「円山応挙から近代京都画壇へ」が開催されています。
(~9月29日(日)まで)

先日、本展の報道内覧会が開催されましたので、今回は、そのレポートをお届けします。

 


円山応挙について

 

円山応挙は、1733年(享保十八年)に現在の京都亀岡付近(丹波桑名郡穴太村)で農民の子として生まれました。
しかし、貧しい家庭環境のため生活は苦しく、幼いころから奉公に出されていたといいます。

その奉公先の一つ、尾張屋勘兵衛の店は浮絵、望遠鏡、のぞき眼鏡、人形などを扱う玩具商でした。
応挙はそこで眼鏡絵を描く機会を得たのを皮切りに、狩野派の流れをくむ石田幽汀(ゆうてい)に師事し、眼鏡絵を通して西洋画の技法である透視図法を習得することで、絵画の技術を磨いていきました。

名前も1766年(明和3年)から「応挙」と名乗るようになります。
そして、三井寺円満院門主の祐常と出会い、様々な注文を受ける中で、数々の名品を生み出し、画家として大成していきます。

この時期に生まれた様式が実物そのままの生を写す、写生画(スケッチ)。
当時の絵画の基本が、やまと絵か中国画だけであった時代に、応挙の写生画は簡単でわかりやすく、庶民に身近なものとして絵画を広めることになります。

そんな親しみやすく、古い伝統にとらわれない自由奔放な応挙の画風に魅せられ、全国から入門する門弟は数多く、1780年代には、円山派という一流派が形作られて工房を組織できる規模の流派になっていきます。

 

円山・四条派とは?

 

円山派と共に、与謝蕪村に学び、のちに応挙に師事した呉春を中心とした流派に”四条派”があります。

四条派は、呉春やその弟子たちが京都の四条通り周辺に住んでいたことから名づけられた画派。
呉春の写生的な画風が応挙の影響を受けていることから、円山派と四条派の二派は、関連する二大流派として、「円山・四条派」と呼ばれ、近世以降の京都の主流となり、近代京都画壇にも大きな影響を及ぼし、現代まで脈々と受け継がれています。

 

展覧会の見どころ

 

本展覧会は、応挙、呉春から近代へ至る系譜を追うことで、円山・四条派の全貌に迫り、日本美術史の中で重要な位置付けの京都画壇の様相の一端を明らかにするもので、大まかに4章構成となっています。
その展示数は、重要文化財8点、重要美術品2点を含む約100点で、これまでには無かった最大規模の展覧会となっています。

一番の注目は、丸山応挙最晩年の最高傑作と呼ばれる「大乗寺襖絵」の立体展示。

「大乗寺襖絵」は、そのスケール感は、息をのむほど。光により作品の墨の濃度に変化がみられます。様々な角度からご覧ください。

 

 

円山応挙『松に孔雀図』寛政7年作 重要文化財 兵庫・大乗寺所蔵 東京展のみ通期展示。

 

その他、応挙に関連する呉春を始め山本守礼、亀岡規礼と続く、「円山・四条派」の系統を踏む画家の襖絵、32面も紹介します。

 

呉春 『四季耕作図』 寛政7年(1795年)作 重要文化財 兵庫・大乗寺所蔵

 

(手前) 亀岡規礼『採蓮図』 江戸時代後期作 重要文化財  兵庫・大乗寺所蔵  
(奥) 山本守礼 『少年行図』江戸時代後期作 重要文化財 兵庫・大乗寺所蔵

 

また、東京展前期のみ、重要美術品「江口君図」が出品されるのも見どころの一つ。

円山応挙『江口君図』は、応挙の数少ない美人画の中でも優れた作品の一つ。
応挙の人物画は、しっかりした人体構図で描かれているのが特徴。
髪の上部から髪の毛が、ハラハラと落ちていく様子が自然に再現されています。

写真(左) 円山応挙『江口君図』寛政6年(1794年)作 重要美術品 静嘉堂文庫美術館所蔵※東京展の前期のみ展示。 写真(右)は、幸野 楳嶺 『洞房粧雨図』明治8年(1875年)作

 

新発見された作品「魚介尽くし」も東京展のみ展示されています。

写真左の『魚介尽くし』は、 円山・四条派の大半を占める、総勢28名の画家たちが1つの画面に魚介類を描いた合作。28人で描いているのに、一見すると一人の画家が描いているように調和がとれているところが面白い。
写真中央の『松虎図』は、 円山派の系統を踏む岸派の代表的な虎を描いた作品

(右)森寛斎他『魚介尽くし』 明治5~6年(1872-73年)作 個人蔵 ※東京展のみ通期展示 (中)岸駒 『松虎図』 江戸時代後期作公益財団法人角屋保存会所蔵 (右)幸野楳嶺 『敗荷鴛鴦図』 明治18年(1885年)頃作 敦賀市立博物館蔵

その他の作品

国井応文・望月玉泉 『花卉鳥獣図巻』

円山派の五代目・応文と望月派の四代目・玉泉によって描かれた画巻。光沢ある塗料で描かれた、孔雀の羽の薄青、濃い青、 緑がかった色は鮮やか。立体感を感じさせます。

国井応文・望月玉泉 『花卉鳥獣図巻』 江戸時代後期~明治時代作 京都国立博物館所蔵 

 

竹内栖鳳 『春暖』
長沢芦雪 『薔薇蝶狗子図』
応挙に影響を受けた2人の画家、栖鳳と芦雪。どちらの犬も、個性的で可愛らしいです。

(左)竹内栖鳳 『春暖』 昭和5年(1930年)作 愛知県美術館(木村定三コレクション)所蔵 (右)長沢芦雪 『薔薇蝶狗子図』寛政後期頃(1794‐99年)作 愛知県美術館(木村定三コレクション)所蔵

まとめ

円山・四条派は、どれが円山派か?どれが四条派か?という定義が曖昧で、専門家でも判断しきれないとのこと。
円山応挙の写生画に奇をてらったり個性を発揮する表現がないように、円山・四条派の変化も大きく目に見えるものはなく、なだらかです。
そのため、作品を鑑賞する際には、難しいことを考えずに、そのなだらかな変化やそれぞれの作風の違いを自然に楽しむことが、大切。

 

急速な変化と共に進化した江戸の文化に対して、京都独自の文化を育んできた円山・四条派。
東京藝術大学大学美術館で、円山・四条派の作品たちに触れてみては、いかがでしょうか?

 

開催概要

 

展覧会名 円山応挙から近代京都画壇へ
会期 前期:2019年8月3日(土) – 9月1日(日) 後期:2019年9月3日(火) – 9月29日(日) 前期後期で大展示替え!
※ただし、大乗寺襖絵は通期展示
午前10時 – 午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日
※ ただし、月曜日が祝日または振替休日の場合は開館、翌日休館
会場 東京藝術大学大学美術館(上野公園) 本館 展示室1、2、3、4
観覧料 一般1,500円(1,200円)高校・大学生1,000円(700円)
※中学生以下無料
※( )は、20名以上の団体料金  ※ 団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などを要提示。お得なチケット情報
※詳細は公式サイトでご確認ください。
公式サイト https://okyokindai2019.exhibit.jp/

 

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【7.20(土)より東京都美術館にて開催】伊庭靖子展 まなざしのあわい 報道内覧会レポート

東京都美術館


2019年7月20日(土)から上野の東京都美術館で、「伊庭靖子展 まなざしのあわい」が開催されています。【10月9日(水)まで】
先日、本展の報道内覧会が開催されましたので、今回は、そのレポートをお届けします。


伊庭靖子展について

伊庭靖子さん

 

伊庭靖子は、画家としての自身の眼とモチーフのあわい(間)にある世界に魅せられ、触れたくなるような質感のモチーフやそれがまとう光を描くことで、そのものの景色を表現し続けてきました。
その創作スタイルは、自ら撮影した写真を元に制作するもので、2000
年代は、主に寝具や器をモチーフとしていました。
近年も、制作スタイルは変わっていませんが、接近していたモチーフとの距離が少しずつ広がっています。
風景への関心が徐々に高まり、周りの空間への視点が広がることにより、新たな展開を見せる伊庭作品。
今回の展覧会では、東京都美術館にて撮影した写真から描いた絵画をはじめ、版画、新たな試みとして映像作品が発表されています。

2009年の個展、「伊庭靖子――まばゆさの在処――」(神奈川県立近代美術館)以来、10年ぶりの美術館での開催となる「伊庭靖子展 まなざしのあわい」。
本展覧会は、近作・新作を中心に、新たな展開に至る前の作品も併せて展示することにより、伊庭靖子の10年の変化とともに、変わらない関心の核に迫ります。

 

展覧会のみどころ

展覧会の見どころは、3つです。

①10年ぶりとなる個展で、東京の美術館では、はじめての開催

国内外の主要な美術館に多く収蔵されている伊庭作品。
その人気は、美術館だけでなく、多くのコレクターにも愛されています。
今回の展覧会は、個人の邸宅で大切に保管されている、たくさんの所蔵者にご協力いただき、近作・新作につながる2004年からの作品を展示します。
普段は、中々見ることができないコレクターお気に入りの作品が目白押しです。

②新作中心の展覧会

今回の展覧会は、開催が決定した、2016年春から、3年余りの時間を掛け準備を行い、絵画、版画、映像といった新作を中心に展示しています。
東京都美術館で撮影した写真から描いた絵画は、伊庭のレンズと手を通して生まれ変わり、美術館を設計した前川國男の建築に新たな命を吹き込みました。

③映像作品に初挑戦

絵画に軸を置き、制作活動を広げてきた伊庭は、今回初めての映像作品に挑戦しています。
光に満ちた静謐(せいひつ)な空間を描く絵画から発展し、大気、光、雰囲気などの人間の目と見る物の対象との間にある様々なものを意識させる映像作品となっています。

 

展示作品紹介

 

Untitled 2018-02 油彩、カンヴァス  作家蔵(協力:MA2 Gallery)

この作品は、東京都美術館で撮影した写真から描かれています。
アクリルボックスにモチーフを入れて制作。
透明なアクリルボックスに反射して映り込む周りの景色と対象物の光が何重にも重なり合って、独特の世界を生み出しています。

 

 

Untitled 2006-07 油彩 カンヴァス 個人蔵

クッションを両手でギュッと抱きしめた後に出来る皺(しわ)の質感。
そこに暮らす人の生活の温もりも感じ取れるように思えます。
作品の前に佇むと、光を帯びて、作品が浮かび上がってくるような錯覚を覚えるから不思議です。

 

 

Untitled 2015‐01 油彩 カンヴァス 作家蔵(協力:MA2 Gallery)

ガラスの透明感、つや、器から伸びた影が、繊細に表現されています。
背景の淡い桜色が、対象物を際立たせています。

 

 

depth #2019 映像インスタレーション ランダム・ドット・ステレオグラム(交差視)/Random dot stereogram(Cross-eyed viewing)

伊庭の新作映像作品の内の一つ。
左右の目の視差を利用し、立体的に物を見る方法を使いスクリーンを見ると、ある画像が現れます。
人によって、日によっても見え方が変わってくるというから面白いです。
実際に目で見て感じ取ってください。

 


まとめ

 

「それぞれの作品を目で見て、体でも感じながら、ご自身の過去の思い出を呼び覚ましてもらいたい」と話す伊庭靖子さん。

目に見える対象物から目に見えないものの存在感を感じ取る。
それが伊庭作品の鑑賞の仕方です。

対象物とそれがまとう光を描くスタイルを取りながらも、絵画だけではなく、映像などの新しい視覚表現に挑戦し続け、変化する伊庭靖子。
本展覧会に、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

 

開催概要

展覧会名 「伊庭康子展 まなざしのあわい」
会期  2019年7月20日(土)~10月9日(水)
会場 東京都美術館 ギャラリーA・B・C
休室日  月曜日、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)
※ただし、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開室
開室時間
9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(いずれも入室は閉室の30分前まで)
※ただし、7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)は9:30~21:00
観覧料 当日券 | 一般 800円 / 大学生・専門学校生 400円 / 65歳以上 500
団体券 | 一般 600
※団体割引の対象は20名以上
※高校生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料
※8月21日(水)、9月18日(水)は「シルバーデー」により、9月16日(月・祝)は「敬老の日」により、65歳以上の方は無料
※8月17日(土)、18日(日)、9月21日(土)、22日(日)は「家族ふれあいの日」により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は、一般料金の半額
※いずれも証明できるものをご持参ください
※10月1日(火)は「都民の日」により、どなたでも無料[サマーナイトミュージアム割引]
7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)の17:00~21:00は、一般600円、大学生・専門学校生無料(証明できるものをお持ちください)

[相互割引]本展会場入口で下記展覧会の観覧券(半券可)をご提示の方は、一般当日料金が割引になります(いずれも1枚につき1名1回限り、他の割引との併用はできません)

・特別展「コートールド美術館展 魅惑の印象派
一般当日料金から300円引き。本展の観覧券(半券可)を当館内のチケットカウンターでご提示の方は、「コートールド美術館展 魅惑の印象派」の当日券が100円引き
・東京都庭園美術館「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと
一般当日料金から200円引き。本展の観覧券(半券可)を、東京都庭園美術館の正門横の券売所でご提示の方は、「1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築素材と人びと」の一般料金が180円引き・東京都現代美術館「あそびのじかん」展
一般当日料金から200円引き。本展の観覧券(半券可)を、東京都現代美術館のチケットカウンターでご提示の方は、「あそびのじかん」展の一般料金が120円引き

家族ふれあいの日
(https://www.tobikan.jp/guide/hospitality.html#anchor1)

シルバーデー
( https://www.tobikan.jp/guide/hospitality.html#anchor2)

都内教育機関 観覧料免除申請
(https://www.tobikan.jp/learn/exemption.html)

パパママデー
(https://www.tobikan.jp/guide/nurseryservice.html)

特設WEBサイト https://www.tobikan.jp/yasukoiba

※その他イベント情報は、特設WEBサイトにてご確認頂けます。

 

記事提供:ココシル上野


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【台東区立書道博物館企画展】漢字かんじのなりたちー古代文字こだいもじ世界せかい取材しゅざいレポート

台東区立書道博物館

現在、東京台東区の書道博物館しょどうはくぶつかんにて、漢字かんじのなりたちー古代文字こだいもじ世界展せかいてんが開かれています。(~9月23日〔月・祝]まで)
今回、書道博物館しょどうはくぶつかんにお邪魔じゃまして、お話をうかがってきましたので、展示会てんじかいの様子と共にお送りします。

漢字かんじなりてんとは?

令和元年の今年は、現存げんぞんする最古さいこ漢字かんじといわれる、「甲骨文字」こうこつもじが発見されてから、120年目に当たる年です。
本展覧会は、その最古の漢字「甲骨文字」こうこつもじや、書家しょかであり、洋画家ようがかである中村不折なかむらふせつのコレクションの中から、しん始皇帝しこうていにより定められた文字、青銅器せいどうきに記された文字、「三国志」さんごくし登場とうじょうする人物の書などを、お子様向けに分かりやすく解説かいせつしたものです。

展示てんじ内容ないよう

書道博物館の1Fの第一展示フロアには、大きく2つのコーナーがあります。
1つ目は、「漢字のご先祖ごせんぞさま」というコーナー。
このコーナーでは、中国の殷時代いんじだいの漢字のご先祖様がいろいろな動物で形作った漢字のはじまりとなったものから、わかりやすく漢字の歴史を学ぶことができます。
もう1つは、古代中国こだいちゅうごく世界せかいというコーナーがあります。

(左)ひつじ (甲骨文字第一期こうこつもじだいいっき/亀腹甲)きふくこう (右)とら (甲骨文字第一期こうこつもじだいいっき/ 牛肩甲骨)ぎゅうけんこうこつ
とり(甲骨文字第一期こうこつもじだいいっき)/亀腹甲)きふくこう
武氏祠石闕画像銘ぶししせっけつがぞうめい

2Fの展示てんじフロアには、漢字が発明はつめいされた伝説やでんせついろいろな占いうらな青銅器せいどうき春秋戦国時代しゅんじゅうせんごくじだいしんの時代に書かれた文字のコーナーがあります。

蒼頡書そうけつしょ 蒼頡そうけつ(古代) (~むかしばなし漢字はつめい伝説より~) 
タタリはないでしょうか?殷時代いんじだい・前13世紀 (~いろいろな占いコーナーより)

また、2Fには、中国しんの時代の文字を展示した特別展示室とくべつてんじしつ中村不折記念室なかむらふせつきねんしつも併設しています。中村不折記念室なかむらふせつきねんしつには、中国かんの時代の文字やリトル三国志さんごくしコーナーとして、現存する中で一番古い「三国志」さんごくし写本しゃほん三国時代さんごくじだいの文字が展示てんじされています。
(※写本しゃほんとは、手書きで書き写した文書のことです。)

この記念室には、もう1つ、中村不折なかむらふせつ親交しんこうのあった俳人はいじん正岡子規まさおかしきにまつわる展示もあります。

あの諸葛 亮 孔明しょかつりょうこうめい唯一ゆいいつの書といわれている 玄莫帖げんばくじょう 諸葛亮 しょかつりょう(181~234)筆/三国時代さんごくじだい(しょく)・3世紀
重要文化財じゅうようぶんかざい三国志さんごくし呉志ごし第二十残巻だいにじゅうざんかん 8/4までしか見られない貴重なきちょう展示品てんじひんです。
正岡子規像まさおかきしぞう中村不折なかむらふせつ筆/明治~昭和時代・20世紀

それぞれのコーナーで漢字かんじ歴史れきしたのしくまなぶことができます。

■見どころについてお聞きしました。

展示会の見どころについて、書道博物館主任研究員しょどうはくぶつかんしゅにんけんきゅういん中村信宏なかむらのぶひろさんにお話をうかがいました。

お子さんにどういうところを楽しんでもらいたいですか?

漢字の成り立ちを示すなま資料しりょうを見ていただきたいですね。
3500年もいきながらえた生命力せいめいりょくのありそうな資料しりょうの中の漢字の線を、写真なんかじゃなく、実際じっさいに目でみることに大きな価値かちがあると思います。

その中でも一番に見ていただきたいのは、動物の文字です。
かたどったのは、「その姿なのか?」、「顔なのか?」「どうやって、かたどったのか?」それだけで文字のとらえ方が全然違ってきます!

また、こんな小さな小さな博物館はくぶつかんで、漢字の成り立ちの歴史れきし一望いちぼうできるというのは、非常ひじょうに強みですね。
お子さんを連れて来られるご両親りょうしんも楽しめる展示となっていますので、夏休みに親子でいらしてください。

中村さんが一番お気に入りの展示物はなんですか?

史頌?ししょうきですね。こんなにきれいな状態で、文字が見られる青銅器せいどうきは珍しいです。
この青銅器せいどうきは今回のみの展示なので、貴重きちょう機会きかいです。

■さいごに

「小学生の方の目線で展示物を紹介したので、展示物の説明にそうルビをる作業は、大変でした。」と楽しそうに話す、書道博物館主任研究員しょどうはくぶつかんしゅにんけんきゅういんの中村さん。
その面白おもしろくて、ためになる説明は、漢字をもっとみじかに、楽しくお子さんに伝えたいというおもいであふれていました。
そのような中村さんのお話を聞きに、ご家族かぞくで書道博物館に来てみませんか?

展示物に書かれている、こんな楽しい文章も魅力みりょくです。 ~むかしばなし漢字かんじはつめい伝説のコーナーより~

 

会期 開催中(~9月23日(月曜日・祝日)まで)
開館時間 午前9時30分~午後4時30分(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(月曜が祝日・休日の場合は翌平日)
ただし、8月12日(月・祝休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館。
8月13日(火)、9月17日(火)は休館。
入館料

一般・大学生:500円(300円)、高・中・小学生:250円(150円)※( )内は20名以上の団体料金。

※毎週土曜日は台東区在住・在学の小、中学生とその引率者の観覧料が無料です。
※障害者手帳または特定疾患医療受給者証をお持ちの方、及びその介護者は無料です。

公式HP http://www.taitocity.net/zaidan/shodou/

 

※8月4日(日)には、キッズセミナー「かんじのひみつ」というガイドツアーとワークショップも予定しています。

■キッズセミナー「かんじのひみつ」
お子さまのためのガイドツアーとワークショップ

(事前申込制)

日時 2019年8月4日(日)
11:00~
定員 会場が手狭なため、事前申込制で各回20名程度となります。
応募人数により、開始時間を調整させて頂く場合があります。ご了承下さい。
申込方法 往復はがきの「往信用裏面」に、郵便番号・住所・氏名(ふりがな)・電話番号・年齢・希望日時を、「返信用表面」に郵便番号・住所・氏名を明記して下記までお申込下さい。1通のはがきで1名・1回の申込となります。聴講無料。ただし当日の観覧料が必要です。
申込先 〒110-0003 台東区根岸2-10-4
台東区立書道博物館 キッズセミナー係
締切 2019年7月26日(金)必着

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【東京国立博物館】特別展「三国志」内覧会レポート

東京国立博物館

関羽像 明時代・15〜16世紀 新郷市博物館

 

2019年7月9日(火)から9月16日(月・祝)まで、東京国立博物館では
特別展「三国志」が開催されています。
メディア向け内覧会が開かれましたので、今回はその様子をお伝えいたします。

漫画、人形劇、ゲーム・・・幅広い分野で取り上げられ、多彩な展開を見せる「三国志」。その出発点は中国の正史『三国志』や『三国志演義』で、長い歴史の中で民衆に愛され続け、日本における人気にはいまだ陰りが見えません。関羽、趙雲、呂布・・・スケールの大きな武将たちの生き様に胸を熱くした人たちも多いのではないでしょうか。

本展の合言葉は「リアル三国志」。資料が少なく、その実態の多くが謎に包まれた三国時代について、選りすぐりの文物と最新の研究成果をまじえてその実像に迫り、これまでの三国志を超えた考古学ならではの新たな三国志の構築を目指すものです。

 

三国志とは?

『関羽・張飛像』張玉亭作 清時代・19世紀 天津博物館

前後400年あまり続いた漢王朝。しかし外戚や宦官が実験を握ることによって腐敗し、黄巾の乱(184年)が勃発するなど社会秩序は混乱をきたすようになっていきました。動乱の収拾をはかるべく漢王朝は有力諸侯の力を頼みとし、この求めに応じて曹操、劉備、孫堅らが挙兵。やがて彼らは魏・蜀・呉を打ち立て、ここに天下三分の形勢が定まることになります。

「三国志」は彼らが活躍した三国時代をもとにした物語。現在、世間に流布している三国志の物語は、その骨子の多くを後世に書かれた読み物『三国志演義』をもとにしています。

 

あの名場面が甦る!伝説の中の英傑たち

展示冒頭ではおなじみの名場面を描いた絵画・壁画などを紹介

 

『三国志演義』の一場面(『三国故事図』 天津博物館蔵)。何の場面かわかる人は相当な三国志通

 

『趙雲像』清時代・17〜18世紀 毫州市博物館

展示会場の冒頭では、私たちになじみ深い「三国志」の物語を題材にした作品を展示。幼い頃から脳裏に焼き付けてきた英傑たちの姿が蘇ります。この特別展「三国志」は三国志初心者の方にもぜひ見て欲しい展覧会なのですが、やはりこういう楽しみ方はマニアの特権ですね。

上の『趙雲像』は戦場に取り残された主君の息子を助けようと、単騎で敵陣の中を駆けた趙雲のエピソードを題材にしたもの。「三国志」必至の名場面です。本作は建物の装飾の一部と考えられており、彫刻も簡素ですが、赤子を抱えながら馬に鞭打つ姿が生き生きと表現されています。

 

横山三輝『三国志』の原画を展示

 

人形劇『三国志』で使用された、川本喜八郎氏の人形

 

ゲーム内で登場した張飛の武器「蛇矛(じゃぼう)」。蛇矛自体は実在したが、三国時代に存在したのかは不明

会場では、「リアル」な出土品と並び、横山光輝による漫画『三国志』の原画や、川本喜八郎のNHK『人形劇 三国志』で実際に使用された人形を展示。さらに大人気ゲームシリーズ『三国無双』のキャラクターたちも参戦し、本展を彩ります。ディープな三国志ファンはもちろん、さまざまなメディアを入り口に興味を持った三国志初心者の方でもわかりやすく楽しめます。

 

いざ、「リアル三国志」へ

矢が飛び交う戦場を再現した第3章の展示室

 

使用された矢は実に千本以上

 

矢を打ち出す「弩(ど)」。いわゆるクロスボウ

「三国志」といえば、やはり合戦の魅力を抜きにしては語れません。ということで第三章では漢から三国の武器を展示し、「戦場のリアル」を私たちに伝えてくれます。

会場に足を踏み入れると、まるで戦場を矢が飛び交っているような装飾が施されており、まるで気分は赤壁の戦い?!
使用された矢の総数はなんと千本以上。船体に突き刺さっているさまがリアルです。当時の主要な武器は剣、刀、槍(矛)、弓矢ですが、中でも柄に弓を取り付け引き金を引いて発射する弩(ど)は殺傷力が強く、重要な役割を果たしました。

 

 

原寸大で再現された「曹操高陵」

本展の特徴のひとつは、迫力ある展示空間。第五章では魏の曹操が葬られた「曹操高陵(そうそうこうりょう)」を会場内に原寸大で再現。神秘的な墓内の空間を体感できます。

曹操高陵は2008年から2009年にかけて河南省安陽市で発掘されたもので、当初は西高穴二号墓と名付けられていましたが、場所が古記録における曹操高陵の所在地と一致していること、さらに副葬品に曹操を指す「魏武王」と記した石碑があったことから曹操高陵であることが確実になりました。

 

儀仗俑 後漢時代・2〜3世紀 甘粛省博物館

 

『金製獣文帯金具』後漢時代・2世紀 寿県博物館

 

『五層穀倉楼』1973年 焦作市博物館

 

蜀の大墓で使用された『虎型棺座』(三国時代・三世紀 南京市博物総館)。

このほか、本展では中国から来日する最新の考古発掘成果約160点を展示。最新の学術成果とともに、いまだ知られざる「三国志」の実像に迫ります。


三国志の舞台となったのは、184年の黄巾の乱から280年の西晋王朝による統一までの時期。そのわずか百年ほどの物語が、こうして時代を超え、国を超え、語り継がれているのは不思議です。

 

本展の開催期間は2019年7月9日(火)から9月16日(月・祝)まで。
誰もが知っているようで、誰もが知らない三国志の「リアル」。
初心者のあなたも、三国志ファンのあなたも、ぜひ会場に足を運んでみてください!

 

個人的にぜひ覗いて欲しいのが物販コーナー。横山光輝「三国志」からゲーム「三国無双」など、おなじみのキャラクターたちが勢ぞろい

 

開催概要

展覧会名 日中文化交流協定締結40周年記念 特別展「三国志」
会 期 2019年7月9日(火)~9月16日(月・祝)
午前9時30分~午後5時 ※金・土曜は午後9時まで (入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜、7月16日(火) ※ただし7月15日、8月12日、9月16日は開館
会場 東京国立博物館平成館(上野公園)
観覧料 一般1,600円(1,300円)、大学生1,200円(900円)、高校生900円(600円)
中学生以下無料
※ ( )内は20名以上の団体料金
※ 障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名様は無料
公式サイト https://sangokushi2019.exhibit.jp/

 

記事提供:ココシル上野


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東京都美術館 今注目の画家・伊庭靖子の新境地!美術館で10年ぶり、東京の美術館で初個展!!新作含む52点を展示!!

東京都美術館


7/20(土)より東京都美術館にて、「伊庭靖子展 まなざしのあわい」が開催されます。
〈会期:2019年7月20日(土)~10月9日(水)、会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C〉

画家の眼とモティーフのあわいにある世界に魅せられた伊庭靖子(1967-)は、触れたくなるようなモティーフの質感やそれがまとう光を描くことで、その景色を表現し続けてきました。
自ら撮影した写真をもとに制作するスタイルは変わりませんが、近年、それまで接近していたモティーフとの距離が少しずつ広がってきました。
空間や風景といったものへの関心が高まり、まわりの風景が広がることで、伊庭の絵画は新たな展開を見せています。本展覧会では、東京都美術館で撮影した写真をもとにした絵画をはじめ、版画、さらに新たな試みとして映像作品を発表します。
伊庭の個展は、2009年の「伊庭靖子――まばゆさの在処――」(神奈川県立近代美術館)以来、美術館では10年ぶりの開催となります。近作・新作を中心に紹介しながら、そこに至る以前の作品も併せて展示することで、この10年の変化とともに伊庭靖子の変わらない関心の核に迫ります。開幕に先駆けて、この度初挑戦をした映像作品のほか、出品作品や会期中の様々なイベントをご紹介します。

【みどころ】
1、新作を中心とした個展
2、映像作品に初挑戦!
3、10年ぶりとなる美術館での個展(東京の美術館では初めての個展!)
詳細はこちらhttps://www.tobikan.jp/yasukoiba/information.html
                                      
【伊庭靖子さんより展覧会についてのコメント】
神奈川県立近代美術館での個展からちょうど10年となる年に、東京都美術館で新たな個展の依頼をいただき、大変嬉しく思っております。この機会に、新しいことに挑戦してみたいと思い、今回は、絵画、版画、映像などの新作に取り組んでいます。
タイトルに「まなざし」とありますが、さまざまに“見る方法”を試しながら制作を続けています。これまで実験を繰り返すなかで、自分の想像を超えるものとも出会うことができました。“見る”ことを解体し組み直すことで、日常のなかでも新たな見方に出会えるかもしれません。この展覧会でそんなことを共感していただけると幸いです。


■主な作品紹介




【イベント情報】
■対談 清水穣×伊庭靖子

伊庭靖子さんの作品を初期から知る美術評論家・清水穣さんをお招きし、制作の変遷や作品の魅力を語っていただきます。
日時: 7月20日(土) 14:00~15:00(13:30開場)
会場:東京都美術館 講堂(定員225名)
※聴講無料。ただし本展観覧券(半券可)が必要です。
※当日13:00より講堂前で整理券を配布し、定員になり次第、受付を終了。

■アーティスト・トーク
展覧会会場にて、伊庭靖子さんから制作の様子や作品についてお話をうかがいます。
日時: ① 8月3日(土) 11:00~11:45
② 8月24日(土) 11:00~11:45
※聴講無料。ただし、本展観覧券が必要です。展覧会会場にお集まりください。

■ギャラリートーク
本展担当の学芸員が展覧会のみどころ等をご紹介します。
日時: ① 7月26日(金) 19:00~19:30
② 8月16日(金) 19:00~19:30
※聴講無料。ただし、本展観覧券が必要です。展覧会会場にお集まりください。

■ キッズ+U18デー
小中高校生や乳幼児をお連れの保護者の皆様のために、閉室日を特別に無料でオープンします。
日時:8月13日(火) 9:30~16:00(入室は15:30まで)
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
対象:高校3年生以下の子どもとその保護者
※小学校3年生以下は保護者同伴での入室をお願いします。
※大人(大学生以上)のみでの入室はできません。
参加費:無料

■ ダイアローグ・ナイト「あわいをまなざす」
作品から感じたり考えたりしたことをアート・コミュニケータと話しながら楽しむ、金曜夜に実施する参加型プログラムです。
日時:    8月9日(金)、8月23日(金)、8月30日(金) 、9月6日(金) 、9月20日(金)  各回19:00~19:45
定員:各回先着20名程度
参加費:無料※ただし、当日の観覧券が必要です。展覧会会場にお集まりください。

■ダンス・ウェル からだ全体で作品をあじわうプログラム
作品を見ながら、からだとこころを広げていく、ダンスを介したアートプログラムです。パーキンソン病と共に生きる方を中心に、からだにさまざまな不自由さをお持ちの方やそのご家族、こどもから大人まで、どなたでもご参加いただけます。
日時:① 7月30日(火) 10:30~12:00
② 8月6日(火) 10:30~12:00
会場:東京都美術館 ギャラリー(本展会場)、ホワイエ(企画棟 ロビー階)
講師:なかむらくるみ(ダンサー、振付家、Dance Well石川実行委員会代表)
対象:どなたでも参加可
定員:各回先着20名(要事前申込、6月18日(火)受付開始)参加費:無料 ※ただし、本展観覧券が必要です。
申込方法:展覧会特設サイトよりお申し込み。【定員に達しました】

●展覧会概要

展覧会名:伊庭靖子展 まなざしのあわい
主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
会期:2019年7月20日(土)~10月9日(水)(計70日間)
休室日:月曜日、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)
※   8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開室
開室時間:9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00(いずれも入室は閉室の30分前まで)
※   ただし、7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23(金)、30日(金)は9:30~21:00
会場:東京都美術館 ギャラリーA・B・C
観 覧 料:一般 800円/団体(20名以上) 600円/65歳以上 500円/大学生・専門学校生 400円
※   高校生以下無料
※   7月20日(土)、21日(日)、8月17日(土)、18日(日)、9月21日(土)、22日(日)は、「家族ふれあいの日」により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は、当日一般料金の半額(証明できるものをお持ちください)
※   8月21日(水)、9月16日(月・祝)、18日(水)は「シルバーデー」などにより、65歳以上の方は無料。当日は混雑が予想されます。(証明できるものをお持ちください)
※   10月1日(火)は「都民の日」により、どなたでも無料
※   身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(証明できるものをお持ちください)
※   都内の小学・中学・高校生に準ずる者とその引率の教員が学校教育活動として観賞するときは無料(要事前申請)
「サマーナイトミュージアム割引」
7月26日(金)、8月2日(金)、9日(金)、16日(金)、23日(金)、30日(金)の17:00~21:00は、一般600円、大学生・専門学校生無料(証明できるものをお持ちください)

公式HP:https://www.tobikan.jp/yasukoiba

記事提供:ココシル上野


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東京国立博物館 夏休みはトーハクでサムライ気分!「日本のよろい!」を7/17(水)から開催

東京国立博物館


東京国立博物館、文化庁、日本芸術文化振興会は、夏のファミリー向け企画・親と子のギャラリーとして「日本のよろい!」を2019年7月17日(水)から開催します。
日本のよろい(甲冑)は、武士の身を守る道具であると同時に、さまざまな工芸技術を結集した総合芸術品です。戦場での活躍をアピールするために、人目を引く美しさも求められ、そのデザインには武士の好みが強く表れています。
中世・近世につくられた本物のよろいと、現代につくられたよろいの製作見本などによって、複雑に見えるよろいの構造などをわかりやすくご紹介する親と子のギャラリー「日本のよろい!」と、よろいのパーツを実際に触ったり、かぶとをかぶったりできる体験型展示、日本文化体験「日本のよろい!」の2本立て。知っているようで知らない、日本のよろいがよくわかる、もっと好きになる企画です。

親と子のギャラリー 日本のよろい!
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1967&lang=ja

 

親と子のギャラリー「日本のよろい!」

【7月17日(水)~9月23日(月・祝) 本館2階 特別2室】

現代につくられた甲冑の製作見本と、中近世に用いられた甲冑をあわせて展示し、複雑ながらも高度に発達を遂げた工芸技術をわかりやすく伝える展示です。
たとえば、500年ほど前に製作された甲冑の付近に、腰回りを防御する草摺(くさずり)の部分だけを再現した製作見本を展示します。
3つの草摺は、(1)革でできた小札(こざね)と呼ばれる小さなカードのような部品を横に重ねたもの、(2)漆で塗り固めて横の列につなげたもの、(3)絹の組紐によって縦の列に綴り合せたもの、です。これらを同時に展示することによって、甲冑がさまざまな素材や技法によってつくられていることを視覚的に理解することができます。

【展示内容】
重要美術品 金小札紅糸中白威腹巻 安土桃山時代・16世紀
甲冑製作見本 平成19年(2007)個人蔵

【よろい 鑑賞のポイント!】
ポイント1:実物ならではの大きさや質感、細やかな装飾に注目!
ポイント2:材料やつくり方、表面から見えない部分が見どころ!
ポイント3:デザインにこめられた意味を読み解こう!

【仁王胴具足】安土桃山時代・16世紀
朱塗の胴のデザインが、金剛力士像の肉体を連想させることから仁王胴具足といわれます。胴の背面には丸に反転した「心」の字を金箔で表しています。兜は糟毛(かすげ)(白髪まじりの髪)を鉢全体に植え、後ろに髻(もとどり)を結う「野郎頭形(やろうがしらなり)」といわれる変わり兜です。全体的にリアルで異様な雰囲気をもつ具足です。

 

日本文化体験「日本のよろい!」

【7月17日(水)~9月1日(日) 本館1階 特別4室】
ハンズオン・コーナーでよろいを触ったり、かぶとをかぶったりできる、体験型の展示です。さらに、武士がたくさん描かれた屏風(レプリカ)を見て、よろいがどんなふうに着られていたのかを学べます。

【よろい着用体験】
よろいのレプリカを着ることができます。甲冑の重みを実際に体感してみましょう!

日時:日本文化体験「日本のよろい!」会期中の金・土曜日および8月4日(日)
11:00~16:30(受付10:50~16:00)
※8月4日は子ども(18歳未満)のみ
場所:日本文化体験「日本のよろい!」会場内(本館1階 特別4室)
定員:各日22名(1人につき1回1種類のみ。着用時間:約10分)
参加費:1,000円(高校生を除く18歳以上70歳未満の方は、別途当日の入館料が必要)

お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
※当日受付。事前申込はできません。
※先着順。定員に達した場合、16:00前でも受付を終了します。

 

関連事業

ファミリーワークショップ「おどし体験!」
日本のよろいの中には、革や鉄でできた小さな板「小札(こざね)」を、何千枚も紐で結び合わせてつくられたものがありました。小さいパーツ同士を紐で結び合わせることを「おどし」といいます。(「緒通し」から「威」になったと言われています。)
「小札」にあいた穴に色とりどりの紐を通す「おどし」のテクニックで、かっこいい飾りをつくるワークショップです。作品はお持ち帰りいただけます。

日時:
(1) 8月20日(火) 10:00~12:30
(2) 9月 7日(土) 10:00~12:30
(3) 9月 7日(土) 14:30~17:00
場所  :本館地下 みどりのライオン(教育普及スペース)
対象  :小学生~中学生およびその保護者のペア
定員  :各回10組20名
参加費 :1組3,000円(高校生を除く18歳以上70歳未満の方は、別途当日の入館料が必要)
申込方法:当館ウェブサイト上の申込フォームでお申込みください。
申込締切:7月24日(水)必着
お問合せ:03-3822-1111(代) 教育普及室「おどし体験!」係

 

開催概要

展覧会名 親と子のギャラリー「日本のよろい!」/日本文化体験「日本のよろい!」
会期・会場 ・親と子のギャラリー「日本のよろい!」
7月17日(水)~9月23日(月・祝) 本館2階 特別2室
・日本文化体験「日本のよろい!」
7月17日(水)~9月1日(日) 本館1階 特別4室
休館日 月曜日、9月17日(火)
※8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、23日(月・祝)は開館
開館時間 9:30~17:00(金曜・土曜は21:00まで、9月20日<金>・21日<土>は22:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料 一般620円(520円)/大学生410円(310円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下および満18歳未満、満70歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
※子ども(高校生以下および満18歳未満)と一緒に来館した方(子ども1名につき同伴者2名まで)は団体料金。
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください
※特別展「三国志」(7月9日<火>~9月16日<月・祝>)は、別途観覧券が必要。ただし中学生以下は無料
※敬老の日(9月16日<月・祝>)は観覧料無料
公式サイト https://www.tnm.jp/

 

<日本博とは>
文化庁及び独立行政法人日本芸術文化振興会を中心に、関係府省庁や文化施設、地方自治体、民間団体等の総力を結集した大型国家プロジェクトです。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、「縄文から現代」までの「日本の美」を体現する美術展・舞台芸術公演・文化芸術祭等を、「日本人と自然」という総合テーマの下、四季折々・年間を通じて全国で展開します。
URL: https://www.ntj.jac.go.jp/nihonhaku/

 

記事提供:ココシル上野


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【国立西洋美術館】モダン・ウーマン 報道内覧会レポート

国立西洋美術館


2019年6月18日(火)から9月23日(月・祝)まで、東京上野の国立西洋美術館で、「日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマンーフィンランド美術を彩った女性芸術家たち」が開催されています。

本展の報道内覧会が開催されましたので、今回は、そのレポートをお届けします。

 

モダンウーマン展とは?

モダン・ウーマン展は、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念して開催される、独立前後のフィンランドを生き、同国の近代美術に大きな革新をもたらした7人の女性芸術家に焦点を当てた、日本初の展覧会です。

展示作品は、絵画、彫刻、素描、版画など約90点。
近年世界的に注目されるヘレン・シャルフベック他、19世紀末から20世紀初頭に活躍した5人の画家の作品や、パリでオーギュスト・ロダンに師事した2人の彫刻家の作品が展示されています。

 

フィンランドにおける女性芸術家の歴史


(写真)ヘレン・シャルフベック

19世紀後半から20世紀初頭のフィンランド。
この時期のフィンランドは、ロシアからの独立運動や1917年に誕生する新しい国家の形成と歩調を合わせるように、社会における女性の立場や役割に大変革が起こりました。

19世紀半ばに設立されたフィンランドで最初の美術学校でも、創立当初から男女平等の美術教育を推奨するという、当時のヨーロッパでは珍しい教育方針が取られていました。そのため、この時代の女性たちは、留学のチャンスや奨学金の支援を受け、国際的な環境で研鑽(けんさん)を積みながら芸術家としてのキャリアを切り開くことができたのです。

 

展示作品紹介

マリア・ヴィーク<教会にて>
1884年 油彩、カンヴァス 56.0×46.5㎝


真っ直ぐとした視線で、祈る少女。
その迷いのない純粋な瞳に、思わず目を背けてしまいそうになります。

 

ヘレン・シャルフベック<占い師(黄色いドレスの女性)>
1926年 油彩、カンヴァス 65.5×51.0㎝

全体的に淡い色彩が特徴的な作品です。
黄色いドレスの占い師は凛(りん)としています。

 

エレン・テスレフ<フィンランドの春>
1942年 油彩、カンヴァス 70.0×54.5㎝

春の訪れに気分が高揚した少女の姿が、色彩豊かに描かれています。

 

(作品右)
シーグリッド・ショーマン<自画像>
年記無し 油彩、カンヴァス 41.0×32.5㎝

(作品左)
シーグリッド・ショーマン<エリサベツ・ヴォルッフ>
1940年 油彩、カンヴァス 42.0×33.5㎝

これらの作品は、はっきりとした人物の特徴が把握できない肖像画に思えますが、
よく鑑賞するにつれて、豊かな表情が浮かびあがってくるように感じられるから不思議です。

 

(作品右)
エルガ・セーセマン<通り>
1945年 油彩、カンヴァス 73.5×54.0㎝

(作品左)
エルガ・セーセマン<カフェにて>
1945年 油彩、厚紙 73.0×49.5㎝

右側の作品には、荒廃した通りの風景が描かれています。
少し寂し気ですが、右側を歩く人の哀愁を帯びた後ろ姿と共に、映画のワンシーンを連想させます。

対して、左側の作品。
新しいファッションに身を包んだ女性には、フィンランドの新しい時代を生き抜いていく決意が感じられます。

 

シーグリッド・アフ・フォルセルス<青春>
1880年代 ブロンズ 42.0×43.0×26.0㎝

端正な顔立ちの女性。
その希望に満ちた表情には、未来の不安など微塵も感じさせません。

 

 まとめ

社会における女性の立場や役割を切り開きながらキャリアを積んでいったフィンランドの女性芸術家たち。彼女たちの作品から、フィンランドの文化だけでなく、男女平等や女性の社会進出という礎(いしずえ)を感じ取ることもできます。会場は、そんな芸術家たちの作品を食い入るように見つめる人たちの熱気で、あふれていました。

あなたも本展覧会に足を運んで、その熱気を是非、体感してみてはいかがでしょうか?

 

開催概要

展覧会名 日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン-フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
会 期 2019年6月18日(火)〜9月23日(月・祝)
9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜・土曜は21:00まで開館)
休館日 毎週月曜日、および7月16日(火)は休館。
※7月15日(月・祝)、8月12日(月・休)、9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)は開館。
会場 国立西洋美術館(上野公園)
観覧料 一般500円(400円)、大学生250円(200円)
※高校生以下及び18歳未満、65歳以状上は無料(入館の際に学生証または年齢の確認できるものをご提示ください)。
※( )は、20名以上の団体料金
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などを要提示。毎週金・土曜日の夜間開館時(17:00-21:00)、および毎月第2・第4土曜日は、本展および常設展は観覧無料。*「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」(6月11日ー9月23日)観覧当日に限り、同展観覧券で本展をご覧いただけます。
公式サイト https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019modernwoman.html

 

記事提供:ココシル上野


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